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異世界ライフが思っていたのとちょっと違う  作者: とんけ
第三章:広がる!?僕の異世界ライフ
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4. いざ、ダンジョン攻略へ!

 馬車に揺られること二日。岩と木しか見えない景色はようやく終わりをつげ、遂に人の手で作られたようなものが目に入ってきた。


「あれが......迷宮都市アムテットか」


 周囲を岩山が囲い、自然に作られた要塞都市のような外観をしている。モルカドのように壁に覆われているわけではないが、その守りはモルカド以上に強固に感じられた。街と外を区切る場所には屈強そうな男たちが複数見張りについており、魔物は簡単には入れないだろう。外は土砂降りの雨であるにも関わらず、街を守る男達は微動だにせずに外を監視しているようだ。よくみると、入口の部分の岩肌にはいくつもの穴が開いており、おそらく中にも数名兵士が待機しているのだろう。


「すげーな。なんかモルカドよりも随分立派に感じるな」


 シスコも僕の横で馬車の窓ガラスに鼻っ柱を押しつけながら街の様子を食い入るように眺めていた。


 馬車は門番の近くでしばらく止まり、そして、ゆっくりと道を進み、入口からしばらくしたところで停車した。そして、馬車の扉が開く。


「えー、迷宮都市アムテットに到着しました。この度はご乗車いただきありがとうございました」


 びしょびしょに濡れた運転手が僕達を手招きする。


「ありがとうございました」


 僕はお礼を言って馬車から下りた。


 異世界に来てから約一カ月。

 遂にモルカド以外の街にやってきた。


 異世界に来た時はいろんな街に冒険すると思ってたけど、いざ来てみたら案外一つの街にいついちゃうんものなんだよね。って、そんなことはどうでもいいか。


 改めて街並みをみると、とても美しい。

 山の中にたたずむその光景に、僕の気分はどんどんと高揚していく。


「おお~、すげ~」


 僕に続いて馬車を降りたシスコも感動の声をあげている。


 ここから始まるんだ!

 僕の異世界生活は。


 今まではきっとチュートリアルだな、うん。


「ダンジョン行ってみよう!とりあえずダンジョンを見てみよう!」

「おう、そうだな!」


 僕達は雨避けに被ったフードを翻しながら、迷宮目指して小走りで駆けだした。




「ここがダンジョンか......」

「すげーな」


 僕とシスコは、その驚くべき光景に唖然としながら立ちつくしていた。


 僕達の目の前にはぽっかりとした穴が開いていた。穴の大きさは直径十メートルはあるだろうか。まるで地面が何かを食べようと口を開けているように見える。穴の周りには人が間違って落ちないように木の柵が作られていた。一か所だけ柵がない場所があり、そこにはどうやら梯子が掛けられているようである。


 しかし、僕達が驚愕したのは、そんなダンジョンの外観にではなかった。

 

 僕達が真に驚いたのは、ダンジョンに向かう人々の熱量にであった。ごつい男達がつるはしを片手に目に血走せて入って行くのである。男たちは、「おらーいくぞ!」「早くおりろよ、くずやろう!」「稼ぐぜ―!」等々、掛け声をあげながら梯子を下りて行ってくのであった。



 なんだか思っていたのと違う......


 ダンジョンに挑戦してるのみんなごつい男ばっかりじゃん。今回は相棒も男なのに、ダンジョンも男ばっかりとか全然テンションあがらない。ていうか、ダンジョンに入って行った男達も冒険者っていうより、炭鉱のおやっさんって感じだし。

 

 ダンジョンでやられそうになってる所に颯爽と現れて助けてくれる女騎士とかを期待してたんですけど。これじゃあ、助けてもらってもロマンスは始まらない。

 

 隣を見ると、シスコもここに来るまではキラキラと輝いていた目が暗く沈んでいるように見える。

 

「どうする?とりあえず宿捜す?それとももう一つのダンジョンに行ってみる?」

「もう一つの方に行ってみよう」


 あまり、期待はできなかったが、僕達は街の中にあるというもう一つのダンジョンの方へ行ってみることにした。


「......」

「嘘だろう」


 もう一つのダンジョンは街を囲う壁にぽっかりと空いた洞窟のような場所だったのだが、案の定、そこにも気合いの入ったつるはし片手のおっさんしか見当たらなかった。


「とりあえず宿捜そうか」

「お、おう」


 こうして、僕達は街の中にある宿へと移動することにしたのであった。


 来た当初と違い、歩く足並みはとぼとぼとしたものに変わっている。僕もシスコも地面を見つめながら、ゆっくりと歩く。


 僕はこのまま黙って歩くのもあれだなと思い、シスコに話しかけることにした。


「ねぇ、ダンジョンってこんなイメージだった?」

「全然違げーよ。親父から聞いてた話だと、ダンジョンってのはもっと、こう、なんだろうな。うまく言えね―けど、あれだよ」

「うん、言いたいことはなんとなくわかるよ」

「だろ?それなのに、なんか目を血走らせたおっさんばっかで萎えたな~」

「だよね。はぁ......」


 話しかけたことでより一層気分を滅入らせながら僕達はどしゃぶりの中をとぼとぼと歩くのだった。



 泊ることにした宿のおやじさんに不満をぶけてみると、この時期はお金に困った冒険者がたくさん集まってくるようで、ダンジョン攻略を目指す冒険者なんかはこの時期はあまり近寄らないんだそうだ。もしも攻略をしたいんだったら、違う季節にくることを進められた。



 僕達は宿屋のおやじさんの言葉を受けて、今回の目的をもう一度思い返すのだった。僕達はダンジョンに冒険をしに来たのではない。お金を稼ぎにきたのだ、と。


 目的を再確認した僕達は、他の冒険者達同様つるはしを握り、ダンジョンに挑むことにしたのだった。


 そして、ダンジョンに挑むこと十日間、僕達は結構な額を稼ぐことに成功するのだった。


「くは~、疲れたぜ~」

「本当にね。もう体がぼろぼろだよ」

「でも、これで俺達は大金持ちだぜ」


 僕達の目の前には大量の銀貨が転がっていた。多分二人合わせて銀貨百枚は稼いだと思う。十日間で一人当たり約金貨五枚の稼ぎというのは結構美味しい。一瞬グリズリーの件を思いだしそうになったけど、すぐに頭の中から追いやった。

 

 これならメルにも立派なお土産を買ってあげることができそうだ。

 僕はそんな大量の銀貨を眺め、にんまりと笑った。


「だけど、だけどよー」


 シスコが何か言いたそうな顔をしている。


 駄目だ。そこから先は言うんじゃない。

 目の前の結果で満足するべきなんだ。



「こんなの全然ダンジョン攻略じゃねーよ!!!!」



 必死につるはしを握り、ダンジョンに潜ってきた。極力考えないように考えないように頑張ってきた。そんな緊張の糸がぷっつりと切れ、僕はしくしくと涙を流したのであった。

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