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第131話

 物騒な呼び名が出てきます。

その真相は・・・?

「廃棄、大陸ぅ? どういう意味だミストラル」

 ポロっと零れた言葉に不穏な気配を感じて問い返すと。


   『失言デゴザイマス。オ忘レクダサイマセ。』


 ばか丁寧な棒読み無表情回答。フィギュアは頭を下げたままだ。

 何かがあるってすぐにわかるぞ。


「ミストラル。正直に答えろ。廃棄大陸とはなんだ?」


   『・・・・・・申シ訳ゴザイマセン。ワタクシニハオ答エ

   スル権限ガアリマセン・・・・・・』


「オレが頼んでもか?」

 そう訊いた途端、フィギュアが土下座した。土下座知ってるぅ!?


   『ッ・・・! デ、デキ、マセンッ・・・。コレ、ハ、ワタクシ

   ノ基本設定、ニ定メラ、レタ規、約ニ反、シマス・・・』


 同時進行でモニター画面に異常が出てきた。画面が砂嵐で見えにくくなる。

 音も途切れがちになってきてるし、かなり深刻だな。 



「もういい、わかった。答えなくてもいい」

 その言うと、モニター画面も音声も戻った。

 フィギュアは座り込んだまま、額の汗を拭う仕草をしている。随分とまあ、造り込まれたフィギュアだ。


   『・・・スミマセンマスター。ゴ要望ニお答エデキズ・・・』


「気に病むことはない。大丈夫だ、どんな意味か分かったから」

「キュルッ?(ホントにわかってるだっちゃ?)」

「まあ、なんとなく、な」

 禁忌に触れるワードなんだろう。それにしてもきつい縛りだな……


   『流石マスターデス! 凄イデス!!』


 あれ、ミストラルが壊れた?

 フィギュアが旗を振り回して画面上を歩いている。右から左、そして又右へ。


「キュ~…キュィィ~……(あ~あ…信者にしたっちゃね~……)」

 信者? オレは宗教者じゃねぇぞ? こらフィギュア、そこで拝むな!


「ところで、この雷光石は使えるのか?」


   『ア、ハイ。名称ハ違イマスガ、魔虹石デ間違イアリマセン。』


「そうか、なら渡しておく。足りるか?」


   『十分デス、マスター。』


 フィギュアがオレの見えないところのボタンを押すと、モニター画面の横にぽっかりと穴が開いた。そこへ石を放り込む。


 成程。なら、ほかのところでも必要になるかな。もう一度行って渡しておくか。


「じゃあ、今回はこれで戻るか。後は頼むぞミストラル」


   『ハイッ、オ任セクダサイマセマスター!』


 フィギュアがキレイな一礼をしてバイバイと手を振りながら画面横に消えていく。それと主にモニター画面も倒れ、机の上がきれいになった。




 その後、魔導機製作所の『門番』さんと、カルト平原の魔器開発研究所に立ち寄って雷光石ならぬ魔虹石を渡してから、ラッテンサンド高原にある爺さんの隠れ家へ戻った。


 実験の検証代わりに使った入り口の『短距離移動用(ゲート)』は問題なく機能して、オレは無事に地下へと移動できた。 


「爺さん戻ったよ」

 声をかけつつ部屋に入ったが見当たらない。なので、食堂へ行くと。


「ほうほう成程。それでカトーサンは誕生したんじゃのう」


   『誕生トイウカ、気合ヲイレテモラッタ、ツー感ジデスカネェ。

   俺ラ中級魔導機ノ生マレナンテェノハ、ソンナモンッスヨ。』


「そんなことはないぞい。どんなものでも誕生するのは凄いことじゃぞ」


   『ソ、ソウッスカァ……』


「あんたら、何やってんだ……?」

 何やら茶をしばきながらグィード爺さんとカトーサン……正式名称は水分補給魔導機WRT378KT3だ……がのんびりとした会話をしている場面に出くわしてしまった。


「何を、とはまた。儂の大事な拠点を管理してくれておるんじゃ。こうして親睦を深めておく必要はあるじゃろ?」

 ズズズッと茶を飲み干して爺さんは宣う、が。


   『ボス、オ帰リナサイッ。オ務メゴ苦労様デヤス!』


「………………ああ、ただいま」


 何拍か返事が遅れてしまった。

 迎えてくれるのはうれしいけどね? そのあいさつ、どうにかならない?

 いかんいかん、しっかりせねば。気を取り直して聞いてみる。


「カトーサンはエネルギー源、大丈夫か?」


   『アッシデスカイ? マア、モウ少シハ持ツト思イヤスガ。』


「じゃ、これを」


 雷光石を取り出してカトーサンの前に置く。


   『オオッ、魔虹石ジャネェデスカ! シカモ、カナリナ大キ

   サデ! コレ、ドコデ手ニ入レタンデスカイ?』


「ここじゃない、隣の大陸だ」 

 わざと言葉を少なくして言ってみる。さあ、どう出る?


 オレの言いように、グィード爺さんの眉が上がる。お、何か感づいたな。


   『隣? ジャー廃棄大陸デヤスカ? エ、ボスハ

   アッチヘ行ッタコトガアルンデスカイ?』  

 

「ああ。よんどころない事情でな」


   『ソリャー大変デシタネェ。アッチハ無法地帯ダト

   聞キマシタヨ。ヨク無事デ。』


「無法地帯?」

 オレより前に爺さんが反応した。


   『ソウデガス。アソコハ元々失敗シタ物ヲマトメテオク

   場所ナンデサァ。アソコノ地面ノ下ニハ、アッシタチノ

   失敗品ガ埋マッテルンッスヨ。』


 と、衝撃的な答えが返ってきた。


「失敗品だと……?」

 爺さんの声が2オクターブ低くなる。これは爺さんの癇に触っているな。


   『エ、ナンカ問題アリヤスカ? アッシタチハ成功率ガ

   ソンナニ高クナインスヨ。大体5割ダッテ聞イテヤス。』


 そうとも知らず、カトーサンはしゃべり続ける。


   『デスガ、上級魔導機トナルトモット下ガルンデヤス。

   2割カラ3割ッテ言ワレテマシタゼ。』


「10のうち8つも失敗していたのか!」

 ダン! と爺さんの持っていたコップがテーブルに叩きつけられる。


「何という低い成功率じゃ! 一体何をどう鍛錬しよったんじゃ馬鹿どもが! 少なくとも8割まで引き上げてから量産すべきであるのに……っ!」


「落ちつけ爺さん。はるか昔の出来事に興奮してどうすんだ」

「そうは言うがっ……いや、お前さんの言葉通りじゃな。悪かった」


 錬金術師としての鍛錬もあって、グィード爺さんはすぐに冷静さを取り戻した。さすがだな。


 オレは置いてあった雷光石、いや魔虹石をカトーサンに差し出した。


「今すぐにはいらないかもしれないが、あった方がいいんだろ? 納めておいてくれ」


   『ヘ、ヘイ。頂戴イタシヤス。』


カトーサンの脇から機械の手が伸び、魔虹石をつかんで開いていた穴へ落とし込む。あそこっていつもは飲み物が出てくるところじゃなかったっけ。


   『フゥッ。ナカナカ純度ノ高い石デヤスネェ。腹ン中ニ

   ズシット来マシタゼェ。イイ気分デサァ。』


 その言い方、クスリでも決めたようだからやめてほしい。オレ、売人にでもなった気分だよ。

 まあいいや。この際だ、訊いてみるか。


「カトーサン、答えられるなら教えてくれ。廃棄大陸っていつからだ?」


   『イツカラ、ッテ。ドウイウ意味デスカイ?』


「あんたが出来た、というか生まれた時は古代王朝の真っただ中だったはずだ。違うか?」


   『エエ、確カニソウデサァ。モチロン、コウヤッテ話ス

   コトモデキナイ中級魔導機デシタガネ。』


「そうだな。でも、『門番』から管理機能を移行され、疑似人格が芽生えた。その段階でいろんな知識があんたの中へ流れ込んでいるんだろう? その中に、いまは『廃棄大陸』と呼ばれている場所が本当はどんな状態だったかの情報があるはずだ。探してくれないか」


   『ナルホド、ソウイウ事デスカイ。ヨウガス、少々

   時間ヲ頂ケヤスカ。』


「頼む。できるだけ詳しく知りたい」


   『合点承知ノ助でサァ!』


 …………これ、ほんとに下町言葉なんかい? 印籠持ってる爺様とお調子者の姿がグィード爺さんとカトーサンにかぶって見えてるんだが?



 オレ、疲れてるのかな…………





 何度か読み返して直してはいますが、今更の

ように訂正箇所がありますね~……。

凹みます。


それでも来てくださった方々に感謝申し上げます。

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