13. 初の昼ごはん♪
「ゴミ袋もってきましたよ~」
僕は受付にどっさりとゴミ袋を置いた。
ぺルぺルが苦い顔をする。しかし苦い顔も美しい人である。
「あ~、あの、ゴミ袋は外の倉庫に持って行ってもらうので受付の上に置かないでもらえますか?」
「あ、すみません。確かにこんな汚いのを乗せちゃ嫌ですよね」
「いえ、初めてですからしょうがないですよ。次から気を付けてくださいね。ではゴミ袋が3つですね。少々お待ちください」
ぺルぺルが受付の机をごそごそとあさっている。
その間に僕はゴミ袋を床に動した。
「はい、では報酬の銅貨三枚です」
「ありがとうございます。あ、あの、一つ質問があるんですけど」
「なんですか?」
「Eランクになるにはどうすればいいんですか?」
「EランクになるにはFランクの依頼を五つ以上こなしてその後にEランクの討伐系の依頼を1つ達成できればなれますよ」
「え、そんなに簡単なんですか?」
「Eランクになるのは簡単なんですよ。登録だけして依頼をこなさない人が一定数いまして、そういう人との線引き位のニュアンスなんですよ。DランクとかCランクになるのはもう少し大変になりますけどね」
「なるほど。ありがとうございます」
僕はお礼を言って受付をあとにしようとすると、ぺルぺルが僕を呼びとめた。
「あの、昨日はべろんべろんで聞けなかったんですけど、私のパンフレットどうでしたか?役に立ちましたか?」
「はい、すごい役に立ちましたよ。パンフレットのおかげで無事に生き延びられましたし、親切で読みやすかったですよ」
「そうですか。役に立ったならよかったです。これからも頑張ってくださいね。私、応援してますから。また何か挑戦する時は是非パンフレットを買ってくださいね~。あ、あと洋服も似合ってますよ」
ぺルぺルが満面の笑みでこちらに手を振っている。
うん、本当にパンフレットに関しては熱いなぁ。でも美人に笑顔を向けられるのは悪い気がしない。僕もぺルぺルにつられてニコニコしながら受付を後にした。
外の倉庫へゴミ袋を持って行き、依頼書が置いてある掲示板の元へと行く。
Eランク冒険者になるにはあと三つFランクの依頼をこなしてからEランクを受ければいいのか。あと3つ、全部カカシでいいかな。そしてその間にボスカラスを倒して見せるぞ。
Fランクの依頼は決定で、Eランクの依頼を覗いてみる。
Fランクの依頼の横、緑色の判子が押された依頼書がEランクの任務である。
「ふむふむ、一角ウサギの駆除と、薬草採集、防壁の警備(夜間)か」
おお、なんとなく冒険者っぽいものが混じってきたぞ。薬草採集とかすごい冒険者っぽい。初期の初期かもしれないけど、それでもゴミ拾いとかより百倍はらしいよね。
この場合の討伐系はうさぎなのかな。最初の印象が強烈だったせいか恐ろしい。でも鳥相手にちゃんと戦えたしうさぎだってちゃんと心構えを持って臨めばいけるかもしれない。
ちょっとわくわくしてきたぞ。
「あらら、よっぱらいさん。依頼なんて眺めてどうしたのかしら?そこはEランクの依頼だからアンタにはまだ早いでしょう」
ぎくり。ぎく、ぎくり。
今日三度目の後ろからの突然の声。
後ろを振り返らなくても誰だかわかる。会いたくないと思ってたの忘れてた。でも会ってしまったらなしょうがない。僕は意を決して振り返った。
「あらあら、テレサさんじゃありませんか。今日はどうしたんですか?また魔法の訓練教室ですか?Cランク冒険者様はお忙しいですね」
「いえ、今日はお酒を飲みに来ただけよ」
「最初に言ってたのはなんなの!?自分も立派な冒険者の面汚しじゃないか」
「私はいいのよ。ちゃんと依頼もこなしてるし教室もひらいてるし、たまの息抜きだから」
「あ、そうですか」
人は駄目で自分は良いという典型か。
なんだか会うの気まずいなーとか思ってたのが馬鹿らしい。テレサも似たり寄ったりな人間だったわけである。だったらあんな冷たい目を向けないでほしかった。いや、よく考えたらいつもあんな目で見られてたか。あれ、なんか目に涙が。
「何泣いてんのよ」
「泣いてないやい。別に女の子に冷たい目で見られることなんて慣れてるんですからね」
「は?何言ってんのよ。わっけからない。しかし、洋服を整えると多少は冒険者らしくみえるわね」
「本当に!?うわー、嬉しいな。こういう洋服きたことなかったからにあってるか不安だったんだよね」
「冗談よ。じゃ、一杯飲みに行くわね。それじゃあ」
そう言って冒険者ギルドの中にある酒場へとすたすたと歩いて行った。
「......さて、僕もお昼を食べに行きますか」
僕はとぼとぼとグランマの家の食堂へと移動した。
今日も最初にやってきた時のようにグランマの家の食堂は賑やかだった。
「あれ、お兄さん、こんな真昼間からどうしたの?仕事しなくていいの?無一文なんでしょう?大丈夫?冒険者クビになった?あれ、でも洋服新しくなってるね。それに靴もはいてるし。」
食堂に入った瞬間にメルがいつも通りの悪態をついてくる。
僕の周りには天使か悪魔しかいないのだろうか。クリスに嫉妬しないでもう少しマリ―と一緒にいればよかったかもしれない。
「クビになんてなってないよ。というかクビとかあるの?いや、それよりも洋服にあってる?」
「知らないけど」
「そ、そう。今日はもう仕事をしてきてね、それでお昼を食べに来たんだよ」
「あ、そう。お昼食べに来たのね。じゃあ、あそこの空いてる席に座ってくださいねー」
「はいはい」
僕はメルの言われた席に着き、スパゲッティを頼んだ。
しかし、本当に繁盛している。大体どの料理も銅貨1枚で、決して安いわけではないと思う。それでも満員御礼である。朝ご飯と夜のまかないしか食べてないけど絶品だからわからなくはない。周りを見渡してみると、ここには冒険者ギルドのような野蛮な感じの人は少ない。冒険者以外にも色々仕事があるのだろうな。みんなどんなことしてるんだろう。
そんなことを考えていると、スパゲッティが運ばれてくる。
「わぁ」思わず感嘆の声が出る。地球でいうミートスパゲッティだろうか。
とても美味しそうだ。
においだけで涎があふれてくる。
「いただきまーす」
パクパクと料理を口に運ぶ。
あー、幸せだ。
地球にいたころはほとんど動いてなかったからお昼ご飯なんて食べなくても全然問題なかった。でもこうして朝から体を動かすとお腹もすくし、ご飯も美味しい。向こうにいたころも何かすれば良かったかもしれないなぁ。親も心配してただろうし。
頑張ろう。ここでは行動しないと生きていけない。
「ごちそうさまでした」
ご飯を食べながらそんな風に思うのであった。




