13.帰還
ご愛読ありがとうございます。
今回は敗北した主人公に残された妻達の戦いです。
果たして、女の情は運命の神を動かすのか?
ただ呆然とする私を、シェイラが叩いた。
やるべきことをしろ!と。
私なんかよりもシェイラの方が強かったみたいね。
そうだわ、愛しいあの方が戻る場所。それを守るのが妻の仕事よね。
早々にお社に戻って、離れで遠視の術を使って水晶玉に戦闘状況を映し出す。
困った。
想像以上に離れて行ってしまう。飛翔速度が速いのだ。
巨大な神龍ははっきり分かるが、お館様の召喚したドラゴンは辛うじて確認できるくらいにしか見えない。
遠視の術には遠すぎる。
私とシェイラの力でも及ばないなど、一体どれほど離れたのか。
召喚されたドラゴンはいつの間にか2体いる。
お館様はドラゴンを2体も召喚できたのかと、驚くばかり。
しかし、早々にブレス攻撃を仕掛けたドラゴンが、あっさりと消滅させられる。
攻撃力が違い過ぎる。
代わりにゴマ粒のようなものが水晶玉に映される。
埴輪を召喚したのだろう。
大丈夫。まだお館様は健在な証拠。
残るドラゴンが撃破されても、更に埴輪が追加で召喚されてくる。
まだ、大丈夫なのだ。
しかし、神龍は容赦なく埴輪軍団を消して行く。
ブレスを吐き出す度に、容赦なく埴輪が消えている。
埴輪のダメージは、お館様に跳ね返るというのに。
あんなに消されてしまっては、お館様が危ないだろう。
それ程の時間をかけずに神龍は埴輪軍団を殲滅させてしまう。
暴れて満足したのか、神龍は悠々と富士へ戻って行くようだ。
お館様の狙い通りと言えるだろう。
でも、お館様は一体どこに?
お館様はご無事なのか?
頭が真っ白になっていく。
一緒に水晶玉を見ていた奥方様が言う。
「いざとなっても蘇生術がかかっている筈です。貴志さんは絶対に助かっています。早くお探し下さい」
思わずシェイラと目が合う。
そうだ、それがある。
やっぱり正妻は強いみたいだわ。諦めなんていないのね。
私達は庭から飛び立った。
私は全身から氷を纏い。
シェイラは炎を纏い。
遠くからは青と赤の光が、尾を引いて社から飛んでいったのが見えたそうだ。
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酷い頭痛と吐き気で胸糞悪い気分で目覚めたら、すぐ横に十六夜がいた。
黄泉路まで一緒についてきた訳でもなさそうなのは、見覚えのある場所だから。
俺が自分のカネで建てさせた妻の出産用の離れだ。
酷い悪寒もあって咳が出るし、頭がガンガン痛む。
俺はあの後どうなったんだろう?
どうやって、ここに帰って来られたのだろうか?
「あなた・・・」
ゲホゲホと咳き込む俺の背中を妻がさすってくれる。
妻の顔は涙で濡れていた、すっかり泣き腫らしていたようだ。
「俺はあの後どうなったんだろう?」
「海の上で亀の甲羅に乗って漂っているのを、レキュアさんが見つけて下さったのです。
2日間も海で漂っておられて、すっかり衰弱してしまって・・・。
お帰りになってから3日も経つのですよ。
でも、ご無事で・・・本当に良かった・・・」
「そうか保険で召喚しておいた海亀に助けられたのか。
体力切れに、魔力切れで気持ち悪いのか。
いや、一回死んで蘇生術でも上手く機能したのかな?死んで生き返るとこんな感じなのかな?気分は悪いし、体調最悪。全然、体に力が入らないし。
あれ、でも海亀がいたのなら、俺は死んでなかったのかな??
俺が死んだら召喚した亀も消えただろうし。
よくわかんないな。
そう言えば、埴輪は壊滅したのだろうけれど、神龍はどうなったの?」
「・・・埴輪の軍勢を壊滅させた後は、富士に戻ったようです」
「そうか、良かった。なんとか帰ったのか。
アレに王都にまで攻め込まれたら、こうして寝ている場所なんて消えてなくなってるよな。
しかし、体中が痛いよ・・・。
彼女達はどうしてる?」
「レキュアさんもシェイラさんも、2日間休まずに殆ど飲まず食わずで海の上を飛び続けてすっかりお疲れです。まだ、お休みしています」
「そうか、二人にも世話をかけたな。ゆっくり可愛がってやらないと」
「本当にお二人には助けていただきましたの」
まだ泣き続けそうな妻。
「ますはメシだな。
体の芯がフワフワして、頭がボーとする。
足腰は全然力が入らない。
これじゃ話になんない。
魔力と体力を取り戻さないと」
「すぐにご用意いたします。旦那様」
控えていた黒奈が出て行く。
入れ替わるようにシェイラが入って来た。
何も言わずに、布団から上半身を起き上がらせている俺を、座って抱きしめるシェイラ。
頬を擦り付け、口づけをして、胸にギュッと俺を抱き留めて離さない。
「あなた様、お願いです。私もあなた様と共に死ぬ命令をください。
あなた様のいない人生など、私には意味などありません。
あなた様と共に生き。あなた様と共に死ぬことだけが私の望み。
お願いです、あなた・・・。」
炎の魔女が泣いている、俺を抱きしめたまま、二度と離さないと言いたげに。
「ダメだな、戦場で俺と伴に死ぬというのは現実的に無理だ。
確実にお前が先に死ぬことになる。
今回が良い例だが、俺と同じ場所にいたらお前は確実に焼け焦げて灰すら残らず消えている。
そして、俺が魔力切れで海を漂流している時に、助ける奴がいなくなっただけだろう。
俺は神龍を連れて相当に遠方まで飛んでいたはずだから、並の連中では飛びきれない場所だったんだろう?
お前とレキュアだから俺を見つけられた。
他の奴では絶対に探せなかった筈だ。
違うのか?」
「それは、そうですけれど」
「俺のお先棒担いで死ぬのは児雷也なり才蔵にやらせとけばいい。
あいつらは喜んで死ぬだろう。
でも、お前とレキュアは俺の女房だ。
お前らは俺の後始末が仕事だ。俺の先に死ぬことにゃ一文の値打もない。
無駄死になんて絶対に許さない」
「私を女房と呼んで下さりますのね、あなた」
「お前は俺の女だ、俺だけのな」
「うれしい、あなた・・・」
シェイラも泣きじゃくってしまいました。
途轍もなく美しい大人の色香を漂わす豪華な炎の髪の女が俺を包むように抱きしめてくれる。
普段なら押し倒したくなるような可愛さを見せてくれているのだけれど、こちらは全身力が入らず為すがまま、抱かれるがままというお粗末な状態。
残念、メシ食って、温泉療養だなこれは。
「そう言えばレキュアはどうしたんだろ?」
「あなたを探しあぐねてしまったので、高位魔法で水霊を召喚して探して貰ったのです。
思っていた以上に遠い場所だったので、探索に時間が掛って。
それに実際に現地に着くまでにもとても時間が掛ってしまって。
レキュアは魔力切れ寸前で、あなたを漸く発見して。
ここまでお連れする魔力が足りず、二人を抱えて私が飛んで帰りました。
あの子は消耗し切ってしまって、10日くらいは休まないといけないわ」
「高位魔法で水霊を使役したのか。
無理なことを。まあ、ゆっくり休ませておこう」
「あなたこそ、見つけた時には目、耳、鼻、口から血が出たような跡がありましたし、全身が焦げたようなご様子でした。本当に大丈夫なのですか」
「出血は埴輪のダメージが跳ね返ったせいだね。大軍を召喚して、ガンガンやられて。
酷い目にあったぞ。
死ぬほど痛かった・・・。途中で意識が飛んで、海に落ちたんだ。
コゲコゲなのは神龍のブレスを遠くから浴びたせい。
しっかし、あれは凶悪だった。やば過ぎて話になんないよ」
鶏肉入り卵雑炊、三つ葉を乗せて、が出来上がって。
背もたれでも持って来させようとしたら、シェイラが俺をお嬢様抱っこして。
その状態で、十六夜が「ふーふー、あーん」ってしてくれて。
腹が膨れたら眠くなって、そのままシェイラの腕の中でスヤスヤ。
ボク、12ちゃい。まだ、こどもだもん。
シェイラおねえちゃんは、やわらかくて、あたかくて、いいかおりなの。
うーん、すやすや。
体力強化魔法を行使してしまえば腕力のない筈のシェイラでも、子供くらいは自由に振り回せてしまう。
目覚めて、離れに引いてある温泉に入れてもらって、またメシ食って、寝て。
その間のほとんどはシェイラの腕というか、胸の中でダッコされた状態。
5日程かかってようやくと、自分の足で歩けるようになった感じ。
シェイラはちょっと残念そうな顔している。でも、おねむの時はお世話になるよ。
レキュアも日常生活は大丈夫だけれど、魔力はまだ戻り切らない。
10日程経っても、俺達はボロボロのままだった。
後で聞いた話だけれど。
俺の救出に成功したというのはシェイラが王宮に連絡したそうだ。
王宮では、俺が飛び出して行った後から城にいた魔法師総出で遠視の術を使ったらしい。
複数同時行使で、遠距離でも見えるだろうという発想だったらしい。更迭された元筆頭も動員された。
でも、俺が神龍を遠くに引っ張りすぎて結局の所は良く見えなかったそうだ。
ドラゴンが2体いて、あっさりと神龍に撃破されたこと。
ゴマ粒のような集団が、ブレスで殲滅されたこと。
ひと暴れしたら、神龍は富士方面に去って行ったこと。
何の事はない、総動員かけても大した情報は得られていなかった。
ひとまず神龍が去って行ってくれてので、万歳だったけれど。
駿府は各所で被害甚大。
箱根の砦も酷い状態。
追討組頭は消息不明。
困った問題山積だった。
まずは、被害者の救援と被害状況の確認。
そして、復興の手立て。
被災地域は昔なら広大な直轄領だったけれど、現在は独立した分家に分与されていて、小藩が多い状況になっている。
一つ一つの小藩だと財力が弱い。人手も少ないという環境にある。
一端また全体をまとめて統合しないと駄目かもしれないという話もあるそうだ。
でも、至急何とかしないと駄目なので、王都から緊急派兵して被災者の救助。
再建のための財源は王家から持ち出す方向で検討。
箱根の砦は元々直轄だから、王宮からの采配で再建になる。本来なら駿府方面との人の出入りなどを管理する部門なのだけれど、完全に機能停止状態。
王都から西国方面への人の出入りは完全に管理不能になっている。
組頭が消息不明の追討組は、神龍の第二次攻撃に備えて待機だったそうだ。
俺の探索に出すでもなく、被災者の救援でもなく、王宮で飼い殺し。
怯えきった文官連中が、被害者救援は通常装備の軍でも十分だと主張して王都駐在の近衛部隊を派遣。
同様に文官連中は俺の捜索に側室二人が出ていることを理由に、追討組の派遣に難色。
情けないことに王宮騎士団も、自分達では神龍の第二次攻撃に対処できないと逃げを打ったそうで、俺不在時の切り札として追討組は飼い殺し状態に置かれた。
参考までに、
王家の直轄地や譜代の臣下が抱えている軍を王国軍。
たとえば、本多勢や井伊勢、榊原勢は普段それぞれの領地にいるけれど、王国軍という扱い。
王国軍で王都警護に当たっているのが王国近衛軍。
さらに、王宮警護を任される精鋭部隊を王宮騎士団と呼んでいる。
そして、王家に直接雇用される魔法師を王宮お抱え魔法師と呼ぶ。
その、お抱え魔法師の中で戦闘特化した組織が俺の魔物追討組になる。
お抱え魔法師の中には支援系の者や技術開発者などもいて、彼らは近衛軍や地方の代官軍、王宮の使用人として分散配置されている。
親藩や外様大名が直接召し抱えている部隊を~藩兵とか、家の名前で~軍とも呼ぶ。そこに与力の兵力を加えて~諸侯軍と呼ぶこともある。
問題は、王宮警護を任される精鋭部隊を王宮騎士団と呼んでいるのだけれど、そこの責任者が最重要な外敵を相手には出来ないと言い切ちゃった。
本来なら武装集団である王宮騎士団を魔法師が支援するというのが建前。
ところが、騎士団は知らん顔で魔法師が勝手にやってくれと敵前逃亡したようなもんだ。
児雷也が激怒して、騎士団長に腹を切れ、禄を返上しろと迫った。
才蔵は騎士団長に決闘を申し入れて、勝ったら俺が騎士団を率いると喧嘩吹っかけた。
佐助は城を抜け出して俺の捜索をしようとして、それを阻止しようとする服部忍軍と喧嘩になった。
慌てた柳生様が仲裁しようとしたら、それじゃまず柳生と勝負だと言い出して。
才蔵は陛下にマジで柳生様との決闘の許可を申し出た。
陛下は苦虫を噛み潰したような顔で却下。
陛下は本多様に裁定を委ねた。
これを受けて、本多様、井伊様、榊原様が揃って才蔵に頭を下げた。
「今は王都の住民を慰撫する時。頼むから我慢してくれ、残存兵力で一番有力なのはお前達なのだから」
3人に頭を下げられた才蔵はしぶしぶ引き下がった。
佐助は服部衆の忍びを3人程殺していて、服部側からは脱走兵として佐助を処罰しろと猛抗議。
これも陛下が却下して、佐助は待機命令違反で減棒、服部側に慰労金を下賜。
外敵に対処できない王宮騎士団長は更迭すべしという断固たる魔法師側からの異議申し立てを受けて、騎士団長は解任。
一発でお家取潰し。
敵を前に闘わない騎士団長の更迭申し立てには、だれも反対しなかった。
王宮騎士団の指揮は暫定的に本多様が取ることに。
神龍の襲撃からの2日間で、王宮ではそんな出来事が起きていたそうだ。
なに、やってんだかなあ。
んで、2日後には俺が救助されたと報告されて王宮では大歓声で大喜び。
そのまま3日間目覚めないとあって、また鎮痛な雰囲気に。
目覚めたと報告されて、また大喜び。
でも、体力切れに魔力切れで身動きできないと追加されて、また沈鬱に。
10日ほど経過して、青と赤の女に抱きかかえられて久しぶりに登城する俺。
大人に両脇を抱えられる子供。なにか、捕まえられた宇宙人風なカンジかも。
自虐していたら、王宮では大歓声でした。
文官連中や侍従なんかは、これで助かるという感慨。
武官連中は神龍を追い払える奴がいたという快挙に感激。
ウチの連中は、帰還を喜ぶのと俺の探索が出来なかったことへの後悔やらで号泣、号泣。
早速、本多様と柳生様に捕まって体調を確認された。
まだ、当分はまともに動けそうにないと、素直に申告。
両脇抱えられて歩くのが精一杯だし。
褒美には何が良いかと言われたけれど。
正直、半年くらいの休暇が欲しい。もう、一生分の戦争やった気がする。
何で生きているか不思議な気分だよ、ホント。
オジサン達は、それ以外にないのかと言うけれど。
爵位貰って、おカネも貰って、女も貰った。
他にいるものあるのかな??
おカネがたんまりあるから、今更領地経営なんて面倒なだけだしなあ。
本来は貴族=一万石以上の領地持ちの大名なんだけれど、俺の場合は子供で出雲家が10万石の寺社領持ちということなので例外的に領地経営していない。いずれは普通に領地持ちになるだろうけれどね。
これ以上側室が増えると、面倒事が増えそうだし。
十六夜は嫌がるし、側室二人に太刀打ちできるような女はいないだろうし。このメンツで収まり良さそう。
そうそう、レキュアとシェイラが今までは美人だけれど冷たい印象で他人を寄せ付けない感じだったのが、この数日で一変。男を吸い寄せるような妖艶な女という印象に様変わり。
俺を抱えている二人にスケベな視線が結構飛んでいた。従来なら嫌悪されてたのに。
えい、アッチ行け。
でも、褒美が何もない訳にはいかないだろうと。
結局、爵位を上げてもらって、勲章の一つも貰っておこうかと。
でも、休暇が一番欲しいけどね、本音でさ。
んで、官位が上がりました。
伯爵から侯爵になるのではなくて、官位。
自分ではトンと知らなかったのだけれど、今までは従五位という官位だったのが、正二位というのになって、これからは遠征時には征夷大将軍を拝命することが出来るそうだ。
これで戦地では王国軍に限らず、諸藩の軍勢でも配下に置いて指揮する権限を持てるらしいや。
12歳のガキに指揮される軍隊には同情したくなるけれど・・・いいのか。
児雷也に指揮を丸投げしたら嫌がられるだろうなあ。押し付けるけどさ。
ついでに、魔物追討組が魔物追討軍という名称に変わる。
要員は40人のまま。
でも、“軍”だそうだ。
有事にはドラゴンを召喚できる訳で、実質的には最大戦力を保有する軍隊だということ。
また、氏子勢と伯爵勢を加えると、千人位の軍勢になるからおかしくもないだろうと。
俺の扱いは魔物追討軍大将が平時の役職。
んで、必要な場合には、征夷大将軍出雲貴志を名乗ることになる。
なんか、強そうだ。
組織上は、王国軍侍大将本多忠勝様の直下に置かれる。
正二位で柳生よりも、俺の方が格上になっちゃったから仕方がない。
今まではお互いに従五位だったから、先任の柳生の命令を後輩の俺が聞いてもおかしくないけれど、流石に正二位が従五位に命令されることは無い。
むしろ、征夷大将軍としてなら公儀隠密衆を自由に使える身の上になった。
結果的に、権限はもの凄く大きい。
直接の配下は40人だけれど。
予算も増えなかったけれど。
あとは勲一等桜花大綬章という勲章を貰った。
宰相様もまだ貰ってないそうで、「20年位、つつがなく宰相のお役目を果たせ終えたら貰える筈の勲章」だそうな。
1カ月は登城無用で、学校も休講でヨロシイという余禄もついた。
これが一番嬉しいかも。
昔ならカネで女奴隷でも買おうかと考えていたのが嘘のよう。
今なら愛情あふれる妻たちが、いくらでも相手をしてくれる。
昼間から側室を溺愛していたら、十六夜は少しばかり拗ねて。
食事は俺に「はい、あーん」で食べさせて、食後は寄り添って離れようとしない。
べったりスリスリされると俺はウズウズする、そうなるとお腹の大きい十六夜を相手にするわけも行かずに側室を求める。側室は大喜び。
そうすると十六夜は、また拗ねてしまって離れようとしない。
うむ、これは愛なのか。
愛だよな?
俺が幸せを謳歌しようとすると必ず邪魔者が入る。
これが基本らしい。
1カ月は登城無用の沙汰が、たったの3日で破られる。
呼び出されて側室2人に両脇抱えられて出かけてみれば、深刻な御前会議だった。
全部の閣僚と軍部の主要幹部。
古都で捕縛した謎の術者達。
拷問では口を割らず、魔法による洗脳で何とか全て吐き出させた。
時間をかけて施術者を信頼させて、白状させる術なので時間がかかったものだ。
それによると外国の術者が、未知の召喚獣を呼び出す術を教えた。
そいつは変相する術で、日本人に化けているそうだ。
目的は、この国にはいない強力な召喚獣を使って、一定の地域を伴天連の領地にしてしまおうと企んだもの。
そこへ俺という存在が突然出て来たので、俺の強さを試すために古都で騒動を起こした。
もし、俺が苦戦するようなら、安心して西国あたりで召喚獣を大量に使役して伴天連国家を樹立させる。
逆に、俺が簡単に召喚獣を蹴散らすようだと、召喚獣を使役して神龍の領域を荒らしてしまって、怒った神龍にこの国全体を焼野原にさせてしまう。
神龍の怒りが収まった後に、ゆっくりと伴天連が支配する国として焼野原を再建すればいいと。
ヤケクソとしか言いようがない計画。
結局はこの国を焼野原にして、外国支配の国にしようということか。
この国を亡ぼすことが目的らしい。
妙な動きをする伴天連を片っ端からひっ捕らえるしかない。
あと、神龍の領域に滅多な奴を近づけさせないことか。
外国からの召喚獣を使った無差別攻撃もあるかもしれない。
伴天連の取り締まりは今でも厳しい。
直轄地や有力大名の領地である大都市では、ほぼ根絶状態にある。
西国や小領で領主の権力が行き渡らないような地域だと、まだ残存している。
神龍の領域といっても、本当の意味で神龍の存在が明確なのは出雲の森と今回の富士。
伝説の部類だと白竜湖や黒龍川流域、九頭竜湖などにもいるのかもしれないというレベル。
なにしろ、目撃証言がほとんどない。
見た時は死ぬ時というのが、神龍の怖さ。
これでは警戒のしようがないのです。
精々、魔物の森のハンター・ギルドあたりで、出入りのハンター全員に踏絵と檀家確認でもするくらいか。
外国からの召喚獣に対抗できる訓練をしているのは、ウチの部隊40人と魔法学校の44人だけ。
90人にも満たない要員だ。
1人で仕留められるのは俺と側室2人と小隊長の3人。たったの6人だけ。
これは、結構厳しい。
俺の分担業務としては、当面魔法を行使してくる魔物退治要員の増員を図るべく、促成栽培での要員教育となった。
学校でやっていることを、もっと詰め込みで短期間でやれと。
この主人公、妻達に愛され過ぎだろう・・・。
次回はいよいよ誕生です。主人公の幸せ編。
でも、その次は本物の戦争が待ってます。




