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人を喰らう、味方も喰らう。両方やらなくちゃならないのが屍人喰いの辛いところだね  作者: 柿の種
第7章 初めてのワールドボス編

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Episode3 - 利用出来るものは利用しよう


 スキル【剛力】。

 【筋力強化】をレベル5まで上げた所で進化。特に変わった条件はなく、効果もそのままアバターの膂力を上げるのみ。

 スキル【影法師】。

 【隠密】をレベル5まで上げ、尚且つ『光の無い場所で一定時間以上活動』によって進化。

 効果は【隠密】から変化し、影のある場所での身体能力の強化、及び自身の身体から発する音、気配の希薄化。要検証。

 同時に、スキル【地獄耳】。

 【聞き耳】をレベル5、『探索カテゴリのレベルが10以上』にて進化。

 こちらも【剛力】と同じく、元となった【聞き耳】の強化版。

 そして、


「よし、進化完了。っと、同時に合成まで出てきたね。フレデリカちゃんは?」

「私も私も出てきました。イヴさんは【剛力】と精神系のデバフに耐性が入る【胆力】でしたっけ?」

「そうだね、その2つで【尊き身体】になったわけだ」

「良いですね良いですね。こっちは敏捷系の【俊足】と合わせて【翔る身体】です」


 新たに獲得した【精神力強化】という、言ってしまえば【狂気耐性】などとは違い、効果量は劣るものの精神的なデバフ関係に強くなるスキルを進化させた【胆力】。

 【剛力】と【胆力】、そのどちらもがレベル5になる事が条件で統合され、どちらの効果も併せ持つ【尊き身体】となった。

……情報が出たのがトーナメントが終わった後な事を考えると……プロゲーマーだけじゃなく、ロートちゃんも関わってそうだけどね。

 同じ様に、フレデリカの方は【剛力】と、かつて私も持っていた【疾走】を進化させ【俊足】。

 それらが統合する事で【翔る身体】となっている。

 合計4つのスキルの進化と、そのレベル上げによって膨大な経験値を消費したが……レッドキャップのおかげか、そこまで時間は掛からず強化する事が出来ていた。


「とは言え、だね」

「ですねですね」


 実を言えば、今もレッドキャップを狩りながらスキルのレベルを上げつつフレデリカと話している。

 ここまで余裕があるのは、私の骨の甲冑が一切レッドキャップの攻撃を徹さない事と、フレデリカの身体に物理的な攻撃がほぼ効かないからではある。

 ダキニに出逢ってしまった時は、正直ボス次第で何が起きてもおかしくはない遺跡だったからこその焦りであり、実際すぐにでも出られる位置まで逃げておいたおかげでダキニも見逃してくれたのだろう。


「フレデリカちゃんはまだ2回目の存在昇華は出来てないんだっけ?」

「そうですね、今が……38レべです。イヴさんは……40になったんですっけ」

「進化と統合合わせてレベル自体は下がって40だね。あとは【恐怖耐性】と【狂気耐性】、主従系のスキルもレベル5にして進化するかどうかを確かめておきたい所なんだけど……」

「そこまでやるとなると……多分、もっと狩らないとですね?」

「そうなるんだよねぇ……流石に飽きが来るよ、これ。美味しい訳でもないし」


 目下の目標として、イベント期間中にフレデリカは2回目の存在昇華を。

 そして私はと言えば……ワールドボスに対する対策用のスキルのレベル上げ。耐性系のスキルは確実に上げておいた方が良いだろうし、それ以外にも配下の数が増やせるならば増やした方がその分戦力が増す。

 それ以外にもメインで使っている【捕食】や【魂食い】なんかのレベルも上げておきたい所なのだ。

 しかしながら、それを効率良く行うならば……ボスを狩るよりもレッドキャップを狩り続けた方がいい。だが、ずっと同じ敵と戦い続けるのも……MMOの醍醐味と言われてしまえばそうだが、飽きが来るのもまた事実。

……ボスと戦いたい所ではあるけど……私達が知ってるボスはダキニだけだしなぁ……。

 正直、こうして4つの進化スキルを得た今でもダキニに勝てるかと言われると……怪しい所だ。

 そもそも相手の攻撃が見えなかった以上、それを防御する術は必要。

 防御に関しては【骨鎧生成】に任せきっている所を考えると、そちらのレベルの上昇もしなければならない。

 となれば経験値が必要で……と堂々巡りになってしまう。

 また、ここから新たなボスの居る遺跡を探すのは……それはそれで時間が掛かってしまい、レッドキャップを狩っていた方が結果的に経験値が稼げるという悲しい現実が襲い掛かってくる。


「……行くか、ダキニの所」

「!?行くんですか?!言っちゃなんですけど勝てませんよ!?」

「あぁうん、それは私も分かってる。だから勝ちに行く必要はないんじゃないかなって思ってね」

「……?」


 そこまで言って、私は今パッと思いついた事をフレデリカに話してみると、


「……えぇー……?いや確かに、それでも経験値というか……行動経験値は貰えるでしょうけど……正気です?」

「大丈夫、変なデバフには掛かってないよ」

「そういう話をしてる訳じゃ……いや、元々そういう人でしたね……」


 KFOで出会ってからフレデリカとはそれなりに長い付き合いにはなってきたが、彼女は彼女で私の事を何だと思っているのだろうか。

 それはそれとして。私が考えたのは……1つの修行の様なもの。

 今の様にレッドキャップを狩り続けるだけでは得られない、戦闘経験とそれに伴って得られるであろう行動経験値。

 それを得る為に……私達はこれから、再びダキニの元へと訪れようとしているのだ。


「別に喧嘩を売るって訳じゃないよ?一応手土産もある訳だしね」

「ちなみにちなむと何です?その手土産って」

「これまで戦ってきたボス達の素材。肉とか骨とか」

「……初めてのデスペナがここかなぁ……」

「失礼な」


 流石に手ぶらでダキニの元へと訪れる訳ではない。

 私が喰らい、糧にしてきたボス達の素材を手土産に行くのだ。流石に問答無用で切り捨てられる事は……恐らく無いだろう。

 腹の中に収めた筈の相手の素材がどうやって手に入ったかは……私にも分かっていないが。ボス戦後にインベントリを覗いたら入ってたのだから、恐らく他のモンスター達と同じ様に討伐した瞬間に入ったのだと思われる。

 そうこうしながら、私達に纏わりつく様に攻撃をしてきているレッドキャップ達を一度全て倒し切った後。

 ダキニの居る遺跡の前へと、再び訪れたのだった。

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