その26「ロリ人間コンテスト④最低最大の作戦」
病院上空、ロリ人間コンテスト実行委員会の飛空船内。純白のタイツを身にまとった委員会幼女たちが、半球状の部屋の中心の不思議な柱を見つめていた。
柱は鏡のようにも見える。光を反射する円柱、しかしその光は不思議にゆらめいていた。やがて徐々に反射は消えて柱は透明にーーいや、存在自体が霞に消えていく。
そこに立っていたのはクオンだった。
【特に問題はないようだ】
誰とも知れず、幼女が言った。
「……いつもありがとう。ところでカレルレンは?」
白の幼女たちが順繰りに答えた。
【単一の委員長『カレルレン』という実相はない】
【我々全員が『カレルレン』であり】
【全員が『そうでない』、とも言える】
「そう……だったね。じゃあ誰でもいいや」
クオンーー幼女の姿を持つその少女はたずねた。
「このロリ人間コンテストはいったい何? あなたたちは、ここで何をしようとしているの?」
【可能性の模索】
「可能性?」
【このまま君達人間と運命を共にするのは、我々としても不本意】
【我々を成体へ導く可能性を持つ存在の探索】
【それがロリ人間コンテストである】
てんてけてんてん てんてん てけてけ
「……おかしいですわ!」
船の上、トゥインクルが辺りを見回して焦ったように言った。
「さっきまであれほどいた観客幼女達がいませんわ……! いったいどこにーー」
エントリーNo.03 櫻宮薫子
「トゥインクル! あなたのターンは終わりです!」
「この声……変態人間! いったいどこから?!」
「さあ皆さん、存分にスイミングしてください!」
病院の窓が開いた。スク水姿の幼女達が、飛び込み台よろしく街を覆う湖に飛び込んでいく。
「わああああああ!」「いっくよーーー!」「そーーれっ」
「水着ですわああああああああああああああああああ?!」
てんてけてんてん てんてーー
電飾船の側面に、スク水印の海賊船が突っ込んだ。音が止まる。
船には櫻宮薫子、LO-423、そして俺が乗っている。
「あなたのお祭り騒ぎには、引っ込み思案な病院幼女達はついていけていませんでした。かと言ってLO-426さんのやり方では、刺激を求める海賊幼女の心は掴めなかった。そこで私は幼女をスク水幼女に統一したのです! これにより、全ての幼女は水を求める夏休みの女児に変わったのです」
「なんて下劣な! 無理矢理に着替えさせたというのですの?!」
お前が言えるセリフなのかトゥインクル。まあ下劣だとは俺も思う。
「そうだと言ったら?」
「ありが……許されませんわ、そんなこと!」
ありが……?
「だいたい、幼女に触れないはずのあなたがどうやって?!」
困惑するトゥインクルに、LO-426がドヤ顔で言った。
「私とトキワで着替えさせたのだ」
「俺は何もしてないぞ?!」
「トキワはすごかった……手を使わずに幼女を次から次に着替えさせて行ったのだ」
トゥインクルがわなわなと震えた。
「手を使わずに……? そんな! どうやって?!」
「いや、俺の前に置かれた段ボールから幼女が勝手にスク水を持って行っただけーー」
「念力?!」
「違う」
トゥインクルは、さも何でもないというふうな表情に戻った。
「ふ、ふん! あなた達が手を組んでスク水大作戦を仕掛けたのはよくわかりましたわ! ですが無駄ですわよ! 今度はスク水に合わせたコンテンツを展開し、水着幼女の心をつかむまでのこと! いやむしろあなた達が幼女を統一したおかげで、私も次の一手が打ちやすくなりましたわ!」
「トゥインクル、まさかあなた、私が『ただ幼女をスク水にする』だけの作戦を立てるとでも?」
「「は?!」」
トゥインクルと俺が揃って口を開けた。なんだ? 何をするつもりだ、櫻宮薫子?!
「よく船の下を見てみてみたらどうですか?」
俺は慌てて船の縁に駆け寄り、湖を見下ろした。眼下の水面で、幼女達が器用に泳いでいる。その格好は、黒からだんだんと肌色にーー
「ーーーーッ!」
俺は慌てて目をそらした。
「まさか、人間、あなた?!」
「そう」
櫻宮薫子は不敵にも言い放った。
「あのスク水は、水溶性です」




