38.勇者の召喚
ご愛読ありがとうございます
やっとタイトル通りの勇者登場です。
主人公の割には登場が遅かった・・・。
家康が華帝国水軍を降し、貢鮮王国を滅ぼした。
アジアの片隅で起きたこの事件。
ポルトガルの「敬虔王」ことジョアン3世の元にも報告は行われていた。
彼は自らの信仰に生きる男である。勿論、王としての務めである国益確保を怠る気は毛頭ないのだが、それでも異教徒の国に対しては布教させねばならぬという強い信念がある。
そして、教王陛下に東洋に布教することを誓っている身の上でもある。
彼の手配により、信長治世下の大環にフランシスコ・ザビエルがやって来たのだ。
しかし、結果的には大環王国では布教を禁じられていることに苛立ちを覚えていた。
華帝国では一定の影響力を持てるようになってきた。
辺境の貢鮮なる地でも、どうやら信仰心が芽生え始めたというのに!
それなのに、大環でだけは頑なに拒絶されている。
アジアの他の土地では正しい信仰が受け入れられるというのに。
彼はまだ13才の娘ベアトリスに希望を託す決意を固めた。
彼女は敬虔な信仰者であり特殊な能力を神より与えられている。
時空を超えて神々の領域より御使いをお呼び奉る秘奥。
それを使えば自身の命は若くして散らすことになるという、文字通り命懸けの大業である。
彼女は幼い頃から魔法の素養を見せ。教会で修業した結果として、様々な奇跡とも思える御業を可能にしてきた。
このままであれば彼女はポルトガルに大いなる繁栄をもたらしてくれる筈だ。
しかし、今となっては遥か海の彼方で立ち塞がる魔王がいる。
大環王国では邪竜を使いこなして、華帝国の大艦隊を滅ぼしたという。
そして貢鮮国の大いに栄えた都をも、邪竜は一瞬で灰燼と化したのだという。
邪竜を従える魔王。
そんな存在を放置していては、この世界の秩序が壊れてしまうではないか。
神のお恵みで人は魔法を手に入れた。
しかし、そうした魔法を使う者など構うことなく皆殺しにしてしまう魔王。
魔法に対抗するには、普通の人間では無理だ。
かの魔王は邪竜を殺して従わせるのだという。並の人間に邪竜殺しなど出来る訳があるまい。
そんなことが出来るのは悪魔か、神の使いくらいしかあるまい。
異教徒どもが神の使いな訳が無い。
しかるに彼の者は悪魔に違いないのだ。
邪竜を殺し、甦らせて使役する。正に魔王の所業ではないか!
かような魔王に守護されている異教徒の国など放置しては置けぬ。
そうなのだ、神のお力に頼る他にあるまい。
神々の世界より天の使いを及び奉り、その神威を以って魔王を打ち払うべし!
敬虔王ジョアン3世は教王パウル3世に手紙を出した。
娘の命と引き換えに天の使いを召喚し、大環の魔王を討伐する許可を求めたのである。
パウル3世は神使の御世話役として、配下の救世騎士団の精鋭3名を送り、その答えとした。
かくして、新月の夜に儀式は執り行われた。
王宮の地下。
燭台の明かりだけを頼りにベアトリスは必死に魔法陣を書いている。
召喚が出来るのは新月の真夜中の12時丁度だけである。
魔法陣は召喚の当日に描かねばならないという制約だった。
なんとか複雑な魔法陣を用意せねばならぬ。
しかも、誰の手助けもなしに召喚者ベアトリス本人たった1人の力で。
少女はアジアの片隅で魔王が邪竜を率いて外国に攻め込んで人間を殺し回っている。魔王を倒せるのは神の使いのみ。それを神々の世界から召喚できるのはベアトリスのみと聞かされて俄然やる気になった。
自分の命が短く散っても構わない。
自分が世の中の為になるのならそれで十分だと考えたのである。
疲れ果ててフラフラになる頃にようやくと、魔法陣は完成した。
後は12時丁度に詠唱して、魔法陣を起動させればいい。
侍従たちに1時間前の11時になったら起こすように言い付けて、彼女は仮眠を取ることにした。
「・・・姫。お時間です」
ベアトリスに声を掛けたのは幼い頃からの世話係である。
今日でお別れになってしまうのかもしれないと、彼女の目には動揺が浮かんでいる。
「ありがとう、いよいよね。私、頑張らなきゃ」
ニッコリと笑顔を向ける。下々の者にも心遣いできるような育ち方をしている姫君なのだ。
準備万端に身支度をして。
予定時間の5分前と言われて位置について詠唱用意。
3分前、2分前・・・。
「聖なる者は聖なることを、
義なる者は義を、
穢れし者は穢れを、
不実なる者は不実を為せ。
天に父はいませり、すぐに来たれり。
ああ、天にまします父よ。
我らに生命の木を!
子羊の代わりに、今この我が身を捧げます。
アレルヤ!」
そして、魔法陣は輝き出す。
複雑な文様は立体的に浮き上がる。
暗い地下室を魔法陣の光は昼のように照らし出す。
やがて、魔法陣から鐘の音が聞こえてくる。
ゴーン、ゴーンという響き。
鐘の音が止むと、地面から巨大な扉がせせり出て来る。
扉には書かれている。
ノックせよ、さらば開かれん。
ベアトリスは、ドアを叩いた。
すると、光の玉が一つ。
彼女は更にノックする。更に光の玉が飛び出す。
都合、6回程これを繰り返した。
今や立体的になっている魔法陣の中に浮かぶ6個の光の玉。
「ああ、父よ!偉大なる父よ、私達に希望を与えてください。
いまこそ勇者のご降臨をエイメン・・・」
光の玉は砕けて、人の形になって行く。
最初は朧げに、しかし、徐々に人間らしい輪郭になり。
そして、明確に人間の姿に変わっている。
魔法陣の光の中にいるのは、3人の男と3人の女。
彼らは着衣を付けていない。
そして、一様に非常に驚いた表情をしている。
彼らの姿がはっきりすると、魔法陣の光は消えて行った。
やがて、元の燭台だけの薄暗い地下室に戻っていた。
「なんだ、こ、ここはどこ?」
「暗い・・・」
「いやっ、見ないで」
「キャーッ、何で裸なの!」
「だー、何だってんだ」
「うう、裸見られた・・・」
「ん、王女レベル10。
スキル;魔法-地Lv27・水Lv33・風Lv29・火Lv31・空Lv65。
礼儀作法、礼拝、料理・・・。
なんだ、このヒト??」
「アレ、俺は勇者レベル1だって、なんだ?」
「私も、勇者レベル1?」
「お、俺も勇者レベル1・・・」
「わたしも勇者1?」
「ボクも勇者者レベル1・・・」
「私だって、勇者レベル1。
・・・じゃあなくて、何で裸なのよ、ここどこなの!」
「ううっ、コッチ見んな!アッチ向け」
「いや、御免。だって目の前に・・・」
「スケベ!!」
「・・・あの~。皆様は神の使いの勇者様で宜しいでしょうか?」
「へっ、神?」
「別に使いじゃねえよ」
「勇者ポイ何か?」
「?」
「ねえ、ここどこ?」
「勇者って?」
「ここでは落ち着きませんから、こちらを着て頂いて。
わたくしのお部屋までどうぞ」
「ほんとに王女っぽい?」
「これって、ゲームかラノベのアレか?」
「ええっと、帰るには魔王を倒さないとダメとかいう奴?」
「ハイッ。皆様には邪竜使いの魔王を是非倒して頂きたいのです!」
「俺って、夢見てんのか」
「きっと僕もだね」
いかにも貴族風な衣装を与えられて、王女に従って歩く6人の一行。
やがて、広く豪華な部屋に通された。
「はじめまして皆さま。
わたくしは、ポルトガル王ジョアン3世の娘ベアトリス・アヴィス・ベージャと申します。
アジアの辺境で魔王が他国に侵攻して邪竜を使役して、街々を焼き払っております。
魔王相手には我々人の子の分際では太刀打ちできません。
そこで、天におられる我らの父に救済を願い致しましたの。
何卒、魔王殺しの勇者様をご降臨賜りますようにと。
無事に皆さまにご降臨頂けました。
わたしの命を代償にしましたけれど、成功してなによりです」
まだ、13才の少女が感極まって泣いている。それも、命を代償にと物騒なことまで言い出した。
「・・・んー。ドコから突っ込んでいいのかな。
まず、ここはポルトガルでいいのか?
そんで、魔王とやらを倒せとゲームみたいなことしろと」
「はい、ここはポルトガルに相違ありません。
それでゲーム?とは何でしょうか」
「ああ、そこはスルーで」
「何故、ポルトガルの人がアジアの心配しているの?凄く遠いのじゃないかな?」
「このままではいずれ世界が滅んでしまいます。魔王は国を灰燼と化すまで焼き払っているのです」
「えっと、今はいつなのだろう?西暦とか分かるかな」
「生誕歴1550年です」
「きっと、ポルトガルやスペインが世界制覇している時代よね。
アジアの辺境ってどこの国の事かしら?」
「ダイワという国です。そこに魔王がいます」
「ダイワって、大和かな。大和朝廷でも残っているのかな」
「そうかも・・・。
要するに、ここってパラレルワールドなんだ・・・。」
「“ぱられるわーるど”とはなんでしょうか?」
「私達のいた世界の過去ではない、全く別の知らない世界の過去に私達は来ちゃったみたいね」
「皆さまの別世界の過去?」
「そうね、違う世界だけれど。私達の世界にはダイワなんて国はなかったから」
「私達は元の世界に戻れるの?」
「伝承によれば、魔王を打倒せば戻ると・・・」
「はあ、街を丸ごと焼く奴を倒せってのか?」
「勇者召喚された方なら、強力無比の魔法を使える筈です!」
「でも、レベル1だし」
「“れべる”ですか?それは一体」
「強さの尺度みたいなものかな、長さや重さの単位みたいなものさ」
「それが低いのですか?」
「多分、鍛えないと駄目なんだろうなあ」
「なんだかさ、戦う事が前提になってないか?ホントにやるのかよ」
「倒さないと帰れない。この時代は近世位の筈だから不便」
「そうねえ、それに私達って異分子よね。この世界にはいない方が良いわね」
「はあ、本気かよ・・・」
「ねえ、お姫様が自己紹介してくれたから、私達も自己紹介くらいしないと駄目じゃないかしら。
私は、金子神楽耶。16才。
ジョブは勇者で、空魔法、洞察、策略、統率、言語理解ってスキルがあるわ」
一見すると黒髪にも見えるような濃い茶色の長い髪を横分けにして、髪留めで止めて。
佇まいは純和風という印象をあたえる少女だ。
どうやら、この集団の仕切り役でもあるらしい。
「俺は、佐々木大三郎。16才。
勇者で、スキルは剣術、槍術、格闘、飛行魔法、神剣/神槍召喚、言語理解がある」
彼は、鍛えられた頑丈そうな体をしている。長い間、剣道をやっているのである。
頭を短く刈っていて、いかにもスポーツマンという佇まいを見せている。
「俺、斉藤波留。16才。
やっぱり勇者で、大三郎と同じでスキルは剣術、槍術、格闘、飛行魔法、神剣/神槍召喚、言語理解だな」
長い髪を派手な茶色に染めて、チャラチャラした印象を与える少年だ。
全体に細い印象を与える。
「私は、三鷹りお。16才。
私も勇者で、同じく剣術、槍術、格闘、飛行魔法、神剣/神槍召喚、言語理解ね」
長い茶色の髪を真ん中から分けている美少女。
彼女はサーファーで、それなりに競技経験を持っている。
その為か、バランスの良いカッコよさのあるプロポーションをしている。
「ボクは、相良優人。16才。
勇者だけれど、スキルは魔法-地、水、風、火、空。それと言語理解。これは戦士や剣士って言うよりも魔法使いっていうことかな」
優しそうな小柄の少年である。
肩にかかるような髪なので、普段着だと女の子に間違えられることもある。
街中でナンパされることも。
「井上樹里。16才。優人と同じスキル」
彼女はフランス人の血が混じるクオーター。幼い頃からフランス暮らしで、2年前に来日。
日本語に馴染めず口数少なめになってしまった。
金髪ではないが、かなり明るい金属光沢の茶色の髪。フランス系の血が色濃いらしく、プロポーションは素晴らしい。
「まあ、ご丁寧にありごとうございます。皆様お友達でいらっしゃるのですか?」
「そうのなの。樹里を除いては同じ学校に10年近く通っているわ。樹里は2年前に転校してきたのよ。もう、すっかり馴染んでいるけれど。
それで、この世界の事を教えてほしいのだけれど」
「その件に関しては、私共からお話させて頂きたいと存します。宜しいですね。」
「ええっと、皆さんは?」
「教王猊下直属の救世騎士団より派遣されております。
私どもは、勇者様ご一行のお世話役を仰せつかっておりますので、お見知りおきを願います。
わたくしはアトス。こちらはボルトス。彼はアラミスです。
勇者の皆さまの訓練や講義も担当いたします、明日から訓練と講義をいたします」
「ねえ、3銃士かな?」
「そうかもね・・・」
「ダルタニアンはいるのかな?」
「ほう、我々が3銃士とご存知とは流石は天の御使い方ですな。ダルタニアンめは遠征中にござる」
「・・・ホントにいたんだね」
この一月後。
王女ベアトリスは突然体調を崩し、そのまま世を去った。
王女の葬儀の席上、敬虔王ジョアン3世は宣言した。
東洋で猛威を振るう魔王を討伐すると。
娘が自らの命を代償に魔王殺しの勇者の召喚を神に祈り、見事に勇者が当地に召喚されたことを。
彼ら6人こそが大環の邪竜を屠り、魔王を打倒して、真の信仰を世界に広める者達であると。
「なんだかさ、魔王倒して元の世界に戻ろうというのが、信仰を広げろって話に替わってないか?」
「そうね、ポルトガルとスペインの競争にイギリスやオランダも絡んできて国王も大変なんでしょうね。
教王を味方にしたくて、信仰をお題目にしてるのかな。
この世界でもプロテスタントがいて、教王の権威が絶対とも言えないみたいだし。国王と教王は持ちつ持たれつという所かしらね」
「神楽耶凄いわね、それが洞察スキルなのかな。
でもね、私達って元の世界に戻りたいなら魔王を倒さないと駄目。それと信仰云々なんて全然関係ないわよね」
「どちらかというと、ポルトガルの事情に勝手に巻き込まれただけの被害者?」
「洞察というよりも歴史の知識の延長でしょうね。
樹里の言う通り、私達は巻き込まれただけよ。元の世界で教会に行ったことがあるのは、樹里くらいでしょうしね。
西洋諸国がアフリカやアメリカ植民地にして、アジアにも侵略しているのは間違いないわ。
私達からすると宗教なんてお題目にしか見えないわよね。
侵略戦争のお先棒を担がされるのは嫌だけれど、元の世界に帰りたいの本音よねえ」
「俺は醤油や味噌が恋しいよ。ここの米は不味いし・・・」
「あっ、ボクもソレは思う。ラーメンも食べたいし」
「私は牛丼が食べたい」
「りおは肉食系?でも、確かに食事には困る」
「でもさ、考えようによっては日本が鎖国しないで貿易とかジャンジャンやったら、儲かっていいんじゃね?」
「日本ではなく大環ね。
家康の時代の話よ。原油や鉱物資源なんて輸入して来る必要なんてないわ。
私達の時代なら穀物に肉や鉱物資源の大量輸入が必要でしょうけれど、この近世めいた時代なら、人口だって少ないから自給自足でも十分だったでしょうし、技術水準にしても原油を使いこなすとも思えないわ。
そもそも、自分達では相手を倒せないから、別世界から応援を呼ぶというあたりでダメだと思うわね」
「そうね。ポルトガル軍では倒せないという時点でダメダメよ!」
「でもよ、グローバル化とかいうじゃんか。TPPが大切だって新聞に出てるし」
「馬鹿ね、斉藤。
国内でモノを作らずに外国から輸入するなら国内産業が育たない。
国内で雇用が無いか、賃金が安くなるだけ。それでは国民は困るだけ。
この世界と同じ構造。
アフリカから原価無料の奴隷労働者を集めてきて、土地代無料のアメリカで農業をやらせる。それを売っておカネを稼ぐ。
なんとなくポルトガルが大儲けしているように見えても、植民地が独立してしまえばそれきり。
ポルトガル国内では大した産業がないから、PIGSなんて言われるのよ。
ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペイン。全部かつての覇権国家が、破綻国家になってしまう。
今でこそ勢いのあるポルトガルやスペインなんて、私達の時代じゃどうしようもない国よ」
「でも、日本って貿易立国なんじゃないの?」
「違うわよ、大三郎。
高度成長期なんて貿易依存度なんて低いものよ。
日本は国内投資をやって、国内需要を高めた国。
内需が無い国とは違うものよ」
「絶対にそれはスキルだと思うけど、金子さんって勇者じゃなくて賢者だよね。
大三郎、波留、三鷹さんが勇者で、ボクと井上さんが魔法使い。
賢者が金子さんっていうパーティ」
「そうかもね。
でもね、魔王って言ってもポルトガルや教王の立場からすると魔王だということで、大環からすると彼こそが勇者なのかもしれないわ。
勝手に宗教を押し売りしに来る奴を倒しているのだし」
「でもさ。
外国に行って街を焼いたっていうじゃんか」
「本当の所は分からないわ。
もし、簡単に外国に侵略できるのなら、何故大環という国は植民地を持たないのかしら?
魔王がいて無双ができるのなら、とっくに中国大陸を制覇して、ASEAN諸国附近だって自由にできそうよ。
でも、実際にはポルトガルやオランダがアジアに勢力を張っている。
おかしい話よ」
「ねえ、神楽耶。
私達って戦争の道具なのかな?」
「現在の所、その通りね。
侵略したい相手に強敵がいたから召喚されただけよ。
あるいは、魔王と言われている存在も、大環側が侵略に対処する為に召喚した勇者なのかもしれないわ」
「なんか、嫌になる」
「目標は元の世界に戻ることよ。私達がこの世界で戦争をすることなんかじゃない。
それだけはしっかりと覚えておきましょう」
余りに暗い空気を読んだのか、大三郎は話題を変えることにした。
「生臭い戦争の世界とちゃんとファンタジーの世界が混ざっているのが、この世界の不思議だよなあ。
話は変わるけれど、銃士のオジサン達が明日からダンジョンに入れとか言ってたよね。
騎士団の連中に勝てても、勇者レベル10じゃ魔王に勝てない言ったら目の色変えていたよな」
「そうね。この1ヶ月で騎士団の相手くらいは簡単になったけれど、魔王と対峙するならレベル不足よね」
「ダンジョンの資料が来てたよね」
「確認されているのが50層まで。
確認されているモンスターとして、
吸血蝙蝠、メガ・マンティス、スピード・スパイダー。
ゴブリン、オーク、オーガ。
ホーンド・ボア、レッド・タイガー。
セイレーン、ハーピイ。
ケルベロス、キュマイラ、ミノタウロス。
一杯、いるわけね。
50層から先もあるらしいけれど、今のところ未踏・・・」
「ダンジョンでミノタウロスか。
如何にもって感じだよね。ファンタジー万歳!」
「怪我しても魔法で大抵のモノは治るけれど、死んだらそれきり。
腕や足が取れても、また生やせばいい。でも、死ぬのはダメね」
「そういう事。
こういう冒険ならワクワクしていいよな」
「派手に暴れてもいいのは気楽よね」
「フォーメーションは、大三郎と波留がフォワード。
優人と私は2人で火力支援要員。
りおと樹里で後方警戒ね」
次回は勇者一行がダンジョンで冒険する回になります。
生臭いお話の次はファンタジー回です。
乞う、ご期待です。