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新・ロリの惑星  作者: 神原ハヤオ
第2節-承
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20/53

その20「クオンの眠れない夜」

 幼女クオンは狙われていた。

「クオンたんかわいーですわ〜〜!!」

 トゥインクルがクオンに迫っていた。

「わ! 寄らないで!」

 クオンが俺の背中に隠れた。

「ちっ! またその男にべったりですのね!」

 ぬっ、とトゥインクルの後ろからLO-426が現れた。

「彼女は今仕事中だ。悪いが邪魔はNGだよ」

 426が、ポンとトゥインクルの肩に手を乗せた。

「幼女ならば私の部屋にもいる。一緒に来て幼女を愛でよう?」

 一瞬お前を見直そうとした俺が馬鹿だった。

 

 夜。

 俺の寝床になっている病室に、布団を抱えたクオンが入って来た。

「今日はここで寝るとするよ」

「……トゥインクルがいるからか?」

「それとあの先生もね……」

 クオンが抱えた布団を持つのを手伝って、俺のベッドの足元付近に敷いた。

「普通に空いているベッドで寝ればいいのに。空いているんだから」

「この方が落ち着くのさ。昔からそう」

 この時代に目覚めてから、俺は随分眠りにつくのが早くなった。時間に縛られるということが無いのだから、別にいつまで起きていてもいいのだが、朝クオンが起こしにくる時間はだいたい決まっているし、何より起きていてもすることがない。テレビも雑誌も、もう今の時代にはないのである。

 だが今日は違った。

 布団に入ったクオンが、小さな声で口ずさみ始めた。


  小人の子供が遊びに出たよ

  左の道には小人のお墓

  いろんな形のいろんなお墓

  小人の子供もそのうちお墓


「……前から思っていたけれど、ずいぶん世知辛い歌だなそれは……」

 右の道、後ろの道、左の道ときた。俺は尋ねた。

「その歌、まだ続くのか」

「続く、と思う」

「思う?」

「知らないのさ、この歌の続きを」

「知らない?」

「お母さんの歌なんだ。私はただ、聴いて覚えたの」

 一つずつ荷物を置くように、クオンが語り始めた。

「お母さんは、よく歌う人だった。歌の内容は、私にはよく分からない内容ばかりだったけど、とにかく歌が好きな人だった。私たちのお家はね、ここからずいぶん遠くにある農村で、私とお母さんと、お母さんのお父さんと一緒に暮らしていたんだ」

 ふと、畑の中で歌を歌う1人の女性と、それを聴いているクオンの姿が目に浮かんだ。

「天真爛漫な人でね……一緒にいると、いつも笑わせてくれたっけ……私もいつか、あんな風に誰かを笑顔にしたいって思ってさ……」

「だから、この病院でアンドロイドの手伝いをしている?」

「うん、まあ、そゆこと」

 聞きたいことが、山ほどあった。だがそれを、聞いていいのかはわからなかった。

「なあ、あのさ……」

「うん」

「その、お母さんって、今は」

「死んじゃった。私がまだ小さい頃に」

「そう、なのか……」

 俺は後悔した。何を聞いているんだ、俺は。この子に、つらいことを思い出させて……。

「……ごめんね。ずるいことしちゃった。この話をしたら、トキワくんがお母さんのこと聞いてくれると思ったんだ」

 クオンが寂しそうな声で言った。

「聞いて欲しかったんだ……私、弱いから、自分だけじゃ抱えられないから……」

「……弱くなんてない、すごいよ、クオンは。俺なんかよりずっと……なんというか、大人だよ」

「えへへ、ありがと。そう言ってくれると……思ってた」

 クオンはまた、寂しそうに呟いた。

 夜が更けていった。

 夜はずいぶんと長かった。

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