4 能力(ちから)
短めにつきお代わり
~第四宙域方面軍前線本部基地 訓練宙域~
『フローレンス曹長、ポーター二等兵。
準備はよろしいですか?』
バリキリー軍曹が模擬戦前の最終確認を行う。
「行けるにゃ!」
『はいっ!』
両者問題なしと回答。
模擬戦が始まる。
『それでは模擬戦開始!』
キュイィッ…
スラスターが唸る。
ゴォッ
機体が前進を始める。
スラスターの開放状態は巡航。
焦る必要は無く、突撃のつもりも無い。
「トーマスはどこにゃ…。」
レーダーに機影は無い。
デブリの陰に注意しつつ、開始初期地点へと回り込む。
『ピッ』
『ピー』
グンッ
咄嗟に機体を下降させる。
シュゥ…
機体直上をミサイルが過ぎた。
読まれていた。
レーダーに入ると同時に撃たれた。
ロックはされていない。
カチャカチャッ
レバーを操作し、機体を旋回。
トトトトッ
ミサイルが発射された方向から少しずれた場所にペイント弾を放つ。
居たっ!
ドンッ
スロットル全開。
急加速に身体がシートに押し付けられる。
『ピピッ…ピッ…』
中々捕らえさせて貰えない。
ポーター二等兵、さすがだ。
「…………!
追い付くにゃ!」
ボシュッ
無誘導でミサイルを発射。
トーマス機は反対側に回避。
『ピー』
!?
ミサイル発射直前、トーマス機がデブリの陰に入る。
無駄撃ちはしない。
グアッ
!!
トーマス機が目の前に出現する。
正面、必殺の距離だ!
ボボシュットトトトトトッ
ボッ トトトトッ クンッ
互いにミサイルとペイント弾を同時に撃ち合う。
『曹長の有効弾を確認。
二等兵の有効弾、確認せず。
フローレンス曹長の勝利です。』
わたしの勝ちだ。
~第四宙域方面軍前線本部基地~
「……………………。
…まさか、これ程とはっ…!?」
先ほどの模擬戦を分析して、バリキリー軍曹が驚愕している。
「あの一瞬で。
しかもミサイル一発で…。
相殺と、回避の補助を行い、バルカンで正確に
装甲の脆くなる部分を狙うとは。」
分析の結果、あり得ないデータが示される。
トーマス機は機体両側面のミサイルを一発ずつ発射し、バルカンも撃っていた。
対するピコ機は片面のみ発射。
対面のミサイル一発と相殺。
さらに、ミサイル発射の僅かな反動を機体操作と合わせ、もう一発のミサイルを回避。
機体が旋回するなか、ハッチの隙間にバルカンを撃ち込んでいた。
「シミュレーターの成績が振るわない理由がやっと
分かりました…。」
バリキリー軍曹が言うには、今回の模擬戦でピコ機が取った行動はシミュレーターでは演算仕切れない「戦場のイレギュラー」が多数含まれており、ピコはそれを前提とした操作をしていた。
要約するとコンピューターが追い付けなかったと。
「「「………………………………。」」」
一同絶句である。
「ま、まあ…。
問題が解決したようで何よりにゃ…?」
実機データは基準を十分以上に満たしていることを示している。
シミュレーターと実機データでは、当然実機データが優先される。
「とりあえずは…。
そうなります。」
出撃許可の降りない現場指揮官、回避である。
「しかし、こうなると繰り返し模擬戦を行い、十分
な検証が必要です。」
つまり、まぐれで無いことを証明しなければならないということらしい。
「問題無いにゃ。
別仕様機の性能試験も同時に進行出来るにゃ。」
「では、今後の予定に付け加えておきます。」
「よろしく頼むにゃ。」
~その夜 自室にて~
「ねぇ、ピコちゃん。
聞いていいにゃ。」
いつになく真剣な顔のミーコ。
「ピコちゃんって、「転生者」なのにゃ?」
「かもしれないとは聞かされているにゃ。」
自覚は無い。
「そっか…。
欠片持ちなんだにゃ。」
転生者には2パターンあり、自覚ありで「前世持ち」、自覚なしで「欠片持ち」と呼ばれている。
転生を自称する者が前者だ。
「そうかもしれないって強く思ったのは目覚めた時
にゃ。」
それ以来自分の中に何かがあって、ポッドに乗ると強く反応するような気がしていた。
「…。
「欠片持ち」の特別な力って、命の危機に発現し
やすいっていうにゃ…。」
あの時のことか。
「ごめんにゃ…。」
申し訳無くなる。
「そういうつもりじゃないのにゃ。
…おかげで今一緒に居れるのにゃ♪」
頑張ったかいはある。
「でも二度と置いて行かないでにゃ…。」
ミーコを抱き寄せる。
「「………………………。」」
敢えて言う事は無い。
ただ、この腕の中の優しい温もりを失わない、喪わせる事の無いよう心に誓う。
「「………………………。」」
それから、どちらともなく寝落ちするまで、ずっと抱きあっていた。
ピコの能力をステータス風に表現すると
ユニークスキル 機械操縦S
って感じですかね?
いつも読んでいただきありがとうございます




