Episode10 - 時間は掛かったものの
4日後。
イベントまであと3日となった今日。私はマーテルの居た遺跡のボス部屋へと戻ってきつつ。
ウィンドウの表示を見て頬の緩みが止まらなくなっていた。
「いやぁ貯まった貯まった。うっはうはだよ」
そう、存在昇華に必要な魂が666個貯まり切ったのだ。
配下周りのスキルを強化した後、実際に配下がモンスターを喰らう事で魂は……一応、集まった。
しかしながら、直接私が集めた訳ではないからか1体のモンスターから得られる魂の量が完全な1ではなく、その半数や時には4分の1にまで減少していたりと取得量に難があったのだ。
とは言え、私が何もしていなくとも魂が集まる事には変わりなく。
私もスキルのレベルを上げる為の経験値稼ぎを並行して行いながら魂を集める事4日。
やっと今日、集め切る事が出来たのだ。
「長かった、本当に……でもイベントには間に合った!」
スキルのレベル自体はまだ上げていない。
というのも、現在の私の合計スキルレベルは29。ここから40まで上げ切るには11レベル分引き上げる必要がある為、結構な経験値が必要だったのだ。
だが、それも魂集め中に貯める事が出来ている。
「えぇーっと……今後の事を考えると……【噛みつき】と【捕食】のレベルは上げるとして、【魂喰い】と【大食漢】も上げようかな」
どのスキルのレベルを上げるかはあまりじっくりとは考えていなかった。
魂集め中に何かしらのスキルを獲得出来る可能性もあったし、それによって私の戦闘スタイルが劇的に変わる可能性だってあったからだ。
とは言え、ある程度の方向性自体は決まっている。
今から突然遠距離型……後方からチクチクと攻撃をするような戦い方は出来ないだろうし、するつもりもない。
故に、今のスタイル……相手に無理矢理にでも近付いて喰らう事でバフを積み重ねていくスタイルをそのままスケールアップさせていこうと思う。
「あとはイベント的に結構使えそうな【カニバリズム】と……耐性系スキル2つも上げちゃおう。ニドリーとの戦いで必要なのは理解したしね」
推定『月の従獣』と成ってしまったニドリーが『狂気』を付与する攻撃を使ってきたのだ。
ならばそれ関係であろうワールドボスに対抗出来る耐性系は上げておいて損はない。
……全部1ずつ上げるとして……これで7か。
ならばと、何個か上げるスキルレベルの数を調整していけば。
『スキル【噛みつき】、【捕食】、【大食漢】のレベルを3、【カニバリズム】、【部位破壊】、【魂喰い】、【恐怖耐性】、【狂気耐性】のレベルを2に上昇させます……完了。アバターに適用しました』
10レベル分、スキルのレベルを上げ終わった。
これで合計スキルレベルは39。存在昇華の条件である40の一歩手前まで来た訳なのだが。
当然、1レベル分上げ忘れた訳ではない。
「ん、なんか普通の存在昇華も出来るようになってる……けどまぁ良いか。普通だったら30レベが2回目になるのかな、屍人喰いが元の種族だと」
私は呟きつつも、スキルの獲得ウィンドウを出現させた。
そう、まだ私はニドリーのMVP報酬であるスキル獲得用のアイテムを使ってはいないのだ。どうせならば、ニドリーの持っていたスキルなんかを獲得できれば……と考え1レベル分残しておいた訳なのだが、
「……【花粉放出】って私植物系のモンスターじゃないから無理じゃない?他には……【植物栽培】ぃ?あぁ、これ範囲内の植物の生長早くする奴か」
やはりと言うか何と言うか。
ニドリーの持っていたスキルというのもあって、植物に関連するスキルが多く表示されている。
出来れば存在昇華を行った後、私と戦った姿で持っていたスキルがあれば良いなと考えていたのだが……見つける事は出来ず。
代わりに見つける事が出来たのは、
「【光合成】に【武器生成:植物】、【特殊毒生成】……獲得するならこの辺か……」
【光合成】は太陽の光が当たる位置であればHPを持続的に回復出来るスキル。
【武器生成:植物】はと言えば、ニドリーが使っていた槍の様に、周囲の植物を武器へと変える事が可能となるスキル。
【特殊毒生成】は……一定数累積させる事で、自身が元々付与させる事が出来るデバフを相手に付与するという、少しばかり回りくどい毒を生成出来るスキルだ。
この中で得るならば、と考え……少しだけ迷った後。
『MVP特典によって【光合成】を獲得しました』
【光合成】を選択した。
他の2つに関しても使い道はあるだろう。しかしながら、正直私には合っていないスキルではある。
それならば、太陽にさえ当たっていればHPを持続的に回復出来るという【光合成】の方が使い方を考える必要もない為便利だろう。
『条件の達成を確認しました。特殊存在昇華が可能です。行いますか?』
「そりゃあ当然」
『特殊存在昇華を開始します……行動ログ精査開始。種族『人喰い』確認。……保有スキル精査開始。スキル【捕食】、【噛みつき】、【魂喰い】の組み合わせ保有を確認、昇華ポイントを加算します……スキル【大食漢】の保有を確認、昇華ポイントを加算します……精査完了』
何やら思っていたよりも長いログが流れた後。
『存在昇華先の種族を選択する事は出来ません』
『特殊存在昇華『魂喰い』への存在昇華を開始します』
「おぉ!?」
私の身体全体が淡く光り出した。





