18 攻守こうたい
本土=惑星キャトラス
いちゃいちゃ回?
「次の方、診察室にお入り下さい。」
看護師に呼ばれ、診察室に入る。
室内には診察医の雌が端末に何かを入力していた。
「…………よし。
待たせたね。
君はパイロット健診は初めてだったね。
まずは問診からだ。」
…………………………。
…………………。
…………。
あの後バイタルデータの測定や身体の簡易スキャン
等を行い健診は終了した。
特に異常は見られなかったらしく、一先ず安心である。(そもそも異常が見つかることは少ない)
「年一の健康診断で十分だと思うにゃ。」
半年に一回の頻度で本土に降りるのは面倒だ。
「そんなこと言わないでにゃ。
本来なら月一でもいいのにゃ。」
ミーコが呆れたように言う。
確かに、戦闘機のパイロットは月一で健診する部隊もある。
しかし、ポッドの実戦投入によりパイロットが急増した為、ポッドのパイロットは半年に一回の簡易健診と年一回の健康診断時に精密検査を行うことに落ち着いた。
(ピコちゃんと半年に一回、本土デートにゃ♡)
健診を受けないミーコがこの場にいるのはそういうことである。
(パイロットが全員降りている為、隊自体が休暇状態
ということも一因である。)
「それじゃ、街を適当にぶらつくにゃ。」
「エスコートは任せるにゃ♡」
差し出されたミーコの手をとり歩き出す。
「仰せの通りに、お嬢様。」
物語の雄役のような台詞をはく。
「…にゃふっ、ふふ♪」
お気に召したようだ。
それから夕方まで景色のいい展望台に登ったり、おしゃれなお店を冷やかしたり、屋台でクレープを買ってお互いのものの味見をしてみたりと過ごした。
…………………………。
…………………。
…………。
…。
夕食は魚料理が自慢の東方料理店で、ピコは刺身の盛り合わせ、ミーコは焼き白身魚の定食に舌鼓を打った。
外はすっかり暗くなり、後は軍の宿舎に戻るだけ。
ではあるが、明日も予備日として自由に過ごせる。
(2日後の正午に再び宇宙へと上がる。)
「ミーコは今日、わたしに任せるって言ってたにゃ?」
確認をする。
「?
そうにゃ。
…まだどこか行くにゃ?」
コクリ…
頷き、目的地へとミーコの手を引き歩く。
………。
……。
…。
少し歩き、たどり着いた先には高級感漂う落ち着いた雰囲気のホテル。
「…このホテルから見る夜景が綺麗だって…。
それにミーコがよかったら、その、にゃ…?」
付き合い始めてからちょくちょくそういった事はしていたりはするが、こうした機会に自室とは違った雰囲気で楽しみたい。
そう思い、空いた時間に私物の携帯端末で調べていたのだ。
「もちろんにゃ♪
夜景も楽しみにゃ♪」
その場でスキップしそうな程、機嫌良く即答するミーコ。
それほど喜んで貰えるとパートナー冥利に尽きる。
それからホテルにチェックイン。
(少し高かったが最上階の部屋が空いていた。)
夜景もそこそこに、どちらともなく、疲れて眠ってしまうまで求めあった。
…………………………………。
………………………。
……………。
…。
翌朝、普段より少し遅い時間にチェックアウト。
軍の発射基地近くの宿舎に向かう。
「昨日は凄く良かったにゃ♪
またエスコートしてにゃ♪」
ミーコがニコニコ顔で言う。
この付近になると軍人も多い。
今擦れ違った若い雄の二人組の片割れが、そんなミーコに視線を向けていた。
「喜んで貰えて何よりにゃ。
…それより少し目立って無いかにゃ?」
先ほどの二人組といい、その辺を行く軍人から視線を感じ、居心地が悪い。
居心地の悪さに身体を縮める。
「にゃ?
昨日はあんなに積極的だったにゃ?」
それはそうだけど!
「冗談にゃ♪
今の私たちは私服だからにゃ。」
そうか!
軍人の多いこの付近に一般の雌(特にミーコのような美人)が歩いていたら、そりゃ目立つだろう。
自意識過剰だったか。
(とか、自分のことは無自覚に考えている顔にゃ…。)
と、ミーコは急に普段の態度に戻るピコを見て思った。
~ケートス隊 スノウ視点~
「スノウは健診の後どうするよ?」
先輩が問うて来る。
「どうする?」とは店に行くかどうか、ということだろう。
健診で本土に降りる度に聞かれるようになってしまった…。
「任務の隙間を作って来たんです。
遊べる時間はありませんよ…。」
先輩の遊び好きには手を焼かされる。
「余裕が無い奴は生き残れ無いって、
おっ!
あの娘たち可愛くね?」
言い訳の途中擦れ違った二人組の娘たちに視線を向ける先輩。
言葉の説得力が皆無になっている…。
「先輩、ずっと見ていたら失礼ですよ…。」
そう言いつつ、つい視線をそちらに向けてしまう。
!
「あっちに向かってるってことは…。
あの娘たちも軍の関係者か?
お近づきになりてぇ~。
なっ、スノウ。」
「…………………。」
「スノウ?
おいって!」
(はっ!)
先輩に揺すられ思考が戻る。
「…すみません先輩。
驚いてしまって…。」
とりあえず先輩に謝っておく。
「別に気にしてねぇけど。
それより、知り合いか?」
視線で、もう小さくなった二人組を指す先輩。
「はい…。
士官学校の同期でした。」
でも彼女たちはここに来る用事などあるのだろうか?
「そりゃあ、店で一番人気の嬢にも靡かない訳だ。
…で、どっちがスノウの好人何だ?」
店の嬢は仕事で相手しているのが分かっているため、そういった対象にはならない。
ニヤニヤする先輩に答える。
「…さぁ、どちらでしょうね…。」
言葉の裏を読む癖のある先輩のことだ。
「…。
まさかっ!
どっちも!
どっちもなのか!?」
予想通り、深読みをして勝手に混乱している。
うまく誤魔化せたようだ。
いつも読んでいただきありがとうございます




