14.誕生
ご愛読ありがとうございます。
最大の危機を脱した主人公。いよいよ念願の赤ん坊の誕生です。
命懸けで守りたかったもの、やっと念願叶って。
やれメデタシと集まって大宴会を挙行する大名達。
今回はハッピー回です。
魔物追討軍の大将だから、伴天連の捕縛や追跡は範囲外。
でも、魔物退治要員の教育はやって欲しい。
妥当なお話です。
休暇の1ヶ月が消えてなくなった理不尽さを除けば。
ええい、妙な連中など呪われてしまえ!
俺とレキュアは未だ本調子とは言えないけれど、状況的には凶悪な魔物を退治できる要員を確保したいのは切実な話。
この先、どう状況が動くのか誰もわからないのだし。
1組10名単位で魔物との戦闘が想定される部隊から幹部候補を選抜して、俺のところに送ってもらう。
1コース10組100名で1ヶ月の訓練をしてもらう。
1ヶ月したら、次の100名を送ってもらって訓練。
その繰り返しで促成栽培を行いたい。
どこの部隊から優先的に送るのかはお任せする。
訓練場としては富士が広いのなら、そこを借りたい。
魔法学校では100名の訓練は狭すぎる。
教官としては我が部隊の40名と現在魔法学校で訓練している42名を充当したい。
そんな思い付きの話をしたら、あっさりと承認されて3日後から開始することに。
受講生諸君、君らも巻き添えだ。
流石に学生は除外しておいたよ。学徒出陣の前に本職の軍人が仕事しなきゃ。
でも、俺って軍学校なんて行っていないのに軍幹部でいいのかな。
考えても仕方がないか。
富士演習場で合宿するとなると、しばらく十六夜と逢えなくなる。
寂しいけれど、「お役目頑張ってください、お腹の子はしっかり育てます」と妻は言ってくれた。
今なんとかしないと国が丸焼けにされるかもしれない。
生まれて来る子には、いい国であって欲しい。
頑張らないと。
「俺には妻がいる。
お腹には子供がいて、もう少しで生まれてくるはずだ。
俺は思う。
生まれてくる子供にはいい国で育って欲しいと。
諸君!
皆の恋人を、妻を、子供を、
魑魅魍魎の跋扈する世界に置けようか。
魔物どもに、この国を乱させていいのだろうか。
俺は嫌だ。
俺は断固この国を守る。
防人の誇りを胸に抱く者たちよ。
共に戦え。
夷狄を打ち払うのだ。
その力を俺は与えよう。
1ヶ月間の短い期間ではあるが、諸君の奮闘に期待するものである。
以上」
一応、将軍職としてもっともらしい事を言わないと駄目だろうと。
訓練生を集めて訓示。今度のは俺が自分で考えた、どうだろ?
しっかり、翌日には王都の瓦版に全文掲載されたそうだ。
“生まれてくる子供にはいい国で育って欲しい”と言うのは、現政権への賛辞。
そして、
“夷狄を打ち払うのだ”というのを、今後広げたいそうだ。
外国からの襲撃者というのは、夷狄として打ち払うしかないのだから。
王国軍から6組、外様大名軍から4組。
島津、黒田、竜造寺、有馬といった九州勢から選抜。
王宮の狙いは分かり易いか。伴天連がいそうな場所への牽制だろう。
今回は初回にまず富士付近の魔物の森に入らせて、10~15cm程度の魔石を一人当たり10個ほど狩りとって来てもらう事から。
これだとオークや大物の熊や猪あたりになる。
並みサイズの熊や猪のモンスターでは少し役不足になる。
この位の魔石のサイズだと持ち歩くのに邪魔にはならない。
近接戦闘も考慮するなら30cmになるようなワイバーンの魔石は邪魔になる。
促成栽培には魔石を魔力増強に使って、放出系魔法をバシバシ使うつもり。
演習時には2,3個持っておいてもらう予定です。
自前の魔力では数回で魔力が枯渇してしまうような要員でも、魔石を使うのなら長時間放出系魔法の使用にも耐えられるはず。
演習ではドンドン魔法を使うしかない。
短期間での錬成だから、どうしても他力本願もやらないといけない。
ご飯を充実させたいから、お肉を取って来てもらう訳じゃないよ。
いや、ホントに。
選抜されてきた精鋭だけに、この位の狩りは危なげなく終了。
何で、どさくさ紛れにワイバーンを取って来るかな、ウチの連中や学校組は。
新人さん達怯えた顔している。
「つい条件反射で狩ってしまいました」
「発見したら咄嗟に体が動いていました」
君らねえ、そうだろうけどさ、そういう訓練したわけですし。
その魔石使って大きいのをぶっ放す練習もしちゃうぞ。
初日から焼き肉宴会。お酒も許可しています。訓練だしね。
いつまで元気が続くか見ものかも。
2日目は大人しくティラノのお相手。
10人だから1回で5体くらいかな。最初だしね。
まず、先輩の教官連中の模範演技で始めましょうか。受講生諸君、良く見ておいてね。
広い演習場の良い所は、80人で40体のティラノと乱闘やっても、場所は余裕だという事です。面倒だから適当にバラけさせて同時に始めさせました。
40体のティラノの咆哮は中々の迫力。
だけれど、数分で各隊とも仕留めてしまう。魔石ありだと張り合いが無いな。
新人受講生の皆さんは40体のティラノ見てびっくり。
更に、瞬殺する先輩の手早さにびっくり。
口をあんぐりしている場合じゃなくて、次は君たちの番ね。
魔石利用は自由だから、遠慮なくバシバシやっていいよ。
新人の皆さんは、怯えてチリジリになってしまう部隊もあり。
ふむ、大人のオヤジがチビっているのは見たくないな。ばっちいだけだ。
あら、美人もいるじゃないの、ベソかいてお漏らしすると美人も台無しだよ?
勿論、食われそうになると寸止めにしてる。
王国軍のもう一つの精鋭である富士教導隊の皆さんですら、腰が引けつつも真っ青になりながら火力を集中させるのが精一杯。
でも、初めてにしては肝が据わっていますよ。ちゃんと連携して射撃できて立派です。
地元で恥かしい事なんてできるかと言う意地でしょうか。
新人さん方には同じことを3回繰り返してもらって、慣れてもらいます。
こんなのは慣れの問題です。
10人でどうやって協力するのか、しっかり考えれば難しくない。
スレッカラシの皆さんには、10人でティラノ30体のお相手をしてもらっておきます。
「お前らは武器なし、素手でやれ!」
「はーい」
「素直でヨロシイ」
魔石を自由に使わせると楽勝過ぎたかな。
富士演習場の責任者様が、「この演習場でこんなことやったのは初めてです、さすがモンスター専門部隊ですな」、とビックリして飛んできました。
新人の皆さんには、最後は10人でティラノ10体まで何とかやってもらいました。
泣きじゃくって大変な奴とか、お漏らしして自棄になる奴とか。
まあ、様々ですね。
2日目の夕食は、昨日の肉がまだまだある。
「飲まずにいられるか!」という奴や、隅っこで青くなって震えている奴やら。
無理に食おうとして、でも駄目でトイレに駆け込む奴やら。
スレッカラシ共は、「肉食い放題!」、「ついでに飲み放題」、「ここは楽園」。
うむ、どうしてこうなった。
3日目、ティラノに替えてワイバーンで同じことやってもらう。
相手が飛ぶから対処は面倒。
・・・な筈だけれど、スレッカラシ連中は楽しそうに狩りあげる。
楽々やっているのを見て、恐怖を覚える奴なら才能ある奴。
あれなら俺にもできそうだと思う奴は阿呆。
新人さん達は、半々でした。
空飛ぶ奴に魔法をキッチリ当てるのに一苦労。
有効打になる奴を、しっかり急所に叩き込むというのは面倒なのです。
単に魔石に頼って魔法を撃てばいいというものではない。
相手が1体ならなんとかなっても、2体、3体となると苦戦してしまう。
当然ながら、先日よりも厳しい試練になる。
3日目の夕食は、お通夜みたいにドンヨリしている新人組。
そろそろ駿河湾の魚が食べたいと言い出すスレッカラシ共に分かれました。
4日目、ティラノとワイバーンの組み合わせで訓練をやってもらう。
大きさとしては陸上をドシドシ迫って来るティラノには巨大感があって怖く感じる筈。
でも、空から猛烈に風を撒き散らして急降下してくるワイバーンは厄介。
それが組み合わされると、ちょっとしたパニックになりかねない。
その辺りを経験して貰う訓練です。
スレッカラシ連中には10人でティラノ30体とワイバーン30体を同時に相手してもらいましょうか、模範演技として。
「お頭様、1人6体はきつくないっスか?」
「あの、1人4体くらいでひとつ・・・」
「魔石は使い放題、メシは食い放題、酒飲み放題、ここは楽園だろ?
訓練だってやりたい放題でいいじゃないさ」
「えっと、もうキター!ちょっとヤバくないっスか。マジやばいって」
「余裕あるじゃんか。晩飯はお魚だからね」
珍しく先輩が慌てているのを見て、新人さん達の憂欝は深まりました。
4日目の夕食は、お魚を取り寄せました。
俺の財布で。
駿河湾の新鮮な魚は美味かった。
レキュアとシェイラから「はい、アーン」して貰う俺。
「飲まずにいられるか!」と居直るのが、スレッカラシ組。
完全に沈黙に支配されてしまう新人組。
5日目、10人1組から2人1組に編成替え。
スレッカラシ組は隊員2人対魔獣6体から始めて、魔獣9体まで増やす。
勝ち抜けるのは半分くらい。無理そうなら途中で他の配下に介入させて終わらせる。
新人組は隊員2人対魔獣2体から始めて、魔獣4体まで増やす。
これくらいが限界みたい。
5日目の夕食も、引き続きお魚。
昨日は刺身で本日は煮物と焼き物。
レキュアとシェイラが骨を取ってから、やっぱり「はい、アーン」して貰う俺。
完全に沈黙に支配されてしまう部下と新人達。
6日目。
2人組を引き続き継続。
晩飯は肉に戻す。
依然、レキュアとシェイラに「はい、アーン」して貰う俺。
他の皆さん、ボロボロ状態。口もきけず。
7日目は休養日にして、行動は自由の旨を通達。
7日目。
大半の者は泥のように寝ていた模様。
俺は側室連れて、十六夜の顔を見に帰った。
第2週目。
ケルペロス相手の訓練にレベルアップ。
新人10人組にスレッカラシを5名追加しておいて、1体相手から戦闘開始。
この週は新人組にケルペロスを慣れさせることを目標に。
スレッカラシの援軍なしでも1体倒せればヨシとする。
3個の顔から繰り出される火炎魔法に新人組は恐慌状態。
スレッカラシに牽制させておいて、新人に攻撃させるという所から。
何とか6日かけて、ケルペロスに恐慌にならないようになった様子。
第3週目。
キュマイラ相手に同様の取り組み。
第4週目。
グリフォン相手に同様の取り組み。
最後の3日間。
それぞれを複数相手の訓練。
最終的には、新人組10人で2体のグリフォンを撃破できるところまで持って行けた。
スレッカラシ組と新人の皆さん、すっかり絆が深まって最後は号泣してのお別れでした。
3日間休養を貰って、また次のグループをお迎えする予定。
実は、この訓練と並行して家から黒奈を連れ出して、側室二人に魔法の教練をさせていた。
元々、黒奈は学校では魔法と武芸を両方やるクラスにいた。
多少なりとも魔法を使える素質がある。
そして、レキュアとシェイラは教えるのが上手い。
理論立てて、懇切丁寧な指導をしてくれる。美人の優しい優秀な教官役をやれる。
黒奈は器用なところがある、けれど魔力自体はたいしたことが無い。
決して、強力な魔法師ではない。
初日の狩りの際に俺と側室で結構な量の魔石を確保しておいて、黒奈に魔力源として惜しみなく使わせる。
火炎、雷撃、風、氷、防御結界、飛行、治癒。
黒奈自前の魔力ではまともに行使できないような魔法でも魔石を利用するなら話は別、それを優秀な教官に指導させてモノにさせてしまう。
10日かけたら、それらしい形になった。
器用な万能型の魔法師って感じか。
魔石って本当に便利。首飾りにしてぶら下げておくと、そのまま魔力源として使えてしまう。
黒奈は歓喜。
「まるで、本物の魔法師になったみたい!」だってさ。
いや、君は本物だってば。
実戦経験は全くないので、レキュアとシェイラを介添えさせて、ティラノとワイバーンを狩らせてみる。介添えが強力過ぎて、簡単に終わってしまうのがネックか・・・。
ケルペロス相手にも同じことをやる。
黒奈は、防御だけならケルペロスの火炎を防ぎきれる。でも、攻撃力は弱くて有効なダメージまでは与え切れていない。
ウチの隊員でも1対1は苦しい位だから、この辺りは仕方がないかなあ。
評価的には魔石を使っている限りは、ウチのヒラ隊員並の魔法師にはレベルアップに成功。
自前の魔法だけで比べると、ヒラ隊員の方が遥かに上だけれどね。連中は選りすぐりのエリートなので素質としては超優良なのです。
魔石はケチらずに黒奈に持たせておこう。俺と側室が留守の時に面倒事が起きても最低限の対処はできるだろう。
強力な防御結界とソコソコ優秀な治癒魔法。器用に攻撃魔法も一通り使える。
正妻の傍付きの護衛魔法師としては、いい塩梅だろう。
別宮には埴輪を置いているけれど、アレは強力過ぎて周囲丸ごと焼きかねない。
余程のことが無い限りは使えない。
その点、黒奈だと柔軟に対応できるだろう。
美人で優しい教官に懇切丁寧に手とり足とり指導されている黒奈を横目に、
「先輩の戦い方をよく見とけ。はい、じゃ次はお前らな!」
とモンスターを問答無用でけし掛けられる新人訓練生。
ケルペロスに追い回されつつ、恨めしそうな訓練生の視線が飛んでました。
教官からの扱いが違うという不満なのか。
それとも、美女の側室2人に飽き足らず、黒髪美少女の側室まで追加するのかという羨望なのか。
ま、どちらにせよ無視だな。
十六夜のお腹が気になるから、世話係の黒奈の教練は短めで打ち切って、交代で妹の里奈を連れ出す。
里奈は俺と同い年。姉と同じくドングリまなこで、姉よりも丸顔。シートカットにしていることもあって、ニコニコ顔のカワイイという印象の子。
姉と同じくらいには魔法の素養はありそう。
ただし、学校で少し基礎課程を齧っただけで、竈の火種を起こしたり、飲み水を出すくらいしかできない。
10日くらいで、出来そうなことを側室2人に相談したら、防御と飛行があるだけでも違うと。イザという時には逃げる手段があるだけでも違うのは間違いない。
さっそく、美人で優しい教官お二人に懇切丁寧に手とり足とり指導をお任せ。
ほんわかムードで、きゃいきゃいと賑やかな教練。
その横では、ドッカン、ドッカンと魔法を撃ちつつ、パニックになりつつ必死の戦闘訓練。
片や大人の美女2人が美少女1人を相手に、ほんわかムード。
その一方、教官の怒声とモンスターに追い回され阿鼻叫喚の生徒衆。こちらは、半べそ、鼻水、ションベンちびるの当り前。
うん、人間は平等になんて出来ていないよな。
里奈には防護結界と飛行、簡単な治癒魔法を実用レベルまで身に付けさせて、10日後に帰しました。あくまで妻の傍付き女中ですから。
その後、3組目の教練が最終日という時に家から急報。
産気づいたと・・・。
俺がいないと新種モンスター召喚ができないから、訓練ができない。
仕方なし、先にレキュアとシェイラを送り出す。
彼女たちは最良の治療魔法師でもある。緊急事態には一番心強い存在になる。
「お産には時間が掛るものだから、あなたが付いていなくてもいいのよ」
「大丈夫、私達が守る」
と、俺を安心させようとしながらも急ぐ2人。
ソワソワ、イライラ、ドキドキ。
落ち着かないまま、いつもより余計にグリフォンとキュマイラを召喚して、生徒に最後の稽古をさせて。
「教練終了、これにて解散」と号令したら、丁度いいタイミングで男の子誕生の第一報。
もうね、その場にいた200人近い教官と生徒揃って万歳、万歳です。
瞬間移動の術者がすぐに俺を飛ばしてくれて。
離れに入ったら、十六夜は横になっていて、赤ん坊は黒奈がダッコしてます。
横から側室二人が、ほっぺをツンツンして。
何と言うか、もう感無量です。
涙出た。
妻と手を握り合ってもう、わんわん泣いた。
命名は貴月にしました。カッコいいでしょ。
この子の乳母は特に付けませんというか、無理に言うのならレキュアとシェイラになります。
お乳が出難かった魔法師が苦心の末にお乳を出す術を考案したことがあって、今では割に使われている。大人の女性ならいつでも出せるらしい。
それを使えばレキュアとシェイラは問題なく出るから、自分達にもお乳をあげさせて欲しい、下手な乳母と違って魔力付与されたお乳だから健康に育つ筈だし、魔力を蓄積できることにもなる―なかなかに良い話です。
でも、それを聞いた十六夜がそれなら自分にその術を掛けて欲しい。自分で育てたい。
まだ幼い自分ではお乳が十分に出ないのではないかと心配していたけれど、その術を自分で試したいと主張。
正妻と側室の意地のぶつかり合いは、
「奥方様は次の子を作ることに専念すべき。あなたの体調なら私達がすぐに回復させる。
子育てなら私達に任せるべきで、あなたの仕事は子を為すことの筈」
シェイラの正論が通りました。
正妻の意地で子供を産むのは自分だけと言ったのだから、その通りにするべき。
正妻が折れて、というか目を輝かせて「二人目を・・・」。
レキュアとシェイラが交互に俺と赤ん坊の傍で控えるという事に落ち着きました。
黒奈が途中から「私にもその術を使ってください!」と主張するも「あなたは奥方様のお世話係」と斬って捨てられたそうな。
離れから赤ん坊が泣く声は境内でも聞き取れたそうだ。
生まれたという話はあっという間に広がった。
義父ちゃんが必要な所には使者を立てて報告したら、すごい勢いで祝儀が届くこと届くこと。
使者が届けるだけではなくて、翌日には氏子総代家の親分連中なんか本人がやって来た。
あと、本多様、井伊様、榊原様、柳生さんなんかも。
新客殿完成していて良かった。
男湯殿も仕方ないから完成させたよ。・・・やんごとない方ご本人は細川様の付き添いで、俺が富士にいる時に来ていたそうだ。「余は満足じゃ!」と言ったとか、言わなかったとか。
側室2人の治癒魔法はホントに凄くて、翌日には十六夜は完全に正常な状態。
来客の対応を普通にこなすものだから、むしろお客さんが不思議そうな顔してた。
にぎやかになって来ると、宴会名人の前田教官も登場して。
親分衆も門前町の氏子衆の庶民も、みんな一緒に飲めや!歌え!のどんちゃん騒ぎ。
門前の団子屋や饅頭屋は全部買い切って、参拝客に振舞って配る。
それ、ドンドン作れ、そんでドンドン配れ。俺の奢りだい!
凄い勢いで届いた酒樽も境内でふるまい酒として遠慮なく配る。
ああ、人生最良の日を満喫しよう!
十六夜がいてくれて、俺の人生本当に良かった。
寛長寺のお坊さんもやって来て、赤ん坊が健康に育つようにってご祈祷してくれた。
宗教違うけれど、めでたい時に細かい事は気にしない。お礼に温泉でゆっくりして貰いました。
んで、さらに翌日。
なんか周辺一面酒臭いし、イビキが騒がしいこと夥しいけれど。
柳生十兵衛さんが血相変えて飛んできた。
貴殿のお父上なら、そこでイビキかいてますよ。昨日は本多様とナニヤラ愚痴をぶちまけてましたっけね。
「お三方が宴会したいと、いや違う。出産を祝いたいと、お忍びでな・・・」
「えーと、宴会しに何時頃来るんですって??」
「もう、馬車が城を出た。父が見当たらぬので拙者と半蔵殿で警護をしておる」
「ありゃ、但馬様は無断で抜けちったのか。
さて、どうしたもんでしょうかね。
おーい、レキュアさんとシェイラさんや、この酔っ払い連中の酒を抜いておくれ」
こうなりゃ何度でも宴会してやろうじゃないか。
お客さんをシャキッとさせて、やんごとないご婦人方の来訪を告げて、改まって宴会用意。
料理と酒なら余裕綽々。
酔いが覚めた濃い皆さんに段取りを相談したら、細川様にお任せしましょうだって。
そうだよね、式典なんかでは一番頼れそうだし。
茶道具を用意しろと言われて、楽器を出来る者はいるか?と言われて、義母ちゃんや十六夜は琴を弾かせると上手い、前田教官は芸達者だしと。
ふんふんと納得する細川様。頼りにしてます。
一回、客間という名の宴会場を掃除して。
席次を確認して、身分順に場所を決めて行って到着を待つ。
境内は人が大変なことになっているけれど、そこはウチの連中と柳生衆で何とか整理しておいて。
ハッピー回の次は一転しての大騒動。
次回、島原の乱勃発。
お楽しみに。




