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新・ロリの惑星  作者: 神原ハヤオ
第2節-承
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22/53

その22「幼女こわい」

 病院に幼女が増えた。

 黒の幼女は海賊幼女達、見た目に違わず粗暴が悪く、部屋をちらかしても平気な顔である。元からいる病院の幼女達、相変わらずマイペースで、部屋を散らかしても平気な顔である。病院上空に停泊している円盤から来た近未来的幼女の一団(自称『ロリ人間コンテスト実行委員会』たち)、傲慢不遜で部屋を散らかしても平気な顔だった。

「うーん、これじゃあ当分お掃除にならないなぁ……」

 クオンが頭をかかえた。

「まあ、できるところだけでもやるしかないんじゃないか」

 俺が言った。クオンがぱっと目を輝かせて俺を見た。なんだ?

「そうだねっ! そうしようじゃないか!」

「なんだか急に嬉しそうだな……」

「そりゃそうさー」

 クオンがしみじみと腕を組む。

「……変わったよね、トキワくんもずいぶんと」

「そ、そうか?」

「うんうん、いい感じだよ……いい感じ……」

「……なんだかいい雰囲気ですね……?」

 どこかから静かな声がした。俺たちは慌ててあたりを見回した。

「今の……櫻宮先生の声か?」

「うん、そうだったね。そういえば今朝から姿が見えないけど」

 幼女が増えて、櫻宮先生の姿が見えない。悪い予感しかしないのだがそれは。

「……探してくる」

 俺が言った。クオンがうなずいた。

「私も! 手分けしようか」

 二手に分かれた。

 分かれてすぐに見つかった。廊下の曲がり角のすぐ先に彼女はいた。

「うわっ!」

 思わず声を上げてしまった。言い訳をさせてもらうと、幽霊か何かのような雰囲気だったのである。

「……あの……トキワさん」

「は、はいなんでしょう」

 思わず敬語になってしまった。

「匿ってくれませんか」

「……はい?」

「幼女が怖いんです」

「…………はい????」


 幼女っけのない手術室に俺たちは来た(幼女っけってなんだ。自分で思っておいて自分でうんざりする造語だ……)。

 血を連想させるこの部屋には、さしもの幼女達も近寄らないらしい。可能であれば俺も近寄りたくなかった。

 休憩用の簡易的な丸椅子に俺たちは座った。お互いそっぽを向いていた。向かい合うのはなんとなく避けた。

「……私、実は昔はその……ちっちゃい子が好きだったんです」

「ああ……うん……」

 相槌を打つので精一杯だった。

「ですが……『幼女』達が現れて、何もかも変わってしまいました。あれは人間の子供ではありません。あなたもわかっているとは思いますが」

「それはまあ、わかっているが」

「彼女達は……無邪気です。無邪気で……穢れがない。そんなものは生物じゃないんです。私はそれが……不気味でたまらなくて……」

 不気味。その視点で見たことは、そういえばなかった。

 人間に似て非なる何かが世界にあふれていく。自分が好きだったものに姿形『だけ』が似ているものが、日常を侵していく。そう考えると……

「それは……きっついな……」

 相槌を打つのが精一杯だった。

 そのつらさを、俺がどうすることができるとはどうしても思えなかったのだ。

「……でも……いつまでも、逃げてはいられないですよね……逃げてはまた……冷凍されてたことに逆戻りですもの……」

 櫻宮先生が立ち上がって、俺の目の前に立った。こう目の前で見ると、意外と背が高い。

「トキワさん。あなたは責任をとるべきです」

「……責任?!」

 思いもよらぬ言葉に、俺はむせかえった。

「そうです。この地獄みたいな幼女世界に、私を呼び戻したのはあなたなんですから。私、冷凍睡眠中にあなたがそばにいたこと覚えてますよ。寝てる私にあんなことこんなこと」

「してない!」

「話してくれたから私は目を覚ませたんです。責任を取るべきだとは思いませんか……?」

 櫻宮先生が俺の両肩に手を置いた。俺は思わず俯いた。

「せ、責任って、な、なにを」

 声が裏返った。なんだ。なんなんだ。

「わ、私とその!」

 彼女もここに来て声を詰まらせた。

「私とあの……」

 次の言葉までが長い。俺は唾を飲んだ。

「私と……私に協力してください。ロリ人間コンテスト……私は優勝します……優勝して、幼女の秘密を暴くんです。その手伝いをしてください!」

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