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異世界ライフが思っていたのとちょっと違う  作者: とんけ
第二章:奴隷と送る!?異世界ライフ
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21. 女神様との会合:前編

 暗く深い海にどんどんと沈んでいく。


 魔剣に刺されて殺されたというのに、なぜだかとても心地がよい。海の中をただひたすら漂っている感覚だ。息苦しくもなく、流されるがまま流れて行く感じ。案外死ぬのも悪くないのかもしれない。



「.........さい」



 ん?誰かの声が聞こえる。



「......てください」



 とても綺麗で澄んだ女の人の声だ。


 僕に呼び掛けているのだろうか?生きてる頃なら気になっただろうが、今は何も考えずに海の中をさまよっていたい。



「起きてください」



 起きてください?もう死んでるのに起きれるわけないでしょうが。



「起きろって言ってるだろうが!」


「――――!?」


 綺麗な女の声が突然怒声に変わり、体に衝撃が走る。

 そして、突然、暗かった世界が真っ白に光り輝いた。


「うわ!?眩しい!?」


 突然の光に目を開けても何も見ることができない。


 ん?眩しい?死んでいるのに目を開ける?どういうことだ?


 突然の出来事に困惑しながらも、次第に辺りの様子が見え始めてくる。


 真っ白い何もない空間。三百六十度どこまでも白い空間が続いている。よく見ると、上も下も同じように真っ白い空間が続いている。足を地面につけている感覚があるが、かといって地面のようなものがあるようには見えない。


 しかし、そんな中に一つ異質なものが存在していた。


 銀髪の美女が僕の目の前に存在していたのである。その美しさは言葉では表現しようがない。マリ―やテレサも地球ではほとんどみかけないほどの美少女ではあるが、それすらも軽く凌駕している。白いひらひらの洋服を着ており、神々しさも感じるほどだ。


「まぁ、女神ですからね。神々しいですよ。そりゃあ」


 そんな絶世の美女がしゃべった。やはり先ほどの声はこの美女から発せられたものだったのだろう。


 ん?ということは、最後の怒声もこの美女の声なのか?


「そうですよ。あまりにも目を覚まさないからいらっとしてしまいまして」


 女神様でも怒るんですね


「そりゃあ。ロボットじゃありませんからね。というか、神の方が感情豊かだったりするんですよ?」


 そうなんですか。

 っていうか。


「心の声まる聞こえなんですね」

「ええ、まぁ、女神ですからね」


 まぁ、最近はそういうパターンがデフォだからなんだかすんなり受け入れられちゃうけど。


「ものわかりがよくてよかったです」


 女神様がにっこりと笑った。


 めちゃくちゃ可愛い。


「あ、そんなことよりもですね!僕の今の状態って一体どうなってるんですか?死んだんですか?それとも死んでないんですか?みんなは無事に魔剣使いを倒せたんですか?というかそもそも、こういう女神様との会合って本当は異世界に転移する前にやるもんなんじゃないんですか?それなのにこんなシリアスな場面にねじ込んでくるんですか?遅くないですか?職務怠慢ですか?チートもないし変だなぁと思ってたんですよ。普通はあれですよね?アイテムボックスとか鑑定って標準装備なんじゃないんですか?って、なんか興奮してしゃべりすぎてしまいました。ごめんなさい」

「......」


 女神様は呆れたような表情でこちらを眺めている。


 また自分のペースでしゃべりまくってしまった。でも今回はしょうがないと思う。ばたばたしてる中で突然こんな事態に巻き込まれてるし、てんぱっちゃうのが普通だと思う。許してほしいです。


「別に怒りはしないですが。私が悪い部分もありますし」

「それなら良かったです」

「でも、まさかいきなりこんなまくしたてられるとは思いませんでしたけど」

「す、すみません」


 僕はぺこぺこと頭を下げた。


「じゃあとりあえず現状の説明から始めますね」

「お願いします」

「えー、タイチさんの今の現状といたしましては、予想通り死んでまして、魂だけの存在となっています」

「そうなんですか、よくわかりませんが」


 もしかしたら死んでいないのかもしれないとちょっぴり期待していたので、僕はしょんぼりとうなだれる。


「あ、でもそんなに落ち込まないでください。多分生き返れますから」

「え!?生き返れるんですか!?」

「ええ。あなたは本当に運がいいですよ。普通なら魔剣使いに殺された場合は魂を食らい尽くされて、魂の輪廻からも除外されて、私でも生き返らせることはできなくなってましたから」

「げっ。怖......」

「でも、タイチさんは幸運にもヘルファイアの残した刻印のおかげで魂を守られ、しかも偶然見ていた私に拾いあげられましたからね―――」


 ん?色々と引っかかるぞ~


「―――体を再生することができれば、私が魂を体に戻すことで生き返ることができるはずです。普通はこんなことはしないんですが、私にも巻き込んでしまった負い目があるので今回だけは助けてあげることにしました。偶然見ていたとかの説明は後でちゃんとしますからそんなに睨まないでください」


 どうやら態度にでてしまっていたらしい、僕は顔面をマッサージして表情を緩和させる。


「それなら、ヘルファイアの刻印で魂を守られたというのはどういうことですか?」

「それは、あの後の出来事を見せながら説明しましょうか」


 そう言うと、女神が何もない空間に向かって手をかざした。


 すると、何もなかった空間に映像が映し出される。


「これは!?」

「ええ、あなたが死んだ直後の映像です。ここから再生して見て行きましょう。」


 映像が動き始める。


―――僕は魔剣使いの男にぐさりと魔剣を突き立てられた。その様子をみて叫ぶマリ―達。すると、突然僕の体から魔剣使いの男に向かって光が襲った。


「はい、ストップ―――」


 映像が止まる。


「―――今、アナタの体から魔力が放出したのが見えましたか?」

「ええ、この光みたいなのですよね?」

「そうです。この光がヘルファイアの残した刻印の力です」

「どういうことですか?」


 人にヘルファイアのことを話したら死ぬ魔法だと聞いていたんだけど。


「まぁ、そういう効果もあると思います。でも、この刻印の一番の効果は、あなたが万が一魔剣に襲われた時に発動し、その魔剣使いに一太刀浴びせるというものだったのです。魔剣に対して激しい復讐心を持つヘルファイアならではの魔法ですね。それに、魔剣に魂を食らい尽くされないようにという慈悲の心の現れでもあります」

「なるほど」


 まさかそんな効果もあったなんて。やっぱり優しい人だったんだなぁ。


「では続きに移りましょうか」 


 映像が再生する。


―――僕の体からあふれだした光に困惑する魔剣使いの男。マリーとテレサはその一瞬の隙を見逃さなかった。マリ―が男に向かって駆け出す。そして、魔剣を持つ腕を切り裂いた。宙を舞う魔剣。テレサはそんな魔剣に向かってとてつもない魔力を放ち、魔剣を中心にもの凄い爆発が発生した。


 うわ、すごいな。ていうか、爆風で僕の体がすごいみっともなく吹き飛んでるんですけど


―――爆風がおさまる。完全に消滅したかに思われた魔剣は、しかし、何事もなかったかのように地面にささる。驚愕の表情を浮かべるマリ―、テレサ、ミーシャ。男が僕の体から発生したヘルファイアの魔法から解放されたのか、剣に向かって歩き出す。それを見たマリーとミーシャが間髪いれずに駆けだした。ミーシャは男の体を拾った僕の短剣で切り刻む。マリ―は地面に刺さった短剣に渾身の一撃を叩きこんだ。


 まるで映画を見ているようだ。


「すごいでしょう?この世界はタイチさんのいた場所よりも劇的でドラマチックなんですよ」


 なぜだか女神様が目をるんるんに輝かせている。


 僕はそんな女神様から目を離し映像に意識を戻す。


―――マリーの渾身の一撃で、魔剣にヒビが入る。ミーシャによって足止めされていた男が絶叫を上げる。男は体を引きずりながら魔剣に近づこうとするもミーシャがそれを阻止する。とどめの一撃とばかりに、テレサの杖から高速で射出されたボーリング玉ほどの岩が魔剣に直撃する。そして、その岩は魔剣を貫通していった。男は絶叫を上げながら塵となって消えて行った。


 そして、ぷしゅんっと映像が消える。


「無事に勝てたんですね」

「ええ。あそこでタイチさんが命をなげうったからこその勝利ですよ。今はあなたの体をマリーさんが回復魔法で治療しています。治療が完了したら魂を元に戻したら生き返れます」

「そうなんですか」


 無事に魔剣使いを倒せて、自分も生き返れて、これで今回の事件は無事にハッピーエンドで終わりそうだ。


 あとは......


「あとは、この世界にやってきたわけを説明しないといけませんね」


 最大の謎がまだ残っているのだ。

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