アニマル?ランブル!?
ハロウィンなのでもう一話
『ネレイド9より各機。
ここは既に「電撃」の縄張り内だ。
警戒を厳にしろ。』
「了解。」
「電撃」、ここ最近頻繁に被害の報告が上がる敵の新型機部隊の通称だ。
その機体の速度と、破壊をある程度もたらしたら即時に撤退する戦術からその名がついた。
当初はあちこちで被害が発生し、後手に回っていたが、戦術分析班が被害発生箇所から連中の拠点と行動範囲を割り出した。
(拠点は第三宙域と第四宙域の間、敵防衛の要所だ。)
敵無線の傍受から、「電撃」はケートス隊を標的としており、また、敵新型戦闘機に対応可能な部隊ということもあり、ケートス隊が三分隊に分かれ、敵行動範囲無いを探っている。
『ピピッ!』
来たっ!
思ったより速い!
「電撃」だっ!
『ブレイク!
奴らの弱点はその速度だ!』
グンッ
編隊を崩し敵のロックから外れる。
分隊長の言う通り、「電撃」の弱点は強みでもある速度にある。
撃墜報告からあの機体の速度はパイロットに強い負担をかけ、機動力が落ちる原因となっているらしいことが分かっている。
(まずは回避に専念だ。)
そうすれば、機体からの負担によりパイロットが先に音を上げる。
そうでなくても反撃のチャンスが出来る筈だ。
ゴッ…ゴゴゴッ…
敵機と擦れ違う。
ほとんど目で追えなかった!?
『敵は4機。
一個小隊。
数は同じだ。
ここで墜とすぞ!』
『『「了解!」』』
レーダーを確認すると敵編隊は散開。
再び襲いかかって来る軌道を取っている。
『奇襲失敗だな!
一丁、殴り合おうぜ!』
先輩では無いが、第三分隊の全機が迎撃態勢を取る。
高速戦闘機4機同士の闘いが始まる!
……………。
………。
…。
「Fox1」
初手は先輩のミサイル。
グルンッ
敵機は機体を横に90°回転させ回避。
(ミサイルの軌道がぶれたように見えた。
妨害鉄片も散布したようだ。)
『ネレイド10、後ろに付かれた。
このまま引き離す。』
副長が敵に食い付かれた!
一対一で戦う為、主戦場から離れる。
副長なら心配は無い。
『ピーッ!』
警告音!
グルンッ シュババッ!
回避機動を行いつつ、欺瞞熱源を後方に射出。
『くそっ!
外したっ!』
グリンッ ゴォッ
回避機動からそのまま右に旋回。
機首が反対に向かったところで加速。
反撃だ。
ヴォッ!
ガガガガッ
弾丸の雨が敵機へと吸い込まれて行く。
…ボンッ
撃墜した!
『スノウ!
敵がそっち行ったぞ!』
っ!?
グイッ
咄嗟に機首を引き上げ上昇。
機体は縦に弧を描いて上下が逆になる。
バララララッ…
…ゴォッ…
弾が連なった赤熱した線と、一拍後敵機が先ほどまでスノウ機のいた位置を通過する。
グルンッ…
『ピーッ!』
機体が一回転し元の位置に戻る。
敵機は前方。
ミサイルの射程。
「Fox2!」
シュバッ!
シュウゥゥ…
発射されたミサイルは回避を試みる敵機に正確に迫る。
…………ボッ
遠くで爆発。
命中した。
『悪い!
まさかそっちに行くとは…』
『被弾した!
援護求む!』
「謝罪は後!
隊長の援護に…」
『ピーッ!』
ボッ!
『うわっ!?』
「先輩っ!?」
先輩が被弾、損傷を受けた!?
『次で仕留める!
化け鯨っ!!』
憎悪に満ちた声が副長が墜ちたことを覚らせる。
~メドゥーサ隊 テラー4 ボルト視点~
「最近キャトラス軍がこの基地の周辺宙域を嗅ぎ
回っている。
そこで、メドゥーサ隊には敵部隊の排除をして
貰う。」
基地司令長官直々に命令が下される。
戦略的目的も無い数々の出撃とは違った、初めての意味のある任務だ。
最も、今までの任務で敵軍に与えた衝撃は大きく、司令長官直々に「メドゥーサ隊」と命名された。
(遭遇した敵が恐怖で固まることからつけられた。)
また、メドゥーサ隊の乗機も「ハルパー」と命名され、改良型の開発が本部で行われ始めた。
(12機は試作扱いで、もう4機しか現存しない。)
…………………………。
…………………。
…………。
…。
『見つけた。
敵機は4。
いつものやり方で行く。』
『『「了解。」』』
ドンッ!ゴオォッ!
アフターバーナーに点火。
全速で突撃、奇襲がいつものやり方だ。
これまでの敵部隊はこの奇襲で何機か欠け、混乱したところを一方的に攻撃出来た。
だが今回の敵は違った。
敵小隊は素早く散開し、ミサイルのロックから外れる。
そのまま互いに撃てずに交差。
奇襲は失敗。
こちらも散開しドッグファイトに移行する。
ここで敵機種を認識する。
!
見つけた。
隊長の仇、ケートス隊!
『一番前は俺がやる。
後は適当に相手してやれ。』
隊長は敵指揮官に目をつけたらしい。
指示というより標的の宣言だ。
『ピーッ!』
敵のミサイルが来る!
正面からならばレーダー誘導。
妨害鉄片を散布して誘導を狂わせ、回避に成功。
そのまま少し離れ、孤立した機体に食いつく。
1機ずつ、確実に墜としてやる!
……………。
………。
…。
標的にした機体は一対一でやるつもりか、さらに戦場から離れる。
腕に自信があるのか。
ベテランなのだろう。
…………。
…。
戦闘は終始こちらが後ろに付く展開だった。
カクンッ…
動きに変化。
敵機はその機動性をフル活用して急旋回。
後ろに回り込んで来る。
させるか!
グイッ…
こちらも目一杯操縦幹を左に倒し旋回する。
だが、足りない。
ならば!
ブシューッ!
着艦用噴射ブレーキをオンにする。
機体に急制動がかかり、旋回半径が縮まる。
身体には潰されるような圧がかかり、視界が暗くなる。
ブラックアウト寸前、視界に敵機の後ろ姿を大きく捉える。
(捕まえたっ!)
トリガーを引いた瞬間、驚愕に目を見開く敵パイロットと目があった気がした。
ヴォッ!
一瞬視界が完全に暗くなる。
パッ
視界が戻った時には敵機は後方。
ボッ…
撃墜を確認。
遂にケートス隊を墜とした!
…………。
だがまだ戦闘は続く。
レーダーには友軍機は一機しか表示されず、敵機と交戦中。
残る敵2機は合流したようで近い場所にいる。
ゴオォッ
増援に行かれる前に襲いかかる。
ヴォッ!
…ボッ
だが先ほどブラックアウトした影響で手元が狂ったか。
敵機に損傷を与えたものの、撃墜には至らなかった。
ズキンッ!
「っ!」
胸に激痛が走る。
(…まだやれる。)
そう自身に言い聞かせ、操縦幹を握り込んだ。
機体の性能差が戦力の決定的差では無い
by仮面の小佐
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