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緑の丘の銀の星  作者: ひろみ透夏
第16話 銀河連合議会

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54/61

16-03

 

 

 大議事堂は、水を打ったように静まり返っていた。

 千を越える銀河連合の代表たちが、みな顔をふせ、その場にひざまついている。



 絶対に姿を見せないはずの女王が、そこにいたのだ。



「オラキル博士。我ら王家と銀河連合は、あの()まわしき銀河大戦のあと、二度と悲しい歴史をくり返さぬよう、絶対平和主義を打ち立てました。キリ星人の侵略(しんりゃく)の歴史を後世(こうせい)に伝えながらも、我らはあの戦争を深く反省したのです。その想いを、()んでくれまいか?」



 女王がわたしの目を、まっすぐに見つめる。

 吸い込まれそうな女王の瞳を、まっすぐに見つめ返して、わたしはうなずいた。


 女王は大議事堂を見渡して、続けた。



「みなさん。地球人への攻撃は行ないません。よろしいな?」


「女王陛下……。しかし、地球人の半分は、キリ星人の野蛮(やばん)な血が……」



 ジランダ議長が、その大きな頭を床から少し浮かせて、おそるおそる言ったとたん、静まり返った大議事堂に、恐ろしくも美しい、()ぎすまされた(やいば)のような女王の声が響いた。





「これは聖断(せいだん)である! これ以上議論を続けるのなら、我らの血塗られた歴史も、ひも解くことになるであろう!」





 ジランダ議長は、思いっきり頭を床に叩きつけて、ひれふした。

 女王が再びわたしを見すえて、静かに続ける。



「しかしオラキル博士。生きるためとはいえ、かつてキリ星人が原始の地球人に壊滅的(かいめつてき)な被害を与えたのは、貴族院からの報告で確かであります。キリ星人の血を引く現在の地球人が、将来、我らの脅威(きょうい)となったとき、あなたは責任を取れましょうか?」



「……はい! どんな罰を受けようとも、この身をもって責任を取らさせていただきます!」


 思わず声を弾ませながら、わたしはこたえた。

 それに対して、女王はまったく声色(こわいろ)を変えず、静かなトーンで続けた。



「では地球時間で十年後、再びこの星へまいりましょう。彼らが野蛮な行為を改めず、銀河への脅威の片鱗(へんりん)を見せるようなら、そのときは貴族院の意見が正しかったとして地球人を駆除します。

 その際はオラキル博士、あなたが先頭に立ちなさい。できますか?」



 わたしが考えていたどんな罰よりもきびしい、女王の提案。

 とまどうわたしに、女王はさらに続けた。




「トモミという地球人も、あなたが自分で手をかけるのです。その業苦(ごうく)()えられますか?」




 女王の口からトモミの名が出たとたん、わたしの頭の中は、まっ白になった。


 しかし言葉だけが、意識せずに口をついて出た。



「できます……。わたしは……彼女を信じています……」




 女王は沈黙し、じっとわたしを見つめていた。 


 透きとおるようなブルーの瞳が、かすかに(うる)んだように見えたあと、女王は大議事堂に目を向けて静かに言った。




「これにて議会は閉会します。みな、ご苦労でした」




 女王が姿を消すと同時に、大議事堂に万雷(ばんらい)の拍手が鳴り響いた。








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