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人を喰らう、味方も喰らう。両方やらなくちゃならないのが屍人喰いの辛いところだね  作者: 柿の種
第5章 兵どもを喰らい征く編

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Episode11 - トーナメント1回戦1


『第3試合!出場者はグループC勝者イヴ!対するはグループF勝者スオウ!』

「「「――!」」」

「へぇ」

「……」


 転移した先は、先程までいた控室と同じ構成の闘技場。

 しかしながら、観客席には大勢のプレイヤー達で賑わっており。空中にはバトロワの説明を務めた佐渡がマイクを持って司会をしていた。

 太陽も見えている。雲一つない晴天だ。

 そして、私の目の前……20メートルは離れた位置には、1人のプレイヤー。

 黒い忍装束に身を包み、表情すら読み取れない……ヒルマと似た姿をした男性プレイヤーがそこには居た。

 魂の大きさは……これまで見た誰よりも大きい。ちょっとしたバランスボール程度はあるのではないだろうか?


『試合のルールはどちらか一方のHPの全損、もしくは降参宣言のみによって勝敗の決まるデスマッチ!なお、降参については声を挙げる、または思考操作によってプレイヤーメニューから行う事が可能となっています!両者、準備はよろしいですか?』

「こっちはいつでも大丈夫だよ」

「……無論」

『ではでは!両者の準備も出来たようなので!――試合開始ッ!』


 佐渡の声と共に、プロレスの試合開始のゴングの様な音が鳴り響く。

 試合開始だ。

 瞬間、私はその場の地面を蹴り一気にスオウへと近付こうとして、


「……すまないけど、君の情報は既に貰っていてね」

「おっとっと、そういう感じ?」


 彼の姿がブレると共に、5人へと増え近付こうとした私の周囲へと現れる。

 ヒルマも使っていた分身だ。

 だが、ヒルマと違い……機械的に動くのでは無く。


「苦無!忍者してるねぇ!」

 

 その全てがしっかりと距離を取りながら私に追従しつつ、複数の苦無を弾幕の様に投げつけて来た。

 普通のプレイヤーならば、これだけで逃げ場もなく全身を苦無で滅多刺しにされてしまうだろう。

 だが、生憎と私はつい先程までの試合で似た様な状況の中で生き残ってこの場に居る。

 瞬間的に【骨鎧生成】を使い、全身に骨の甲冑を纏い出来る限りダメージを抑えられる様にして。その上で、その場で右腕を真っ直ぐ伸ばし独楽の様に回る。

 たったそれだけ。しかしながら苦無程度ならば、それだけで弾く事が出来てしまうのはヒルマによって実証済みだ。


「ぐっ、ぅ……はは、最近は何かと毒に縁があるなぁ」


 だが、やはりというか。

 1つのバトロワという舞台を勝ち上がって来た者が使う得物がそんなやわな物である筈もなく。

 大多数は弾けたものの、何本かの苦無は骨の甲冑を砕き、貫通し、その下にある私の皮膚にまでダメージを与えて消えていく。

 それと共に、私には複数のデバフが付与された。

……『毒』、『出血』に……成程『激痛』。どれも相手の動きが鈍っていく類のデバフだ。流石忍者汚い。

 『毒』、『出血』はその名の通り、継続的にHPが減っていくデバフ。

 そして『激痛』は……付与された部位が効果が切れるまで激痛が走り続けるという、行動制限系デバフ。NPCやモンスター相手ならば十二分に機能するデバフではあるし、痛覚設定を自由に操作できるプレイヤーにとっても、一定間隔で付与された部位が動かし辛くなるという効果がある為に掛け得だ。


「まぁ右腕なら問題ないッ……とぉ?」


 だが、そのどちらも別段私には効果が薄い。

 先のバトロワでは、毒を付与された場所が場所、状況が状況であった為に焦ったものの。

 今この場は雲一つない空の下。

 継続ダメージ系のデバフは、ある程度までならば【光合成】によって相殺出来るし……右腕に付与された『激痛』に関しても、私のメインウェポンは全身どこでも生成出来る口。動かなくなってもそこまで関係は無い。

……どこ行った?

 そう考え、スオウの本体を探そうとして……見当たらない。

 分身は今も私の周囲に居て、次弾である苦無の補充を行なっているのだが……その中にスオウらしき存在が居ないのだ。


「ッ、そこッ!」

「……驚いた。気配や音は完全に消してたのに。それは情報には無かったな」


 そこで、私は目を瞑り。未だ慣れたとは言い難い魂喰い特有の魂感知に意識を注ぐ。

 そうすれば……いつの間にか私のすぐ後ろ。首元へと錐の様なモノを突き立てようとしているスオウの魂が瞑った視界内に浮かび上がり、間一髪という所で弾くことに成功した。

……高レベルの【隠蔽】、もしくはそれに類するレアスキルかな。

 私の【ヒットボックス拡張】の様な、獲得経験値が多い代わりに多大な結果を得る事ができるスキル。

 ただ、生憎と魂までは誤魔化しが効かない様で。

 私は目を瞑ったまま、スオウへと向き直る。


「あは、良いね。ここまで見た事がないスキルじゃんそれ。便利そうだし私も使いたいな」

「……ヒントはあげるし、後で交流エリアで会えたらどういう効果か教えてあげるよ。でも今はダメ」

「ケチだなぁ」


 スオウは私がどうやって自身の事を見つけ出したのかを理解出来ていない。

 目を瞑り続けているのも警戒しているのか、少し離れた位置へと離れていくのを感じているものの……追いかけない。否、追いかけられない。


「また分身!」

「……忍者らしいでしょ?」

「確かにそれはそうだけどさ!」


 私の周囲、そこに居る筈の分身の他に更に5人分の足音が新たに生じたのを耳が捉えた。


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