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人を喰らう、味方も喰らう。両方やらなくちゃならないのが屍人喰いの辛いところだね  作者: 柿の種
第8章 新たな犠牲者編

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Episode4 - 戻ってきて


 残った部屋の中、【暴食】によって得た一時的なHPが積み重なっていく『飢餓』によって減っていくのを確認しつつ。

 私は一度息を吐く。

 余裕を保って、相手に悟られない様に敢えてテンション高めに振る舞っていたが、


「いやぁー焦るぅー」


 どうしても、焦るものは焦る。

 喰らえば喰らう程に強くなる。これは私のプレイスタイルであり、ビルドのコンセプトであり、全ての根幹だ。

 しかしながら、それは今時限付きの爆弾へと変貌してしまっている。

 喰らいたい時に喰らう、というのは変わるつもりは一切無いし自重する予定も無いが、それはそれとして、喰らった後の事を考えねばならなくなったのは悩み所だ。


「ま、一旦帰るつもりだったし丁度良いんだけど。一番良いのは……【光合成】の進化を狙うくらいかなぁ」


 出来れば、『飢餓』のデメリットが気にならない程度……減るにしても、今の様に座っているだけで毎秒1%もHPが減っていくのをどうにかしなければならない。

 今後に控えているのは対個人ではなく、対国家。

 長期戦が想定される中で、私1人だけ超短期戦特化なのはいただけない。

……変な所で死んじゃったら、その後に食べれたかもしれない相手を取り逃がすことになるしね。

 今回のリアライブのMVP報酬で良いスキルが手に入れば良いが……そう都合の良いものは手に入らないだろう。

 そんな事を考えていれば、


「おっと時間だぐぇー」

『あなたは死亡しました:全ステータス低下15分が付与されます』


 丁度、『飢餓』によって私のHPが削り切られ視界が暗転した。



―――――



『して、どうじゃった?』

「ゼロだねゼロ。仲間になってくれるボスは1体も居ない感じ。やっぱボスで、尚且つ話せるくらい知性があると我が強くてさぁ」

『呵呵、じゃろうな。まぁ、それについては良い。周りが減れば減るだけ、妾が領土を広げることが出来る』


 死んですぐ。

 ダキニの遺跡内に作ってもらった自分の部屋からリスポーンし、重い身体を引きずりながらではあるが、勧誘の成果の報告を行っていた。

 結果としては0。話を持ちかけたボス全てが私に対して襲い掛かってくるという、ある種分かりきった状態にはなってしまったのだが、


「領土を広げるってあれだっけ?この前私が主人になってた遺跡の支配権を渡した奴」

『そうじゃ。それを行う事で遺跡を取り込み、そして遺跡内部の空間を広げることが出来る。今は……そうじゃな、主不在の遺跡を5つ取り込んだから……軽く人間の都市程度の広さにはなっとるじゃろ』

「わぉ、知らない間に」

『イヴが勧誘に回っとる間に、放置されたボス討伐済みの遺跡をフレデリカに回ってもらったんじゃ』

「あは、適材適所〜」


 遺跡の支配権の譲渡、及び遺跡の拡張。

 ダンジョンマスターとして活動は一切してこなかった為に、その辺りのシステムは結局触らず仕舞いではあったが……やはり中々にボリュームのあるコンテンツだった様で。

 話を聞く限りでは、運営の想定はダンジョンマスター同士のPvPでも起きて欲しいと思っていたのでは無いだろうか。

……ダキニに挑んでくる人とか……まぁ居そうだよね。実力とか知らなかったらただのボスモンスターにしか見えないだろうし。

 実態としては、私とフレデリカというプレイヤー2人が力を貸し、ただのボスモンスターとは言い難い程に力を付けてしまっている要注意な存在ではあるのだが。

 だが、まぁ。

 その手の輩が挑んできてくれた方がありがたいと言えばありがたい。


「そう言えば、その辺りの……遺跡の支配権争奪戦?が挑まれた場合って私やフレデリカちゃんはダキニ側に参戦できる訳?」

『ふむ……出来るな。ある種の切り札、スペシャルユニットの類として、争奪戦中各1回、好きなタイミングで好きな場所に投入する事が出来るらしい』

「へぇ、面白そうじゃん」

『但し、ボスの部屋は無理じゃぞ。それをしたら汝のスキル的に1発じゃろうて』

「それはそう」


 私の持つ【座標攻撃】は見えてさえいれば攻撃出来る。所謂防御無視、相手の回避動作なども関係無い本来ならば必殺の技だ。

 故に、タネを知らない者に対しては初見で頭を喰らってやればそれで終わる。倒せてしまう。

 但し、私はあまり好んでは使わない。

 理由は単純だ。味もしなければ、腹も満たされないから。

 【座標攻撃】の仕様なのか、それとも他スキルの兼ね合いなのか、【噛みつき】なんかのスキルはきちんと乗ってくれるものの、それによって噛み千切ったとしても【捕食】も【魂喰い】も乗りはしない。

 だからこそ、私は一撃……先のメントゥム戦で言えば、相手のヘイトや視線をこちらへと集める為だけに使ったのみ。

 強力ではあるが、私にとってはあまり重宝したくはないスキル、という立ち位置なのだ。


「ま、そんな時がくれば躊躇なく使うけどね」

『じゃろうなぁ。一番はそんなタイミングが来ない事じゃが』

「あは、本当にね」


 そう言って、ダキニと共に笑いあった瞬間。

 私の頭の中に通知音が鳴った。出所は、


「ん、フレデリカちゃんからメッセージだ。何かあったかな」

『ほう?』


 私が放置した遺跡の支配権を取得して回っているフレデリカからだった。

 内容は、


「……ふむ。ダキニちゃん、とりあえずダキニちゃんだって分からない姿に化けられる?」

『それについては問題はないが……どうした?』

「面倒事の気配。フレデリカちゃんが悪い訳じゃ無いけど、面倒事がフレデリカちゃんに寄ってきた感じかなぁ」

『……成程?分からん』


 中々に面倒臭そうなモノだった。

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