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第109話

 新章に入ります。

 新生エリシオ教国とベイレスト共和国を繋ぐ街道の脇にある大きな木の切り株。そのわきに突然黒い穴が開き……


「ふぃ~、何とか出来たかな」

 ひとりごちながら現れる冒険者。すなわちオレだ。

 辺りを見まわしてひとまず休憩とばかりに、切り株に腰を下ろす。


「それにしても、この『(ゲート)』って奴、結構使えるんだな~」

「キュル~(そうだっちゃ~)」


「おう、ようやく出てきたなこの出不精が」

「キュルッ? キュキュッ!(出不精? ひどいっちゃ!)」

「何言ってんだ。あっちじゃ顔も出さなかったくせに」

「キュ~~……キュルル~(そうなんだけどぉ~……理由があるっちゃよ~)」


 何やらいじいじしているが、オレはそれに構うことなくもう一度『(ゲート)』の魔法陣を展開する。


「うん、これは世界地図(ワールドマップ)、なんだろうな」

「キュルッ?(え、世界…なにだっちゃ?)」


世界地図(ワールドマップ)。つまり、この世界を上から見た地図だと思うんだよ。ほら、ここが中心地だろ? 多分、古代王朝の王都があったところじゃないかな」


 オレは地図の真ん中を指さした。

 ぽっかりと開いた不自然なほど丸く蒼い表示。そこから斜めに走るぶっとい青い線。ちょうどバッテンのようになった線が中央の蒼い表示に繋がり、それぞれの大陸を隔てている。


 こうしてみると良く判る。


 昔、この世界はひとつの大きな陸地であり、そのほとんどが古代王朝の支配下にあったんだろう。広大な大地をくまなく覆う王国の威光が、そこに住む者たちすべてをひれ伏せさせたに違いない。


 偉大なる王国の強大な力。だが、その王国にナニカが起きた。力か、ヒトか、それとも別の何かか。


 王国の繁栄を危ぶませるナニカがあり、しかもそれを止めることが叶わなかったために王国は崩壊し、亀裂の海による大陸分断という事態にまで進んでしまったんじゃないだろうか。


 古代王朝の崩壊と共に生まれた亀裂の海。これにより古代文明の築き上げたすべてが無に帰していると言ってもいい。その目的は何か。スケールがでか過ぎてどこに焦点を持っていくべきか、判断すら出来ない。


 そしてもっと不可解なのは。


「大陸にあるこれ、だな」

「キュルッ?(この点だっちゃ?)」


 そう、全体を映しだすだけでは良く判らなかったが、スライドして拡大してみると、光る点がいくつかある。どの大陸にもあって、その光点に触れると情報が見えるんだ。


「ちなみに、この大陸の一番近いところは……ここか」

 今の位置から大体数時間ほど西に行ったところにあるんだが。


「ここって何も無い場所だと思うんだが……ポチッとな」


 画面に光る文字が現れる。それには。

  ≪アグリールカルト平原 魔器開発研究所≫


「キュルッ? キュルキュルキュルル?(研究所? それにアグリなんとか平原?)」

「アグリールカルト平原だよ。にしても、ここってこんな名前だっけ?」

「キュ~……(土地の名前は分からないっちゃ~……)」


 そりゃそうだ、影渡りが出来るアーミンにとっちゃ地名なんぞ関係ないよな~。


「多分これは古代王朝時代の呼び名なんだろうな。でもって、この点は多分設定されたポイントだと思う」


 古代王朝の時代、各地への移動は『(ゲート)』が当たり前だったんだろう。だからこそ、この世界地図(ワールドマップ)が参考資料としてついているんだ。


 なら、なんで禁忌魔法になったんだ?

 良く判らんな。


 それから目に付く光点を次々に表示してみると……


  ≪サンサールト地方 魔導機械工場≫

  ≪ゴラン山脈 魔石発掘鉱山≫

  ≪ラッテンヒル山脈 ミスリル採取所≫

  ≪ファスラス地方 魔導機器開発研究所≫

  ≪ダッカム山 魔石発掘鉱山≫

  ≪トリプトコームズ山地 魔虹石採取所≫


 ………ん~…………


 おいおい、なんだこの羅列は。全部、物騒な所ばっかりじゃねーかっ!

 しかもこれ、アルカン・ロスト大陸に絞ってみただけなんだぞ!? 他の大陸も同じなのか!?


「キュルキュル……キュルルル?(このマギボード……研究者とか学者さん用だっちゃ?)」

「あ、そうか。そう言う可能性もあるよな……にしても、お近づきになりたくないな」


 この名目から見ても、兵器に近い開発としか思えないんだが。オレの勘繰りか?


「古い地名が多いけど、今でもわかるものがあるよな」

「キュルッ!(そうだっちゃ!)」


 ラッテンヒル山脈。これはドワーフ族の国、ラッテンヒル王国のある場所だろう。

 ダッカム山は、この前軍隊を追い返したダッカム草原周辺を表しているに違いない。


「これ以上は無理だな。グィード爺さんに聞いてみるか」

「キュルルッ?(行かないっちゃ?)」

「う~ん、どうしようかな……」


 正直興味はある。古代文明の残り火みたいなものだからな。巨人族と小人族の話を聞き、古代王朝の最期を聞いている所為か、無性にその跡地を見てみたいんだ。


「一番近場の所へ行ってみるか。今どうなっているのか分からんが」

 危ない場所だったら即行で帰ってくればいいか、な?


「キュッ!(賛成っちゃ!)」

 オーリィも興味津々で前のめりになっている。


 オレは≪アグリールカルト平原 魔器開発研究所≫の光点を指定して『(ゲート)』の魔法陣を発動、その中の維持時間を「即時」から「3分」へと変更した。これで転移した後も3分は消えないから、何かあったらすぐに帰ってこれるだろう。


「おしっ、行くか!」

「キュイ~!(冒険だっちゃ~!)」

 オレとオーリィ、テンション上げ上げで『(ゲート)』へ足を踏み入れた。


 1歩目で例の圧縮感があった。そのまま2歩目を踏み出さず、そっと首を伸ばして外を窺う。『索敵』をかけて辺りにヤバそうなやつがいないか見てみるが……お? 反応があった!?


 右前方、2時の方向にヒトらしき反応がある。それも5、6人。オレは慌てて『(ゲート)』から抜け出し、即座に消した。どういう相手かわからないが、魔法を察知されたらマズいことになりそうだ。


 続いて『陰伏(ハイド)』を使う。念のために場所を移動しておこう。

 オーリィが教えてくれた『陰伏(ハイド)』を見破ることは出来ないはずだ。


 少し離れた場所で見守っていると、姿を現したのは……。


(あの服装、見覚えがあるな……)

 揃いの制服じみた上下スーツに腰の剣、顔にはご丁寧に覆面まで。あれで白い隈取がされていたら。


(おいおい、〇ョッカー〇団とは泣けてくるね)

 〇面ラ〇ダーの真似してるのか、アレは? それとも何かの撮影か?


(いや、そうじゃない。あれはあの時の奴らとよく似てるんだ)

 あのにやけ男の放った『空間転送(トランスファー)』に吹っ飛ばされた時。


(魔力譲渡の魔法陣を展開していた人間たち……ガルマン帝国か?)





 更新が遅くなり、申し訳ありません。

日によって体調がかなりブレます・・・情けないですが。

頑張って続けますので、気長にお待ちくださいませ。

今日も来ていただいてありがとうございます!(礼)


2022/5/31  内容を一部訂正しました。

  魔族との最終戦争があった

       ↓

  この前軍隊を追い返した

ラッテンサンド高原とダッカム草原を混同してしまいました!

自作の地図とにらめっこしながら書いているんですが、どこかで

取り違えていたようです。

改めてお詫びいたします(汗、汗)m(_ _;)m


2022/6/8  内容を一部訂正しました。

 サンサールト地方 魔石発掘鉱山→魔導機械工場

 ダッカム山 魔導機械工場→魔石発掘鉱山

ガルマン帝国とのやり取りで間違えてしまいました。

再度の訂正、申し訳ないです。

伏してお詫びいたします。

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[気になる点] ゲートの設定地で「魔虹石」って名前、漢字変えてませんでした?
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