Episode1 - 新しい力と準備開始
7章開始
イベント期間は約1週間。
1日目はメインイベントであるプレイヤーによるバトルロイヤル、そしてトーナメントが行われ、私イヴは4位に入賞する事が出来ていた。
その後、交流エリアにて普段関わりにくい人間側のプレイヤー……ヒルマを始めとした今回のイベントで知り合った人達と楽しく食事をした後で。
私は今、自分達に残されている時間がかなり少ない事を知ったのだった。
そして、時は流れ……イベント3日目。
「って言っても、だねぇ」
「ですよねですよねぇ……」
現在、私とフレデリカが居るのはいつもの元ボス部屋。そろそろ何かしらの名前を付けてやるべきだとは思うが……まぁそれは後にして。
その部屋の中心で、お互いに向かい合う様にしてまったりと交流エリアで買った紅茶を飲んでいた。
緊張感が無い?私達に出来る事は今の所……正直な話、殆どないのだから仕方ない。
……封印されている場所も分かってるし、プレイヤー達の練度上げも急ピッチで始まってる。
サラシナから提供された情報はかなりの緊急性を孕んでおり、通話越しに聞いたロートがほぼ発狂レベルで笑いながら関係各所へと殴り込みをかけたレベル。
その上で、彼女が私達2人のモンスターアバターのプレイヤーに求めたのは……出来る限りの、必要な情報は出すからいつも通りに経験値でも集めていてくれ、というモノ。
つまりは、いつでも呼ばれたら行動出来るようにと待機していてほしいのだ。
「まぁ?私としては知りたかったスキルの情報も手に入ってるし……狩りもしやすいからありがたいんだけどさぁ」
「そろそろ新スキルには慣れました?」
「慣れた……と言うにはまだ練度が足りてないかな?でも十分戦闘中には使えるレベルにはなってると思うよ」
「それはそれは期待大ですねぇ」
「あは、あんまり期待されすぎても困るけどねー……っと」
私はわざと開けていた部屋の扉の方へと右手を向け、手のひらに口を生成する。
その上で、こちらを覗き込もうとしていた1体のゴブリンに対し、
「イタダキマス」
「ッ?!」
「うわぁ」
手の口を動かした。
瞬間、ゴブリンの頭が突如見えない何かに齧り取られたかのように欠損する。
急所である頭部に復旧不可能なダメージを喰らったからだろう。そのままゴブリンは身体を痙攣させながら仰向けに倒れていき……光の粒子となって消えていく。
「やっぱりやっぱり、内容知らないと結構理不尽ですね、そのスキル」
「個人的にはあんまり使いたいモノでもないんだけどね?味もしないし……やっぱり【捕食】も【魂喰い】すら発動してないし」
「成程成程……やっぱり直接触れてないとその2つ、というか食事系のスキルは発動してくれないんですかね?」
「多分。まぁ【噛みつき】は食事系ってよりは牙とかを使った攻撃だからって事で効果は出てるっぽいから良いんだけど」
当然、バグやそれを使ったグリッヂなどではなく正真正銘ゲーム内の仕様で出来るようになった事。
ロートに話した私の欠点と、それを補う為の効果を持つレアスキル……【座標攻撃】の効果だ。
【座標攻撃】自体の効果はシンプルもシンプル。ただ、私が【座標攻撃】を適用した状態で攻撃をすれば狙った場所に攻撃出来る、というだけのモノ。
だが、しっかりと読み解き使っていくと……かなり癖の強いスキルである事も分かっている。
「こっちが狙ってる場所は見えてないとダメだし、これで攻撃した時のダメージも……多分いつもの半分以下くらいにはなってるかな」
「そうですよねそうですよね。今のゴブリンもいつもだったら一口で頭全部食べちゃいますし」
「だね。それにクールタイムも長い。1回使ったら10分待たないといけないのは教えてもらった立場で申し訳ないけど、正直キッツイよ」
「あはは……」
狙った場所を攻撃するという防御不可の攻撃である為か、それによって与えられるダメージは普段よりもかなり少ないモノとなっている。とは言え、これについては私がステータスの強化をしていない状態でしか試していない事、そして【噛みつき】を始めとした何個かの戦闘カテゴリのスキルが適用されている事からあまり悲観視していない。
【捕食】や【魂喰い】が適用されていないのは残念だが、それにしたって十二分に良いスキルなのだ。これだけならば。
問題は【霊体化】と同じ様に使用後のクールタイムが長い事。
戦闘中に使う事を考えると、10分のクールタイムは長いというよりも戦闘中は一度しか使えないレベルと言い換えても良いレベルだ。
「でも、これがあるのとないとじゃあ……やっぱり対処出来る状況に差が出てくる」
「うんうん、それこそスオウさんとの試合も結構内容変わってそうですよね」
「変わるねぇ。私に拘束した所でその場から動けなくても噛み砕く事くらいは出来るようになるわけだし」
だが、このスキルは普段使いするようなスキルではなく、切り札の類。
人であれば、出会い頭に頭を狙って口で攻撃してやれば必殺の攻撃になるだろうし……そうでなくとも、つい先程のゴブリンへと使った様な事が出来てしまうのだから。
「まぁ私の方は良いんだよ。今日は……なんか見つけたんだって?」
「あぁ、そうでしたそうでした!」
私のスキルについてはここいらで。
本来であれば各自いつもの様に遺跡の探索及び適当にレッドキャップ狩りに勤しむ予定だったのだが……ログイン直後にフレデリカから非常に興奮した様子のメッセージが届いていた為に、一度集合する事にしたのだ。
そして、その内容というのが、
「スキルの進化が発見されたんですよ!進化!」
「おぉー」
「むむ、なんだかあんまり驚いてませんね?」
「いやまぁ、私達というか……プレイヤーが存在昇華する様なゲームで、スキルが進化するって言われても、ねぇ?」
「それを言われたらまぁそうなんですけども!」





