表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
24/40

第24話 神を超える力

白い世界が揺れていた。

まるで地震のように空間そのものが震えている。


現実世界ではアザト=ゼルが結界を攻撃しているのだろう。

残された時間は少ない。


レンは神々の王アルディウスを見据えた。


「神を超える力って何なんだ?」


アルディウスは静かに微笑む。


「まず一つ聞こう。レン・クロガネ、お前はなぜ戦う?」


突然の問いだった。

レンは少しだけ戸惑う。だが答えは決まっていた。


「守るためだ」


「誰を?」


「みんなを」


即答だった。

仲間。家族。友人。この世界に生きる全ての人々。

だから戦う。それ以外の理由などなかった。


アルディウスは満足そうに頷く。


「なら資格はある」


次の瞬間、白い空間が変化した。


景色が広がる。

無数の星々。果てしない宇宙。

そして――巨大な戦場。


レンは息を呑んだ。


そこには数え切れないほどの神々がいた。


巨人のような神。

竜神。

天使。

悪魔。

精霊王。


様々な存在が一つの場所へ集結している。


そして彼らの前に立つ存在――それがアザト=ゼルだった。


今より遥かに巨大な姿。

銀河ほどの大きさを持つ異形。

無数の世界を飲み込む怪物。


レンは言葉を失う。


「これが……」


「三千年前の戦争だ。神界最終戦争」


アルディウスの声とともに、映像のような記憶が流れていく。


神々が戦う。

世界を創った存在たちが命を懸ける。


しかし――勝てない。


何千柱もの神々が消滅していく。

神界が崩壊する。

星々が砕ける。

宇宙が裂ける。


それでもアザト=ゼルは止まらなかった。


『喰らう』

『喰らう』

『全てを喰らう』


狂気の咆哮が響く。


そして最後に残ったのが――アルディウスだった。


神々の王。最強の神。

黄金の剣を持ち、アザト=ゼルへ立ち向かう。


壮絶な戦いだった。

一撃ごとに宇宙が崩壊し、時間すら歪む。


そして――最後。


アルディウスは己の命を代償にアザト=ゼルを封印した。

それがヴァルグロスだった。


レンは全てを理解する。


「だから監視者だったのか……」


「そうだ。ヴァルグロスは牢獄だった。そしてその封印は限界を迎えた」


映像が消える。

再び白い世界。


レンは拳を握った。


「なら俺が倒す」


アルディウスは静かに首を振る。


「今のお前では無理だ」


レンは反論できなかった。

事実だからだ。


完全解放したバハムートですら通用しない。

圧倒的な差。それが現実。


「だから神核を継承する」


アルディウスが右手を掲げる。

光が集まり、黄金の球体が現れる。


太陽のように輝く結晶。


それを見た瞬間、バハムートが息を呑んだ。


『神核……!』


「そう。神々の王の力の源。神そのものを構成する核だ」


レンは目を見開く。


「そんなものを俺が?」


「本来なら不可能だ。だがバハムートを完全継承したお前なら可能性がある」


「成功率は?」


返ってきた答えは冷酷だった。


「七パーセント」


空気が凍る。


七パーセント。

失敗する確率九十三パーセント。

ほぼ死ぬ。そういう数字だった。


「失敗したら?」


「魂が消滅する。蘇生も転生も存在しない。完全なる死だ」


レンは黙る。

重い。あまりにも。


だが――選択肢など無かった。


現実世界では世界が滅びかけている。

誰かがやらなければならない。


「やる」


アルディウスは驚かなかった。

最初から分かっていたように。


「そう言うと思った」


神核がゆっくり浮かぶ。

レンの前へ。


黄金の光。

触れるだけで身体が震える。

莫大なエネルギー。

世界そのものが凝縮されているようだった。


「覚悟はいいか?」


レンは頷く。

そして手を伸ばした。


触れた瞬間――世界が爆発した。


「ぐあああああああああああ!!」


凄まじい激痛。

身体が裂ける。骨が砕ける。

魂そのものが焼かれる感覚。


レンは叫ぶ。叫ぶ。叫ぶ。

だが終わらない。


神核の力が流れ込んでくる。

あまりにも巨大。

人間が受け入れられる量ではない。


『耐えろ!!』


バハムートが叫ぶ。


『ここで終わるな!!』


レンは歯を食いしばる。


負けるか。

こんなところで。

死ねるか。


まだ守れていない。

まだ終われない。


仲間がいる。

ユイがいる。

みんなが待っている。


だから――。


「うおおおおおおおおおおお!!」


黄金の光が爆発した。

白い世界全体が揺れる。


アルディウスは静かに見守っていた。


「なるほど。本当に面白いな」


普通なら即死。魂ごと消滅する。

それほどの力だった。


しかしレンは耐えている。

立っている。

前へ進んでいる。


神核が徐々に融合していく。


十パーセント。

二十パーセント。

三十パーセント。


レンの身体から黄金と黒炎が同時に溢れ出した。


神の力。

竜王の力。


本来なら共存しない二つの力が――融合していく。


『馬鹿な……』


バハムートが呟く。


『本当に成功するというのか……』


その時だった。


現実世界。


黄金の結界が大きく砕けた。


ガシャアアアアアアアン!!


世界中に響く破砕音。

人々が絶望する。


アザト=ゼルが笑った。


『終わりだ』


第二撃。

終焉の光が集まる。


今度こそ結界は耐えられない。

誰もがそう思った。


だが――。


その瞬間。


世界が震えた。


異変に最初に気付いたのはアザト=ゼルだった。


『……何?』


無数の瞳が見開かれる。


空が光る。


黄金と黒。

二つの光。


それが世界中へ広がっていく。


そして。


召喚書の世界。


レンがゆっくり目を開いた。


瞳は黄金と漆黒に輝いている。

髪は銀黒色へ変化していた。

身体を覆う竜鎧には黄金の紋章が刻まれている。


神と竜。

二つの力を宿した存在。


アルディウスは笑った。


「成功したか」


レンは拳を握る。

力が溢れている。

今までとは比較にならない。


世界が違って見える。

空間。時間。魔力。

全てが理解できる。


神の視点。

それが今のレンだった。


『信じられん……本当に神核を取り込んだのか』


バハムートが呟く。


レンは静かに息を吐く。

そしてアルディウスへ向き直った。


「これで勝てるのか?」


神王は少しだけ考え――笑った。


「分からん」


レンは思わずずっこけそうになる。


「おい!」


「だが一つだけ確かなことがある」


アルディウスの瞳が細まる。


「今のお前なら奴と同じ舞台に立てる」


その言葉。

それだけで十分だった。


今までは届かなかった。

だが今なら届く。

戦える。

可能性がある。


アルディウスの身体が光になり始める。

記録の終わりだった。


「レン」


「何だ?」


神王は微笑む。


「世界を頼んだぞ」


次の瞬間、白い世界が崩壊した。


レンの意識は現実へ戻る。


そして――世界中が目撃する。


黄金と黒炎を纏った新たな存在の誕生を。


人類最後の希望。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ