Episode2 - スキルの進化とは
スキルの進化。
フレデリカに依れば、見つけたのはプロゲーマーの1人で掲示板に既に情報が出ているらしい。
なんでも、『スキルを一定以上のレベルに上げ』、『スキルによって変化する条件を達成する』事で、『上位スキル又はレアスキル』に進化する、というもの。
例として、そのプロゲーマーが掲示板に投稿していたのは武器関係のスキル。
元は【片手剣使い】という、戦闘カテゴリに属する片手剣の扱いにシステム的な補助が入るスキルだったものが、進化する事で【双剣使い】に進化。効果も両手に剣を持った状態で行う行動全てにボーナスが入るというモノに変化しているらしい。
「確かにこれは便利……なんだけど」
「分かります分かります?」
「うん。条件がスキルによって変化する、ってのがちょっと面倒だね」
「ですよねぇー……」
私の持つスキルは新しく獲得した【座標攻撃】を合わせて24個。
その全てを進化させようとすれば、24個もの違う条件を達成しなければならない。中には私が魂喰いに成った時のように、複数の条件を必要とするモノもあるだろう。
とは言え、今は少しでも自分の強化が出来るのであればしておきたい。
……私なら……効果が変わっても多少は問題ないもの、もしくは獲得し直し易いレアスキル以外の主要スキル、かな。
候補として考えるのは3つ程。
1つは【筋力増加】。最初期、私がアバターを作成したタイミングから支え続けてくれているスキルではあるが、ステータスの強化手段が複数手に入った現状であれば、変化した所で影響が少ないと考えた為。
次に【隠密】。これはほぼ最近では使っていない為、進化した所で影響が少ない可能性がある。
最後に、
「んー……【大食漢】の進化、目指してみてもいいかもしれないなぁ」
私の今の戦闘スタイルを支えてくれている功労者、【大食漢】だ。
「その心は?」
「単純に、条件が難しかったとしてもスキルレベルが上がる恩恵が大きいから。後、進化する場合は元に沿ったモノにはなるっぽいのは掲示板を見れば分かるからね。今の一時的にHPを得る効果がどう変わるのかは分からないけど、私にとって都合の良いスキルになってくれるのは間違いないからさ」
「成程成程、確かにそうですねぇ」
考えれば考える程、他2つの候補と違って【大食漢】を強化するメリットは大きいように思える。
経験値も……【座標攻撃】を獲得した残りで1つのスキルを一定レベルまで引き上げる事くらいは出来そうだ。
となれば、善は急げ。
私はウィンドウの操作を始め、とりあえず【大食漢】をレベル5まで上げてみれば。
『スキル【大食漢】のレベルを5に上昇させます……完了。アバターに適用しました』
『行動ログ精査開始……対象:【大食漢】』
『スキル進化条件:一定以上の食事を行う(1/1)、特定数値が閾値を越える(1/1)、別種類のアバターを喰らう(1/1)』
『条件の達成を確認。スキルの進化が可能です。行いますか?』
何やら気になる事条件が書かれている様な気もするが。
こちらとしては特に何もする必要もなく進化が行えるのならば願ったり叶ったりの為、そのまま行う事にした。
『承認を得ましたので、スキル【大食漢】をスキル【貪食】への進化を行います』
『進化完了。アバターに適用しました』
私の身体に劇的な変化は訪れなかった。
存在昇華の様に、私のアバターが直接変化するわけではなく。私の内側に作用するスキルに変化が起きただけなのだから当然だろう。
それはそれとして、
「……あぁー……成程?そういう感じね?」
「終わりました終わりました?」
「うん、終わった。これ進化したらレベルは1になるんだねぇ」
「へぇ、そうなんですねぇ。で、どうなりました?」
「少し変わったよ」
私は強化した【大食漢】……もとい。進化した【貪食】の効果を確かめる。
経験値やプレイの内容によって獲得する事は出来ず、特定スキルを進化させる事でしか得られない進化スキル。
その効果は、
「元々【大食漢】に備わってた一時的なHPの獲得は変わらずに、食事に関係する行動にボーナスが入るようになってる。……多分これ、獲得するHPの量とかも変わってそうかな?」
「……それってそれって、他の人ならそこまでかもしれないですけど、イヴさんのスキル構成や戦闘スタイルだと結構凄い事になりません?」
「なるねぇ」
勿論、私との相性は抜群だ。
元々備わっていた効果は勿論の事、食事に関係する行動……私で言うならば相手の身体を喰い千切る、なんて攻撃にもボーナスが入る可能性だってある。
……行動ボーナスについてはまだ検証組もしっかり効果を確認出来てないんだっけ。
良いモノなんだろうとは考えてはいるし、実際システム的な補助やその手の行動を行う際、スキルが無い時と比べると良い結果を得やすいのは理解出来ている。
それ以外にも、ダメージが多くなっただとか。
足が速くなった、防御が堅くなった、跳べる距離が長くなったという報告が掲示板に上がっている。故に、良いモノであると理解した上で。
「ま、確かめてみないと分からないか」
「そうですねぇ」
考える事を放棄した。
この手の難しい話は、私が考える事ではなくその手の事柄を調べるのが好きな人達に任せた方が良い。
私はある程度良い事なんだろうな、くらいの認識で良いのだ。
「じゃ、経験値が許す限りスキルの進化でもしていこうか。フレデリカちゃんもしとく?私は足りなくなったらそこらでレッドキャップ狩ってくるけど」
「しておきますしておきます!結構経験値も貯まってるので!」
「結構スキルも取ってないだろうし……良いねぇ貯蓄がある子は」
「最近のイヴさんが使い過ぎなだけですよ」
「あは、言うねぇ」
ある程度スキルの進化の流れ自体は理解した。
それに加え、必要な経験値量も。手持ちでは残り1つスキルを進化させる為にレベルを上げたら無くなってしまうが、遺跡内でレッドキャップでも見つければイベント期間中であればすぐにでも回収出来る量だ。
と、なれば。やる事は1つ。
戦力強化にもなる、スキルの進化を延々と行っていこう。





