表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
緑の丘の銀の星  作者: ひろみ透夏
第17話 女王の想い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/61

17-01 女王の想い

 

 

 議会が終わると、わたしは何人かの親衛隊に囲まれて、連行されるようにトモミとアユムがいる部屋に案内された。


 第三者が見れば、まるで罪人のような扱いに見えただろう。

 だが、わたしにはわかっていた。


 彼女たちは命令を受けて、わたしを守っているのだ。

 意に沿()わぬ発言をしたわたしの身柄が、貴族院に拘束(こうそく)されないようにーー。




 部屋に入るなり、トモミは心配そうに駆けよってきて、

「大丈夫? ひどいことされなかった?」と、わたしを気づかってくれた。


 いっぽうアユムは窓に張りつき、ときおり通り過ぎる小型宇宙船に歓声を上げている。



「ひとまず、地球人が攻撃されることはなくなったよ」


 わたしの言葉に、トモミが涙ぐみながら微笑(ほほえ)む。


「よかった……本当に……」




 そのとき、わたしの背後にあるドアが音をたてて開いた。

 こわばるトモミの表情を見て、わたしはあわててふり返った。



「勝ったと思っているのか?」



 そこに立っていたのは、ジランダ議長だった。


「勝ったのはわたしたちだ。正直、地球人への攻撃を議会が認めるのは難しいと思っていた。だが女王陛下が取りつけてくださったのだ。陛下はかしこいお方だよ。きさまの肩を持つようなふりをしながら、しっかり十年後の攻撃を、銀河連合議会で確約(かくやく)したのだからな」



「そんなことにはならない。いまも地球人は、進化の途中なんだ」


 わたしの反論に、ジランダ議長はくつくつと笑った。



「たった十年で、あの野蛮(やばん)な生き物が進化などするものか。……おい小娘。おまえは、いずれこの男に殺されるのだ。楽しみにしておけ」


 するとトモミは、わたしの背中にかくれながら、ジランダ議長を(にら)みつけた。



「ふん。いかにも野蛮で、凶悪な生物の目つきだ」


「そう言うあなたは、ご自身の姿が見えていないとみえる」



 わたしの言葉に、ジランダ議長は赤黒い顔をさらに赤く染めて、わたしの胸ぐらにつかみかかろうとした。


 そのとき――。



「立ち去れ」



 ジランダ議長の背後から、威厳(いげん)をこめた女性の声がした。

 親衛隊長だ。


 ジランダ議長は、ふんっと鼻を鳴らして、どすどすと部屋から出ていった。



「きさまらもだ。地球人」



 トモミとアユムも、あとから入ってきた親衛隊に連れて行かれ、部屋には、わたしと親衛隊長だけが残った。



「女王陛下が、お(しの)びで来られる」



 親衛隊長がドアの横にぴたりと立ったまま、ぴくりとも動かずに言った。その目だけが、(するど)くわたしを(にら)みつけている。


 居心地の悪い時間がしばらく続いたあと、親衛隊長が再び口を開いた。



「さきほどの銀河連合の歴史についてのやり取りは、議事録(ぎじろく)から消去される」


 銀河連合がキリ星人を絶滅に追いやった歴史のことだろう。


「だろうね」


 そっけなく、わたしはこたえた。



「女王陛下が銀河連合議会でお姿を現されたことも、下賎(げせん)な女の名を口にしたことについてもだ」



 トモミのことを言っているのか。

 わたしはつい親衛隊長を睨んでしまったが、それ以上に彼女はわたしを睨みつけていた。



「……きさま、女王陛下の何者なのだ。陛下はキリ星の攻撃船が、ご自身に迫って来たときも、きさまの身を案じて動こうとはしなかった!」



 その事実を聞いて、わたしは言葉を失ってしまった。

 銀河連合を代表する女王が、わたしなんかのために……。




「こたえろ! きさま、陛下の何なのだ!」







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ