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15.島原の乱勃発

 ご愛読ありがとうございます。

 いよいよメインテーマになる外国勢力との戦いの一端が始まりです。

 この国の上級層の姫、中級階層出身の少年、最下層出身の少年。

 彼らにとって自分たちの国とは一体なんなのか、を描きたい小説なのです。今の所は中級階層出の少年がメイン張っています。暫く彼にお付き合い下さい。

 急遽、ご参拝のやんごとない方々には客殿到着後には、小部屋で細川様にお茶をたてて頂いて。

 その間、琴の音を絶やさず。


 一休みして頂いたら、広間で重鎮方のご挨拶を受けて頂いて。


 いや本当に重鎮が集まっているから大変。有馬の殿様は氏子になっていて良かったんじゃないかな。濃い方々に囲まれて面目を施せている。


 挨拶が終えたら、妻と赤ん坊をご披露して。


 丁度、赤ん坊はご機嫌が良かったみたいで、やんごとない方々にニコニコしてる。


 やんごとない方々にほっこりして頂いたら、宴会に突入。


 女性相手なので、どんちゃん騒ぎをやれないから、細川様主導で連歌会もどきお歌会。


 ついで、京極様、利益様には舞の披露。この方々やっぱすっごいわ。


 御食事終えたら、温泉を楽しんで頂いて。


 お帰りの際には本多様、井伊様、榊原様が先導されて。


 鳥居まで、細川様、京極様、上杉様、武田様、前田様、毛利様、伊達様、有馬様、柳生様が警護する。


 天下の英雄がゾロリと勢揃い、凄いことになっている・・・。


 やんごとない方々がお帰りになったら、


「じゃ、飲み直そうか」

「だな」

「おうっ」


 上杉様、武田様、毛利様って本当に豪傑だと思います。


 利益様が三味線持ち出して、また、どんちゃん騒ぎになりましたとさ。

 肝心な俺なんて酒飲めないのにさ。甘酒にだって酔うもの。



 さらに翌日。

 氏子総代家に遠慮していた、伯爵家以下の貴族の氏子衆が三々五々集まって来ました。

 どうしても総代家の皆さんとは一線を引けてしまうようです。


 今は俺の官位が上がりすぎてしまったけれど、元々は同格かそれ以下程度の皆さん。

 和気藹々とした祝宴になります。

 最初のうちはメデタイという宴席だったものが、徐々に暗い雰囲気に。

 話によると、ワザワザやんごとない方々までやって来たのは、やはり伴天連問題が影を落としているらしい。


 神龍を挑発してこの国を焼き払う。

 本気でやられては、対抗手段は無いに等しい。

 俺が辛うじて神龍を撃退できたのは幸いだったけれど、何度も通用する手段ではない。

 これは、王宮は勿論のこと多くの人間に理解されている。


 当然、皆不安で仕方がない。

 王都では漫然と出口のないような不安感が、広がってしまっているそうだ。


 必然、柳生配下による伴天連追求は苛烈を極めているそうだ。

 関所での踏絵に留まらず、寺社による檀家氏子の宗旨検めも徹底的にされている。

 王都や古都、逢坂、那古屋では相当に進捗していて、隠れキリシタンは壊滅した模様。

 ウチの氏子総代のような大物連中の領地でもそれは徹底しているそうな。

 残っているのは人が少ない山岳地帯や元々隠れキリシタン勢力が強かった九州方面位いとみられている。


 兎に角、見つかった者の一族郎党ことごとく処断されている模様だ。

 見せしめに、相当な血が流されたという。


 とかく暗いご時世に、龍退治の俺の子供が生まれた。

 久しぶりのメデタイ明るい話題で、王都が賑やかになって弾けている。


 俺は富士の演習場に籠っていたから世間の情勢にはトンと疎くなっていたみたいだ。


 成程、そう言われてみれば本多様と柳生さんは荒れていた。

 延々と愚痴っていたものなあ。

 鬱憤溜っていたんだろう。

 十兵衛さんに行先知らせずに酒飲んでいた位に。

 俺が演習場から王都に帰還しているから安心して、羽目外して酔っ払っちまったんだろう。

 酒に慣れない俺は酒飲めないし。だから、何かあったら何とかするだろと。

 随分とごっついオジサン達に信頼されたものだ。


 しかし、決戦は九州方面のどこかになるのか。

 最後は妙な魔物を持ち込んだ連中を倒さないといけない。

 そうなるとアノ召喚獣を蹴散らして、その上で胡乱な召喚者を倒すしかない。

 敵にしても、追い詰められて来ればヤケクソなことでもやらかすだろう。

 そんなに遠い時期でもなさそうだ。

 ある意味、本多様と柳生さんのさじ加減。

 柳生隠密衆と服部忍軍の気合次第だろう。


 それまでに、こちらはどの位の戦力のかさ上げができるだろうか。

 敵さんはこちらの戦力を把握している筈だ。

 遠視の術で俺のドラゴンくらいは見ているだろう。そして埴輪軍団も。


 恐らくは隠せている戦力としては、小隊長達の本気。

 児雷也は30m級のガマを召喚する。

 才蔵は25m級の大鷲を召喚する。

 佐助は30mの大猿を召喚する。

 彼らは散々な目に遭って訓練しているうちに、レベルが上がっている。


 前の筆頭の元にいた頃とは既に異次元の領域に足を踏み込んだ。

 どうも強力な敵を倒すことで、使役できる召喚獣が強力になるのは間違いない。

 ケルペロス、ギルフォン、キュマイラという敵を訓練で何度も倒すことで、強力な召喚獣の使役に成功するようになっている。

 こうした戦力は生徒のいる場所では使わせていない。

 魔法学校の訓練場を配下の連中に、徹底的に封鎖させてから訓練させていた。

 世間には広がっていない筈だ。


 後は隠すというよりも、測りきれていない戦力としては側室の2人。

 いかんせん狭い訓練場では本気を出せなかった。

 富士の演習場で遠慮なくやらせたら、富士でも狭いみたいだ・・・。

 むう。


 でも、全部まとめても神龍には遥かに及ばない。

 全部まとめても俺のドラゴンの方が遥かに強いくらいのレベルではある。


 隠し玉として、敵の知らない戦力は有効利用できる筈だけれどね。

 敵にしても異国の未知なるモンスターを引っ張って来た訳だし。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 宛:本多忠勝様

 発:柳生但馬


 捕縛した伴天連およびオランダ商館よりの情報に関して



 王都、駿河、那古屋にて捕縛した伴天連の自白によると、耶蘇宣教師により召喚術を伝授された者は合計15名。

 3名は古都にて捕縛。

 さらに、王都にて1名、那古屋にて1名を捕縛。

 駿河では3名の遺体を確認。

 残る者は7名のみ。


 なお、王都と那古屋にて捕縛された者は、情勢把握の密偵目的の潜伏。

 駿河の遺体は神龍を挑発するために召喚獣を使役し、神龍に殺されたものと推定。


 オランダ商館よりの情報によると、召喚術を伝授した耶蘇宣教師は神龍事件の失敗を見て既に我が国から退去。

 神龍に対抗できる術者の存在と、既に第二次攻撃を行えるだけの術者がいないことにより、作戦継続を断念したものと推定される。

 なお、ポルトガル国王ならび耶蘇教皇による支援に基づき、耶蘇会議なる団体が件の宣教師を派遣したものとオランダは判断しているとのこと。

 ポルトガル国王より10億環程度の資金援助がなされたと、欧州の情報筋では噂になっている。


 潜入した耶蘇宣教師は、改宗を拒んで浪人した騎士どもに近づき魔力のある者に対して術を伝授していった。

 浪人騎士は廃絶した旧小西家臣および改宗した有馬家から去った元家臣が中心。


 耶蘇宣教師が去って以降、伴天連の首領は名目上では天草四郎なる者が就任している。

 ただし、年若いので有家監物なる者が実質の首魁と思われる。


 名目上の大将:天草四郎(祖父は小西行長の元祐筆)

 実際の大将:有家監物(元有馬家臣、改宗を拒否して浪人)

 副将:山田右衛門作(絵師)

 軍師:蘆塚忠右衛門(元小西行長の城代家老)


 天草四郎

 容顔美麗にて、隠れキリシタンに絶大な支持がある。

 幼少より、儒学、神学、南蛮学を学ぶ。

 目の見えぬ少女を治した。

 海を歩いて渡る。

 浜に魚を集めて漁師を助けた。

 などという逸話があり、魔法師だと推定される。



 現在では島原および天草方面に潜伏中と推定。

 島原藩主松倉、天草藩主寺沢がこれを追跡中。


 以上


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 既に島津、黒田、竜造寺、有馬といった九州勢が出陣の準備にかかっている。

 この連中を指揮するとなると、王都からも誰かが行くことになるだろう。


 富士の演習場で4組目の教練をしていると井伊様と榊原様が視察に来て、色々な話を教えてくれた。

 稽古つけた連中がいよいよ出陣を迎えるのか。

 4組目の連中はギリギリ間に合うかどうか。


 当然ながら、俺も行くことになるだろう。

 敵の残る召喚術師は7名。多分、天草四郎も魔術師だろうし。

 結構な戦になるのかな。


 結局、4組目を送り出して5組目の受け入れは中止。

 魔物追討軍にも出撃命令が下った。

 魔法学校で預かっていた受講生も原隊へ復帰していった。

 これで元からの、俺と40人の魔法師ということになった。

 もっとも、側室は交代で子供の傍にいるから実態は一名減。俺の不在時に家族を襲撃してくる可能性もあるから、これは致し方ない。



 いざ、島原へ。



 そこは焼け野原だった。

 島原は荒れ果てていた。


 敵の有家監物率いる反乱軍は農民、商人、職人を問わず徴用。

 それを浪人の騎士連中が指揮して、島原を席巻。

 島原城を落城させ、藩主松倉一族は討死。

 女子供も、もろとも死んだそうだ。


 重税で悪名高い松倉は、領民の評判が悪かった。そこに隠れキリシタンが浸透。

 島原の家臣団も分裂状態になっていて、最終的に蜂起した反乱軍の勢力に松倉氏は抵抗しきれず敗死。


 その後、かねてから出撃準備していた周辺諸藩軍の接近を知った反乱軍は、島原城と城下の物資を持ち出して島原半島の原城へ撤退。


 この時に一部兵力を分派して、長崎を襲うと陽動を図った。

 分派したのは300人程度の少数だったが、これが敵の魔法師部隊を含んでいた。

 そして、ケルペロス数体の襲撃を長崎は受けた。

 幸いにケルペロスが一撃を入れたあたりで、黒田家の俺が特訓した部隊が飛来してこれを迎撃。

 反撃を受けた敵は即時撤退していったそうだが、火災の被害は少なからず生じた。


 また、島原撤退の際には城下に火を放ち、結果として島原城下は灰燼と化した。

 島原住民の多くが反乱軍と行動を共にした模様で、付近は無人だったそうだ。


 燃え尽きた城下を見て、呆然とするしかない俺です。


「何でまたこんな事をするのでしょう。どうせ、島原や天草の一部で勢力を張っても、そんなのは最後に鎮圧されるに決まっているのに。」

 異臭漂う元城下町で思うのですよ。ヘンなの。


「待っていても生きていられないと思う奴が自棄を起こすのです。そこに伴天連共が、耶蘇のために戦って死んだら死後は楽園に行けるのだと焚き付けるのですな。

 死んだ方がマシだと思うような輩は自暴自棄でなんでもやってしまう」


「ナンマイダと唱えたら、死んで極楽浄土に行けるというのと何か違うのですか」


「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや。

 阿弥陀様に御すがりすれば誰でも極楽往生できるのに、耶蘇では極楽に行ける者は耶蘇の為に生きる者だと言うのです。

 今苦しいのは耶蘇の教えに背いているからだ、だから教えに従うべきだ。そうすれば救われるのだと。

 今度の反乱の裏にはポルトガルがいる。奴らはこの国を欲しいのですな。耶蘇の教えと称して、実際は都合の良い駒にしているに過ぎません。

 伴天連共は都合悪くなると先に逃げ出しましたな」


「あー、耶蘇の教えというのは方便ですか。敵は異国にありか。

 死んだら黄泉の国に行くだけでしょうにね。

 開国主様を拝めば、出世するし、カネはできるし、綺麗な嫁さん貰えるのに」


「わっははっ、貴殿がそれを言うと信心の価値がありますな!

 まこと現世利益には事欠きませんな。この地にも勧請すべきでしたかな」


 俺の相手をしてくれているのは有馬の殿様です。

 親父さんの代まではキリシタンで島原藩主だったそうですが、禁令後は改宗して転封。

 この時に改宗を拒否して家を去った家臣は少なくなかったそうです。

 そうした元家臣が反乱軍を指導して、思い出の地を焼野原にした。

 殿様の胸中は複雑なものだったでしょう。

 自身の手で元家臣の反乱軍を鎮圧しないと収まらないモノもあるでしょうね。

 そして、俺の近くにいると手柄をあげる機会が必ず来ると踏んでいる筈です。


 そんな話をしていると伝令が飛んできました。


「お頭様、天草の反乱軍は撤退。渡海して原城に合流する模様です」


「反乱軍は一カ所に集合か。こちらには都合がいいかな。何で原城なのでしょうね」


「あそこは廃城にした海に面した城です。海を見張るための支城で大軍が篭城する城ではないのですが」元領主の嫡男はさすがに詳しい。ご当人は子供の頃島原で暮らした記憶があるそうな。


「海から援軍でも来るのですか」


「はて、もう隠れキリシタンはこの地以外では多くない筈です。さては、異国の援軍を期待でもしておるか」


「でも、何万という軍が簡単に海を越えられるものですか?大変そうですけれど」


「然り、簡単には参りますまい。水も糧食も運ぶのは簡単にはいきませぬ」

 納得できない話ですよねえ?



「お館様、原城包囲に参加するようにと伝令です」


 レキュアとシェイラは、俺個人の所有物として下賜されているので俺直接の家臣。

 “お館様“と他人がいる場所では呼ぶのです、

 追討軍の部下の給料は王家から出ているので、配下であっても家臣ではない。だから“大将”だとか“お頭”と俺を呼んでいる。

 余りお付き合いないような人だと大将閣下と呼ぶし、二位殿とも呼ばれるけど。

 なんかすごく偉そうだね。呼ばれても誰の事だろうと思うよ。


「さて、決戦ですかね」


「いよいよ、時が熟してきましたな」


 なんとなく盛り上がってしまうのは、どうしたものか。


 本陣に向かうと井伊様が陣取っている。大物の九州大名を従わすために、対抗できる大物を派遣してきました王家。


「長崎で黒田勢が討ち取った敵兵からは、魔石も魔法道具も見つかっておらぬ。

 討ち取ったのは忍だったようだ。敵の術者は逃亡したらしい。

 原城の攻防では本気で投入してくるだろう。気を抜かぬように」


「心得ました。しかし、黒田魔法師はやりましたね」


「うむ、敵の切り札などは通用せぬ。奴ら今頃は青い顔しておるに相違なし!」


 黒田の殿様、勝ち誇った顔しています。長崎を救いましたから御手柄です。

 自慢してもいいんじゃないの!


 軍議の結果、俺の部隊は本陣にあって、敵が召喚獣や大規模魔法を行使してきた場合への対処に当たるという役割になりました。

 ドラゴンブレス使って問答無用で城の一つくらい焼き払ってもいいのだけれどね。まあ、皆さんこうした時に武功を立てておきたいでしょうから、顔を立てておきましょう。


 移動して包囲網を構築するまで約20日間。

 いや凄い。

 包囲軍は15万人だって。

 敵は4万人強と見られるけれど、そこには女子供も入っている。

 天草四郎本人もまだ子供みたいなもんらしい。他人の事を言えない俺は年が明けて数えで13歳。ふむ、まっいいか。


 攻城側3倍以上の兵力で、兵站補給問題なし。

 敵さんは、援軍が無い限りはそのうちに飯不足で終わり。

 この反乱はもう終わっているよねえ。

 一体、どうしたいんだろう。



 天草四郎の檄文というものが、こちらの陣営にも流れてきました。


 ・籠城した我々は、多くの罪を背負っており、後生の救済も不確かである。しかし、神の子の慈悲によりこの城内の一員に加えて頂けたものと感謝し、油断なくご奉公に努めるべき。


 ・主へのご奉公は祈祷や断食、鞭打ちなどの苦行に限らず、城内の普請や武器をとって戦う事も立派なご奉公である。怠るべからず。


 ・主の恩に感謝すると共に、これまで主の教えに背きこの事態に至ったと顧みて、城内の一同は現世のみならず来世まで友として互いに奉公に励みたい。



 これを見て、有馬の殿様が戯れ歌を瓦版に刷らせて、敵陣営に沢山投げ入れたそうだ。


 爵位もカネも女でさえも

 選り取り見取りの出雲二位

 打ち出の小槌は開国主


 出雲の養子になったら、

 途端に出世、大金持ち、

 戦場で美女を連れ歩く。


 求められるは奉公奉公、また奉公。

 与えられるは苦役のみ

 後生の救済も不確ながら


 天草の養子になったなら

 反省に苦行でご奉公

 地獄に友を連れて行く。


 瓦版だから大量印刷で味方にも配られたけれど、まあ爆笑!

 いや酷いもんだ。

 完全に四郎さんコケにされちゃったよ。

 もう、味方陣営大爆笑。


 これって現実だけに怖すぎる、切なすぎる。


 俺の隣には青か赤の美しい魔女が常に付き従う。目立つことこの上ない。

 俺がそれをやっても許される武力があって、地位もある。


 対して、この先で糧食が尽きればそれまでという天草四郎。

 冷酷な現実だけれど、地獄に友を連れて行くと言うのは確定だ。


 籠城軍の識字率がどの程度かわからないけれど、こんなのを読んでしまえば士気は保てないだろう。

 奉公しても後生の救済なんて、人間にはわからない。

 じゃあ、なんで苦労するんだ。

 餓死か戦死が確定している未来しかないのに。


 その後の3日間で1万余の投降者が出て来た。

 有馬の殿様は戦闘なしで敵勢力の1/4を撃破です。


 戦場で相手と口喧嘩するのは付き物だけれど、ここまで大量の投降を促したのは史上初の快挙だろう。

 隷属魔法があって奴隷制度が存在するのだから、大量の奴隷になる投降者をもたらすのは大功績です。

 有馬の殿様大笑いです。

「わっははっ、出雲殿のセリフをお借りしましたぞ!」

 このおっさんキツ過ぎるだろう、オイ。


 味方の軍勢15万人、対して反乱軍側は3万人に減少。

 これだと5人で1人を殺せばいいという簡単な戦いになりまして。


 後は進撃していってパッとやってしまえばいい。

 それは誰でもが思うこと。


 そして、衆議一決。

 翌朝を以て全力出撃して一気に決着をつける運びに。

 絶対的な要件としては、反乱軍の幹部連中を確実に殺すか捕縛すること。

 逃がす事だけは何があっても許されない。


 旧有馬家臣や旧小西家臣なら、顔を知っている者がいるから大丈夫。

 けれど、天草四郎の顔を知っている者が、こちらにはいない。

 捕虜の中で天草四郎を知る者を選んで首実検するしかない。

 唯一の不安はそこくらい。


 決戦当日。

 進軍合図の法螺の音高らかに、軍勢が鬨の声と共に突撃を開始。

 味方主力は職業軍人で精鋭。一部、臨時動員された農民なども含まれる。

 片や、反乱軍は高級指揮官だけが元軍人で、兵力の大半は農民層。

 これで5対1の戦闘です。


 討伐軍側は指揮系統もしっかりしており、段取りよく反乱軍を駆逐して行く。

 昨日までの軍議で決められている侵攻目的地まで、割り当てられた武将が確実に攻撃して支配地を増やしていく。


 反乱側は浮足立ってしまうと、戦線が崩壊してしまって建て直しが難しい。

 何しろ農民達なのだから戦闘訓練など受けていない。

 大軍が規律よく綺麗な陣形で迫って来ては、迫力に押されて逃げ出してしまう。

 しかし、後ろ向きに逃げ出すというのは最悪の手段。

 矢を受けて、槍で止めを刺されるだけになってしまう。


 反乱側では城という要塞を利用して、堀や石垣に頼りたいところだけれど。

 元々有馬家が破却した城で、その有馬家が討伐に参戦している。

 城の急所だって、事前にわかっている。


 それに異常な訓練で鍛えられている魔法師集団が、400人と少数ながら主要な部隊には配備されている。彼らなら城門くらいは簡単に吹き飛ばしてしまえる。


 魔石を利用した大威力の放出系魔法を派手にぶっ放すというのは、散々訓練して来た事だから実戦配備されている元訓練生達は先頭に立って敵の防御陣を破壊していく。


 魔法師勢に突破口を開かせたら、後は人数に任せて一気に押し込む。

 このあたりの手順は相当に訓練したらしく、見事に機能している。


 半べそかいてションベンちびっていた連中が、今や先陣に立って勇猛果敢に味方の突破口を切り開く役割を果たす。見ていて何か、胸が熱くなる。

 うん、皆よく頑張っているぞ。その調子だ。


 次回は小隊長さん達の大活躍編です。彼らの絡みをお楽しみに。


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