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虐げられた令嬢は冷徹と言われる軍人と優しい夢を見る  作者: おつかれナス


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二十六 襲撃 二

「小隊長大変です!!フミさんが!清子さんが!」


 部屋に入るなり叫んできた風見の手には式神が握られていた。

 普段取り乱さない風見がこんなにも取り乱す事案は、屋敷にいる清とフミだ。


「何があった」


 風見は私の前まで来ると深呼吸し、出来るだけ冷静に話し始めた。

 その場にいた土守や木柴も風見の側に寄ってくる。


「昨夜、嵐に紛れ男三人が火ノ川邸に押し入りました」


 土守と木柴が身を乗り出す。

 私は二人を制し続きを促す。


「おそらく昨夜を狙っていたのでしょう。式神が反応した為急いで駆け付けたのですが、その場には傷付いたフミさんが倒れていて・・」

「フミは大丈夫か!?」

「はい、フミさんは急いで軍病院へ運びました。今は鎮静剤を打って眠っています。が・・」


 話しにくそうにしているのは清の事だろう。


「清子は・・攫われたか」

「「「!」」」


 三人が同時に私を見た。

 毎年この時期になると私個人への恨みからか良く屋敷が襲撃された。

 ただ去年まではフミ一人だったために、屋敷が半壊する程度におさまっていたが・・


「屋敷には結界を張っておいたのだがな、どうやら私と相性の悪い奴が手を貸したようだ」

「・・水の使い手、ですか」


 私は頷く。

 昨夜は嵐、風雨が強くただでさえ私の力が弱まった所に強い水の使い手の力が加わったのだろう・・


「油断したな・・」


 俺は怒りで無意識に力を出していたようで、慌てて三人が消化に走る。


「小隊長どうされますか」

「奴らの目的は清子。そのついでに私を消そうとするだろう。必ず向こうから接触してくるはず、それまでにこちらでも準備をしておく必要がある」


 三人は頷くと どう動きましょう。と寄せてきた。

 こんな時優秀な部下を持つと助かるな。と思いながら、怒りを抑えつつ会議を始めた。



 会議が終わるとまずはフミに話を聞くために軍が運営している病院へと向かう。

 フミは鎮静剤を打たれたせいか少しボーッとしていたが、私が部屋へ入ると覚醒し


「琉生様申し訳ありません、私が付いていながら清子さまを・・」


 泣きながら謝ってきた。

 私は椅子を持ちながらベッドの横へ座り、まずはフミの状態を見た。フミは肉体強化の力を持っているため、少しの怪我なら致命傷とはならない。のに、気を失う程の傷を負わせるとは・・


「清子さまが連れ去られる前、背後から針のような物で刺されました」


 そう言って首の後ろを見せられる。

 良く見なければわからない傷


「肉体強化の力を弱める成分が針に付いていたそうです。力が抜けたのはほんの一瞬でしたがその時に・・」

「2人がかりで襲われたか・・すまなかった、フミ。私の考えが甘くフミにまでこんな傷を負わせてしまった」


 私は深く頭を下げる。

 フミは驚き私に頭を上げるよう言った。


「私に悪いと思うのなら清子さまを無事に私の元へ帰してくださいませ」

「!・・ああ、もちろんだ。清子は私にとっても大切な女性(人)だからな」


 私の言葉に安心したのか 


「今日一日はこちらで休ませていただきますね。いつお二人が帰って来ても良いようにお屋敷を綺麗にしておきます」

「よろしく頼んだ」


 私はそうフミに伝えると今度は主治医の元へ向かった。

 

 小暮(こぐれ) (いさお)


 小暮家の次男で体内のみに透視ができる力を待つ。

 相手の弱点を見つけるため最初は私と共に軍に従事していたが、ある日突然


「人や妖を倒すために力を使うのも良いが、だったら人を救う方に力を使いたい」


 そう言った小暮は軍を辞め医学へと進んだ男だ。

 コンコンッ!

 

「どうぞ」


 ノックをすれば中から優しい声が返ってくる。扉を開けるとそこには白銀の髪色をした男が立っていた。


「火ノ川か。フミさんのケガは大した事は無い。使われた薬もすでに体から抜けている」

「そうか・・フミももう若く無いからな。変な毒でも使われていたらと心配だった」


 私は小暮に勧められて部屋のソファーへと腰を下ろした。小暮は手慣れた手付きでお茶を淹れると私の前に差し出した。


「俺の淹れたお茶で良ければどうぞ」

「・・・別にお前を疑ってはいない」


 私が答えれば小暮は嬉しそうに笑った。そして・・


「話は君の部下から聞いたよ。正直こんな所でお茶を飲む気分では無いと思うが、私に何か話があったんだろ?」


 向かいの席でお茶を飲む小暮にある頼み事をしに来た事を、この男は感じたのだろう。

 私は湯呑みをテーブルの上に置くと頭を下げた。

 一瞬何が起きたのか理解できなかった小暮だが、直ぐに理解すると慌て私の頭を持ち上げた。


「お前らしくも無い!やめてくれ、頼みなら聞くから頭は上げてくれ」

「いや、これは私の私情だ。隊からの指令ではない。だから頭を下げて小暮にお願いをする。私と一緒にある女性の救出を手伝って欲しい」


 少しの沈黙のあと、小暮は一言聞いてきた。


「その女性はお前にとって大切な人なのか?」


 と。

 私はその問いに対し何の迷いもなくこう答えた。


「ああ、私にとってとても大切な女性だ」


 

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