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11 出口を探して

重めの話になります

 マルコシアス隊が戦闘に参加してから十分も経たない内に敵部隊はほぼ全滅した。

(撃墜も多いが逃走も多かった)

 敵基地の砲台もミサイル挺の対地攻撃により全てが破壊された。

 マルコシアス隊は本隊に合流し、本隊は敵基地の制圧の為、接岸を行っている。


『敵基地の制圧は我々が行う。

 マルコシアス隊は正面入口の周辺警戒を頼む。』


 本隊の指揮をとる巡洋艦の艦長から要請が来る。

 万が一敵の増援が来た場合、ほぼ無人の艦隊は良い的になるだろう。(最低限の人員を残し、基地の制圧に降りている)


「了解にゃ。」


 特に異論は無いので了承する。


『…これ、本隊の手柄になるんすかね?』


 部隊回線でディックが質問して来る。

(無線は共用、軍用、軍用(部隊)の回線がある)


『役割の問題なのだよ、ランナー軍曹。』


 プライズ艦長が代わりに答える。

 マルコシアス隊の働きにより素早く敵基地制圧に漕ぎ着けたが、マルコシアス隊は室内戦の経験が無い。

 制圧隊に加わったところで足手纏いになるだけだ。


『作戦に参加した事は記録されています。

 制圧戦に参加せずとも正当に評価されますよ。』


 バリー中尉も付け加える。

 ここ数年で一気に昇級した為少し調子に乗ってしまっているようだ。


『戦争は出世の手段じゃねえ…。

 そこんトコ、忘れんじゃねぇぞ。』


 親父っさんが怒り気味に釘を刺す。

 長く戦争が続いている弊害なのだろう。

 敵を殺す事がさも良い事のように考える者が多数派だ。(若者は特に顕著だ)

 ピコ自身、自身や仲間を危険に曝して敵を救うくらいならば、敵を苦しませずに殺して仲間の安全を守るスタンスだ。

 だが本来ならば戦争は話し合いで解決出来ない問題をしかし解決しなければならない時の最終手段であるとキャトラスのある歴史研究家が言っていた。

 親父っさんは経験でその意味を隊の誰よりも理解しているからこそ怒るのだろう。


『済まないっす…。』


 ディックの良いところは自分の過ちを素直に謝れる事だろう。


『いや、頭の隅にでも覚えてくれるといい。

 お前さん含めこの隊の連中は若すぎるのに責任が

 でか過ぎるのさ…。』


 行動を振り返ると確かに無理をしていた場面もあった気がする。

 それを親父っさんのように理解してくれている者がいる事を知れて気持ちが軽くなった。


(いつの間にか色々と抱え込んでいたんだにゃ…。)


 自分では気付けないものなのだなと、今後気をつけてみようと思った。


『駆逐艦が一隻、敵基地の裏側に回り込んでいま

 す。』


 どうやら動きがあったようだ。









~ドギヘルス軍前線拠点基地~


 キャトラス軍の本隊が基地に接岸し制圧隊が次々に侵入して来る。

 戦闘員をほとんど失ったドギヘルス軍は基地内通路の隔壁を閉じる等して遅滞防御を行っていた。


「司令、このままでは…。」


 救援の要請を出したものの、応答は無し。

 いずれ隔壁は破られ、室内戦という一方的な殺戮が行われるだろう。


「搬入ドッグに急げ。

 この基地を放棄する。」


 基地には戦闘機等が出入りする正面ハッチの他、物資搬入用の出入り口が反対側に存在している。

 そして搬入ドッグには連絡用のシャトルが存在している。

 詰めて乗ればギリギリ全員が乗れるであろうサイズだ。


「司令、それでは司令が…。」


 基地を放棄するということは、任務を放棄するということと同義になる。

 基地を脱出したところで待っているのは死刑だ。


「私一人の犠牲でその他数十名が助かるならば司令官

 冥利に尽きると言うものだ。」


(ここで無駄に命を散らすより、生きて別の戦場で敵を殺す役にたつ事が重要だ。)


 しかしこの雄も戦争に毒されていた。

 そんな事を知らない部下たちは感動し、司令官の名誉を守るだろう。(敵前逃亡は不名誉とされる)


 …………………。

 …………。

 …。


「全員乗り込みました。

 ハッチ、遠隔で解放します。」



ゴオォ…


 シャトルが動き出し宇宙空間へと踊り出る。


「シャトル、航行安定しています。

 脱出可能です。」


わっ!


 シャトル内が沸き上がる。

 積載量をオーバーした為、航行が安定せず墜落の危険があったが、一先ず安心のようだ。


「このまま速度を上げ、エリアからの脱出を行いま

 す。」


オォッ


 シャトルのエンジン出力が上がる。


ドウッ!












~ピコ視点~


ボッ…


 ブリッジのメインスクリーンの中で、敵基地から出てきたシャトルが駆逐艦の砲撃を受け撃沈する。


「ここまでする必要があったのでしょうか?」

 

 トーマスが呟く。


「ここで逃げた奴が別のところで仲間を殺すのさ。」


 ガイウスが宥める。


「とはいえ、気分のいいもので無いのは確かさ。」


 ミケコ姐さんの言う通りだと思う。


「親父っさんは、ああいうのを沢山見て来たんすか

 ねぇ…。」


 先ほど説教されたディックは早速思い知ってしまったようだ。


「悲しみが憎しみを呼んでどうして戦っているのか

 すら分からないまま戦いが続くにゃ。」


 ミーコが言う。

 戦っている理由が分からなくなれば、戦いの終わらせ方も分からなくなってしまう。


「だから強引にでも戦争を終わらせる為により大きな

 戦争をしているのにゃ…。」


 


いつも読んでいただきありがとうございます

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