53.マカオ討ち入り~モンテの砦攻略戦~
ご愛読ありがとうございます。
今回はマニラに討ち入って占拠するお話です。
前田慶次郎と貴志の余裕の戦いをお楽しみください。
ポルトガル侵攻軍の撃破。
これはこれで目出度いのは間違いない。
しかし、為政者としてはこの賠償をキッチリ取り立てない限り、戦争の終わりはない。
しかし、公式の国交などない国家同士。
それも、大環からすると地球の裏側である。賠償金を取りに出かけるのさえ大問題である。
それに、捕虜にした8,000人のポルトガル人の扱いにも困る。
言葉が通じないし、生活習慣も全く別物。奴隷にして鉱山で働かせるのも一苦労だ。
投降して殺されなかったポルトガル魔法師が80人ほどいたが、こちらは洗脳して大環の為に働かせることにできそうだ。
それに戦功を上げた者への恩賞も与えないといけない。
幸い国内の損害は少ない。
博多は上陸させていない。
房総は館山から木更津方面の田畑は荒れてしまったけれど、元々譜代や旗本領だから外様と違って王宮主導で復興させてしまえる。
心配すべきは戦費と恩賞。
これも救いがあって膨大な魔物をポルトガル側が召喚して使役してくれたお蔭で質の良い魔石が大量に入手できた。
巨大カバの魔石はドラゴン魔石よりも大きかった。
それに大タコにミノタウロスの魔石もドラゴンよりは劣るが、それでも相当な品質だった。
他にも4万個近い魔石が入手できたから、正直これだけでも戦費は賄えてしまえそうだ。
それに30隻近い黒船と700門程の大砲に数千丁の鉄砲と大量の火薬。
博多で働いた西国大名には黒船と大砲でも分配すればいいかもしれない。
後は意外な戦利品で神龍の鱗と生き血。
これなどはプライスレスとしか言いようがないかもしれない。
伝説まで踏まえても、誰も手が出せなかった存在である。
そして、神龍が消えてくれたお蔭で、今度は広大な富士の樹林が開拓可能になった。
200万石相当の土地が一気に出てきたのである。
魔法学校の不祥事に関連して召し上げた領地を含めると、分与して大丈夫な土地は相当に余裕ができた。
ソロバン勘定をすると、カネに関しては悪くない結果だ。
しかし、ポルトガル側から目に見える形で賠償を取らないと、今度はオランダやイギリス、オロシアから舐められてしまう。
外交的にはポルトガルを完全に屈服させておかねばならない局面ではある。
ポルトガルの拠点は、インド、マラッカ、マカオ。
マカオに関してはオランダとイギリスが、両国ともに租借を希望している。
マラッカに関しては、両国ともに必要ないと言う。
かくして、マカオ攻略は確定事項。
マカオの状況とポルトガルの出方次第では、マラッカ攻略も考慮するという方針になっている。
上杉、前田、九鬼、毛利、合計3万。
動員艦船;伊呂波丸以下、安宅船10隻、関船30隻、朱印船30隻。
それに鹵獲した黒船3隻に捕虜にしたポルトガル航海士を乗せて一路マカオへと進撃とあいなった。
とは言うものの、マカオ半島と言うのは小さい。
精々10k㎡も無いような場所だ。
マカオの手前にある島もポルトガルが抑えているけれども、それも決して大きいものではない。
最初から攻略軍は明らかに過剰戦力もいい所だったのだ。
一応、マカオには防衛拠点があって、外敵が港に入ろうとすると高台の砦から大砲の砲弾が雨あられと降って来ることになるらしい。
そして一番高い場所には要塞もあって、抵抗戦をやれるようになっているのだという。
防衛側は高台から大砲を撃つ。
侵攻側は船からそれを攻撃する。
大環側もポルトガルから鹵獲した大砲を使うから、大砲は両国とも同じ物。
これでは高台に固定されている大砲の方が、揺れる船上からの砲撃よりも有利になるだろう。
後は数撃てば当たることを期待するしかない。だから、侵攻部隊の船には出来る限りの大砲を積み込んでいる。
そして、切り札も投入されている。
天海開発によるドラゴン魔石による防壁システムが大安宅船伊丸に搭載されている。
元々、都市防衛システムであるから広域防壁発生システムである。
大安宅船の大きなスペースを占拠しているけれど、その防御範囲は艦隊を覆い尽くせる程度の範囲は楽々とカバーできる。
大安宅船伊丸は、この時代の鉄壁の楯であり、現代のイージス艦以上の神の楯ならぬドラゴンの楯なのである。
その代わり、伊丸には余り大砲を搭載できなかったし、兵員輸送もできていない。
あくまで防衛専任船と言う扱いである。
敵の砲弾が雨あられと降ってこようが味方の艦隊には影響なし。
代わりに、多少揺れて不安定であろうとも、その分はセッセと砲撃して何とかしようということだった。
どうせポルトガル本国から遠征してきた主力部隊は壊滅している。
後は留守番部隊が大砲を頼りに少々頑張っているだけ。
この勝負はやる前から勝敗に関しては、はっきりしていた。
後はどの程度マカオの街に損害が出るのか?
そこの問題だけだったのだ。
侵攻軍の総大将には上杉謙信が任じられている。
房州で武田勢が大暴れしたこともあって、上杉勢も意気盛んだ。
当然、上杉景勝、直江兼続、前田慶次郎といった面々も参戦している。
だが、戦闘のメインは大砲の撃ちあいとなってしまうと、華々しく戦場を駆け抜けるという訳にはいかない。
傾奇者としては、精々戦闘後に異国情緒あふれる街並でも堪能するくらいしか楽しみは無さそうだ。
大環艦隊は黒船を先頭に押し立ててマカオに侵入して行った。
先頭の黒船にはディエゴを同乗させている。元極東方面指揮官アルフォンソの副官で、当然ながら現地での命令権もある程度持っている男だ。
彼はアルフォンソの戦場からの逃亡と捕縛を聞いて投降した。
が、このことでディエゴとアルフォンソとは決定的な溝ができてしまっている。
家康はディエゴに対して捕虜8,000人の身柄を保護してやるから、代わりにマカオからポルトガル軍を撤退させろと持ち掛けた。
ディエゴは、この話に乗って交渉役としてここに来たのだ。
彼にとって、魔法師達の攻撃で大量の魔物が駆除されて、敵の大軍に包囲された記憶は生々しい。まともにマカオで先頭になればたちまち焼野原になってしまうと想像できたのだ。
アルフォンソはというと、全く悪びれもせず尊大な態度を崩さなかった。
彼は捕虜の扱いなど知ったことか、マカオを手放すなどありえないと強弁していた。
従って、アルフォンソには強引ながらも洗脳作業が行われることになっている。
大環艦隊から3隻の黒船が先行して入港していく。
先頭の船にはディエゴの座乗を示す副官旗が掲げられている。
だから、砲撃陣地から特に攻撃を受けるでもなく粛々と入港していった。
しかし、この3隻の船から降りて行ったのは少数のポルトガル人と、そして2,000人程の大環の軍勢だった。
ディエゴはそのまま庁舎に向かいマカオ総督に対して、武装解除を命じた。
現在、マカオに滞在しているのは、ポルトガル商人と3,000人程の留守番兵だけだった。
行政的にはマカオの責任者はあくまでマカオ総督である。
しかし、彼の罷免権はアルフォンソにある。アルフォンソ不在の場合は副官であるディエゴにその権限が与えられる。
従って現状において実質的にはディエゴが一番の権力者ということになる。
筈だった。
ここで問題が生じた。
マカオ総督はディエゴの命令に従って手持ちの兵には武装解除を命じた。
彼の手持ちの兵に対しては、である。
問題だったのは、教会の傭兵達だった。
教会には豊富な資産があり、当たり前のことだが護衛に傭兵くらい使う。
教会は大環への布教がしたいのである。
彼らの目的とは戦争に負けて、捕虜になった者達の保護などでなはい。
そして、教会にとってマカオというのは華帝国に対しての重要な拠点であり、同時に半島や大環に対する足場でもあるべき神聖なる土地であらねばならなかった。
かくして、教会勢力はマカオ総督の命に逆らって、傭兵達を街の高台にあるモンテの砦と街中からは少し離れたギア要塞に籠らせた。
元々、砦と要塞にいた兵士達には教会の名前で参戦せねば、教会から破門する、地獄に落ちるぞとまで言い添えてだ。
対して、マカオの港付近や街中の警備に当たっていたポルトガル兵は、大人しく投降に応じている。
マカオの街中には教会がいくつもあるのだが、そうした教会は門を閉ざしているが戦闘要員は全て砦や要塞に行ったから人の気配は殆どない。
ポルトガル商人たちはマカオからの脱出を願ったが、それは大環の命令で全て却下された。
無断で逃げる者は全て殺して、財産没収とディエゴから伝えさせた。
マカオの市街地は静まり返り、そして市街地の高台にあるモンテの砦からの砲撃が始まった。
大環側に寝返った黒船と大環側の安宅船に対して猛烈な砲撃が開始されたのだ。
ところが港の外側で待機している大環側の安宅船に砲弾が当たっても弾かれる。
既に港に入港している黒船には有効打になる。
もっとも、黒船に乗って来た人間の殆どは既に上陸していて、残っているのは少数だけだった。この黒船側からはほぼ反撃は行われなかった。
その代わりに既に上陸していた2,000の軍勢は悩むこともなく、モンテの砦攻略に動いた。
この砦は外側の海に向かって3方向に大砲が設置されている。華帝国側に向いている方向には大砲はないし、壁も低いという構造になっている。
大環艦隊は味方兵が華帝国側の城壁から侵入するまで、ポルトガル大砲陣地に砲撃して支援する必要があった。
大環側では300門程の大砲を持ち込んでいる。
これはマカオ側が40門程であることからすれば、戦力差は圧倒的だった。
もっとも、船同士で連携して射撃するような高度な射撃はできない。現代のようなリンクシステムなどありはしない。
精々、船単位で“砦の右の方”とかやる程度だ。
そもそも砲撃の精度も相当に怪しいものでしかないのだから。
砦を狙って打ちこんでも、通り越してしまう砲弾や途中で落下してしまう砲弾も多数生じてしまう。
多少訓練したもののポルトガルからの鹵獲品だから、そんなに慣れている大砲という訳でもないのだ。
だから、運悪く街中の教会に落下してしまう砲弾も、それなりに存在してしまう。
砦のどこかに落ちる砲弾は全体の7割程度というところだろうか。
残りの3割は砦付近にドンドンと落ちて行く。
中でも相当に立派な大教会には相当な被害が生じている。
大環艦隊と砦の位置関係からして、勢いが足りなくて落下する砲弾がここに落ちるようなのだ。
かくして、立派な教会からは出火。
後にはこの教会の前面の壁だけを残して他は焼失という結果になる。
この不思議な構造物が構成に観光名所になるのだから、世の中不思議なものである・・・。
さて、上陸していた2,000の軍勢の内情はというと、最悪は交渉決裂でそのまま戦闘に雪崩れ込むのは予想された所だ。
さりとて、交渉役にはちゃんとした地位の者が必要になる。
最悪の場合は捨て駒になるこの役割、釜山の戦闘で見事な手腕を発揮した上杉景勝が、再度この面倒な役割を演じることになった。
今回の上陸に際して馬は持ち込んでいない。
だから、全員徒士としての戦闘だった。
2,000人の内で4割の800人は鉄砲部隊。
残りは槍部隊となるが、彼らには焙烙玉が与えられている。素焼きの壺に火薬をつめて導火線をつけた手榴弾である。
古来から石をぶつけるのは戦場での習いだ。だから、焙烙玉を実に器用に投げるような要員もいたのである。
鉄砲なら甲冑の上からでも距離50m程度なら撃ち抜く。100~200mくらいでも、装甲の無い部分なら打撃を与える。
しかし、焙烙玉なら100m遠投出来るような者なら相手が甲冑を付けていても意味など無く周囲の者を撒き込めた。
精密な遠投能力のある者の焙烙玉は、鉄砲よりも便利だった。
もっとも、下手なものだと50m先でもあらぬ方向に飛んで行ってしまうのだが・・・。
上杉攻撃隊はモンテの砦の背面に華帝国領を無断通過しつつ接近。
壁が低く、大砲の無い方面に取りつこうとした。
もっとも敵とて鉄砲は持ち込んでいる。高台の壁の隙間から射撃してくるのだ。
こうなると丘の下から、壁の隙間を狙って射撃する方が面倒な作業になってしまう。
もっとも、こうした攻城戦というのは戦国時代には当たり前の事だ。
こうした局面を突破しなければならないような時などいくらでもある。
兼続は焙烙玉を一カ所に集中させて狙わせた。右端部分の壁が割と登り易そうに見えたのだ。
登り易しと見た場所の上部に山なりに焙烙玉を投げ込ませて、敵の狙撃手を黙らせる。
そこに志願兵を突撃させたのである。
そうは言っても周囲の敵からは鉄砲で狙撃されるし、敵も石や煮えた油を落としてくるから危険は多い。
そして、そうした危険溢れるような局面こそが出番だと、そう言いたいような漢達は確実にいるのだ。
忍者あがりの前田慶次郎などは、待っていましたとばかりに喜び勇んで城壁を登って行く。
遅れてなるかと、競う様に壁に向かう者が後を絶たず・・・。
上杉家中の戦意たるや恐るべし!
そして、味方が壁を登り出すと見方を殺すなとばかりに鉄砲隊は、猛烈な援護射撃を放つ。
負けじと名人芸を発揮する遠投名人も続出してくる。
結局、城壁を最初に登りつめて砦内に入り込んだのは慶次郎だった。
「我こそは前田慶次郎利益!モンテ砦一番乗りは貰った!」
名乗りを上げるや近くにいた敵兵に颯爽と槍を振るう。
味方が砦内に乱入したと見るや景勝は狼煙を上げさせた。
大環艦隊に対して砲撃を中止させる為だ。そうしないと折角乱入した味方まで巻き添えになってしまう。
慶次郎に追いついて壁を登って来たのは150人程。
彼らは一団となって華帝国側の壁で鉄砲を撃っていた連中を襲い始める。
射撃間隔がどうしても長い火縄銃では、近接戦闘に持ち込まれては槍の方が有利になってしまう。
それに壁の向こう側から投げ込まれる焙烙玉も馬鹿にはならない損害を与えていた。
砦内に乱入されたと見たポルトガル側も、鉄砲を諦めて乱戦になっていく。
大環側では砲撃を中止して、艦隊を一斉に港に接近させている。
上陸して本格的な占領を図ろうというのだ。
敵は砦に乱入してきて、敵艦隊からの砲撃もない。砦の指揮官は教会幹部に求められて当面の抵抗を決意して、敢えて乱戦に応じた。
槍と剣による近接戦闘の始まりだった。
大音声で叫び、そして走る慶次郎。
紫糸威朱漆塗五枚胴具足と呼ばれる朱色をベースにした鎧に黒い円錐状の兜、肩には鳥の羽を意匠にした飾りをつけてある。・・・実によく目立つのだ。
手にした皆朱の槍は軟鉄製のポルトガルの剣など寄せ付けない。
当たるを幸いに槍を叩きつけては、転ばして止めを刺す。
あるいは剣など無いかの如くに槍で一突きにしてしまう。
実に活き活きと駆け抜ける慶次郎。
しかし、敵の戦意は徐々に落ちて行く。
中には武器を放り出して降参の意志を伝える者が出始める。
やる気のない者などには興味のない慶次郎。
やる気のある奴はいないのかと周りを見回すと、味方連中も敵はどこかとキョロキョロしている。
何のことはない、モンテ砦に籠っていた敵は決して多くなかったのだ。
教会幹部連中は盛んに掛れ!行け!と発破をかけても、勝ち目がないと見えてしまったこの戦場で命をかけようという傭兵は既にいなかった。
「なんだ、もう終わりかね?物足りないな・・・」
ヤレヤレと燃焼不足気味の慶次郎は煙管を加えて、砦の正面方向に向かって歩いた。
南方の陽光は光に満ち溢れ。
港には大環艦隊が壮観な姿を見せている。
静かな波の中を粛々と進んで来る大艦隊。
「ああ、アレを見たら敵は戦闘する気も失せたのか。
まあ、悪い光景ではないな。
うん、異国までやって来た甲斐もあったかな」
上杉の旗
前田の旗
九鬼の旗
毛利の旗
「太閤殿はこうした光景が見たかったのかもしれんな。
大環勢が異国に討ち入るか。
長生きしてみるものだな・・・」
自分が一番乗りを果たしたことなど忘れて、味方艦隊の勇壮な姿に見とれていた慶次郎だった。
少し離れたギア要塞に籠ったポルトガル勢。
あっさりとモンテ砦が陥落して、しかも続々と大環艦艇から兵士が上陸してくる。
傭兵というのは勝ち戦でもないのに無理に命など賭けはしない。
カネにならないことなど意味はないのだ。
信仰の為に殉教者たれと言われても、それをそのまま実行しようという者は多くはなかった。
続々と要塞から脱走者が出て、最後まで要塞に籠って抵抗しようという者は200人程の人間だけだった。
今回は前田家にも手柄を立てさせて欲しいという、前田利家の申し出に上杉も了承した。
かくして前田家は勇躍とギア要塞に向かったのだが・・・。
高台にあって数十門の大砲を撃ちかけて来る。
地形的には面倒な場所だった。
それでも精々が200人程ともなれば力押しで十分だろう。
そう誰もが思った所に、突如魔物が出現。
グリフォンが40体程で暴れ出したのだ。
教会の息がかかった魔法師が2~3人混ざっていたらしい。
前田家お抱えの20人の魔法師だと些か苦しい戦力だった。
そこで今回も同行していた貴志の出番となった。
なんとなく慶次郎に声を掛けられて、ノンビリ異国の旅でもしようとついて来た貴志だったが最後には出番がやってきた。
この程度の敵ならと今回は牛頭、馬頭、そして児雷也の大ガマと大蛇、佐助の大猿、才蔵の大鷹といったいつもの従魔たちが召喚される。
大ガマと大蛇、大鷹にとっては餌扱い。
牛頭、馬頭、大猿にとっては扱いやすい相手。
そうした構図がどこかにあるようだ。
大ガマと大蛇はグリフォンをパクリと豪快に丸呑みする。後で魔石を回収するには、丸呑みされるのは本当に困るのだが・・・。
大鷹は空中を飛んでいるグリフォンを捕まえては、嘴でつついて専ら上半身を食べる。
鶏肉部分は旨いらしいのだ。
牛頭、馬頭、大猿連中は捕まえては引き裂く、或は面倒だとばかりに踏みつぶす。
全く相手にならないようだった。
魔石をつかっての大威力魔法ではなく、手持ちの魔石を温存しておいてむしろ敵から魔石をせしめる。
貴志一行にとっては、気楽な御務めといった感が強い。
折角のお仕事だからと大鷹が敵の大砲陣地を蹂躙。
魔物を失い、大砲を失っては要塞の守備力は激減してしまった。
かくして前田勢はギア要塞を占拠することに成功した。
結局、マカオ市街にも砲弾が落下したからソコソコの被害は生じている。
けれども、ポルトガル人達が持ち込んでいたり、溜め込んでいた財産に関しては相当部分を差し押さえることに成功している。
商人達の個人財産も商品も、ポルトガル当局の資産も、教会の資産も全部丸ごと没収である。
「文句があるなら本国に帰って、大環に攻め込んだアホな国王に言え。
まあ、お前らが帰れるのがいつなのか知らないけれど」
オランダ人に奴隷として売られて引き渡されて行った、マカオ滞在中のポルトガル人達の運命など、大環にとってはどうでもよいことだった。
かくしてマニラを占拠した大環。
ここをオランダとイギリスに租借することで、賃料収入を得ることになる。
これに関しては、家康は華帝国に通告しただけであった。
文句があるのか?といいたげな大環の使者に対して、華帝国は苦虫を噛み潰したような顔で了承したという。
さて、次回はマラッカ討ち入り編になります。
メフィストによってなんとかマラッカまで脱出していた大三郎とトリスタン。
いよいよ与楽と決戦に臨みます。
次回は、与楽vsトリスタン。
そして、与楽vsメフィストの戦いがメインになります。
乞うご期待!




