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人を喰らう、味方も喰らう。両方やらなくちゃならないのが屍人喰いの辛いところだね  作者: 柿の種
第5章 兵どもを喰らい征く編

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Episode8 - やっとそこに


「おい待てッ!」

「森を破壊しながら進むとか無茶苦茶すぎるだろ……」

「……今の内に隠れて……っと」


 音が、声が、魂が。私の周囲から聞こえ、感じる事が出来る。

 やはり活動可能エリアが収縮し、周囲に居たプレイヤー達が森の中へと入ってきたのだろう。私の事を狙う矢も、先程以上に間隔が長くなっていた。

……でも、見つけた!

 進行方向上、邪魔な木々を右腕で薙ぎ払いつつ。私は駆けていく。

 目的地は……先程から私の事を狙い続けている射手、ではなく。その射手を捕捉し追いかけまわしている私の配下の元だ。

 目標以外はほぼ無視している為か、既に2体の配下が倒されてしまったログが流れ。

 残りは1体。しかしながら、その1体が射手を見つけ出し良くも悪くも音を立てながら追跡を続けている。

 故に、


「征こう!」


 遠距離持ち、私の事を認識している、そして強烈な爆発を起こす何かを持っている。

 放っておけば、確実に私の試合での勝ちは無くなるし……そうじゃなくても、私にとって不利となる属性の詰め合わせだ。逃がす事は出来ない。

 それに、状況は私の味方をしてくれている。

 森の中に複数のプレイヤーが入り込んできたと言う事は、だ。その分だけ、射手は私以外のプレイヤーと遭遇する可能性が高くなる。その分だけ対処しなければならない事柄が増え、最終的に何処か限界が来る筈なのだ。


「……ッ」

「ぁー!」


 見えた。視認する事が出来た。

 緑色のローブを頭から被り、手にはボウガンの様な形状の弓。顔は見えないものの、背丈は私とそう変わらない。

 そして時折、ローブから漏れる金色の髪。

……まんまエルフみたいな感じか。そういえばこのゲームでのエルフってどういう立ち位置なんだろう?

 疑問が浮かぶものの、思考と身体の動きは別。

 ローブのプレイヤーはそこまで身体能力が高くはないらしく。私の配下からは逃げられるものの、強化を重ねている私には追い付かれる。その程度の速さで走っていた。

 だからこそ。私はそのプレイヤーとの距離がある程度縮まった瞬間に。


「ジャンピィーングッ!」

「!?」


 跳んだ。

 勢い良く飛び出した私に対し、森の中でそんな行動を取るとは考えていなかっただろう射手。

 瞬間的に何かしらのスキルを使い、全身が青白く一瞬輝いたと思えば少しだけ前へと高速移動したものの……今更少しだけ移動した所で結果は変わらない。

 射手へと向かって跳んでいく身体。その途中、空中で私はヒットボックスの大きくなった右手であるモノを掴み……ソレを射手へと向かって投げつける。

 跳んだら距離を取られる。進んでいるのに此方は距離を稼げない方法を取る。私に対して攻撃を集中させる。その他何でもいい。私の動きに注目して何かしらのアクションを取ってくれればそれで良かったのだから。


「ぁあッ!」

「……そんなのアリですか!?」

「出来てるんだからアリアリ」


 そうして投げられたのは……私達よりも遅く、少しだけ後ろに居た配下の魂喰い。

 主人である私が投げたが為に、暴れる事もなく。そして自身に課された指示に従う様にして配下は飛んでいき……そのプレイヤーへと激突する。

 避ける事が出来ず、尚且つ配下は受け身など取れる程知能が高くはない。

 だからこそ、激突し……転がるようにしながら取っ組み合いへと発展する。


「このッ、はな、れろッ!」

「ぁーあ!」


 私も軽く転がり受け身を取りながらも無事着地しつつ。

 すぐに配下の元へと駆け寄って……行こうとした所で、


「へへェ、3人も獲物が居るじゃねぇかッ!」

「カモはっけーん、俺が勝つ為に死んでくれや!」

「そういうルールだ、恨まんでくれよ!」


 射手、配下、そして私へと向かって、周囲の森の中から複数の攻撃が飛んでくる。

 この試合は私達だけが参加者ではない。これまで私は森の中を破壊して進んできたし、何ならテンションが上がって声も挙げた。

 配下も配下で、その辺りのステルス行動なんて出来ない。

 だからこそ、【聞き耳】を始めとした索敵スキルを持ったプレイヤー達が集まってきたのだろう。

 彼らは誰とも組んでいない。単純に居合わせて。尚且つ狙い易い獲物が転がっていたが故に攻撃したがだけの事。

……うん、道理道理。……でも。

 魔術の様な水の球が。何本もの投げナイフが。何らかの液体が塗られた矢が。

 四方八方から飛んでくるのに対し、私はゆっくりと息を吐きながら。


「ごめん、次はもうちょっと本気でよろしく頼むよ」

「「「!?」」」

「なッ……」


 左足を軸に回転し、右腕でその全てを薙ぎ払った。

 プレイヤー達の驚きの声と、懲りずにこちらへと再度攻撃する為の準備の音を聞きながら。

 私は甲冑の下に、目の前の射手には見えない笑みを浮かべ、


「ちょっと周りが五月蠅いけれど……食事の時間にしようじゃあないか」


 言った瞬間。私達の誰よりも先に配下が動き出す。

 今しがた起こった事に驚き、動けなくなっていた射手に噛み付き、その身体を喰らったのだ。

 瞬間、私のログに流れる【バフチェイン】によって共有された【捕食】、【魂喰い】の効果の羅列。

 これまで散々遠巻きから狙ってくれたのだ。


「今更、逃げれるとは思ってない、よね?」


 じっくり味わわせてもらうとしよう。

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― 新着の感想 ―
食い殺されるのって中々の恐怖体験になりそうだな…… 理性のないモンスターじゃなくてプレイヤーからだからなおさら
さぁ、食事の時間だ(ニヤリ)
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