元勇者と帝王&領主
ウィリアムが部屋を出て行った後、解散な雰囲気になりそのまま解散となった。その際に当然の様に出て行く殆どの人物が俺を見ながら値踏みをする。
代表者達は程度は違えどどう利用できるかを考えている。中には敵意に塗れた視線で今にも殺しに来そうなのがいるが何処ぞの王女(笑)は驚く程に冷静にその場を去った。まぁサイレントイヤー発動させていないがどうせ内心怒りとかで染まってるのだろう。ああいうのはあの世界でも結構いたので考えがある程度読める。どうせほとぼり冷めたらまた勇者召喚しだすのだろう。
召喚の為には大量の魔力がいる。それこそ魔金剛クラスでもムズいのでは無いだろうか?まぁ当然ながら聖王国民から搾取するのだろう。大量の魔力を搾取される聖王国民に内心手を合わせておく。
その時、近くを通った黒獣がニヤリと笑みを浮かべながら俺の肩を叩く。「待っているぞ?」と誰もが聞こえる声量で喋った後機嫌良さげに退出した。
代表者の殆どが退出したが帝王と領主が残っている。流石にこの二人がいるのに無断で退出する剣士はウィリアムぐらいで他の18人は待っている。
「ふむ、余とファーブル泊は話がある。退出を認めよう。」
その言葉で他の剣士は会釈しながら帰る者や特に挨拶らしきものもせずに帰る者もいる。だが皆1度は必ず俺を見て敵意の視線を送ってくる。まぁ当然だ。こんなぱっと出の男がいきなり魔金剛クラスに立候補(俺は望んでない)されたのだ。しかも3年に1度の祭りで己の技を試しに集まった者なら尚更許せないだろう。だがそんな許しなど求めて無いので適当に会釈しながら見送った。何人か剣を抜こうとしていたが思い留まっていたので何事も無かった。
そのままの流れで俺も帰ってリースと遊ぼうと思った時、後ろから声をかけられた。
「待て、其方には話がある。」
流石に雇い主の更に上の人物なので無視出来ずに領主の後ろに立ったが「貴方にも大事な話よ。座ったら?」と空いた席を指さされた。その席が王女(笑)なのは狙っているのだろうか?
そのまま座るのが嫌だったので椅子を退かし、新しい椅子を空間から取り出す。その様を帝王はほんの少し驚き領主は額に手を当てていた。
「収納魔法持ちか。随分と珍い。」
「私も今初めて知ったわ。」
「………………ん?何か話し方変わったか?」
何か先程とは違い帝王に対する領主の態度が変わっている。その事に不思議に思っていると「一応、私の事を知っているわよ?この人。」とかなりな事をカミングアウトされた。流石に良いのかと思い、帝王を見ると「ふむ、魔王の一柱…………だから何だ?余が認めた実力者にして為政者、そこらの凡人共が辺境伯の地位に着くぐらいなら余は一癖も二癖もある人物を囲もう。」と言い威圧を放つ。それは正しく王の威圧だ。黒獣の威圧とは種類が違うが屈服したくなる様な威圧とでも言うべきか……。まぁ慣れてるので気にしないが。
「そうか。」
短くそう言い出した椅子に座った所で丁度サキュバスが入って来た。その手にはお茶が乗った給仕台が押されており、お茶も当然ながらある。帝王や領主には慣れた様子でお茶を出しているが俺の時には手が震えている。何故か何時も俺の近くに寄ると震えるのだが俺何かしたっけ?
そのまま無言で部屋を出て行ったサキュバスに誰も目もくれず、出されたお茶を領主が飲もうとした時に俺も同時に飲む。
礼儀作法的には提供元の領主が先に飲み、毒が入っていないと示してから飲むのが普通だ。だが提供元と同時に飲むのは信頼の証とも言われている。その行動に帝王がニヤリと笑っていた。そのまま全員がお茶を飲み、少し菓子を摘む。
「ふむ、では一応聞こう。カサド・ホンジョウそちは本当に勇者なのか?」
一息着いたタイミングで帝王が会話を切り出した。その事は領主も気になっていたのか視線を此方に向ける。
「……そうだな。確かに、俺は聖王国で召喚された。肩書きも称号も勇者であってる。」
「証明する物は?」
「…………何をしてもいいなら…………まぁ魔金剛全員と敵対しても殺せると思う。」
今日出会った黒獣、剣の愛し子、その2人の実力が測れた訳では無いがあの世界で鍛えられた危機感知能力が反応しなかった。敵対していないからだとか関係無く、あの二人では俺を殺せない。例え二人がかりでも無理だ。魔金剛クラス全員でも多分無理だろう。あの世界でのクソッたれの禍津神の使徒や仲間達よりも弱い。当然ながら使徒を殺しまくった俺に勝てるとは思えない。
そんな俺の返答に帝王は喜んだ。対する領主は苦虫を噛み潰したような顔だ。おかしい、領主ならポーカーフェイスが出来そうなのだが……?
「素晴らしいほどの自信だな。余の手元に欲しい程だ。」
「戯れないで頂戴。」
「ふむ、余の袂に来るつもりは無いか?高待遇を約束するぞ?」
「帝王、戦争をしたいのかしら?」
「いや、雇い主はそこの領主兼嫉妬の魔王だ。鞍替えするつもりは無い。あと、余計な事をするなら帝国でも敵対する。」
断った時に領主は意外そうな顔をした。どうやら裏切る可能性を考えていたようだ。だからポーカーフェイスが出来ていなかったのだろう。
対して帝王は断った瞬間に思案した。何を持って御そうとしたのかは知らないがあの世界で人質等で動きを制限しようとする奴は多かった。なので先手として敵対しても構わないと意志を示す。淡々と、それが出来ると告げる。
帝王はそんな俺の姿に柔らかく笑みを浮かべると手を振る。
「ふむ、よく分かった。退出を許可する。」
早い所リースと祭りの出店を見たいので許可が貰えるなら嫌も無くさっさと退出する。
あの世界での強さ
笠戸〈仲間になった使徒〈クソッたれの禍津神〈他の神々〈〈使徒〈あの世界の仲間〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈兵士
ぐらい
クソッたれの禍津神殺した時の強さ。




