2 [ 命中率 12% ]
今回の標的は追加装備無しの「ミサイルボート」が3機。
つまり、5ミリしか武器を持たない。
軍用合金装甲に換装し、武装も最適化されたこのポッドであれば、何も問題は無い。
敵は三角編隊を組み、ピコの機体の前を飛ぶ。
敵はまだ気が付いていない。
グイッ
この数日で慣れたトリガーレバーを前に押し込む。
全開だ。
機体は戦闘機の巡航速度並みに加速する。
ミサイルのロックオン距離まであと、
『ピー』
ロック完了。
「Fox1にゃ。」
命中。
撃墜した。
残った敵がようやく気付き、編隊を崩す。
ミサイルはあと2発。
行ける筈だ。
クン…
レバーを左に傾け、比較的近い敵を狙う。
フライトゴーグルに映る赤色の四角の中に敵が入り込む。
『ピー』
「Fox1!」
ロックオンアラームが鳴り、すぐにトリガーを引く。
ヒラリ
敵は華麗な機動でミサイルを回避する。
だが、まだ逃げられてはいない!
ゴーグルに赤丸が映される。
バルカンの距離だ!
カチッ
バルカンのトリガーを引くも、当たらず。
敵は視界外に出ていく。
『ピピッ』
後方に敵接近。
機体を旋回させる。
しかし、機体が後方に向いた時には敵は遥か後方。
ダメージが無いとはいえ、被弾までしている。
『ピピッ』
また警戒音。
敵がもう一度近づいてくる。
二度目は無い。
確実に撃墜する為、敢えて機体をそのままに被弾。
前に抜ける敵に
「Fox1にゃ!」
ミサイルが敵に吸い込まれる。
撃墜。
「あと一つ!」
………………………………………。
………………………。
…………。
長い戦いだった。
あの後、約10分間戦闘を繰り広げ、戦いに勝利した。
キュウゥ…
「フローレンス曹長、お疲れ様でした。」
シミュレーション装置が停止し、バリキリー軍曹が声をかけてくる。
「どうだったにゃ?」
結果を聞く。
「だめですね。
出撃基準練度に達していません。」
「やっぱりにゃ…。」
出撃基準練度とは、実戦に出撃が可能な練度であり、この練度を満たさなければ出撃許可が降りない。
パイロットとして訓練していない試用特務のメンバーは、このシミュレーターのクリアが急務だ。
機体の改装が完了するまでの数日間取り組んで来て、クリアしていないのはピコだけになる
ちなみに、ポーター二等兵は真っ先にクリアした。
「でもおかしいですね。
ピコ曹長の実戦データを見て、ポーター二等兵は
「自分は半分も出来ない」と発言していました。」
それはそうである。
「という事は、ピコ曹長の適正が無いわけでは無
いと…。」
考え込むバリキリー軍曹。
「操作系を作業ポッド仕様にして試しましょう。」
なるほど!
そういうのも有りか。
「親父っさん!
ちょっといいかにゃ?」
………………………。
………………。
………。
しばらく時間がかかったが、火器管制装置を外し、操作系を作業ポッド仕様にして貰えた。
早速シミュレーターに乗り込み、起動する。
これこれ。
レバーが手に馴染む。
~30分後~
[ 命中率 12% ]
「………。」
「………。
更に悪くなって居ますね。」
シミュレーターは無情な結果を吐き出した。
~その夜~
「………てことがあってにゃ…。」
自分に割り当てられた士官用個室でミーコに今日の出来事を話す。
「にゃふふっ。
面白いにゃ♪」
バスローブに身を包むミーコがベッドに座る。
笑い事では無い。
「隊長としてどうかって話にゃ。」
「後ろから指示を出す上官の批判にゃ?」
おどけたように返すミーコ。
確かに、上級クラスの士官は、後方から部隊の指揮をすることがほとんどではある。
「でもそれだと開発本部でいいにゃ?」
それとこれは話が異なる。
「………。
実際に戦ってみればいいにゃ。」
ミーコは少し考え、突拍子の無い提案をする。
「だから、出撃許可が出ないのにゃ!」
堂々巡りである。
「分かってるにゃ。
私が言っているのは模擬戦の事にゃ。」
「模擬戦にゃ?」
確かに、シミュレーターをクリアしたら実機訓練ではある。
しかし、やった所で結果は分かりきっているのでは?
そういったニュアンスを含め、聞き返す。
「シミュレーターは、あくまでも再現にゃ。
ピコちゃんは実際に敵を撃墜しているわけだし、
戦えないってワケじゃ無いにゃ。」
バリキリー軍曹と似たようなことを言う。
シミュレーターの操作系を変えたりしてみたが、ミーコの言うように、実機であればあるいは…。
「分かったにゃ!
明日バリキリー軍曹に提案してみるにゃ。」
決めた所で、もう遅い時間だ。
「さて…。
もう寝r…!!」
ミーコに引っ張られて、ベッドに倒れ込む。
「なにs…
って、本当に何してるにゃ!」
抗議しようとミーコの方を向くと、ミーコはローブを脱ぎ、覆い被さってくる。
「何って…。
ピコちゃんが少しネガティブになっていたから…。
やる気を出して貰おうかと思ってにゃ♪」
確かに少し落ち込んではいたが…。
やる気が別の意味になってしまう!
「ちょっ…!
ミーコ待つにゃ!
明日も早いしにゃ…!」
「待たないにゃ♪」
言い切るか否かにミーコが動く。
「にゃ!
そこはっ…!」
にゃ~~~~~っ!!
………………………………………………。
………………………………。
………………。
…。
~???~
猫って生き物知ってるか?
奴ら「肉食」なんだってよ…。




