6話 食堂
日も沈み掛かり、夕方になった。シグリンは二段ベッドの上の段で眠っている。俺はベッドの下の段で毛布に入りながら考えていた。
激動の一日だった。
異世界転移したかと思えば、魔物の捕虜が運ばれてる船に居て、魔人を名乗ることになるし。名前も新しいの付けられたし。
異世界転移した正直な感想といえば…嬉しい気持ちは無いわけじゃない。むしろ転移前はそっちの方が大きかった。
だけど実際に転生したら現実的な不安が大きくて、楽しめる事が無いんじゃ無いかって思い始めてる。
それこそ、言語が通じなかったらその時点でゲームオーバーだし。今頃死んだり路頭に迷ってそう。
魔人だって偽ったことも既に後悔してきてるし…。そのせいで強制労働がほぼ確定したし。
だけど…
だけど、今はそんなこと考えずに、これからの楽しい事を考えることにした。
まずは目標が欲しい。何事も目標を立てて行動することが大事だって聞いたことがある。
目標か…まずはこの収容所から脱走することを目標にしよう。こんなところに居ても冒険は始まらないからな。
その後はその時考える!それでいいのだ。
そう考えをまとめ終わると同時に、食事の知らせの鐘が鳴る。
「お、夕食みたいだな。…シグリン、起きろ、夕食の時間みたいだぞー」
「う…わかったよ、今起きるよ」
「先に行ってるからなー」
そう言い、俺は同じ捕虜の行列に流されながら食堂へと向かう。
食堂に付くと、大人数の列が見えた。
お盆に自分で食べるものを盛る、日替わりのビュッフェのような感じらしい。
俺は並びながらどんな料理があるのかワクワクしていたのだが、予想を裏切られる事になる。
自分の番が近づいて来たのでお盆を取り、待ちきれずに体を傾け、メニュー内容を見て唖然とした。
『カエルの丸焼き』『コオロギの煮物』見覚えのない単語も並んでいる…ただでさえ食べ物の好き嫌いが激しい俺はとてもじゃないが食えない。無理。
何でも良いから食えるもの無いかな…
見渡してみると、俺は日本人に馴染みのある超メジャーな食べ物を見つけた。
米。
ほぼ無味ながらあらゆるおかずに合うというあの米だ。
単体で食えなど以ての外だが、他に食べるものが無い…もう背に腹は代えられん、仕方ない。
俺は米を皿によそって、箸を取り、空いている席に着いた。
日本のものと味に違和感が無いことに疑問を覚えながらもそもそ食べていると、隣に眠そうにしながらシグリンが座ってきた。
皿にはコオロギを初め、見たことのないグロテスクな料理も入っている。
「よく食えるな…そんなもの…」
「…?別に変な物でも無いだろ。…ってかそんなに米好きなのか、お前」
「相対的に見て…これしか食えなかったんだよね…」
「そっか、好き嫌いは良くないぞ〜」
ちくしょう。明日は食えるもの出してくれ…
投稿が遅れました。すいません…




