1 紹介します!
二等兵さんっ!?
「それじゃ、第一回目の開発企画会議を始めるにゃ!」
パチパチパチパチ…
開会の音頭をとり、席につくメンバーをみる。
メンバーは自身を含め、雄雌10名。
その中には見知った顔もいる。
………。
まずは、ミーコ・マスハッタ-軍曹。
我が隊のヘルスマネジメント担当。
(部隊付きの衛生官だ。)
次に、ミケコ・ロドウェル伍長。
(隊の副長。再会は熱烈ハグ。)
整備長は、ニコ・エレキ伍長。
(有難い。また世話になる。)
もう一人の整備兵、トム・グリス一等兵。
(一番意外な再会かもしれない。)
4人の元第十四臨補のメンバーに加え、本部から
試験操縦士3名、解析整備士1名、通信・連絡官
1名。
以上が、我が
第四宙域方面軍 兵器試作・運用試験特殊任務隊
通称「試用特務隊」(普通にダサい)の部下達で
ある。
「主任、会議と言っても何をするんです?」
ちなみに、ピコの肩書きは
試用特務隊長兼、戦闘ポッド現場開発主任
である。
即席で作業ポッドを武装させ、戦果を出したことから任命された。
「まずは自己紹介と、現行ポッドの改装草案を作る
にゃ。」
そう。
実はこのメンバー、同じ隊として顔を合わせてはいたが、自己紹介等はまだしていない。
(ちょうど半々で元の所属が同じということも原因だ)
「じゃあ俺から。
名前はガイウス・バング。
元の所属は試作兵器評価試験課。
そこで試作の銃を撃っていた。
階級は上等兵。」
兵器評価試験とは、兵器を実際に稼働させ、データの収集や問題点の洗い出し等を行うことだ。
試作の銃、…この場合は機載銃だろう。
「次は私ですね。
ハンナ・バリキリーと申します。
元の所属は彼と同じく。
主に開発本部とのやり取りを担当させていただき
ます。
軍曹になります。」
隊で得たデータの提出、資材等の要求。
臨補組では不慣れな部分のカバーをしてくれる。
「俺か。
イワン・スミス…。
…武器の整備は任せろ。
伍長だ。」
親父っさんと同じ階級だが、専念したいと辞退したらしい。
スペシャリスト感が半端じゃ無い。
「僕は、トーマス・ポーターと言います。
ポッドのオペレーターをしてました。
二等兵です。
よろしくおねがいします。」
同担の後輩?である。
ここに配属されるということは、期待していいのだろう。
「評験組最後はオレッす!
ディック・ランナー!
機動試験してたっす!
トーマスと同じ下端っす!
よろしくっす!」
お、おう。そうか…。
…中々に濃いメンバーでは?
そして、臨補組の自己紹介と続く。
……………………。
………………。
…………。
……。
「…コホンッ!
自己紹介は終わりにゃ。
早速、今回の議題だにゃ。」
親父っさんと坊主が親子だと勘違いされたり、ミーコの「ピコちゃんの専属衛生官ですにゃ♪」との冗談に視線が集中したり、動揺して舌を噛みまくったりと、こちらのメンバーも中々濃い印象になった。
咳払いで落ち着かない空気を断ち切り、本題に入る。
「草案と言っても何から入るか…。」
と、バリキリー軍曹。
「ああ、これに曹長が実際に出撃した時の仕様を纏
めた」
親父っさんが機体データを会議机の上に投影する。
「これっすか!?」
「わぁ…。」
「よく戦えたな…。」
「………。」
バリキリー軍曹以外の評験組が似たような反応をする。
「…。
では、これを参考にまず、問題点を出しましょう
か?」
バリキリー軍曹も少し絶句した後、ピコに提案する。
「そうするにゃ。
みんな、どんどん意見を頼むにゃ。」
バング上等兵の手が挙がる。
「まず、外装の変更だ。
ドギヘルスの弾には5ミリ以下は無い。」
5ミリですら危なかったのだ。
当たり前である。
「武器が合っていない…。」
とは、スミス伍長の言。
「でも、装甲板の盾は別としても、機体バランス
は悪く無いですよ?」
トーマス二等兵が質問する。
「…実際撃てはする。
だが、消費電力が多すぎる…。」
パルスガンはエネルギー弾を撃ち、バルカンの稼働にも電力を消費する。
と、スミス伍長は説明した。
なるほど、だからあの時バッテリーが切れてしまったのか…。
「速さも足りないっす!」
「それにこの複雑な操作。
僕にはこの半分もこなせません…。」
「………………………………。」
「………………………。」
「………………。」
「これで無茶してたって。
普通は死んじゃってるって。
理解したにゃ?」
次々と出される、通常一つでも有れば致命的な問題点に、ミーコがジト目を向けてくる。
今夜はお仕置きが決定である。
………………………………。
……………………。
……………。
「では、これで現行機の改装草案を纏めてよろしい
ですか?」
「良いにゃ。
報告頼んだにゃ。」
会議の結果、纏まった改装草案は以下の通りだ。
・ポッド外装の軍用合金装甲への換装
・バッテリーの増設
(本体に追加or武器自体に設置)
・ブースターの増設
・操作系の換装
(パネル、スイッチ、レバーの三種同時操作から
トリガーレバーへの換装)
・射撃補助の為火器管制装置の導入
これが、これから開発していく戦闘用ポッドの雛型となる。
名前を考えるの大変悩みました。
いつも読んでいただきありがとうございます