起!(園芸オタクのコミカルな暴走)
某サイトで投稿済みの短編を
誤字脱字修正しながら投稿しました。
それまで書いてた作品とは違う、ちょっとした冒険をした短編ホラーです。
……いや、投稿するのが本当に怖かった、方向性が今までと違いすぎて。
じめじめと蒸し暑い季節です。夏といえばホラーということで
少しでも涼しくなって頂けたら幸いです。
『誰にも邪魔されない至福の時間です!』
頬は焼き立てのケーキみたいに赤く、胸が高鳴ってドキドキが止まりません。
自室の窓際、ずらりと並んだ鉢植えの前に、スカートを畳んで膝をついて陣取ります。
まずは、その手触り。指先をそっと産毛に覆われた肉厚な葉に滑らせます。
「わぁ!なんて…なんてっ滑らかでっ!この葉っぱの質感、見てくださいよ!
ぷりっぷりで最高!触ってるだけで癒されるんですよっ!
あーもうこれは…可愛すぎる!反則ですよ…っ!」
あまりの『尊さ』に息を呑み、私は咲いた花の一枚を鼻先に寄せる。
「すんすん…はぁぁぁっ!土の香りと!この…植物特有の、青臭くて
それなのにどこか甘い芳っ香っ匂い!ううぅー脳の奥に直接ガツンとくるなー
酸素っ酸素がぁー。濃度がここだけ異常に濃い気がします……。」
あまりの幸福感のせいで視界がほんの少し、チカチカします。
――これだけでは終わりません。
じょうろを手に取り、愛情を込めて水を注ぎます。
「聞いてくださいこの音!……土が水を吸い込む音、最高じゃないですか!?
あぁ〜細胞が元気になってく感じ、わかります?わかりますよね!?」
興奮で幸せやそれに似た感情、抑えきれない嬉しさが背中に走ります。
思わず人にはお見せする事ができない恍惚な表情のまま
茎や葉、根元や心身込めた作品を――もう逃がさないみたいに
穴が開くほど見つめ続けました。
「もっと…もっとっ!私を困らせるくらいに…美しく元気に咲き誇って…っ?」
「あぁもうっ!〝園芸〟って…園芸ってっ!本当に…本当にっ!
なんて本当に素晴らしいんでしょうかー!」




