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虐げられた令嬢は冷徹と言われる軍人と優しい夢を見る  作者: おつかれナス


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十五 違和感

「お義姉さま、久しぶり」

「・・・春子?」


 今私の目の前で微笑んでいるのは、義妹の春子。そして声をかけられた場所は町の小さな商店街。

 お屋敷から二刻(十五分)ほど離れた場所にある町だ。しかも春子の住む街よりも半刻離れている。


 私は足を痛めたフミさんに代わって塩を買いに来た。普段は直接持って来てくれるが、塩だけはそれ程使わないため毎回町まで買いに来ている。

 だから、偶然町で会うには不自然で・・


「やだわお義姉さま。挨拶も忘れてしまったのかしら?」

「えっ、あっ・・こんにちは」


 私の挨拶に やだぁ〜義妹(いもうと)に向かってそんな他人行儀な!と笑いながら言ってはいるが、目が笑っていない。

 私は春子から目線を外す。

 春子の目は怖い。

 私を蔑みバカにするあの目を見ると、私は一瞬にして野上清子に戻ってしまうから。


「私がわざわざこんな田舎町までお義姉さまに会いに来たのに、そんな挨拶しか出来ないなんて・・お義兄さまがお可哀想」

「お義兄さま?」


 春子の言葉に春子を良く見ればあの夜、私から奪っていった髪飾りを付けていた。

 春子はその髪飾りに軽く手で触れると


「こんなにも素敵な髪飾りを頂いたのだから、お礼を言うのが筋でしょう?だから会いに来たの」


 まるで屋敷に案内するのが当たり前のように言って来る。春子はきっと、あの夜会での私を見て金持ちの家に再嫁したと思ったのだろう。


 自分にもおこぼれが来ると思って・・もしくは旦那様に取り入って私の居場所を奪うために。


「悪いけど旦那様は昨日から討伐に出ていて、お帰りになるのは先よ。今日屋敷に行っても会えないわ」

「・・ふーん、随分とハッキリものを言えるようになったのね」


 面白く無いわ。

 春子のこの言葉は聞こえなかった。

 春子は旦那様に会えないと知ると、こんな田舎に長居するつもりは無いわ!と言って取り巻きの男性を伴って帰って行った。

 と思ったのに、私の言い方が気に入らなかったのか・・私の帰り道を先回りして待っていた。


「お義姉さまが私にそんな態度を取って許されるとでも?火ノ川様に見初められたからと言って勘違いしないで!・・お義姉さまはそうやって地に顔を擦り付けてる姿が一番お似合いなのよ」

「・・・」


 私は春子の力で投げ飛ばされ、地面に押さえ付けられていた。春子はいつもそう。

 親に叱られたり、学校で嫌な事があるとその鬱憤をこうして私にぶつけてきた。

 風を操る春子は簡単に私を投げ飛ばし、その姿を見て気を晴らす。

 時には池に落とし、時には木の上に飛ばし降りられないようにしたり、酷いとこの前のように身体に傷を付けられた。


 今は風の力で地面に押さえられ身動き一つ取れない。胸は圧迫され息が出来ない・・

 もう少しで気を失いかける・・そんな時

 フッと身体が軽くなった。

 春子が弱めた?と思い見るが、当の春子も驚いた顔をしている。


「清子さん?やっぱり清子さんだ!こんな所で何を・・」


 私の側まで来たその人は、旦那様の部下の風見さんだった。

 私は息を吸うのに必死で声も出せなかったが、春子の顔色がみるみる悪くなり言葉も出せない姿は・・初めて見た。


「君は・・野上春子さんだよね?清子さんの義妹の」

「・・風見様・・」


 春子はそのままその場から去って行った。

 私は何が起きたのか分からなかったが、同じ風使い。風見様が何かを春子に言ったのかも知らないが、私としては助かった。


「大丈夫ですか?小隊長の言う通りになりましたね」

「えっ?旦那様ですか?」


 私は風見さんの手を借りて立ち上がると、風見さんの言葉に驚いた。

 風見さんの話によれば野上家の誰がが私に接触して来ると言い残し、私の護衛の為に風見さんを残したらしい。

 そして、いつの間にか私に式神を仕込み何かあった場合、式神から風見さんへ連絡が入る事になっていたと・・


「旦那様はどうして野上の家の者が私に接触するとわかったのですか?」


 今は風見さんの力で屋敷まで運ばれている。

 風見さんは風を操る。

 私は空を飛んでいるのだ。と言っても一枚の布の上に座り布ごと風に運ばれている。


「そこは・・僕も聞いていません。が、とにかく小隊長が戻るまで清子さんを守れと命がくだりました」

「そう、でしたか・・」


 気付けば屋敷に到着していた。

 風見さんはそのまま帰ろうとしていたが引き止めた。私を守る為だけにこの町まで来てくれたのだ!だったらお礼をしなければ!


「夕食を食べて行ってください!今はフミさんと私の二人だけなので寂しいのです」

「いや、でも・・」


 さすがに上司がいないのに部屋に上がる事を躊躇っていた。でも嫌そうでは無い・・

 私は大きな声でフミさんを呼んだ!

 私の声に驚いたフミさんは慌てて外へ出て来てくれ、急いで説明をした。

 フミさんは私の提案を喜んで受け入れてくれて


「清子さまを助けていただいた方にお礼もせずに返す事は、旦那様の顔に泥を塗るのと同じこと。大した物は出せませんがぜひ夕食を食べて行ってくださいませ」


 さすがにフミさんに頭を下げられたら断る事も出来ないと、屋敷の中へ入ってくれた。


 実はお腹が空いていたんですよ。と言いながら。

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