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人を喰らう、味方も喰らう。両方やらなくちゃならないのが屍人喰いの辛いところだね  作者: 柿の種
第4章 色々準備編

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Episode7 - VS『月従華 ニドリー』2


『蟇セ雎。縺ョ謚オ謚励r遒コ隱』


 ニドリーは既に勝った気でいるのか、噛み付いた私の事を気にしてはいるものの……そのまま槍を両手で持ち私の背中へと突き刺そうと動き始める。

 しかし……もう遅い。

 口の中にニドリーの血が、黄金だった筈のソレが滴り落ちると共に……私は全力で肉を噛み千切った。

 瞬間、口の中に広がるのは……人の肉の味でも、野菜の様な味でもない。鳥肉の様な、淡泊な肉の味だ。

 それに加え、血の味なのか非常に濃い蜜の味がソースの様に絡みついており。これだけでも、十二分に食が進む1つのデザートのようになっている。

 一心不乱に二口目を食べようとした所で……ニドリーは私の背中に向かって両手を使って槍を突き立てる。


「ごふっ……」


 残り少ないHPが削り切れそうになりながら。

 強い衝撃が背中に伝わったのを感じながら。

 しかしながら、私は自分の身体を、衝動を止めるつもりはない。

……まだまだ。まだいける。まだHPが削り切られた訳じゃあない。

 喰らうのだ。目の前の未知なる存在を。

 喰らうのだ。私を殺そうとする存在を。

 喰らうのだ。変貌してしまった存在を。

 二口目、三口目と続き喰らい。ニドリーによってボロボロになってしまっている身体は……力を取り戻していく。【捕食】、【魂喰い】が力を私に与え、【大食漢】が私を殺さぬようにと……目の前の存在を食べる為の活力を補充してくれる。


「……ごめんねぇ。私がうっかりしてて、君がそうなっちゃってさぁ」


 一息。

 喰らう途中の、口の中を涎で流す一瞬の時間。


「だけど、だからだよ。君の事は責任を持って……私が喰らう」

『諢丞袖荳肴?』

「あは、そうやって手を止めてて良いのかい?私はまだまだ元気だぜ?」


 言葉に合わせる様にニドリーは今も身体を喰らおうとする私を引き剥がそうと腕と触手を動かして、


『!』


 突如、骨の甲冑の各所から飛び出した棘の様な突起が突き刺さり動きを止める。

 形状を自由に変えられるというスキルの特性を用いた、瞬間的な防衛手段。

 無論、鎧として見るならば棘を生やした分だけ強度が下がる。相手を縫い止めるなんて芸当が出来ない程度には脆い。

 しかし、それで良い。

 私の食事を一瞬でも止められないのであれば……私は延々と強化されていくのだから。


『――』

「おぉ、やっと感情を見せたね」


 驚愕、畏怖、そして目の前の私と言う脅威を排除しなければという使命感。

 それらがごちゃ混ぜになった視線をこちらに向け……私は代わりに笑みを返す。

 次第に私の腕や足は動く様になっていく。

 拘束自体は無数の触手を主体にされている。多少引き千切った程度では動けない程に。だが、それも少し前の話。

 今は度重なる食事によって、【魂喰い】による強化が重なり……何本触手が絡み付いていようが関係無い。


「動けるぜ、もう」


 私が動ける様になったのを悟ったのか、触手を伸ばしつつ足を動かし距離を再び取ろうとしたニドリーに対し。

 私は笑みを絶やさず、触手を引き千切りながら距離を詰める。

 ボスとしてみるならば、ニドリーは強い部類だろう。

 距離を詰めるには無数の触手を捌き、その上で本体が扱う槍を防ぎながらダメージを与える必要がある。

 しかしながら、致命的に……攻撃手段が少ないのだ。

……元の種族だったら……植物とか操ってきたんだろうなぁ。

 存在昇華をする前、私と話していた時のニドリーならばこんな無理矢理な攻略は出来なかった。

 華である以上、道中に付与された『花粉症』を警戒しなければならないし、寄生系の植物モンスターも取り巻きとして出てくる可能性があった。

 だが、今はない。種族が変わり、戦い方も変わり、そして……厄介な能力も今は特に見えていない。

 故に倒せる。故に喰らえるのだ。


「あはッ」


 私が一歩進むごとに相手は二歩以上下がる。

 しかし、強化されたステータスのおかげで距離が離されるどころか縮まっていく。

 対処が難しかった槍も……今ではこちらに突き出す動作の1つ1つがスローに見え、簡単に避けられる。

 既に触手は意味を成していない。

 寧ろ、私に触れようとした触手から生成した口に喰われ、バフの元と成り果てている。


「さ、終わりにしよう」

『……』


 既にニドリーに逃げ場はない。

 祭壇か、それとも石板を守る為なのかボス部屋から出ようとしない彼女には逃げる場所など元から存在していなかった。

 覚悟を決めたのか、両手だけでなく触手にも槍を持たせた後。


「……」

『……ッ』


 一息。

 その全てを絶妙にタイミングをずらしながら、こちらへと向かって突き出し始めた。

 普通ならば全ては避けられない密度。無数に突き出される槍の穂先には何らかの液体が塗られており、触れるのはやめておいた方が良いだろうと予想出来る。

 だからこそ。


「ふふッ」


 喰らう。右腕の腕甲を手のひらから突き出た槍の柄まで広げ、右側から迫る槍を薙ぎ払いつつ。

 急所に当たる軌道の槍だけを避け、それ以外にタイミングを合わせ……喰らう。

 【口腔生成】と合わせ、私の口は今や3つ。その全てが槍を喰らい、身体は避け、右腕は破壊する。


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