Episode13 - 終わった後で
前日に5話更新しているのでお気を付けを
かくして、封印されたモンスター……『拷掠審獣 メントゥム』との戦いは終わり。
最初期のスポーン地点にてデスペナによって動けなくなっていた所を、フレデリカに回収された私はダキニの遺跡……ではなく。
ロート、フレデリカと共にマーテルの元ボス部屋へと連れてこられたのだった。
「で、私がお腹の中に入った後ってどうなったの?ログで見る限りは割とすぐに討伐したみたいじゃん?」
「本当に本当に大変だったんですよ?」
「そうだね、大変だったんだよー?蛙が沢山出てくるわ、途中から人型が混じり始めるわ、石板で存在昇華したっぽい元プレイヤーの月の従獣達が参戦してくるわで地上側も背中側も大変だったんだから」
私が腹の中で行った事については……詳しくは話してはいない。否、ある程度の流れ自体は話してはいるのだが、その過程……私が【霊体化】を使った時に見た情景などについては話していないのだ。
正直、あの現象が何故起こったのかは私にも理解は出来ていない。
恐らく、魂喰いというモンスターが魂関係に精通した……親和性の高い種族である事や、私が普段から魂を視て、喰らっている事。スキルによって、干渉力とでも言うべきマスクデータまでもが強化されていた可能性など、考えればキリがない。
……魂が視えて、尚且つ喰らえるならば干渉も出来る。道理と言えば道理なんだけどね。食べるって行為自体がそもそも干渉してないと出来ない事だろうし。
まぁ、それについては別に良いのだ。
今後他のワールドボスが現れた時に似たような存在が出てきた時に、同じ方法で味方に出来るかもしれない。それが分かっただけでも十二分に。
だがこれについては誰にも伝えない。勝手に気が付くプレイヤーは居るだろうが、広く知られる事になったら、私の【魂喰い】に対してのカウンターになり兼ねない情報でもあるからだ。
「でもでも、途中で不自然に動きが止まったんですよね」
「止まってたね。イヴが言う、体内でのギミックを終わらせた後……くらいかな?イヴがデスったのと同時くらいにメントゥムの攻撃も防御も、再生能力すらも止まってね。誰かが言ってたけど、まるで電池の切れた玩具みたいだったって」
「ふぅん……?」
体内での出来事を知っている身からすれば、恐らく私が放ったステーキナイフがメントゥムの力の源らしきものを破壊したのだろうと予測が立てられる。
1人の、それこそ退魔の力とやらを叩きこんでやったのだ。それくらい出来てもらわねば、やった私が困ってしまう。
「でも多分だけど、今回の討伐って正規法での攻略って感じじゃあないよねぇ」
「そうですねそうですね。多分……もうちょっと弱体化ギミックとかあったんじゃないですか?」
「イヴがほぼ一直線に急所を破壊したからすぐに終わったけど、多分……それこそ各地の遺跡にもう少し何かあったのかもしれないね……。それこそ触手の量を抑えられたり、そもそも大きさがもうちょっと小さかったり?」
「ありそう」
考えればキリがない事ではあるが、メントゥムとの戦闘が正攻法で終わったとは誰も考えてはいない。
掲示板を覗いてみれば、検証班や腕に自信があるプレイヤー達が早速再戦用のコンソールとやらでメントゥムに再び挑んでいるし、ストーリーの考察を行っているプレイヤー達はメントゥムという存在、遺跡などについての考えを垂れ流している。
そのどれにも巫女の存在が1ミリも出てきていないのには……少しだけ思う所はあるが、まぁここで言及した所で誰も反応は返してくれないだろう。
「ま、イヴが何してたかは分かったからいいや。私は戻る事にするよー」
「はいはい!また何かあったらよろしくです!」
「うん、フレデリカちゃんも元気で。次は……いや、次も仲良く出来る事を願ってるよ」
ロートは私達の話を聞いてある程度満足したのか、ガスフロスへと戻っていった。
メントゥムとの戦いはほぼ湖の範囲内で行われてはいたものの、街の方に逃がしてしまった月の従獣が出した被害やその復興などで人間側は忙しいらしい。
とは言え、それは人間側の事情。
私達モンスター側は……良くも悪くもやる事はいつもと変わらない。
「……よし、ロートちゃんは行った……かな?」
「……行きました行きました。周囲の植物や種にも盗聴だったりステルス系スキルを使ってる反応はないですね」
「オーケィ。……いやぁー……アレ多分分かってるよねぇー……」
「分かってますねぇー……」
ワールドボスを討伐し、ロレリアには平和が訪れた。
メントゥムから溢れ出した力によって様々な影響が出ていた湿地や、その他ロレリアの各地の環境もこれからは人間にとって良い方向へと進んでいくのだろう。
しかしながら、それはモンスターにとっては喜ばしくはない事。
自然発生する遺跡……ダンジョンはあるだろうが、これまで以上に暮らしにくく、尚且つ人間と遭遇する頻度が増えてしまうという事なのだから。
だからこそ、モンスターである私達はこれから……ここからはしっかりと、人間に仇なす存在として動いていく。
「まずはダキニちゃんとまた会って……あぁ、先にダキニちゃんが正気なのかも確かめないといけないか」
「大丈夫なんですかね……?」
「まぁ本人?本狐?が大丈夫って言ってたし大丈夫でしょ。駄目だったら……それこそ2人だけで格上のボスとの戦闘が始まるだけさ」
「ひえぇ……」
人間とモンスターの数の差はかなり大きい。掲示板では8対2だとか7対3だとか言われている程度には。
だが、私はその数の差に絶望も悲観もしていない。
それだけ食べる事が出来る相手が多いという意味でもあるし、何より。
「大丈夫。新しい力もある事だしね」
「えっとえっと……スキルが進化した、んでしたっけ?」
「うん、しちゃった。多分今回の戦闘の影響だと思うんだよねぇ」
「へぇ……どんなスキルなんですか?」
「まだ効果はしっかり読んでないや。でも名前は私にぴったりだぜ?」
一息。
「――【暴食】。これ以上ないくらい私にぴったりだろう?」
「ふふ、確かにそうですね!」
新しい力が、私には備わったのだから。
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プレイヤー:イヴ
合計スキルレベル:67
戦闘カテゴリレベル:27
保有スキル:【噛みつき】Lv5、【捕食】Lv5、【カニバリズム】Lv2、【部位破壊】Lv2、【ヒットボックス拡張】Lv5、【魂喰い】Lv5、【背水の陣】Lv1、【座標攻撃】LV1、【暴食】Lv1
探索カテゴリレベル:2
保有スキル:【地獄耳】Lv1、【影法師】Lv1
その他カテゴリレベル:38
保有スキル:【恐怖耐性】Lv2、【口腔生成】Lv5、【多産】Lv5、【配下指示】Lv5、【主従共有】Lv5、【バフチェイン】Lv5、【旧共通語】Lv1、【狂気耐性】Lv2、【骨鎧生成】Lv3、【光合成】Lv1、【霊体化】Lv1、【魂視】Lv1、【尊き身体】Lv1、【防御増加】Lv1
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