11.教官始めました
ご愛読ありがとうございます。
さて、今回は主人公が早々に学校を卒業して、魔法師の訓練教官を仰せつかるお話です。
延々と訓練を書いていますが、この成果が証明されるのは第15話から始まる島原の乱になります。
教官と生徒達が構築して行く戦術が後に王国の戦闘魔法師の基本戦術になり、それを各大名家でも取り入れて行きます。
今回は、そういった基礎固めの時期ということになります。
大江山のアジト跡を調査したら、どうやらあそこで大型魔石を使ってなんらかの術式をやったのは間違いない。
それが今回のような見たこともない強力な異国の魔物を、我が国に招き入れるようなことであったのかもしれない。こうした術が他の場所でも使われるようなことになると大混乱になるだろう。
従って、伴天連対策を当面強化することになる。
場合によっては、相当に手荒なことにもなるだろう。
追討組の出番も増えるだろうから、訓練を怠るな。
柳生様からの話は以上なんだけれど、やっぱり伴天連絡みの話は続くのか。
柳生様が手荒な事をするというのだから、そりゃ半端ないだろう。
「あの、学校でウチの部隊の訓練するのもそろそろ無理があるので、どこか広い場所を借りられませんか?」
深刻な問題として、部隊全員で訓練できないのは困るのです。
王宮の訓練場も広くないし。
「魔法学校の訓練設備が一番整っている。大規模魔法の稽古が出来るのは王都では魔法学校だけだ。使えるように手配しておこう。
また、富士の麓に軍最大の訓練場がある。年に数回使える段取りをしておく」
おお、なんか凄いぞ。やっと精鋭部隊らしい待遇じゃないか。
魔法的な攻撃をバンバンしてくるような魔物を相手にするのなら、訓練だって相応に強化しておかないと怪我人続出という有り難くないことになってしまう。
稽古も荒っぽくしないと駄目だろうな。
今後の事で一つ決断をします。
結局、余り勉強していなかったけれど、学校は退学とします。
十六夜のお腹が目立ってくると、学校でウロウロさせておくのは危険です。
黒奈にしっかり面倒見てもらいながら、お社で出産に備えてもらう。
俺、十六夜、黒奈と揃って退学します。
もっとも、俺の場合は退学ではなく卒業扱いになってしまいました。
卒業扱いになって、王立魔法高等学校の指南役を拝命。
追討組頭と兼務して、若手魔法師のレベルアップもやれと。
どうせウチの隊員連中が魔法学校で訓練するなら、一緒に生徒も面倒みろと。
確かに、小隊長達や側室の二人にしても、教えるのが上手かった。
俺は生徒として指導を受けたけれど、大変に分かり易い授業だった。
俺が指南役なら小隊長達は師範代として役職手当出してよ、と言ってみたら校長さんは飛び上がって大喜びでした。
卒業生の中でも最優秀の連中が、王宮のお抱え魔法師になれる可能性があるエリート予備軍。
最初から現役の王宮最精鋭戦闘部隊に手ほどき受けることが出来るなら、それに越したことは無いと。
俺の受け持つのは、魔法戦闘実践講座。
これは勝手にそう名付けました。
魔法攻撃をして来るモンスター対策をメインにする戦闘講座になります。
講義中の死傷に関しては全て自己責任で参加することを前提条件。
王国軍や各藩軍、貴族私兵からも部隊推薦があるものなら受講を認める。
出雲伯爵に憧れてとか、側室にしてください、というアホな子達は最初からお断わり。
死ぬのはヘボだから仕方がない。
これで切り捨てられるのが嫌な奴は最初から来るなという前提です。
定数は特に定めない。
来たければ来ればいい、無理だと思うなら無理しなさるな。
強力な敵と戦って生き残る術を身に付けたい奴だけ来い。
だって、使う教材は最初ワイバーン。
次いで召喚できるようになった3首犬-脳内に浮かぶ召喚対象リストでは「ケルペロス」となっていた。
そして、上半身鳥で下半身猫-同じくリスト上では「グリフォン」。
および、獅子と山羊にヘビの集まった奴-同じく「キュマイラ」。
最後に25m級埴輪を相手に戦闘をやって頂くという講座です。
ヘボな奴だと死ぬでしょう。
小隊長達には、普通に高度だと思われる魔法講座をやってもらいますけれどね。
彼らは魔法理論でもしっかりしている。
噂の高等魔法の実習可能な設備というのは本当に立派でした。
直系2kmの円形闘技場とでもいう形。
魔法師の魔力を増幅する装置を使って、大規模な防壁が展開できるようになっていて、動員できる魔法師次第では大規模魔法を使用しても周囲には被害が広がらない仕組み。
魔力の増幅装置というのは、ワイバーンやティラノの魔石を複数繋いでいるような構造のものです。
防壁を強力にしたければ、魔石を増やせばいいらしい。
定期的に魔石を交換する必要もあると。
そうなると魔石を採取するための狩りの実践講座もやればいいのでしょう。
ある意味、丁度いい腕試しにもなって都合がいい。
実は、俺の召喚した召喚獣だと死んだら消えるだけで魔石を残してくれないのです。
講義そっちのけで、まず隊員を招集してしまって軽く公開訓練。
古都で負傷した隊員がビビッていないか克己試験です。
負傷した隊員のいた佐助小隊の隊員一同の諸君には、まずはキュマイラ相手に訓練をやってもらいます。
「ちょっ、お頭・・・いきなりですか?」
「はい、そこ。余裕かましている暇があったら結界張るなり、避けるなりしなさい。
怪我して治癒魔法使わせたら罰金取るぞ」
「そんな殺生な」
「文句は柳生様に言いなさい。これからこうした戦闘が増えるから稽古しておけと御下命なの!」
「ひえーっ」
「ええい!精鋭部隊なんだろ、なんとかしなさい」
「小隊長殿~」
「まあ、なんだな。
攻撃など当たらなければ、どうと言うことは無い」
佐助サン?それは赤くて3倍速い人のセリフではないの。
「でも、火炎に雷撃に毒煙って、ひどすぎますよ~」
「なんだ、余裕あるじゃないか。何故これで古都では瞬殺されたかな?」
いい塩梅に火炎の煙と毒煙が広がっています。
でも、俺が到着する前に倒された奴とは思えない。結構、粘っている。
「いや、無理しょ・・・ホント無理っすから」
半べそかいて逃げ回っております。
お漏らししないだけ根性あると言うべきか。
「こんなチッコイ奴なんざ、チョイだろ、チョイ」
懐かしいセリフを言ってみました。受けを狙ってどうするのかな俺。
「・・・そんな事が出来るのは、お頭くらいですってば・・・」
おお、息が上がって来た。毒を吸い過ぎるのは危険だよ。
「ほら、反撃くらいしろよ。一応はお抱え魔法師だろ、気合見せろ」
君ねえ、逃げるだけだと、この先持たないよ。
「ひえ~、雷撃それに火炎砲」
「お、敵さんと同じモンを正面からぶつけて行くか。それを最初からやれって」
雷撃は敵の方が威力あって撃ち負けて無効化。
火炎の方は敵さんが放射する直前に当たって獅子顔がコゲコゲです。
やりゃできるじゃんか。
「あれ、効いてる。そりゃもう一丁、火炎砲」
「「「「火炎砲」」」」
小隊の連中が纏めて同じ魔法を叩き込んでいきます。
獅子頭付近が燃えだしています。いいじゃないですか。
「ホレ、止めさせ、止め!」
「しゃあ、いけや火炎砲!」
「「「「火炎砲」」」」
“うぎゃー”と妙な断末魔の叫びをあげて、キュマイラは絶命して消滅して行きます。
むふふっ、コイツが倒されても俺には痛みは帰ってこない。ラッキー。
「小隊長、3回ぶっ続けで叩き込めば確実にイケル。
小隊で狙う場所を決め撃ちするなら、慣れてしまえば短時間で仕留めることも出来ないか?」
「左様ですな。相手の弱点さえ把握できてしまえば、後は皆で息を合わせて一気に押せそうですな」
「そう思う。何度か繰り返してみようか」
「はい、お頭」
最初の戦闘は逃げ回っていた時間含めて37分だったのが、3回戦闘を繰り返したら10分程で仕留められるようになりました。魔力切れで、一つの小隊ではこれ以上は続けられない感じです。
現状では10人がかりでなら、単独のキュマイラを問題なく駆逐できる。
そして、10人では3体の敵を倒すと魔力切れに陥る。
ただし、戦闘時に重傷者なしで切り抜ける。
次は、複数の敵が同時に来た場合も考えないと駄目か。
動いている敵に同系統の魔法を同じタイミングで当てるというのは、相当に練度が高くないとできません。
下手糞だとタイミングはバラバラで、当たる場所もバラバラになる。これでは威力など上がらない。
練度が高い部隊だから、数回繰り返しただけでもキッチリ辻褄を合わせて来る。
そういう訓練を繰り返さないと駄目だということではあるけれど。
公開訓練としてやっていたので、学生や教師陣もこの様子は見学していました。
皆さん、3種類の異なる系統の魔法攻撃を繰り出す魔物など見るのは初めてで仰天。
そして、数回の戦闘で一斉に整然と攻撃して楽々仕留める精鋭部隊を見てまた仰天。
こうした光景を見て、それでも俺の講義に参加志望するのは、頭のネジが緩んでいるか、本気で自信がある奴か。
さて、どんなのが出てきますことやら。
魔法学校は入学時に100人で4年制教育。
例年、王立学校卒業生が6割で、独自に魔法の修行を受けて来たものが4割。
学校出の生徒はバランスが良く、独自組は一発芸に秀でる傾向。
ただ、最後まで卒業できるのは50人前後だそうだ。
多くの場合は初年度でついて行けなくなってしまうらしい。
それだけ厳しい教育が施されている。
校長氏が、威張って教えてくれました。
「あくまでエリート養成機関なのです。凡庸な者を教育する場所ではありません」
ワザとふるい落とすことをしているみたい。
ウチの部隊も大半は魔法学校の卒業生。
皆、凄いのね。
側室の2人も卒業生だけれど、最初から教授連中よりも強力な魔力を持っていたから在学中には嫉妬されて散々嫌がらせされたと聞かされた。
彼女達は感情が揺らぐと無意識に危険な魔法を発動させてしまうから、生徒連中からは怖がられて無視されていたそうだ。
それが今度は教える側として魔法学校に戻るとは、不思議な気分だとシミジミ。
当時の教授なんかは、今でも残っている。
伯爵家の当主である俺に挨拶する教授連中は、基本的に俺には平身低頭になる。
その横に控えている青と赤の二人を見ては目を泳がす教授連中を眺めて、二人ともクスクスしてた。
二人に面と向かってバカにされても、出雲に下賜された女魔法師というのは周知の事実なので、教授連中は冷や汗かいてすごすごと逃げるだけ。
「エリート養成学校の教授が、雑草3人組にペコペコしてるのはどうなの・・・」
バカみたいに感じる俺を、二人はニッコリ微笑んでいつものように胸に抱きとめてくれました。・・・あったかい。
受講希望者は63名になりました。
在校生21名、軍関係者42名。
在学生は1年生が1人で、後は4年生。
軍関係は王国軍、諸藩兵、貴族私兵、笑っちゃうことに柳生道場の師範代まで。
古都に突然現れた魔法攻撃をしてくる新種の魔獣対策というのは、軍関係者には非常に重大視されているのがわかります。
実戦でいきなり未知の敵とぶつかるよりも、事前に稽古積んでおきたいと言うのは当然です。
ウチの部隊だって、その訓練をやるのだから。この際、他所様の部隊の面倒見るくらいはケチケチしない。むしろ少数の部隊だから他所様と共同作戦する可能性が高い。
色々な部隊と伝手を持つのはこちらにも好都合です。
「集まった諸君を歓迎する。
これからの一年は先日古都に現れた新種の魔物に対する実戦訓練を繰り返してもらう。
敵は魔法攻撃をして来る強力な魔物である。
しかし、我々は敵が強力であろうとも、これを撃破せねばならない。
それが軍人の務めなのだ。
精鋭軍から派遣されてきた諸君には、我々と共に研鑽を重ね一層の高みを目指して欲しい。
さて、在校生諸君。
これからの訓練は断じて魔法学校の講義などではないと心得て欲しい。
これは軍の精鋭部隊による軍事教練なのだ。
少々魔法教育を受けたといえども、諸君らには荷が重いものだ。
在校生諸君には、危険と感じたら逃げろと命じておこう。
豊富な実戦経験を持つ精鋭軍にして、危険な訓練を行うのだ。
在学生諸君には無理がある。
将来エリートを目指す諸君に、生き延びることを最優先することを命じるものである。
これからの訓練だが、当初はワイバーン、ティラノ相手に戦闘訓練を実施。
諸君らの練度を確認しつつ、部隊としての連携を図りたい。
その後は徐々に相手を強力なものに切り替えていくことにする。
諸君の積極的な行動に期待する。以上」
コレ、前の晩にレキュアとシェイラに考えて貰って、練習しちゃいました。
うん、さらりと言えてよかったな。
「教官殿、よろしいでしょうか」
「よろしい、何か」
「理論面の講義は無いのでしょうか?」
在校生の質問でした。
「戦術的な作戦の打ち合わせを行うことはある。
しかし、魔法理論の講義に関しては行わない。それは我が配下の小隊長達の行う講義で実施される」
「了解です」
「他になければ、早速訓練に移る。
まずは各人の練度を確認したい。
武器の利用は自由。
ただし、この訓練場の外にまで効果が及ぶような魔法は禁止とする。
その上でまずはワイバーンとの戦闘を実施してもらう。
複数のワイバーンを屠ることが出来る者は最初に可能な敵数を申告すうように。
では、現役軍人から始めよう」
「自分は同時に2体まで戦闘可能です」
おお、いいカンジの奴がいるじゃないか。ウンウン、期待しているよ。
早速戦闘して貰ったら、楽勝でした。
「魔力の余裕は、もう一丁くらいいけそうか?」
魔力には余裕ありそうだ。
「はい、もう一回いけます」
余裕綽々じゃんか。
「うん、今日のところはいい。
貴君は我が部隊に入っても即実戦参加可能である。
異動希望があれば提出するように」
柳生道場の師範代はさすがに強いのね。
一応、声かけておこう。
「お館様に叱られますので、止めておきます。心は揺れます、有り難いお言葉に」
うん、いい奴じゃんか。
他にもう一人同じようなのがいて、そいつは尾張藩兵で尾張柳生門下生。
おお、柳生道場恐るべし。
強いのがゴロゴロしてるのな。
現役軍人組は、揃って単独でワイバーン1体撃破はなんとかする。
少々、危なっかしいシーンがあって、ヒヤリとさせられたけれど。
在校生は真っ青になっていたので、5人一組にさせて熊の魔物を相手させました。
空を飛ぶ奴相手に魔法を当てるのは結構難しい。
陸上限定でも、いきなりティラノは無理だろうし。
気が強そうな連中が揃った組は結構ノリノリで仕留めています。
反面、大苦戦するという組もあって。
レベル的には在学生は開きが大きいのかな。
2人1組ならワイバーン1体撃破できそうなのがいるのと。
5人1組なら何とかなるかもというレベルの奴らが2組。
こうした連中はモンスター・ハンターとして、すぐにでも食えるレベルです。
世間的に考えると十分強い方になる。これから経験積むことでドンドン強くなれる。
軍の精鋭になりたければ、ここから10年くらい必死に訓練する必要がある。
稽古つける価値は十分ある連中です。
他の連中は、残りをまとめて狼の魔物3匹をぶつけてみたら、それでも怖がって逃げてしまうレベル。戦闘向きとは思えないかな。
そうした評価を本人たちに伝えておきました。
在校生は12人と思っておけばいいでしょう。
現役軍人たちは、次から2人1組で複数のワイバーンとティラノを相手。
慣れたら、4人1組でさらに多くのワイバーンとティラノを相手。
それに慣れたらウチの部隊の要員を混在させて、8人1組を編制させ、この小部隊で都合30体のワイバーンとティラノを相手にさせる。
殲滅まで所要時間10分を切るところまでやらせてみた。
そこまでに2ヶ月掛った。
在校生の方は、2度目の講義に参加したのは12名だけ。
これは予想通りで、ハンターとしてなら即戦力だ。
2人組の方は1ヶ月とかからずにワイバーンを仕留めてのけた。
5人組の方は、2ヶ月かかった。
この5人組でもハンターとしては高位の部類になるだろう。
2人組の方は現役軍人に混ぜてみて、残り10人は別メニューという扱いにする。
3ヶ月目に入ったところで現役軍人は、3首犬のケルペロスを相手に変更です。
3つの頭から火炎攻撃をしてくる。
犬といっても10m位あるから肉体的な攻撃力も相当に高い。
パンチ一発くらっても、ガブリとやられても致命傷必至という相手。
8人1組でまずは1体を確実に仕留める訓練から始めて、様子を見ながら敵戦力を増やしていく。
1ヶ月続けてみると8人1組で、2体を同時に相手にして確実に仕留める。
それを3回繰り返すと魔力切れでグロッキーになる。
3体目を投入してしまうと、戦線が維持できない状態。
4ヶ月目で相手をグリフォンに切り替える。
上空からの火炎攻撃が襲ってくる相手になる訳で、面倒な相手です。
自在に飛び回る相手というのは、火力を集中させて1ヶ所を狙い撃つというのが難しい。
古都で相手をした時には余り飛び回る印象が無かったけれど、召喚獣として使ってみたら実に良く飛び回る。
素早く方向変換するし、絶対的な速度も速い。
追い回すにも、攻撃を当てるにも実に厄介な相手だった。
現役軍人の8人1組ではどうにもならず、もう一つ部隊を追加投入してようやく仕留めるような相手だった。
たった1体を相手に戦闘時間、実に2時間を必要とする大捕り物。
召喚術者の力量次第で強さが変わるのだろうか?
古都の時にはウロウロ歩いては、火炎を撒き散らすという程度の印象しかないのだけれど。
これではキュマイラよりも、面倒な相手かもしれない。
1体を仕留めるまでに、16人の現役軍人達は体力を使い果たして全員ヘロヘロ。
複数相手にするとか、連続して戦闘するのはとても無理。
比較の為に別の軍人組で、キュマイラの相手をさせてみたら苦戦しながらも8人1組で何とか仕留めた。ウチの隊員は入れていない状態で所要時間は1時間程。
キュマイラの方が動作は重い印象。獅子に加えて山羊の頭があるから重いのだろうか。
余計な頭があると、余計なことを考えて動きが悪いのか。
大型の鷹に猫の足という印象のグリフォンは、飛び方は完全に鷹そのもの。
火力としてキュマイラは厄介だけれど、本当に始末に悪いのはグリフォンだな。
高速で空中から一撃入れて、サッと退避されると対応が本当に厄介。
むうう、どうしようかな。
俺が魔法学校で唸っていた頃。
女性貴族用湯殿が完成したので、十六夜の名前で学校のお姫様達にお気軽にいつでもどうぞ、と案内を出しておいたのを見た姫君達がいらしていたそうだ。
王女と公爵姫、細川、毛利、前田の姫様のご参拝。
湯殿は玄関を入ると広間があって、その奥に脱衣場、さらに風呂。
ここには2階があって、湯上りにくつろいでもらうスペース。
2階から下を見ると、石庭になっている。
女性貴族専用のくつろぎ用石庭。
ちゃんと禅寺の大家と名家細川様に依頼して監修していただいて、キッチリと仕上げてある。
建屋を作るよりも、石庭の方が大変だった。
お風呂はいって、頭がぽーっとしている時に、お庭眺めてもらって。
これで幸せになって頂こうかという寸法です。
風呂自体は、20人位は入れる大金叩いた大型湯船は檜張りで、中々いい香りがするもの。
源泉かけ流しで湯量タップリ。効能としてはお肌がスベスベするお湯です。
男湯なんか後回しにして、女湯を先に造ったのは効能が女性用だったからです。基本が嫁さん用ですからねえ。
姫様方はお湯に入って、妹ちゃんの奏でる琴の音を聴きつつ、お庭眺めて。
板倉様からお茶と落雁、色紙が届いていたので、お茶を満喫して、折り紙やって。
非常に貴族の姫君らしい、まったりとした時間をお過ごしになって、帰られたそうです。
王女様曰く、有馬の姫様には縁談が来ていて、王室に許可伺いが来ているとか。
王女と公爵姫様は俺の話になると遠い目をしていたらしい。
すっかりお腹の大きくなった十六夜に何を思うのか。
細川姫は相変わらず猫かぶり、毛利と前田の姫は妹ちゃんと仲良くなって、きゃいきゃいとはしゃいで折り紙をしていたと。
で、このまま済めばいいのだけれど。
流石お騒がせお王女様。
家に帰って晩飯の時に温泉入ったと家族に自慢したらしい。
次回、第12話は最強の存在が強襲。
貴志の敗北。そして、妻達は・・・。
乞う、ご期待。




