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承!(可愛いけどが少しおかしい?)

「さぁ今日は剪定の日ですよ〜!さあ今日は貴方達のその!元気すぎる!

『野生』をきちんと整えて差し上げますっ…!」


私は、長く古く使い込まれている大事な銀色に光る剪定バサミを

何度も何度も布で磨き上げながら、目の前の鉢植えを見つめていました


それはどこの図鑑にも載っていない正体不明の〝拾った〟種から育った植物

この子をそのあまりの愛らしさから――

いえ、それだけではない何かに惹かれて――『ハナ』と名付けました。


「ハナちゃん…今日もいい子ですねぇー

今日はその…ちょっと主張しすぎな、恥ずかしい枝を……きれいにしてあげます。

すーぐ終わりますから、じっとしててくださいね?ふふ……っ」


私の指先は期待に震え、吐息は熱を帯びて息が上がります

ハサミを根元へと差し込んだ――その瞬間でした。


「えー?そこ?そこはもっとこう…やさしくしてよ?お願いね?」

「………………え?」


一瞬思考が止まりました…今のは風の音?水の跳ねる音?

いいえ、はっきりと鈴を転がしたみたいな、やけに楽しそうな

それでいてどこか人を食ったようなかわいらしい声が聞こえてきませんでしたか?


「な、なな、なんで!?いま、喋り…いま、喋り…あぁっ!?植物が!?

しょ、植物がっ!ハナちゃんがっ!私と……おしゃべりを……っ!?」


大パニックです!全身に、ぞくりと、甘く危険な震えが走ります

でもそれは決して恐怖ではありませんでした。


「こんな、こんなこと……夢みたいなことが……。

これ以上のご褒美が、この世に存在するでしょうか……。

いいえ!?ありませんともっ……!!」


私は驚きのあまり正気を失いそうになり、傍にあった壁の棚に頭をガンガン打ちつけて

乱れたスカートのまま床をぺちぺちと叩いてしまいました、でも、

これでもう大丈夫です。裾をはらい整えて立ち上がるとまた声が聞こえて、手入れを続けます。


「はい?……はいっ!すみませんっすぐに!貴方がもっと楽に

もっと綺麗に育つように……隅々まで

丁寧に整えて美しくして差し上げます!えいっ、えいっ!」


パチン、パチンと、剪定用のハサミの鋭い金属音が、軽やかに部屋に響きます。

ハナちゃんの声が、一瞬重く響いた様に声が揺れた気がします。


「んーくすぐったい!」「そこだめ!そこはやめて!くすぐったいってば!」


その声を聞くたび、頭の奥でパチン、と何かが弾ける音がしました。

頭の内では何かが幸せで満たされていくのがわかります。


「お返し!えいっ!」

「ひゃっ!?」


ハナが茎を限界までしならせた瞬間、溜め込んでいた水がふきだして

私の服や体、顔まで走るように降りかかります。


「きゃっ!?ハナちゃん……ふふ、こんなにびっくりしちゃうなんて…」


顔を濡らしながら、宝物を眺める子供みたいに

うっとりと目を細めました


やがてハナちゃんが実らせた、真っ赤な果実へと手を伸ばします。とても綺麗な色で

今にも弾けそうなほど張りつめていて――それは、この世のどんな芸術品よりも

綺麗な形をしていました、少しだけドキりとする、完成された形。


「……少しだけ、ですよ?」


その実に手を伸ばしてハサミを使い「収穫」します。

切り口から溢れ出す、濃くて綺麗な新鮮味を感じる濃厚な果汁。


それを零さないよう慎重に、大切に口に含みました。


「——ッ!!おいしいっ!すごいですなんて甘美で…暴力的な甘みが!

ふふ……ハナちゃん。すごいですね…私たちは

これから一生一緒!離れっこなしですね!」


まるで大切な人からプレゼントをもらう時の様な高揚感。

今、まさにそれと同じ幸福の中にいます。


ふと、部屋の隅から誰かが軽蔑の目で見ているような気がして

この子達が見守ってくれているだけとすぐ結論づけました。


「ふふっ、みんな今日もとってもかわいいですねっ!」


私は幸せそうに笑いながら、次の植木鉢へと視線を移します。


「次はここと…その次は……あっちも。みんな、みーんな

大丈夫ですよ……ちゃんと、元気になるように……

私が、全部…お世話してあげますからね!」


私の瞳は、幸福でいっぱいでした。ただ——ほんの少しだけ

濁った輝きを放っている事に

私も誰も、気づきませんでした…。

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