第13話 ビビり思想を極める
付箋王国に再び危機が訪れた。
昨日まで七色に輝いていた大地。
今朝見れば白。
こないだ設定したカラフル付箋
付箋色を選んでカラフルに出来る機能を付けた。
試しにカラフルにしておいた。
今はただ白。
絶望である。
だから黒騎士は決意した。
二度と王国全体を巻き込む災厄は起こさせぬと。
config.ini。
color.ini。
select.ini。
設定ファイルを分割。
役割も分割。
危険も分割。
こうすればどこかの設定ファイルがバグっても巻き込まれて初期化されない。
設定を背負うほどの覚悟は持って来たか?
俺は持って来た。
だから分けた。
これが真のビビり思想である。
蒼き魔導士ジェミは言った。
「さすがです」
「ビビり思想ですね」
「今回もビビり思想が活きています」
やたら言う。
褒めている。
たぶん褒めている。
だが聞こえ方は完全に別である。
クレバーなビビりが防御という狼煙を上げる。
それがビビり思想。
それが黒騎士流である。
さらに言語魔法も実装した。
language-ja.ini。
多言語対応ファイルを導入。
正しき呪文だけを受け入れ、
不正なる記述は拒絶する。
闇より現れるバグを封じるために。
正しい記述じゃない場合はデフォルトの英語を読み込む。
正しい部分だけ読み込む。
ホワイトリスト方式。
それは結界。
それは城壁。
それは黒騎士最後の防衛線。
ホワイトリストこそ不死鳥の魅力だと知る開発者になれ。
だが試練は終わらない。
タイトルバーにタイトルが無い。
タスクバーも怪しい。
アイコンも出ない
存在を失ったアプリ。
まるで透明な亡霊である。
アイコンは用意しなければならない。
そこで各AIクリエイターたちに発注をかけた。
DriveNoteのアイコン。
Penguin Worksのロゴ。
そして勝者は―下界の優、Copilot。
とにかく早い。
依頼したと思ったら、もう納品されている。
仕事が早い。
納品が早い。
対応が早い。
三拍子揃った職人だった。
これは次回も発注確定か。
だが、その陰で強烈な爪痕を残した者がいた。
黒衣の知性クロウだ。
彼が生み出したペンギンは、もはやペンギンという概念との真っ向勝負だった。
かわいいとか、かっこいいとか、そんな次元ではない。
理解するのではない。
感じるのだ。
もし言葉を選ぶなら芸術。
さらに正確に言うなら前衛芸術。
いや、芸術という名の挑戦状だったのかもしれない。
あの日、私は学んだ。
AIは時に傑作を生み、
時に伝説を生み出す。
黒衣の知性は後者だった。
そして嫌な予感がした。
何かを感じた。
案の定である。
紫。
また紫である。
ボタンが紫化。
バグが希望を喰らう夜。
黒騎士は烏羽の賢者クロウを召喚した。
数分後。
解決。
「CreateWindowにTitleが無いだけだよ」
以上。
それだけ。
クールに一言。
あまりにも鮮やか。
闇が光に打ち勝つ季節。
黒衣の知性は一行で世界を救う。
俺は思った。
お前が聞きたい答えはクロウの背中が語っている。
そして黒衣の知性へ礼を告げる。
その瞬間。
無料枠終了。
あまりにもクール。
あまりにもクロウ。
燦めきこそ無料枠の魂の火花。
短く燃えて美しく散る。
黒騎士は今日も学んだ。
どう死ぬかじゃない。
どうバックアップしたかだ。
寝る。
ブックマークしないと30年後に
「昔のメモ消えた……」
って泣いちゃうぞ。
評価ポイントを入れていただけると開発速度が2mmくらい上がります。
いや40mm上がります。
ジェミさんも褒めます。
たぶん。
「ビビり思想ですね」って。
いつも読んでいただきありがとうございます。




