表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/57

16.島原の乱戦

 ご愛読ありがとうございます。

 いよいよ怪獣大戦争状態に入ります。この先は第24話まで延々と怪獣退治するようなお話が続きます。延々と訓練風景を描いていましたが、それが発揮されて来る展開になります。

 魔法があるから鉄砲や大砲が発達しなかった世界の戦争。どんな物なのかお楽しみください。


 反乱軍側が浮足だって、崩れになりそうな場所に対して敵側がモンスターを少数単位で投入してくる。


 ケルペロス2~3体で、こちらの進攻の阻止行動をさせるという使い方だ。

 しかし、少数投入は悪手で少数相手なら10人組の対魔獣部隊が楽々仕留められる。


 既にそうしたことが可能な要員が400人以上も同時に投入されている。


 モンスターで勝負するのなら、一気に大量投入すべきなのです。

 正面なり裏なりに、一カ所にまとめて一気に掛らせる。それをやらないのなら、有効なモンスター運用ではないな。


 外国ではこんな風に少数で運用するのが普通なのだろか。

 怪しい伴天連は召喚術だけ教えて、戦術までは教えなかったのだろうか。


 あるいは出し惜しみしておいて、こちらの本陣に対して主力を全力で投入して戦局の打開を図るか。


 案外と単純な話で、向こうさんはこちら側で対魔獣戦に手慣れた要員をそれなりに揃えていることを知らないのかもしれない。

 もし、ケルペロスやキュマイラを相手にできる戦闘要員が少数しかないとなれば、今の向こうの戦術は悪くないのかもしれぬ。

 現実にはそぐわない話だけれど、外国産の魔物に自信があったのかも。


 本陣では俺と配下がやること無いので暇している。

 どこかから救援要請があれば分派するつもりで待機しているのだけれど、一向に救援要請が来ない。

 生徒を熱心に鍛えすぎたかな。

 富士でベソかいていた連中が、今や精鋭部隊として最前線で暴れまわっている。


 暇していたら、少しは敵さんもやる気になったか。

 グリフォンに槍を持った騎士が騎乗しているのが40騎程こちらに向かってくる。

 槍は魔法付与されていて地上に雷撃をかましながらの進撃。

 でもなあ、俺直下の部隊になら4千騎位で来るのが筋じゃないかな。


「ワイバーンの魔石を使用してヨシ、さっさと仕留めろ!」


「待ってました、お頭様!それ野郎ども、後れをとるんじゃないぞ」


 児雷也が楽しそうだ。

 自身の魔力を使わない大出力魔法は、実際にぶっ放すと楽しいのです。

 全く本人は疲れないけれど、ひたすら派手なデカイ魔法が使えるのは癖になりそうな気分。

 ワイバーンやティラノの魔石は高価だけれど、俺達は訓練初日に自分達で獲りに行くからカネかけてない。


「一番隊、敵の先頭を狙え。

 二番隊、敵左翼。三番隊、敵右翼。

 いいか、一発では落とせんだろう。墜ちるまで撃ち続けるぞ。

 魔石を使い切るつもりで行け!」


 児雷也ノリノリだな。

 コッチに来てからは訓練生をシゴク訳でもなく、暇を持て余していたからやっと来た出番にやる気満々という感じ。

 他の隊員一同もすっかりやる気だ。



「撃ち方はじめ!」


「シャアアッ!」

「うりゃあ」

「だっしゃ」

「せやっ」


 うーん、今度掛け声を統一しておいた方がいいかな。

 ノリノリで隊員達が放つ大規模雷撃と大型火球魔法。


 ワイバーンやティラノの魔石を使った魔法だと一発で直径50m範囲くらいは盛大に吹き飛ぶ。

 その一発の直撃を食らうと騎乗している騎士はコゲコゲで炭と化す。

 ただ、グリフォンはなんとか踏ん張る。


 魔石一つで、それを10発くらい撃てるので、隊員達は遠慮なく連発する。

 数発食らうとグリフォンでも、飛んでいられなくて墜ちて行く。

 こいつら攻撃力は強いけれど、防御力は大したことが無い。


 いい調子で撃っていたら敵さんは空中から消えました。

 グルフォン軍団は地上でピクピクしてる。


「よーし、撃ち方止め。

 地上に墜ちた奴に止めさせ。回収ができる魔石は、ちゃんと回収しとけよ」


「おうっ」

 皆、楽しそうだ。

 まあ、機嫌も良いわな。俺もやりたかったのに・・・。


 結構なサイズの魔石が40個入手できました。これはお得だった。

 俺の召喚獣だと、死ぬと何も残さずに消える。

 でも、連中の召喚術だと魔石を残す。

 何故だ、納得ができんな。

 方法が全く違うのか?

 もっとも、俺のやり方だと遥かに多くの召喚獣を使役できている。

 戦闘局面では文句なく俺のやり方でいい。

 けど、他のやり方もあるらしいとなると興味は出てしまう。

 戦場で余計なこと考えても仕方ないけどね。


 しかし、たった40体の奇襲で本陣を狙うと言うのは、いくらなんでも戦力不足。

 敵さん、この程度で終わりかな。


 本陣にいた幕僚団には、これでなんとなく戦闘終了に近づいたのかと安堵の空気が流れた気がした。


 そんな時に突如としてこちらの攻め手を真っ二つにかけ分けるかのように、牛頭の巨人が走り出してきた。

 身の丈30m以上ありそうな大物だ。これだと10人組の連中では荷が重いだろう。


 牛頭の後方には、敵勢が突撃して追走している。

 数千人はいるのだろう、かなりの轟音を立てて進軍している。

 士気は高い部隊と見ていいようだ。

 最後の切り札部隊をここで投入して来たのかもしれない。

 このままではジリジリ押し込まれるだけだと、反乱軍側で判断してもおかしくない局面だ。

 初見ながら強力そうな大型モンスターを先頭にして、精鋭部隊でこちらの本陣を強襲する。

 その事前準備でグリフォン部隊を突撃させたのだろう。


 本来ならグリフォン部隊でこちらの陣を崩しておいて、そこに牛頭を突入させて混乱を拡大。さらに突撃部隊を送り込んで戦局の転換を図る。

 戦術としては良い発想だ。非常に合理的です。


 惜しむらくは先行したグリフォンが短時間で迎撃されてしまって、こちらの陣営には全く影響が無かったこと。


 それでもグリフォン部隊が壊滅してしまっても、牛頭自体の巨体が非常に大きな戦力であって、こちらの陣形は大いに乱れた。


 結果的に反乱軍側の臨んだ結果にはなりつつある。


「牛頭王だー」

「巨大だぞ!」

「逃げろ、歯が立たん」


 攻め手の軍勢が左右に真っ二つに割れて行く。

 その真ん中を通路代わりに、どすん、どすんと重量を感じさせる足音を響かせての堂々の進軍を見せつける牛頭王。


 肩には人が乗っている。


「我こそは天草四郎が一の部下、有家シャコーベ監物である!

 我が武威のほどしかと見よ!

 出雲貴志は何処にありや、イザ尋常に勝負せよ」


 へー、あれが実際上の大将に当たる奴か、強そうじゃんか。


 “面白そうじゃないか。どれ、口ほどのものか確かめてやろう”と俺が言う前に、児雷也がさっさと走り出て行く。


「小賢しいわ、おのれ如きはこの児雷也様が成敗してくれるわ!」


「いや待て待て、児雷也殿。ここはこの霧隠才蔵様の出番だ!」


「あいや、お待ちをお二方。ここはこの猿飛佐助にお任せを!」


「何を言うか、この児雷也が!」


「いやいや、才蔵が!」


「佐助にお任せを」


「「どーぞ、どーぞ。任せた佐助」」


「・・・えっと・・・俺っすか?」


 周囲にいた味方軍勢が大笑い・・・。

 3人でこの芸風を練習してるのではなかろうね。

 あー、この人達って絶対に暇にさせちゃダメなんだ。今度からは暇を与えないようにしよう。

 俺はそう思うのであります。


「もう、佐助。構わないからやっちまえ」


 面倒事は全部押し付けたぞ、佐助。


「御意!お頭様。この佐助が、かの牛めを退治して御覧に入れまする」


 世間的にはここで初披露になる佐助の大猿登場。


 身の丈なら牛頭と変わらない。

 牛頭が筋肉質で鈍重な印象なのに対して、大猿は軽快な印象だ。


 “ぐおおっ“

 “キエエッ”

 両者正面からの激突、


 牛頭は腕力にモノをいわせた拳骨勝負。

 対して、大猿は相手の後ろを取って首筋への噛みつき攻撃狙い。


 牛頭の口元はやはり牛のようで、鋭い牙は無くていかにも草を食いそうな印象だ。


 大猿は犬歯が発達していて、ガブリとされると皮膚が裂けて、筋肉部分まで傷は入りそう。


 大猿にガブリをされても、牛頭は発達している筋肉のお蔭で、それなりにはダメージを低減出来ているように見える。


 カミソリで大男に斬りつけるようなものだろうか、喉や首元をガブリと出来ないと致命傷にはならないだろう。


 牛頭のパンチがまともに大猿に入ると、これは一気に吹っ飛ぶ。


 ただ、大猿は動きが速いから、そうそういいパンチは貰っていない。


 耳を塞ぎたくなるような叫び声。


 地震と間違うような重量級の振動。


 思いもかけない巨獣同士の戦いに戦場の全将士の視線が釘づけになる。


 地響きと土埃が酷くて、普通の兵士では戦闘にならない。


 “ぐおおっ“

 雄たけびをあげつつ、右パンチを繰り出す牛頭。


 サッとかわして、後ろを伺う大猿。


 それを待ってましたとカウンター気味の左を撃つ牛頭。


 まともにパンチを食らう大猿。


 盛大に吹っ飛ぶ。


 大猿が立ち上がる前に、牛頭が追い付いて行って馬乗りになり両方のコブシで大猿を殴りつける。


 散々殴りつけておいて、ぐったりした大猿から距離を取る牛頭。


 ふらふらと立ち上がる大猿に、助走をつけた牛頭の巨大な角が迫る!


 正面から激突して、大猿は腹を突き破られて吹き飛ばされる。


 盛大に飛ばされて、血飛沫と地響きをあげて地面に叩きつけられる大猿。


 大猿の腹が裂けて内臓がはみ出している。出血も酷い。


 キイッと弱々しい声をあげる大猿。動けないようだ。


 牛頭は止めとばかりに再び距離を取って助走をつけて襲い掛かる。


 勢いをつけて飛び上がった牛頭は、全体重をかけて大猿を踏みつける。


 まともに腹の上を踏みつける牛頭。


 口から血を飛ばしつつ断末魔という叫びをあげる大猿。


 牛頭は大猿を無理やり立ち上がらせて、数歩さがって止めを狙って角を突き立てようとする。


 大猿は、それをひらりとかわすや、後ろから牛頭の角を掴んて耳元で“キィィ~ッ”と大音量で高い音の叫びを浴びせる。


 周辺で見とれていた将士が、大音声に頭を抱えて転がりまわる。


 俺も耳の奥がジンジンして、音が聞こえなくなった。鼓膜が破れたみたいだ。


 俺の傍にいた幕僚団も涙目になっている。


 大猿の近くにいた者ほど被害は酷い。倒れて動かない者も少なくない。


 不意を突かれた予想外の攻撃だった。


 訓練の時でもこんなのは見ていない。


 そして、牛頭にとっては致命傷だった。白目を剥いて、泡を吹いて失神している。


 その喉元を大猿は噛みついて切り裂く。身動きできない牛頭の首筋を散々に噛みついて切り裂く大猿。


 やがて、牛頭は大量に血を撒き散らして完全に動きを止めた。胸の鼓動や、呼吸の気配は完全に消えている。


 暫く、牛頭の周りを苦しそうに弱い足取りで回った後。それでも満足したような顔をして、大猿は姿を消していった。


 完全に限界だろう。腹から内臓が・・・。


 気を取り直した俺が自前で治癒魔法を使って耳を回復させた頃。ウチの部隊の隊員達も同様だったみたいで青い顔をして立ち直って来た。


「おい、幕僚団が恨めしそうな顔しているから、治してやれ」


 取り敢えず部下に命じておいて、佐助にも命令しておく。


「佐助、アレを使う時には隊員に耳栓を装備させた後からにしよう、なっ?」


「そうすね、チョイ、ヤバいっすね」


 佐助は勝負には勝った筈だが、叱られる未来しか予測できずに青い顔。

 周囲を囲んでいた将士は敵味方関係なく頭を抱えて転げている。

 後で怒られるだろうなあ、キット。

 味方の損害が大きすぎる。


 有家監物は魔力切れか、あるいは音をまともに浴びたせいなのか、泡を吹いて昏倒していた。

 難なく捕縛されてしまう。

 この先は戦場で名誉の戦死ではなく、極悪人として市中引き回しの上で磔刑、さらし首だろう。

 死に際を大失敗したものだ。


 流石に味方将兵をこのままにしておく訳にはいかずに、自発的に部隊総出で治療にあたることにした。


 児雷也と才蔵が“佐助に小隊長は、まだ早いのではないか”とか散々嫌味を垂れてます。

 いや、佐助に戦いを押し付けたのはお前らだから!


 サッサと味方勢を回復させて敵将を生け捕りした功績で、味方の大量負傷はチャラにして貰おう。

 ヤバイ、この戦いで最大の損害が味方の巻き添えってのは絶対に怒られる。

 これはマズイ!!


 そうだ、グリフォンの魔石を使って広域の治癒魔法をやらせよう。

 それがいい。

 そんな事を考えていて、フト、気が付いたら。


 シェイラの周りにだけ人だかり。

 そりゃ、同じ治してくれるなら、汗臭いおっさんよりも、いい香りの美女がいいのはわかるけどさ。


 君ら、戦場だぜ。

 敵さんの本丸攻略は間近なんだぞ、大丈夫なのかい?

 むう、王都に置いて来たレキュアも連れて来るべきなのかな・・・。


 卒倒している敵兵、あるいは苦痛に転げまわっていた敵将兵は、後詰で影響のなかった討伐部隊が片っ端から捕縛して行きました。治療なんてしてあげないよ。


 気を取り直した幕僚団は、治療中の部隊と後詰の部隊を入れ替えて、さっさと本丸攻略を進める事にした。


 治療は配下に任せて、俺には本丸攻略戦に参加するように恨めしそうな顔の井伊様からお達しが来て。

 素直に従う俺。

 実直な態度を示しておきましょう。


 有家監物を失った反乱軍は、すっかり戦線を後退させて文字通り最後の砦として本丸に立て籠もる。

 もっとも、この程度の本丸だと魔石を使った攻撃魔法なら短時間で落城することになるはずだ。


 牛頭以外で他に切り札でもあるのなら別だろうけれど。


 本丸が包囲されて、各家の魔法師連中が火炎弾攻撃を開始。

 これでは落城は時間の問題だろう。

 誰もがそう考えだした時。


 本丸の屋根上に、派手な格好をした少年が出てきました。


「我こそは、神この身を捧げた天草四郎なり。

 邪神を信奉し、真なる神を愚弄する出雲よ。

 疾く出て参れ。

 我が神に替わりて罰を与えてくれようぞ!」


 喧嘩売られたら買うしかないだろうと、出て行こうとすると。


 井伊家赤揃え集団が10人程で、俺を取り囲んで・・・


「お願いだからこれ以上は勘弁してください。どうせ、もうこの戦は終わりですので」


 って、散々っぱら頭を下げる。


 確かに、とっくに本丸には火の手が上がっていて、もう消し止められそうにはない。

 放っていても、勝負は終わりだ。


 また、下手をやって味方に怪我をさせる必要はないだろう。ここは自重します。


 やれやれと肩をすくめて四郎を見つめるだけにする。


「ええい、出雲!臆したか。出て参れ。我と立ち会え。神罰を恐れたか!」


「出雲、出合え」


「邪教の出雲よ、真なる神を恐れたか」


「教王様は我々に援軍を送って下さるとお約束された、ここで逃げ隠れしてもお前には未来などない。我と立ち会え!」


「ポルトガル軍に、お前など殺されるのだ!」




「なんか、妙な事を口走っていませんか?アノあんちゃん」


「教王?ポルトガル軍?」


「はて、なんのことやら」


 赤揃え衆の皆さんと首かしげてました。



 さっきから口ばかりで魔法らしい攻撃の一つもしないので、少し挑発してみよう。


「よう、四郎の旦那!

 お前さんは死んだら極楽へ行けるんだろう?

 行けるかどうかここで見ていてやるよ。遠慮なく死ね!すぐ死ね!

 15万人で見届けてやる、さっさと焼け死ね!」


「出雲め、そこにおったか。疾くここに来い!尋常に勝負せよ!」


「断る。どうせもうすぐお前は焼け死ぬだけだ。なんで俺が巻き込まれなきゃならん。

 先に死んだお前の友が地獄で待っているぞ、早く行ってやれよ。

 地獄でも友なんだろ?」


「ぬう、抜け抜けとほざきおったな、出雲!呪ってやる」


「断る、さっさと死ね。ほら、お前を殺す炎はすぐそこまで来たぞ。

 お前の神とやらは、少なくてもお前は助けない。

 お前は神とやらに捨てられたんだ。

 教王とやらに、お前は騙されたんだよ、このウツケ」


「なにっ、教王様は確かに書状で約して下さったわ。戯言をぬかせ」


「どこに教王がいるんだ?神の救いとやらはどこにある?

 もうよい。お前は一人で死ね。

 お前の楯になって死んでくれる友も部下もいないままでな」


「ぬうう、出雲・・・」


 結局、周囲の高温の熱に焼かれたか、炎に包まれるまでも無くそのまま倒れました。

 魔法師なら飛ぶなり、水を出すなりして火炎対策位できそうなのに、何もしないまま。

 魔法を使えるというのは、デタラメだったみたい。


 なんだか、お飾りとして引っ張り出されただけで、本人は特別何かが出来るという事でもないみたい。

 ひょっとして、焼け死んでから生き返るのかな?蘇生術でも使えるとかね。


 程なくして本丸は炎に包まれて全焼。

 四郎の遺体も屋根が崩落した際に一緒に墜ちてしまって回収できませんでした。

 15万人が死ぬところを見ていたので、特に四郎の生死に検証の必要などないでしょう。


 本丸が炎に包まれる中、勝鬨の声が響き渡りこの戦は終了。


 包囲陣地の構築までは時間が掛ったものの、戦闘が始まってしまえば案外短期間。

 味方の損害も少ないものでした。


 そう、味方の損害!

 あの後で幕僚団にお詫びして、主要な将にお詫びして回って。

 嫌味タラタラという奴と、あんな化け物相手の戦いでは仕方がないという温情ある方と。


 大きい所の家の大名家だと、精鋭部隊の訓練をしていた縁もあってか笑って許してくれて。

 縁のなかった小大名だと、戦功挙げそびれたとグズグズ言う感じ。

 王家の直轄軍だと、生暖かい目で見られてオシマイ。


 一体、何しに来たんだろうか俺は・・・orz

 俺自身は全く戦闘してないんですけど。


 後処理部隊を残して、引き上げた諸部隊。


 一月後に王都で論功行賞発表。


 この戦の戦功一等は有馬の殿様。

 敵の戦意喪失は功績大という評価。前代未聞の大量捕虜の獲得成功は最大の功績。


 二等は黒田家の長崎防衛。

 長崎が警備な損害で済んだというのは良い評価になっています。



 俺は功罪半ばという事で恩賞外。

 罰せられなくて良かった・・・マジで。


 但し、戦功ではないけれど兵員養成には功績大とされて、それに対しては褒美を出してもいいというので小隊長3人の騎士爵授与をお願いしてみた。兵員養成なら佐助はヘマしてないし。

 それについては、特に問題なかったみたい。

 むしろ、俺の直接の部下が無印なのはまずかったみたいで、丁度良い機会だったらしい。



 有家監物は洗脳魔法を掛けられて、洗いざらい事の顛末を白状したそうだ。


 ポルトガル国王から、日本をキリシタンの国にせよと命じられていた事。


 そのために10億環程度の資金と欧州流の魔術を提供された事。


 与えられていたのは、ケルペロス、グリフォン、キュマイラ、ミノタウロス。

 巨大な牛は牛頭王ではなく欧州のモンスターでミノタウロスというのであったそうだ。


 魔術を指南した伴天連は、神龍を撃退されたことで国元に去ったこと。


 もし、この戦いが長引けばポルトガルから軍隊を派兵するという約束がなされていた事。


 この約束は教王とポルトガル王の署名付きの手紙が下されていた事。


 原城籠城は援軍が来るまで頑張るつもりでいた事。


 海に近いから海上からの援軍には都合がよいだろうと考えていた事。


 そして、天草四郎は小西に恩義を感じていた、ごく普通の子供で特別な能力などなかった事。


 白状させられた後は、市中引き回しの上、獄門。

 あくまで殺人犯という扱いで刑死しています。

 反逆罪ではなくて、ただの人殺しという扱い。

 騎士としてではなく、一介の浪人として。

 記録にはただの人殺しとして残るだけで、大騒動おこした人物としては語られない存在。



 教王とポルトガルの問題は王家に衝撃を与えていて、今後の対応に関して慎重に考える事になっている。


 この先の事を考えると、強力な戦闘魔法師が必要なのは間違いなしとされて、俺には従来通りの教練ともう少し低レベルの魔法師の底上げ指導を命じられています。


 具体的には富士の教練と魔法学校の指導を交互にやるようなことになる。

 ウチのメイド2人を指導させていたのが目に付いたみたい。

 優しい指導もやるようにだってさ。そういうのは他にも教官がいるでしょうにねえ。


 魔法学校の存在意義が心配になるぞ。

 戦に行って、味方に大損害与える奴の存在意義はどうなのだ?と言われると弱いけどさ。



 戦から戻って論功行賞までの一月は久しぶりにゆっくり。

 この間は富士の訓練も学校もなし。

 遅くなったけれど、長期休暇が実現しました。


 恩賞や褒美は俺個人にはなかったけれど、何故か牛頭王と馬頭王が召喚できるようになった。

 それぞれ30mくらいで、ミノタウロスや佐助の大猿と同じ。

 攻撃系の魔法はしっかりと使えて、相当に強力。良いモン貰った。


 次回は戦後の残処理に駆り出されての怪獣退治物になります。この主人公は結構コキ使われる羽目になっていますので。

 お楽しみに。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ