ShortEpisode2 - 国々って
さて、ここで1つおさらいと行こう。
Kaleidoscope Frontier Onlineにはプレイヤーの活動圏内に現在4つの大国が存在する。
1つ、つい先日ワールドボスが復活し、その日の内に討伐された、湖と草原の国ロレリア。
2つ、ロレリアと似た作りでありながらも周囲の環境の違いから全く違う文化が存在している、オアシスと砂漠の国シファール。
3つ、海洋資源を主に扱い、造船技術を用いて新大陸を目指す、大海と船の国タラッセイア。
そして4つ、山岳地帯という凡そ人が住むには向かない環境下で栄えた、霊峰と狩人の国クリフヘイム。
それぞれがそれぞれの国と友好的な関係を築きつつも、他国に対して干渉を滅多に行わない。
故に、メントゥムが復活するとなったロレリアに対しても、特に軍の派遣をする事もなく静観していた。
「……って訳だけど。やっぱり国を攻めるってなったら他の3国も出張ってくるよね?」
『出張るとは思うが、タイミングは分からんな』
「その心は?」
ワールドボスとの戦いが終わり、ダキニが無事であった事を確認してから早数日。
今も私達は特に行動を起こす事なく、日課となった組手を行いながら雑談代わりの会話を行っていた。
『まず第一に、ロレリアという国は滅んだとしても他3国にほぼ影響がない。無論、嗜好品やロレリアという国ならではの貿易品があるのかもしれんが、それを差し引いても捨てて問題ないと考えられるじゃろ』
「あー……まぁ魚とかの海鮮だったらタラッセイアが。他の……それこそ、旅の為の装備なんかはもっと過酷なシファールの方が優秀って話はよく聞くね」
『じゃろ?故に、他3国が干渉してくるのならば……それはロレリアが滅び、妾が国を建てる僅かな隙。ここ以外にない』
尚、クリフヘイムに関しては……表に出てくる情報が本当に少ない。
そもそもとして、所属プレイヤー数が少なく、ほぼNPCのみの国になっている所為だ。
「あのあの、その干渉って……ロレリアの在った土地を狙う為ですか?それとも、ロレリアを滅ぼした人達への報復的な?」
『土地じゃな。報復ではない』
他の3国が土地を狙う理由。
これについては簡単だ。
『まず、ロレリア以外の国はまともな国土を持っているとは言い難い。砂漠に海に山岳。慣れるとはいえ、どれも人が暮らすには難しい環境じゃ』
「確かにね。特に……タラッセイアが怖いかな?自分達が好きに出来る陸地とか手に入れられるなら手に入れたいでしょ」
「成程成程」
フレデリカはまだ半分も理解出来ていなさそうだが、ここに関しては注意しておかねばならない。
何せ、
「私達が国を建てたとしても、タラッセイアは私達がモンスターだからって理由で派兵し続ける可能性があるからね」
『そうじゃな。他の2国は……ある程度貿易などの友好関係を築けるかもしれんが、タラッセイアだけはどうしようもない。逆に全く干渉してこないのも恐ろしいがの』
「へぇー……ん?あれ?」
そこまで話したところで、フレデリカは何かに気が付いた様で。
「じゃあじゃあ。なんで今の今までロレリアはタラッセイアと戦争になってないんです?人が、モンスターが、って理由以前に土地が欲しいなら仕掛けそうなものですけど……」
『それについては……』
ダキニがこちらへと視線を投げる。
その意味が分からない私ではない。
「ま、私が視た巫女さんの記憶的に、多分だけど……タラッセイアの建国にはロレリアが結構出資というか、関わりがあったみたいでさ」
「ほうほう?」
「簡単に言えば、巫女さんの妹さんがタラッセイアの建国者。だからこそ、血筋的にロレリアには縁があるし、仲良くしてほしい……なんて言葉が残ってるんじゃない?タラッセイアの方には」
「……何というか、狭いですね世界」
「狭いねぇ。でもそんなもんなんだよ世界って」
そう、私が巫女の魂を通じて視た記憶の中には、メントゥムに関係するモノ以外もきちんと存在していた。
その中には、今し方言った通り、他の国との関係や歴史なども含まれており……タラッセイアはそういう意味ではロレリアの姉妹国、なんて立ち位置とも言えてしまうのだ。
そしてこのKFOというゲームは現実とは違う法則によって人々の生活が成り立つ世界。
現実では考えられない、建国者の言葉が今の今まで遺り、そして守られている。
故に、今もロレリアとタラッセイアは敵対関係にはなっていないし、他2国とも……それなりの関係を築けているのだ。
「じゃあじゃあ、その関係を壊そうとしてる私達って……」
『「悪者(じゃな)」』
「ですよね〜……」
肩を落とす彼女を視界の隅に捉え、少し笑ってしまいつつ。
しかしながら、彼女の表情が別段悲観したものではない事に気がついた。
「でも別にフレデリカちゃんは止める気無いんだろう?」
「ありませんありません。巨大な土地と、ついでに海側の土地も手に入る可能性があるんですよね?海近辺で育つ植物って結構貴重なんですよ。育てたいなぁ」
『……何というか、我らの中で一番欲望に忠実なのはフレデリカかもしれんな』
「かもね」
「ど、どういう意味ですか?!」
今日も今日とて時間は進んでいく。
私達が国を相手にどこまで立ち回れるのか。そして、結果はどうなるのかは……未だ、誰にも視えてはいない。
しかしながら、決して悪い事にはならないだろう。私達にとっては、だが。
幕間終わり。明日から本編再開です。





