↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新・ロリの惑星  作者: 神原ハヤオ
第2節-承
PR
28/53

その28「ANTI-LOLI①ルビコン川を渡る」

 もしそのとき俺に意識があったのなら、上空に多数浮かんだ『ロリ人間コンテスト実行委員会』の船に、雨あられのごとくミサイルが着弾するのが見えたはずだ。船は粉砕され街に落ち瓦礫の山になったーーかつての人間の街と共に。

 冷ややかな手が俺の顔に触れて、俺は目を覚ました。瓦礫の屋根に瓦礫のベッド。足元には街を覆う水が波打つ。そこは瓦礫で偶然生まれたビーバーのダムのような空間だった。

 ほっとした顔の幼女が目に入ってきた。

「良かった! 無事だねっ、良かった!」

「クオン……いったいーー」

 はっとして俺は、俺の頬に触れたクオンの手を見た。クオンが慌てて俺から手を離した。

「ミサイルだよ……多分、幼女が集まるのを待ってたんだ!」

「幼女を狙っているのか?! なんで?!」

「……きっとロリコンだからですわ」

 すぐ近くでトゥインクルの声がした。瓦礫の山を押しのけて、トゥインクルが空間に入ってきた。肩には櫻宮薫子が担がれていた。

「なるほど。ロリコンだから『幼女を狙う』と」

 瓦礫の中から声がした。一糸まとわぬLO-426が這い出てきた。乳房はあったが突起はなかった。なるほど、改めてアンドロイドだということがよくわかった。だが何故服を着ていないかは謎である。

「……笑えない冗談ですね、トゥインクルさん……」

 櫻宮薫子が、静かに言った。

「死人が出ますよ……こんなやり方! 私たちが全員無事なのが、不思議なぐらいです」

「私たちが今無事なのは、幼女達が私たちを守ったからだよ。それに人間に幼女は殺せない、だから今は私たちの安全を考えないと!」

 クオンが言った。

 人間に幼女は殺せない……?

「とにかく! 一刻も早く街から脱出すべきですわ。上空の船は全て破壊されたようですから、もし第二波がくれば次は直接着弾します」

「それがいいよ! 早く行こう!」

 トゥインクルが親指を自らの胸に押し当てた。

「トゥインクル・変・形! とうっ」

 トゥインクルがまばゆい光に包まれた。光で良く見えないが服が消しとんで、頭部が胸部に収納、手足がゴムのように伸び縮み、脚部が腰を回転軸にありえない方向に180度ほどたたまれて、次の瞬間にはトゥインクルはボートになっていた。原理は不明。

『変形完了! トゥインクル・ボート!(アーレア・ヤクタ・エスト! クロス・ザ・ルビコン!) さあ、私に乗ってください!』

 トゥインクルの声と謎の効果音が、ボートの正面左右に配置されたコンパクトスピーカーから聞こえてきた。ステレオサラウンドだった。

 クオンが真っ先に乗り込んだ。櫻宮薫子が続いて乗った。

『あ、クオンさんと薫子は席を替わってください。前が薫子、後ろがクオンさんでお願いします』

「……え、なんで?」

 クオンが訝しげに訊ねた。

「前の方が危ないからです! 何が起きるかわからないんですからね、安全が一番! 薫子も賛成ですよね?」

「まあ……クオンさんが安全ならば、その方がいいですね」

 と言って、クオンと櫻宮薫子の席が入れ替わった。

『わーい完璧な位置! はぁはぁ』

 その席は……安全なのか? むしろ危険ではないのか?

 疑問が頭をよぎったが今は時間がおしい、俺もボートに足をかけた。

 一人、動かない女がいた。俺は振り返って声をかけた。

「乗らないのか?」

「私は、この街を出るわけにはいかない」

『何を言っているんですのLO-426?! 危険すぎますわ!』

「病院が心配なんだよ。あそこにはまだ、コールドスリープの人間達が残っている。私には彼らを守る責務がある。私は医療従事用アンドロイドだからな……」

『だからなんだというのですの?! まずは自分が生きるか死ぬか! 違いますか?!』

「仕事が優先だよ、そのために作られたんだ。それにそもそも前提が間違っている……私はアンドロイドだ。生きているわけではない」

『ふ……ふざけないでください! あなたは……自分が何を言っているのかわかっていますか?!』

 LO-426は何も答えなかった。

『……いいですわ! そんなに仕事と心中したいならそうなさればいい! 私たちは逃げますわ!』

 トゥインクルボートの後部エンジンがうなりだした。

『早く乗ってください、トキワさん!』

 俺は、ボートにかけた足を下ろした。

「何をしているんです、トキワさん?!」

「ダメだよトキワくん! 本当に殺されちゃうよ!」

 クオンが懇願するように叫んだ。

「あいつらは、本当に殺すんだよ?!」

「……すまない」

 俺は、一歩下がった。

 上空からヘリコプターらしき音がした。

『もう行きます! 勝手にしなさい!』

 トゥインクルが動きだした。クオンが身を乗り出して俺に手を伸ばした。櫻宮薫子が、落ちそうになったクオンに抱きついて止めた。トゥインクルのボート先端に傘のようなパーツが開いて、瓦礫を押しのけて去って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。