55.決着
ご愛読ありがとうございます。
ついに勇者vs英雄の最終決着編です。
正月から始めて約1ヶ月。
お付き合いいただいた皆様にはただ感謝です。
ありがとうございます。
大三郎が飛び込んだ扉の向こう側。
そこは紛れもなく大三郎がいた場所だった。
小学校、中学、高校と通い続けた学校。その校庭のど真ん中に帰還したのである。
時間は丁度昼休み。
早く食事をした者は三々五々集まって遊び始めるような時間。そうした場所に忽然と帰還を遂げたのである。
それも絶世の美少女を連れて。
大三郎達6人が消息不明になってから、そろそろ3ヶ月が過ぎた頃だった。
そうした時期に学校の校庭に突如として登場した大三郎は、学校で着用しているべき制服などではなくポルトガル人から与えられたハーフ・プレートを付けていた。
一緒に現れた少女の方に至っては、巫女装束である。
場違い甚だしい姿に当然のように校庭は騒ぎになる。
学園際でもないのにコスプレ。しかも、外国人の巫女姿の美少女を連れてだ。
これで誰も注目しないと言うほうが無理だろう。
突然現れた異形な格好の少年が、この3ヶ月ほど散々にニュースで取り上げられている行方不明の少年だったとなれば、学生達も寄って来るというものだ。
「おい、佐々木じゃないか。お前そんなカッコでなにやってんだ」
「おめえ、3ヶ月もどこ行ってたんだ?」
「金子さんや三鷹さんは一緒じゃないの?」
「その巫女さんは誰だ?」
一貫校だからそれなりに知り合いは多いのだ。
騒ぎに成りだすと、学校の教員も飛んできた。
「おい、佐々木。お前3ヶ月も何をしていたんだ?
その恰好は何事だ?
他の5人は一緒ではないのか?」
慌てている教師の態度に大三郎はむしろ落ち着きを取り戻す事に成功した。
「ええっと、元の世界に戻れたんですよね?」
「元の世界?何を言っている、他の世界などあるものかね?」
怪訝な顔になる教師。大三郎が精神的な問題でも抱えているのかと心配しているようだ。
「俺は妙な世界に取り込まれていたんです。でも、ついに帰ってこれたんですよ!
やったぞー!ひゃほー!」
欣喜雀々。文字通り飛び上がって歓喜の大三郎。
・・・一方の教師は困惑度合が増すばかり。
「おい、佐々木。お前何を言っているのだ。冗談は程々にしておけ。
他の5人はどうしたんだ?」
「それは別れたきりです・・・」
自分が2人殺したとは言い難いのだろう。適当な言葉を口にする大三郎。
しかし、彼の隣にいた少女は遠慮などする立場にはなかった。
「三鷹理緒と相良優人の2人は、その男が腰に差している剣で殺しました。
金子神楽耶と井上樹里の2人は無事に保護しています。
私はその男に誘拐されました、神殿の巫女クルーガ・イルマータです」
教師の顔色が一気に変わる。
「なんだって?おい佐々木その剣を見せなさい!」
今度は大三郎の顔色が変わる番だった。
「いえ、そんな話は嘘です。彼らは魔王討伐に行って殺されたんです。」
「異世界だの、魔王だのと、何を馬鹿な話をしている!いい加減にせんか!
さあ、その剣を出しなさい」
教師が青筋を立てて怒りだしている。完全に会話が噛み合っていない。
そもそも、3ヶ月もどこかに行ったきり消息不明。
突然、現れたら異世界で魔王退治と言われては、怒り出す教師の方が正しい態度だろう。
しかも、一緒に行方不明になった6人のうち2人を殺したとか、2人は保護されているとか、誘拐されたとか・・・。
普通の人間なら怒るのが当然だ。
この時に他の教員達も集まってきた。
行方不明になってマスコミを騒がせている渦中の生徒の生還であるから、本来ならメデタイ話の筈なのだが・・・。
死人が出たらしいとか、見たことも無い少女は誘拐されたとか言われてはメデタイなどと喜んでなどいられない。
「ちょっと、落ち着いた場所で話を聞こう。
そちらのお嬢さんもいいかね。君は本校の生徒ではないが、事情を聞かせて欲しい」
「はい、私は構いません」
この時であるけたたましいサイレンを鳴らしながらパトカーが接近しつつあった。
当然ながらクルーガはパトカーのサイレンなど知らない。
パトカーどころか自動車だって知らないし、警察という名称すら知らない。
魔法と馬車の世界の住民なのである。
警察=町奉行と言われれば理解できただろうが。
当然、ビクビクすることになる。
「あの騒がしい音は何ですか?」
「うん?パトカーのサイレンを知らないのかね?外国人だとサイレンが違うのかな」
「パトカー?サイレン?」
「日本語が通じないかな。先程は大丈夫だった様子だが」
「パトカーとサイレンは意味が解りません・・・」
「警察が来たのだがね、ポリスと言った方が良いかな」
「ポリス?村落?」
「いや、そちらではなく・・・君は欧州の人かね。誘拐は本当らしいな」
「バイキングの遠い末裔」
「北欧の人かね。英語圏ではないのか・・・」
微妙にズレた会話になってしまうクルーガと教師。
そうこうしているうちに警官が登場してくる。
制服の警官と私服の刑事らしい。
早速、大三郎が揉め始めてしまう。
剣を渡せ、渡せないという押し問答である。
大三郎は腰に剣を帯びているだけではなく、腰のベルトや足にもベルトを巻いて投げナイフを装備していた。
それに、剣をよく見れば柄部分や鞘にはどす黒い血糊らしいものが付着しているのだ。
どう見ても実際に使った剣らしい気配が濃厚なシロモノだ。
剣を見せろというのは、警官にして見れば当然だろう。街中でなら職務質問くらいされても文句は言えない。
制服の警官は若い男だったから大三郎に遠慮などしなかった。
だから、押し問答が次第にエスカレートしてしまう。
ここでまたもや不幸が生じてしまう。
大三郎の肉体は現世の人間においては尋常ではない力を持っている。正真正銘の現役勇者なのだ。
大三郎が本気で嫌がって警官を突き飛ばしてしまうと、相手は簡単にぶっ飛ばされる状況になってしまうのである・・・。
勢いよくゴロゴロと20m以上も飛ばされて、壁に当たって止まる制服警官。
これでは警察側が殺気立っても仕方がないだろう。
私服の刑事が危険を感じて、内ポケットから折り畳み式の警棒を取り出して構える。
警官の本気の殺気を放つ構えに、今度は大三郎が反応してしまった。
剣を抜き去り、警棒を真っ二つにしてしまったのだ。
女性徒たちが“きゃー”という悲鳴を上げてしまった。
大三郎は自ら手にしているのが真剣だと明かしてしまったという訳である。
私服刑事が恐怖で後ずさり・・・。
制服警官は無線で応援を呼んでいる・・・。
周囲にいた教師達は生徒を慌てて下がらせている・・・。
現場はパニック状態になり始めていた。
「ペルセウス、父なるゼウスの雷を運べ!」
クルーガは混乱の源を抑えることにした。さっさと黙らせる方が怪我人はでないだろうと思えたのである。
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クルーガの物語。
5才のシードに簡単な魔法の基礎を教えるようになったクルーガ。
この頃は未だ10才だった。
彼女は早い時期から魔法の才能を買われて神殿で修業をしていた。
そうは言ってもまだ子供のクルーガだ。周りには同じ年代の子供はおらず窮屈な感覚の暮らしをしていたのも確かだった。
だから、妹分とも言えるシードの世話を焼くことは、クルーガにとってもリラックスできる時間でもあった。
しかし、そのシードが9才になった頃には一人ぼっちの境遇になってしまう。
同じように師匠を失い天涯孤独となった与楽に助けられて、そして幼いまでも魅かれてついて行くようになる。
クルーガの1才年下の与楽。
かつては師匠慈雲に伴われて、余りにも荒っぽい日常を送っていた少年。
野獣のごとき日常を危惧するクルーガだった。
師匠亡き後の与楽は、歯止めが効かなくなった。
余りにも危険な事をやり過ぎるのである。
クルーガに困ったことには、この少年は危険という物が理解できていないように思えるのだ。その無謀に巻き込まれて喜々としているシード。
彼女は思ったのだ、護らねばならない。
与楽とシードを。
与楽の師匠と言う人物は、そもそも破天荒過ぎた。
与楽には読み書き計算、それに行者としての修行も課した。
それでいて街中で日常生活がまともにできないような子供になっていたのだ。
そもそも、常識がない。
寺院の中でなら生活できるのかもしれないが、農民や商人には絶対に成れない種類の人間だった。
まず、社会性が完全に欠如している。
そもそも、肉親の情や他人との友情という物も理解できていない様子だった。
貴族社会という物が理解できていないから、身分ということが解らない。
修行僧という扱いをされるから、正面から貴族や騎士団と喧嘩にはならないが、それに近い事は年中やらかしている。
衣服は行者らしい物を使っているが、それ以外の物は一切なし。
持ち物にしても、仏典に武器類と塩を魔法袋に入れているだけ。
食べる物と言えば、街中の寺院に滞在している時は寺院の精進料理だが、山にいる時は襲って来た獣を倒して焼いて食べるだけらしい。
与楽と言う少年は、おおよそ人間というよりも、野生の何かという存在だったのだ。
間違っても幼いシードを預けて良いような存在ではなかったのだ。
せめて街中にいる間だけでもと、クルーガは与楽を人間にしようと頑張った。
普通の人間が楽しいと思う遊び事をやらせて。
普通の人間が美味しいと思う食事をとらせて。
シードを着飾らせて、女の子としての教育的な物を施して。
いつの間にか、そんな生活に刺激を感じていたクルーガ。
しかし、クルーガは魔法の才能があるだけの少女ではなかった。
無類の美しさを持っていた少女なのだ。
14才にもなれば貴族から求婚されるようになっている。
だが、そうした話はまだ早いと、彼女は全て拒絶していた。
来ている話は全部側室になれという話ばかりだったこともある。
馬鹿らしいと彼女は思ったのだ。
“魔法の才能があって、美しいから貴族の側室入りしろ”話としては、おかしくないのだろう。
しかし、自分はモノではない、ちゃんと自分を人間として扱ってくれるような相手でもないと嫌だと。
しかし、彼女にとってはそうした人間らしい感情は、貴族にとっての人間らしい感情である逆恨みによって悲劇をもたらした。
両親と兄が反乱謀議という冤罪で捕えられて処刑されたのだ。ある日突然に、取り調べもなく一方的に・・・。
挙句に、クルーガを強奪しようとして神殿にまで兵を連れて押しかけてきた。
「お前には家族の反乱に連座した疑いがある。大人しく同行せよ。
抵抗すると神殿も無事では済まぬぞ!」
神殿の幹部連中はすっかり怯えてしまって、震えるだけだった。
家族を根こそぎ失ったクルーガはすっかり傷心していて、このままでは自殺しそうな落ち込みぶりだった。
抵抗するでもなく、ついて行くでもなく。
その場で立ち尽くすのみ・・・。
「さあ、早く支度せ・・・」
突然に押しかけて来た貴族が黙り込んで、そして倒れ込んだ。
「お、お館様!お気を確かに・・・」
「おい、それは卒中だ、お屋敷までそっと運べ」
「おい、神殿だから治癒魔法師がいるだろう?」
家臣連中が、大慌てで右往左往を始める。
ここで年老いた女神官がピシャリと言い放つ。
「巫女の家族を処刑するような者に、女神の加護など授かりませぬ。お引き取りください」
「き、貴様覚えておけよ!」
「神官にその物言い。しかと、教団本部に報告致します。お家は神殿とはご縁はございません」
「なんだと、貴様のぼせるな!」
その瞬間、この家臣までもが突然に倒れ込んだ。
「おい、何をやっている。お館様を早く運べ!」
家臣団を束ねていた者が、大慌てて配下に指示を出して帰って行った。
その晩、一夜にして貴族一族悉く変死した。
揃って苦悶の表情を浮かべて病死していたのだ。
これには神殿への不埒な行為への祟り説が取り沙汰されて、世間を騒がせることになった。
しかし、世間を騒がせてことでクルーガが知られるようになってしまった。
お蔭で、別の貴族からも側室にと求められる始末だった。
領主が変死した直後で不在だから、他の貴族が押し掛けて来ても誰にも止められない。
これ幸いとばかりに、神殿を兵士で囲んでクルーガの身柄引き渡しを要求する貴族。
今度の貴族は周到で身柄を引き渡せば、多額の寄付をすると神殿長に申し出ることぐらいはやってのけた。
神殿内部では巫女くらい引き渡してしまえという派と、巫女を守らない神殿など誰もついて来ないという派で分裂していた。
そこに登場してきたのが与楽だった。
「神殿の包囲を解かぬなら、成敗する。
領主でもない者が他人の土地で戦争をするのなら、私戦を禁じている惣無事令に反している。
これはご公儀への謀反に他らなぬ。行者として無法を看過することなどできぬ。
貴様ら悪人を成敗してくれる。大義は我にあり」
これには貴族が慌てた、自分の領地でもない場所で兵を展開しているのだから紛れもない私戦だ。これがご公儀に知れたら一発でお家断絶ものだ。
このまま黙って戻っても、ご公儀に届け出られたら都合が悪い。
「いや、これは謀反などではない。あくまで貴族に逆らう者を処罰するための治安維持である。貴族の命に従わぬ巫女は、貴族法の精神に反している」
貴族側では無理やりな話を持ち出してきた。
「この土地の領主でもない奴に、それを言う資格はない。
他人の土地を侵略する悪人相手では是非もなし、全員死ぬか、降参するか今選べ!」
問答無用だと断じたのは与楽の方だった。
「ただのガキが、おなご2人を連れて何をする気なのか?正気なのか小僧!」
「我は山の神を弑逆せし神殺し也。今、大義を以って破邪顕正の秘蹟を示さん!」
与楽は処断を宣告するや、貴族の頭上に瞬間移動して頭を叩き潰した。
それを見た部下の兵士連中は、与楽に掛ろうとする。
「我が夫に従い大義を為さん。我は風のシオーヌ也。
賊ども、我が風を疾くと受けよ。
北風のボレアースよ、疾く来たれかし。古の神話に習い、かの悪漢どもの生命を略奪されたし」
猛烈な竜巻が兵士達を襲った。
たちまち竜巻に飲まれて、しかも、その内側で散々に斬り裂かれて。
兵士達はあっという間に殺され尽くした・・・。
クルーガは呆然としていた。
与楽がいつかやらかすとは思っていたけれど、見知らぬ銀髪の少女に夫と呼ばせて、挙句に貴族の兵士を皆殺しにさせてしまう。
少女の魔法は凄まじかったが、しかし、この後を考えると今度は与楽達が処罰されかねないではないか・・・。
しかし、クルーガの心配は杞憂に終わる。
ギルド支部長と寺の住職が揃ってやって来て、見ていた住民達に言ったのだ。
「領主不在をいいことに、貴族を語る盗賊がやって来てこの街で無法をやらかす。
与楽は盗賊退治ご苦労だったな。
さあ、皆の衆よ。盗賊どもの遺体を集めてくれ、さっさと無縁塚に葬ってしまおうじゃないか」
かくして貴族とその家臣は、タダの盗賊として無縁仏として葬られたのだ。
ハンターギルド本部には、領主不在を狙った盗賊団が来たが行者に退治されたと報告されただけだった。
貴族の当主が行方不明ともなれば、その不祥事でやはり処分は免れない。
始末された貴族の家も無事では済まないだろう。
ギルド支部長は貴族に縁はない。むしろ、貴族の権威でバカな真似をされて腹を立てていたのだ。これ幸いと、盗賊扱いして処分できて清々としていた。
さて、救われたクルーガにシードが近寄って行った。
「この前のヘンな奴は与楽がお祈りして殺したの。
今度は与楽とシオねえがやっつけてくれた。
クルねえがいつまでも与楽のお嫁に来ないから、もう3番目のお嫁さんにしかなれないよ。
いつまでも待たせるなら、シーとシオねえで与楽を支える。クルねえの出番なんてあげないよ」
クルーガは知ったのだ。
自分が面倒を見ていたつもりだったが、違ったのだ。
護られていたのは自分の方だった。
彼らは自分が理解できる範囲よりも遥かに逞しいのだ。
それに惹かれて見知らぬ銀の強力な魔法師の少女まで与楽の妻になっていた。
そう、シードの言う通りで自分がいなくても、多分、与楽はシードと銀の少女が支えるだろう。
その時に、自分がいるべき場所とはどこなのだろうか?
いずれどこかの貴族の側室にでもなるのだろうか?
それとも自分を護ってくれた少年達と・・・。
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「ペルセウス、父なるゼウスの雷を運べ!」
現場のパニックを拡大させない為に、クルーガは混乱の源を抑えることにした。
大三郎を大人しくさせないと駄目だと思ったのだ。
クルーガの放った電撃が大三郎の剣を叩き落す。
「けっ、流石にあの化け物と一緒にいる女か。
でも、剣くらいいくらでも取り出せる。それが勇者の特権だからな!
こっちの世界でまでお前らにデカイ顔なんてさせない。
大人しく俺の女になれよ。どうせお前だって、元の世界になど戻れないだろう!」
「我が夫を甘く見ない事だ。夫は私を必ず護る」
両手に剣を握りやる気満々の大三郎。
元の世界に戻ったということの意味に気が付いていない。
剣など振り回していい世界ではないということに。
対してクルーガは安心しきっていた。
どうせ夫のことだ。すぐに出て来て始末を着けるに決まっている。
「化け物って、僕の事かな?
こちらの世界と僕らの世界の往来は出来るみたいだよ。
クルーガを“観たい”と念じたらちゃんと異世界でも“観る”ことができた。
観られる場所なら僕は行ける。
この通りにね」
登場して来た与楽。
そして神楽耶と樹里も一緒だった。
「いい加減にしなさい大三郎。もう止めなさい」
「大三郎は反省すべき。あなたの暴走で仲間が死んだ。まだ、殺す気なの?」
「う、うるさい。黙れ!こんな化け物みたいな奴さえいなければ!」
剣を手に与楽に突進する大三郎。
しかし、与楽の手には刀身4mの大太刀が取り出された。
そして、与楽の突き出す大太刀が大三郎の胸を深々と貫く。
大三郎は自分の突進した勢いで、自分を貫くことになったのだ。
心臓を一撃され、胸からは血飛沫が飛ぶ!
そして、口からも吐血が。
周囲には警官、教師、大勢の生徒。
その眼前での惨劇だった。
苦しそうに救いを求めるかのようにゲホゲホと吐血しながらも、何事かを訴えようとする大三郎。
与楽は大太刀を引き抜くや、大三郎の首を真横から断ち斬った。
血飛沫を撒き散らしつつ宙を飛ぶ大三郎の首。
「キャー」
「嫌っー」
「ダメー」
周りにいた生徒達から悲鳴が上がる。
周辺の騒ぎをよそに、全く平然とした顔の与楽。さっさと大太刀を仕舞い込んで、神楽耶に声をかける。
「さて、クダラナイ争いはこれで終わりだ。
で、どうしたい?
三鷹さんと相良君なら、間違いなく蘇生できる方法を手に入れた。
清瀧権現様の神通力だから安全確実だよ」
神楽耶と樹里はお互いに目を合わせて頷いた。
「「お願いします」」
「うん、わかった」
魔法袋から優人と理緒の遺体が取り出される。
そして、宝珠が与楽の手に握られる。
「清瀧権現様、この両名の命をお助け下さいませ」
宝珠から光の渦が広がって周囲を満たして行く。
1~2分程の事だったのだろうか。
やがて光が消えて。
そこには優人と理緒が立っていた。
「アレ、ボクは刺されたんじゃ?」
「私、死んだんじゃ・・・」
「馬鹿、もう・・・」
樹里が理緒に抱き付いた。そしてワンワンと泣き出す。
神楽耶も涙を流しつつ。
「本当に皆さまにはお世話になるばかりで、私には何のお返しもできません」
「まあ、キミ達も巻き込まれただけだったしね。僕達は自分の国を守れたし、これで騒ぎも終わりだよね。
皆、元気で暮らしてください。僕達は僕達のいるべき場所に戻ります」
で、次回は大団円。
「千年花の都」
慶次郎や兼続が仕掛けたアレの完成を以って、このストーリーの本編は終わります。
乞うご期待!




