表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武田信玄Reローデッド~転生したら戦国武将でした!  作者: 武蔵野純平
雷の章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
105/111

第105話 人を使い分けること、経営者の如し

 (かおる)の花嫁行列は、甲斐府中(かいふちゅう)の町で熱狂的に迎えられた。

 甲府(こうふ)の住民たちは、真っ白なウエディングドレスに身を包んだ香に手を振り、香は笑顔で手を振り返す。


 香の花嫁行列には、甲府の南側に領地を持つ国人衆たちが付き従っている。


 渡辺縄(わたなべ なわ)さんを始めとする九一色(くいっしき)衆。

 今川氏の侵攻を一緒に食い止めた。


 富士山本宮浅間大社ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ大宮司(だいぐうじ)である富士信盛が率いる富士氏一党。

 富士氏は、俺たちが今川家から嫡男の富士信忠殿を脱出させた。


 蒲原満氏(かんばら みつうじ)が率いる駿河(するが)衆。

 蒲原満氏の孫である徳満丸は、成長したら蒲原家を継ぐ。

 もちろん甲斐武田家が後見するのだ。


 彼らは、香が乗るオープンカーの後を整列して歩きながら、甲府の町の住人に菓子をばらまいている。


「ほーれ! 祝いの菓子じゃ!」

「御屋形様からの祝儀の菓子じゃ!」

「みな祝え!」


 ネット通販風林火山で買ったお得用大袋に入っていた菓子である。

 一口チョコレート、せんべい、キャンディ、麩菓子など、現代日本ではスーパーで安価に手に入る菓子だが、戦国時代では高級品だ。


 蒔かれた菓子を手にした子供がすぐに口にする。


「おいしい~!」

「おとう! あまいよ!」


 大人たちは花嫁行列を見てうなる。


「いや~さすがに武田のお殿様だ!」

「豪気だのう!」


 花嫁行列による住民の人気取りは成功だ!


「御屋形様」


 いつの間にか、そばに来ていた風魔小太郎が、俺に呼びかけた。


「どうした?」


「他国の間者が紛れ込んでいます。放置してよろしいのですか?」


 風魔小太郎は、余裕綽々で微笑んでいる。

 始末しようと思えば、いつでも始末できるという自信の現れだろう。


 俺は風魔小太郎を頼もしく思いながら、念のため香の身辺を案ずる。


「他国の間者は放置して構わん。好きにやらせておけ。香には風魔衆を護衛でつけているのだろう?」


「はい。身辺警護は抜かりなく。それに飯富虎昌(おぶ とらまさ)様と香隊(かおるたい)のお侍様が目を光らせていますからね。香様に手を出す愚かな忍びはおりますまい」


 俺は改めて香の乗るオープンカーに目をやる。

 華やかな行列に目を奪われて気が付かなかったが、注意して見れば風魔衆が護衛しているのがわかる。

 オープンカーの周囲に目つきの鋭い男たちがいるのだ。


 プラスして飯富虎昌と香の親衛隊である香隊の面々がにらみを効かす。

 飯富虎昌と香隊は笑顔を作っているが、目は笑っていない。


 ――警備に隙ナシ。


 この状況で香に危害を加えようと他国の間者が動いても、香には近づけまい。


 板垣さんもウンウンとうなずいている。

 香に心配はないだろう。


 俺は風魔小太郎に、どこの間者なのか聞く。


「どこの手の者かわかるか?」


「北条の風魔はいました。あとはわかりませんが、商人に扮してかなりの数が甲府に紛れ込んでいます」


「ということは、この賑わいが近隣諸国の大名や国人に知れ渡る」


「左様です。御屋形様の筋書き通り」


「ああ、他国の間者たちにはせいぜい働いてもらおう」


 この花嫁行列は政治的な効果を狙っている。


 住民が熱狂して武田家の人気が上がること。

 武田家に臣従している国人衆や味方している国人衆が、より一層武田家に傾倒すること。

 そして、近隣諸国の大名や国人に武田家の力を示すこと。


 ここ数年の戦いで武田家の武力は示した。

 今回の花嫁行列で、外交力と財力を近隣諸国にアピールするのだ。


 小山田虎満(おやまだ とらみつ)の発案で花嫁行列を実施することになり、内政担当者たちはコストに頭を痛めていたが、こうして実際に花嫁行列を見てみると効果があると理解出来る。


富田郷左衛門(とみた ごうざえもん)。いるか?」


「はは!」


 忍び三ツ者(みつもの)の頭領である富田郷左衛門を呼ぶと、どこからともなくスルスルと現れた。

 俺のそばで膝をつく。


「三ツ者たちに花嫁行列の様子を覚えさせ各地へ放て。武田家の隆盛を広めるのだ」


「かしこまりました」


 富田郷左衛門が率いる三ツ者たちは、情報工作に長けている。

 商人、旅の僧侶、山伏、歩き巫女(みこ)に扮して、各地を歩き回ってくれる。

 三ツ者たちが村々を歩き回って武田家の宣伝をすることで、大名や国人だけでなく他国の農民たちも武田家の威勢を知るのだ。

 何が起こるか非常に楽しみだ。


「さあ、香を迎えに行こう!」


 俺は香たちが到着する躑躅ヶ崎館(つつじがさきのやかた)の大手門に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

■お知らせ■

蛮族転生! 負け戦から始まる異世界征服2巻

2026/1/23に『蛮族転生! 負け戦から始まる異世界征服』コミカライズ2巻が発売されました!
ISBN:9784046847034
出版社:KADOKAWA MFC

全国の書店、Amazon、電子書籍サイトにて、ぜひお買い求め下さい!

蛮族転生! 負け戦から始まる異世界征服2(Amazon)


★☆★ランキング参加中です!★☆★

クリック応援よろしくお願いします。

小説家になろう 勝手にランキング

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ