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45.第二次博多迎撃戦

 ご愛読ありがとうございます。


 博多を巡っての再対決編です。

 ドラゴンvsべヘモス。

 牛頭王、馬頭王vsクラーケン。

 グリフォンを一飲みにする大ガマ。

 またまた、怪獣大決戦のお話です。


 

 28隻のガレオン船。


 33,000の兵士。


 1,400門の大砲。


 200人の腕利き魔法師。




 この大軍勢が戦わずして、大損害を蒙る。


 ポルトガル国王から極東地域を任されているアフォンソとしては信じられない光景だった。


 まるでソドムとゴモラに降った天罰が、今や自分達の身の上に降りかかって来たかのようだ。


 あっという間にガレオン船を7隻も失い、揚陸中だった兵や大砲を一気に喪失してしまった・・・。




 アルフォンソが呆然としている間でも、ポルトガル魔法師達は有能だった。


 何故7隻しか失わなかったのか?


 魔法師達が咄嗟に障壁を作り、船を守ったからだ。


 失われた7隻からは魔法師達が出払っていたということだったのだろう。揚陸の支援の為に干潟に出ていたから船の防衛には回れなかった。



 敬虔王から派遣された魔法師の筆頭はトリスタン・ヴァス。


 彼はアルフォンソが呆然としている間にも、真面目かつ果敢に行動していた。


 大津波が落ち着いてから配下の魔法使い達に、航行可能な船には沖に逃れるように指示を下していた。

 全力で魔法を行使して海流と風を操れと。


 このお蔭で大災害とも言うべき大津波から脱した21隻のガレオン船団は、船内の荷物という荷物がバラバラに飛び立ったという以外には大きな損害はない。


 33,000人の兵士は―上陸していた者と7隻の沈没船に乗っていた者は壊滅だっただろうが―それでもまだまだ相当に兵士は各船内には残存している。


 大砲は半減しただろうが、精鋭の魔法師軍団は津波から逃れた筈だ。

 彼はアルフォンソがショック状態でただ呆然としているのをいい事に、艦隊を沖合に逃がして、艦隊各船にどれだけの戦力が残存しているのかを確認させた。


 本当なら魔法師以外の者への指揮権などないのだが、この緊急時とあっては魔法師の指示に兵士達は黙って従った。


 この場から生きて逃れることが出来るとしたなら、それは自分達ポルトガルの精鋭魔法師の活躍に依存するしかない―そう誰もが思ったのだ。


 それは当然だっただろう。


 大環側は大砲の一発も発射することなく、強大な魔法攻撃のたった一撃で自分達の艦隊を大混乱に陥れた。


 だったら、自国の魔法師達も同じことがやれるだろうという期待を、誰もがしたくもなるというものだ。


 大慌てで沖合に逃れつつ、艦隊の残存戦力を確認したところ。


 元々漕ぎ手や航法などの運用要員を含めると37,000程度の要員が28隻の船に分乗していた。


 どうやらそこから12,000人程度が失われたものらしい。


 残ったのは25,000人と700門の大砲、そして200人の精鋭魔法師。


 1/3程の戦闘要員の喪失は痛いと言えば痛い。しかし、現状の戦力というのが悲観的な物かというと悪くも無い戦力だ。


 インドや華帝国相手に、どこかの拠点を抑える位なら簡単にできる戦力だ。


 それに勇者だという波留と優人という2人は依然健在なのである。


 そうとなれば話は簡単だ。


 リベンジせねば。


 トリスタンは思う。

 栄光あるポルトガル魔法師たる者が敵に一矢も報いない訳にはいかぬ。

 憎っくき大環の魔法師共に吠えズラかかさずにおれるか!


 そうなると作戦だ。


 あれだけの備えがある場所にまともに正面から突っ込んだのが間違いだった。


 まずはコチラの使役獣達で敵の魔法師を蹴散らさねばダメだ。一般の兵士相手に戦うのは、その後でいい。


 幸いにもこちらの魔法師は精鋭集団だ。


 遠慮なくやらせて貰おうじゃいか。



「我が栄光あるポルトガル魔法団の精鋭諸君!


 初回の交戦では敵にしてやられたのは事実だ。


 しかし、我々は負け犬ではない。


 何故なら戦はこれからなのだから。


 そして最後に勝つのは我々だ。

 教王猊下には大環王国を我らの教えで教化したのだと、胸を張ってご報告しようではないか!


 さあ、諸君。


 我々の力を奴らに見せてやろうではないか!


 我らの魔導は無敵である!


 ケルベロスが!


 キュマイラが!


 グリフォンが!


 ミノタウロスが!


 クラーケンが!


 ベヒモスが!


 われらの使役獣が、敵を打倒すであろう!


 ああ、天にまします我らの父よ。


 この辺境の国を主の愛で満たしてくださいますように。


 ハレルヤ!」


 “栄光を我らに!”


 “敗北を奴らに!”


 “栄光を神の御元に”


 “教王猊下万歳”


 損害の無かったパルトガル魔法師達は意気軒高だった。


 目の前であれだけの奇跡にも似た荒業を見せつけられてしまったのだ。自分達とて無能ではないと見せつけてやらねばならぬ。


 トリスタンは未だショックに立ち尽くすアルフォンソに、頭から魔法で水をぶっかけた。


 文字通り頭を冷やす結果になったアルフォンソ。



「な、何事だ!トリスタン」



「いい加減に目を覚ませ、アルフォンソ。


 立っているだけなら、誰でも出来るぞ。


 いいか、キミはここで功績を上げずにマラッカに戻ろうものなら、役立たずの汚名を着せられて処刑されるだけだろう。


 あれだけの大軍を率いて来て、莫大な犠牲を出して、全く一矢も報いずに帰るとしたならな。


 しかし、幸いにもキミには我々がついている。栄光あるポルトガル魔法団が奴らを地獄に落してくれようぞ。


 さあ、しっかりしたまえ。指揮官はキミなのだからな」



「お、おう。そうだな、教会の腐れジジイどもは俺の地位を妬んでいやがるからな。


 あることないことデッチ上げるに違いない。


 まだ、戦は終わった訳ではない。これからが正念場だ」



「そうだ、その意気だ。アルフォンソ、大将が元気でなければ兵とて士気が上がらんからな!


 では、精鋭魔法団の精鋭たる所以を披露しようではないか。


 さあ、我が僕達よ。憎き敵を倒し、同胞達の敵討ちをせよ」



 トリスタンが胸の前でを十字をきると、海面が俄かに騒ぎ出す。


 猛烈な渦が3個発生する。


 やがて、その渦は博多湾方面へと移動して行く・・・。








 その頃の博多守備軍はというと、戦場の後始末に追われていた。


 如何せん大量の溺死者である。


 このまま放置しておいて、陸に打ち上げられて朽ち果てるようではよからぬ病が生じてしまうかもしれない。


 回収できる遺体は回収して、燃やしてしまった方が良い。


 そうした作業に兵士を動員。小舟に乗せて遺体の回収作業に従事させていたのだ。


 ついでに、転覆して漂流していたガレオン船も、浜に回収して。


 再度のポルトガルの侵攻があるかどうかについては、来たら遠慮なくやらせてもらう。


 このまま逃げ去るとしても、これから出撃するマカオ攻略部隊には十分に掩護をしたことになる筈だ。敵の3割程は死んでいるのだから。


 手柄を立てそびれた兵達は再度の侵攻を願っているが、面倒だからもういいやと言う者もいる。


 要するに緊張感が緩んだ状態になり始めていたのだ。


「急報!博多軍に通達。ポルトガル軍が再度侵攻の模様。


 敵艦隊、一斉に回頭せり。


 なお、敵艦隊の前方に謎の渦巻きが3個発生し移動中なり」


 哨戒活動にあたっていた魔法師からの緊急連絡だった。

 この報に接した井伊。

 少し悩んでから貴志に指示を出した。


「さて、今一度やる気か。今度は何か仕込んでいるようだが。


 はて、何が来るのやら。同じ手は使えぬとするなら、こちらも本腰をいれてやるかのう。


 出雲よ、お前達の大猿や大鷹、ガマを用意せい」


「リョーカイです。派手にやりますか!」


「合点」


「おう」


「やりますか!」


 かくして、謎の渦巻きが博多湾に達する頃には、30mの大猿と大ガマが地上に控え、上空には翼長40mの大鷹が悠然と舞っていたのである。


 それだけではない、富士の演習場で鍛えられた者の中にも召喚術を使う者がいる。


 そうした者達が召喚したワイバーン集団が大鷹に従う様に飛んでいたのである。


 想像して頂きたい。


 翼長40mの大鷹が翼長15mのワイバーンを100以上も従えて悠然と飛行している姿を。


 博多にいる防衛部隊は勇気100倍である。


 先日は脅威の魔法による大津波であったが、今回はもう問答無用の力押して行くらしい。


 地上と上空に溢れる巨大な影を見て、敵に対して怯える者など1人もいなかったのである。





 やがて、博多湾に姿をみせた大渦巻。


 そこからずっと距離を取ってポルトガル艦隊が続いている。


 どうやら先に渦巻きにひと仕事させるつもりのような気配である。


 渦巻はそのまま浜辺に一直線に迫って行く。


 大鷹やワイバーンでは渦に飛び込む訳にはいかない。猿やガマでも到底泳ぎ切れるものではない。


 ジリジリと接近してくる渦。


 やがて、その中心部からのっぺりとした丸い形がチラチラと見えて来た。


 表面はヌルヌルしていて、妙に凸凹としている。


 そして、赤黒い色だった。


「なあ、あれはタコか?」


「10万人でも茹蛸食べ放題?」


「いや、俺はタコ焼き食べ放題を希望したい」


「テンプラにしてもおいしい。タコは良い、早く来い」


 トリスタンが聞いていたなら涙して悔しがっただろう。彼のご自慢の切り札を、単なるおかず扱いにするような魔法師が大環にはいるのであった。


 常日頃の無理が祟って、おつむのネジが完全にどこかに行ってしまったような連中が集まっている部隊がこの国には存在していた。


 以前の部隊の総力を挙げた戦いはたったの30人で万余の敵と戦った物だけれど、今度は味方の魔法師だけでも千を超える勢力である。


 少々のことがあっても何とでもなるだろう。

 “無理”と書いて“あたりまえ”と読む。そう評された連中なのだ。


 そうは言ってもトリスタンご自慢のクラーケンである。頭の天辺から足の先までで50mはタップリあるという怪物である。


 ご丁寧にそれが3匹も、ウネウネとしながら浜辺に上陸せんとしてくる。


 カエルというものに表情を見出すことは難しいだろう。


 猿なら感情を顔に出す。


 そして、大ガマと大猿は揃って嫌そうな顔をした。


 正しくは、大ガマはそっぽを向いて地面を掘り出した。

 大猿は露骨に“けっ”と言って、後ろを向いたのである。


 上空にいた大鷹やワイバーンは降下する気配すら見せていない。


「こら、真面目にやらんか!」


「大猿よ、掛れ!」


 児雷也と佐助が命じても、ガマは穴を掘る、猿は座り込んでイヤイヤと首を横に振る。


 鷹は声が聞こえない振りをするだろうことが丸わかりなので、才三は声すらかけなかった。


「猿とガマは後で説教な。


 覚えていろよ、お前ら。ドラゴンから説教させるからな!


 急々如律令、牛頭王、馬頭王、土蜘蛛ども疾く来たれ!」


 身長30mの牛頭王と馬頭王。


 全長40mの蜘蛛集団が俄かに召喚される。おおよそ30匹ほどだろうか。


 幸いにして牛頭と馬頭は戦闘に飢えていたようだったから、喜び勇んで飛びかかって行った。


 土蜘蛛も飢えていたようだった、餌に・・・。


 土蜘蛛は集団で一匹のタコに襲いかかった。


 タコも黙って襲われてはいない、蜘蛛を掴んで噛みつき攻撃に出る。


 しかし、蜘蛛は多勢だったから、遠慮なく頭からガツガツとタコに食らいつく。


 タコは堪らんと言いたげに、片っ端から蜘蛛を捕まえるのだが腕の数よりも蜘蛛は多かった。


 タコはたちどころに頭を食い破られてしまう。


 それどころか腕で捕えたつもりの蜘蛛はそのまま、構わずに腕を食い始める始末!


 喰らいついてから3分もしないうちに、一匹のタコは蜘蛛の胃袋に消えて行った。


「蜘蛛に“俺達の”タコを食われた・・・」


「あの蜘蛛は食いたくない」


「牛と馬はタコを食わないで欲しい」


 戦闘が始まっても一向に動じない隊員達。


 逞しいと称すべきなのか。神経が大丈夫なのか心配してあげるべきなのか。


 願いが通じたのか?


 牛頭王と馬頭王はタコ―失礼、クラーケンに喰らいつきはしなかった。彼らはクラーケンの腕を引きちぎってはブン投げた。


「足、一本ゲット。あれでも100人位で楽しめる」


「ちょっと、回収してくる・・・」


「だーっ、終わるまで待て」ガマにブチ切れた児雷也は機嫌が悪かったようだ。



 牛頭と馬頭はクラーケンを踏みつけて押さえつけてから、近くにある腕を引っ張る。


 クラーケンと蜘蛛は悲鳴を上げたりしないから、精々地面が震動する程度の静かな戦いだった。


 これが牛頭王と馬頭王になると、彼らは引きちぎる時には気合を込めて叫び声を上げる。


 “ウゴッ”であったり、“んがっ”といういかにも力を込めていますという感じだ。


 性格のなせる技なのか、地道に一本づつ腕を引きちぎっていった。


 そして、全ての腕を引きちぎってダルマのようにクラーケンが手も足も出なくなった所で、彼らは消えて行った。


「おお、タコ2匹ゲット」


「今晩はタコ尽くし」


「小隊長殿、回収急ぎます!」


「何でこういう時だけは、やる気なんだよなあ・・・」





 ご自慢の切り札を失ってトリスタンは激怒した。


 噂のドラゴンならいざ知らず、蜘蛛とミノタウロス―西洋人には牛頭ではなくミノタウロスと認識される―にクラーケンがしてやられるのは想定外だった。


「諸君!出し惜しみは無しだ。


 全力で召喚獣をぶつけようではないか。


 いざ、勝負の時ぞ!」




 自称、ポルトガルの精鋭魔法団は確かに腕利きであったようだ。


 ケルベロス、キュマイラ、グリフォン、ミノタウロスといったお馴染みのメンツが、ゾロゾロと召喚されて登場してきた。


 200人からの魔法師集団が各自200近い勢いで召喚した模様だ。


 海と空は実に多くの魔物で溢れかえっている。


 それに古都や島原に現れたキュマイラには翼は無かったが、本場のキュマイラには猛禽類のような立派な翼が生えている。


 魔物が空に溢れかえったのはグリフォンに加えて、キュマイラも飛んでいるのが原因だ。


 海を猛烈な勢いで泳いでいるのはケルベロスとミノタウロス。


 しかし、ミノタウロスはやがて足が届くようになったのか、立ち上がって走って海をかき分けている。


 そして、このモンスター集団の後方にはひときわ巨大な塊が存在している。


 褐色の塊という形容が相応しいだろうか。


 それとも角とウロコを持った全長200mを超えるような巨大なカバとでも形容すべきか。


 大環の人間には未知の怪物。


 西洋人にはベヒモスと呼ばれる極め付きの巨獣である。


 ベヒモスが移動した後は海水がかき分けられて、左右方向には巨大な波が生まれて行く。


 ガレオン船団が距離を取っていたのは、この影響圏内に入らない為だったのだろう。




 この集団を見た児雷也、すかさず指示を出す。


「お頭はデカブツの始末をお願いします。小隊長ではあれは無理です。


 あと、レキュアとシェイラもお借りします。


 正面は某が受け持ちます。


 レキュアとシェイラは右半分を受け持ってくれ。


 才蔵と佐助は左半分だ。


 それぞれに、魔法師集団を指揮してくれ。


 範囲は状況に応じて、巧いことやってくれ、柔軟に頼む。


 王国軍及び各大名家の魔法師に告ぐ。


 全魔法師は我ら魔物追討軍の指揮に従え!


 今の時点を以って、指揮権は出雲2位大将閣下が掌握するものである」


 “おうっ”


 “承知”


 “合点”


 “イザ参らん”


 “ワシら年寄りにもやらせてもらうぞ!”


 配下になるのは富士の演習場で鍛えた連中が大半だ。


 研究職の連中とて魔法学校には出入りしているから、小隊長連中とは顔をあわせているような人間が多い。


 有事に際して、児雷也が音頭を取ることに異を唱えるものはいなかった。


 本来、こうした指揮は貴志が取るべきなのだが・・・。


 本人はベヒモスを見るなり70mの桜色ドラゴンを召喚して、さっさと飛んで行かせていたのだ。


 貴志が既に周囲のことなど眼中にないと見て取った児雷也が、咄嗟に全体の指揮を執らざるを得ないと判断したのである。


 万余の魔物と対峙することには、亀田以降完全に神経が麻痺している児雷也一党である。


 かねてから博多湾全域を区分けしておいて、どこにどの部隊が配置されるのかという点は訓練済みだ。


 おおよその位置関係を上から俯瞰するなら。




         ポルトガル艦隊




            べヘモス


   ケルベロス集団       ケルベロス集団


 ミノタウロス  ミノタウロス  ミノタウロス


 ↑海上

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ↓陸地



 大猿    大ガマ/大蛇


 佐助   才蔵   児雷也   レキュア   シェイラ



 上空にはグリフォンとキュマイラ。そして、大鷹とワイバーンが大挙して対峙している。


 小隊長とレキュア/シェイラの下にはそれぞれ400人近い魔法師が従っている。


 なお、敵前逃亡を図ろうとした大ガマへの督戦及び監視要員兼追加戦力として、児雷也は40m近い大蛇を追加召喚している。

 蛇に睨まれたカエルは、否応なく戦う姿勢を見せている。


 島原以来のミノタウロスを前にした、佐助の大猿は俄然やる気を見せている。

 前回は勝利したと言っても、散々な苦戦の末の勝利だった。

 今度はすっきりと落とし前を着ける気満々という顔をしている。



 さて、この大一番。


 開戦の幕を切って落としたのはドラゴンブレスだった。


 小隊長と側室が配置に散って行くや否や、問答無用で敵の正面からべヘモスに対して一発かましたのである。


 強烈な火炎の柱が大環勢上空から、海上のベヒモスに放たれる。


 その射線軸上にいたグリフォンとキュマイラ15~16近くを一瞬で消し去りながら、ドラゴンブレスはベヒモスに命中。


 ・・・するかにも見えたのだが、命中寸前にベヒモスの角から発せられた謎の光線がドラゴンブレスと正面からぶつかった。


 このドラゴンブレスと光線の激突で生じた猛烈な爆発で、周囲を進撃中だったケルベロスにも多少の被害が生じた。


 “キュアアッ”


 “グアアッ”


 お互いを牽制しあう巨獣達。


 お互いが不倶戴天の怨敵同士と悟ったのだろうか。鋭い視線で睨みあい、叫び声で牽制しあっている。


 空を飛べるドラゴンは機動性では優位に立つ。


 だから、自軍の陣地から一気に離れて、高度を取ってから急降下しつつのドラゴンブレスの連発。


 それも左右、前後に高速で移動しつつの攻撃だ。


 ベヒモスも迎撃すべく光線を放つが、ドラゴンの移動速度を追随するのは困難だったようだ。


 ドラゴンのいい攻撃が何発か、ベヒモスに入った。


 それでもさすがの巨体だった。痛々しい傷を負ったが、それで戦闘力を失うという事でもない様子。


 逆にベヒモスは怒り狂ったように暴れ回る、それでドラゴンの追撃射撃は命中し難くなっている。至近弾でもそこそこのダメージは重なるようだが。


 ドラゴンが高速機動するお蔭で、グリフォンとキュマイラはオチオチ飛んでいられなくなった。


 高度を下げるか、さっさと上陸するしかなかったのだ。

 大鷹とワイバーンもそれは同じことなのだが、彼らはドラゴンの戦況が落ち着くまでは高度を取って静観を決め込んでいる。戦いに割って入ることなど無理だと察していたのだ。


 グリフォンとキュマイラ集団は、ミノタウロスよりも先に上陸することになった。

 この集団を歓迎したのは、大猿と大ガマに大蛇。


 ここで以外な活躍を見せたのは大ガマだった。


 長い舌をシュッと飛ばすと、サッとグリフォンを捕えてパクリと食べてしまう!


 タコは巨大すぎて口に入らなかったが、グリフォンやキュマイラなら一口でパクッといける。


 陸地に降り立ったグリフォンとキュマイラを楽しそうに追い回してはパクリ!実に活き活きとジャンプしてはパクリを繰り返す。

 腹一杯になると、ペッと死体を吐き出して。それからまた新鮮な餌を求めてパクリ。

 口に入るサイズのもので、動くものなら何でも食べるのかもしれない・・・。


 監視対象のカエルが真面目に働いているのに安心して?なのか、大蛇もケルベロスに近寄っては尻尾で叩いて大人しくさせてから丸呑み。

 実にダイナミックな食事を披露し始めた・・・。



 次回も怪獣大決戦の続きになります。

 ドラゴンvsべヘモスの決着。

 人間vsモンスター。

 そして、貴志vs波留、優人戦といった辺りの予定です。

 乞う、ご期待!

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