5話 捕虜生活
取り調べが全員一通り終わってから数分後、船が都へと着港した。
残念ながら港ですぐ窓の無い馬車に乗せられたため、都の様子は見ることはできなかった。
馬車なんて初めて乗るなぁ。ちょっと楽しみ。窓無いけど。
馬車に揺られて数十分ほど経ち、大きい建物の近くに着いた。
でかぁ〜〜。
いつか修学旅行で見た東京駅ぐらいの大きさがありそうな、このでっかい建物がおそらく収容所だろう。
収容所内の広場へ移動され、
「よし、今からそれぞれの部屋へと連れて行く。部屋割りは船と同じだ。」
そう言われ、次々と部屋へ連れて行かれる。
そうして部屋に行くと、あのゴブリンが待っていた。
「おぉ、久しぶりだよ」
久しぶりではないな。
「1時間も離れてないぞ?…ところでこれからどうするか…」
「脱走するしかないだろ」
「…えぇ?脱走?どうやって?」
こいつまじか。根性あるなぁ…
「とりあえず今は様子見だけどよ。タイミングが合えばボーンって行けるよ。ヨユーヨユー」
なんという適当。まぁでも…
「がんばれよ。俺はここでのんびり交渉が終わるまで待ってるからさ」
俺はそんな危険冒すなら待っている方が良いなぁ。せっかく異世界に来たんだ、いのちだいじにで生活してやる。
「何言ってんだ?のんびりできるわけ無いだろ?」
?
「え?いや、別に労働させられたりするわけじゃないだろ?」
「そんなわけ無いだろ。何の約束も結んで無いのになんで働かされないって言う考えが出てくるんだよ。」
た、確かに…?
「え…じゃあ死なない保証なんてものは…」
「無いよ。むしろほぼ死ぬ。今まで仲間が捕虜だとか言って帰ってきた奴は見たことないよ。そもそも本当に交渉があるのかも怪しいくらいだよ。」
そんなぁ…
「だったら…俺も脱走するよ。何としてでも。」
いのちだいじにとか言ったものの、ここで死ぬくらいなら思い切って冒険にでも出てみたい。
「そうかよ。まぁ本当に脱走できるのかは知らないけどな。」
ゴブリンはけらけら笑いながら言った。
「あ、そういえばまだ名前も聞き合ってなかったじゃん」
「あ、そういえばそうだな…お前の名前は?」
そこでゴブリンが名乗る。
「俺はシグリン。子鬼のシグリンだよ。よろしくな。」
「あぁ、よろしく。俺は…」
…待て、ここは元の名前は名乗るとややこしくなりかねないな…
「…俺は、ホリョ。魔人のホリョだ。」
不本意だが、あの審問員に付けられた名前を名乗っておくか。
「ホリョ…ホリョか。…ハハッ、捕虜のホリョだってか?ハハハハッ…腹痛ぇ!w」
めっちゃ笑うとるやん。センス疑うならあの審問官に言えな?
「…はー、笑った。あ、そういえばスキルは何持ってるんだよ?戦場にいたんだから中級スキルくらいはあるよな?」
「え~~と…フレムとウィンドっていうスキルなんだけど…」
「マジかよお前。中級スキルどころか攻撃スキルも持ってないのによく兵士になれたんだよ…」
「あと…スキルの効果も分からなくて…どんな効果なの?」
「フレムは半径2m以内に自由に火を灯せるんだよ。まあなかなか消せないから上手く使わないと逃げ道が断たれるから、タバコの火を付けるくらいの用途でしか使えないんだよ。そんで、そのウィンドっていうのはちょっと高く跳べたり、技術次第で風を吹かせたりできて、こっちはどちらかといえば普段使い寄りでちょっと便利だよ。これくらい幼い子供でも分かる常識なんだけど…お前は常識を知らない様だよ」
うっ……なるほど。ってか普段使い向きの魔法ってなんだよ。もっと攻撃できる魔法とかあるだろ色々と。
異世界無双みたいなのを想像してたんだけど、俺の実力は雑魚って事かぁ…悲しい。




