怠惰の魔王
かなり短いけどキリがいいから投稿
そこは元は城が立っていた。住まう者の強さは有名で、何度も挑んだ猛者や憤怒の魔王のせいで幾度も建て直していたが一度たりとて崩れ切った事は無かった。
当たり前だ。此処に住んでいたのは怠惰の魔王。現存する魔王の中で皮肉な事に最も戦闘能力が高い魔王だ。
そんな鉄壁を誇っていた城が……見る影も無く崩れ切っていた。城の近くにいた配下は慌てて逃げ出し遠巻きに様子を伺い顔を覗かせると同時に潰れる。
城の周りは瓦礫すら無く潰れて砂になっており、その更に外側に血の円形が出来ていた。それ等は潰れた配下の血だ。だがそこに彼女が望む者はいない。
呆然と立ち尽くし、物音を聞くと其方を見て、違うと分かると魔法で潰す。それを幾日も繰り返した。
今やもう誰も彼女の事を確認には来ない。誰もが死にたくないからだ。
何時もならとっくにメイドが、彼女の姉が窘めている。だがその一番大切な存在がいない。止められる者がいなかった。
探す為に何度か近くの建造物に寄り、いない事を理解すると全て潰した。元々彼女に取って姉以外は要らないのだ。姉がいないなら配下の魔族は道端のアリほどの価値すらない。姉を探すのに邪魔ならそのまま潰すし話し掛ける相手ですらない。
憔悴しきった彼女は長い髪が砂や埃、泥などで汚れていても気にせずにゆらゆらと揺れる。
そして、お腹がくぅーとなると倒れた。
姉を探してから食事はしておらず、既に空腹も限界だ。だが食欲も湧かない。元々偏食家だが帰って来たら姉の血を飲む気だった彼女に取って既に他の食事は意味をなさない。
怠惰の魔王ミーシェリエル、彼女はバンパイアの魔王である。幼い見た目とは裏腹に長い年月を生きている。その際に膨大な記憶を何度も消し、幼い人格のままで過ごして来た。
そんな彼女の最も大切な姉が消え、このまま生きている意味なんて無いんじゃないかと思い始めた頃だった。
「………………………………………………?スンスン……………………ティー?…………………………いた!」
今まで感じる事の無かった姉の匂い、その匂いを嗅いで彼女は動き出す。元々、姉が自分を置いて出て行くとは彼女は考えていなかった。いなくなって初めて姉に甘え過ぎて嫌われたのかと思った。だが今は違う。匂いで彼女は分かる。自分の半身とも言える存在が血を流している事を……。
「…………ゆるさない。」
そして彼女は動き出す。辺りにある全てを潰しながら……。
魔王の中で最も温厚な魔王とされていた怠惰の魔王が今森を目指し始めた。
性格が非常に怠惰なので怠惰の魔王になった。怒ると辺り一面に甚大な被害が出る。元々、憤怒の魔王と一体一で余裕で勝つ強さがあるが面倒なので何時も適当に戦っていた。
一番最初の時に憤怒の魔王の攻撃で姉のメイド服が焦げてブチ切れたミーシェリエルは憤怒の魔王とその軍勢を纏めて倒している。この事で憤怒の魔王に以後絡まれ続けていた。




