表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人を喰らう、味方も喰らう。両方やらなくちゃならないのが屍人喰いの辛いところだね  作者: 柿の種
第4章 色々準備編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/67

Episode3 - ファンタジーにはつきもの


 遺跡自体は湿地を歩いていれば見つける事は容易だ。

 それだけこの地が封印されたモンスターの力を分散しておくのに適した土地であった事が伺える。

 だが、その中でもダンジョン化した遺跡を探すのは…….中々難しい。

 モンスターが棲みついているだけではダンジョン化しているとは言い難く、遺跡内の空間が異常に広く、もしくは遺跡と言えない程に変異しているかが重要だ。


「んー、ハズレ。ここらは全部基本的に漁った後だもんなぁ」


 それに、私とフレデリカという湿地の遺跡を漁り石版を回収しているプレイヤーも居るのだ。

 その分だけダンジョン化している遺跡は減り、簡単には見つける事が出来なくなっていた。

 とは言え、無いわけではない。


「……ここは……うん、多分ダンジョン化してる」


 そうして湿地内を歩き回る事、数十分。

 私はやっとの事でダンジョン化している遺跡を見つける事が出来た。

 中には入っていない。だが、外からでも既に遺跡の内部が異質な事になっている事が理解出来た。その理由は、


「流石に遺跡が植物に侵食されてるのは初めて見たよ」


 まるで、現実の廃墟の様に。

 外から見える遺跡の全景が、蔦植物などに覆われていたからだ。

 これまで数多くの……本当に多くの遺跡を探索、攻略してきた。今の所、ボスが居たのは3個のみだが、それ以外でもここまで植物に侵食されているのは初めて見た。

 何故ならば、その手の植物はこの地に棲むネズミなどが喰らってしまうからだ。


「ネズミは……うん、なんか警戒してるね。私には今でも襲い掛かってくるのに……確定かな」


 モンスターと言えど、野生生物に近いスワンプラットが近付かない時点でほぼ確定だろう。

 クナトのダンジョンならば、餌として外に出てくるモンスター達を喰らう為に集まっていたが……それもない。


「……植物、野生生物が近付かない、何なら餌にすらしない。これ入るのどころか近付くのもやめた方が良い系かぁ?」


 嫌な考えが頭に過ぎる。

 現実ならば兎も角として、このKFOは一応ファンタジーRPG系のゲームではあるのだ。

 そして、ファンタジー作品には往々にして……人間大の生物すらも宿主とする危険植物が登場する。


「……いやいや、流石にキャラロストの可能性とかあったら運営側から警告が来るはず。多分。ヨシ!」


 気分で指を差した後。

 私は遺跡の入り口があると思われる付近へと近付いて……蔦植物を掻き分け、中へと侵入する。

 これまで入ったどの遺跡の中よりも光が無く、どの遺跡よりも……空気が澱んだ、遺跡の内部。

 暗い為にハッキリとは分からないが、どうやら中も中で様々な植物によって侵食されているらしく、異様な雰囲気を放っていた。


『デバフ『花粉症』が付与されました』

「はぁ?!……くしゅっ!?」


 私が遺跡の中に一歩踏み入れた瞬間。

 不穏な文字が流れると共に、私の視界は涙で滲み始め鼻水が止まらなくなってしまう。

……うわ、そういうことかよ!?

 『花粉症』というデバフの詳細は知らないが、これだけはハッキリと分かる。

 この遺跡は、探索に向かない。

 何なら、今すぐにでも撤退し他の遺跡を探した方が良いだろう。

 だが、私には時間が無い。無いと言うことは、


「進むしか……ぐじゅ、無いってことかぁ……!」


 幸いにして、『花粉症』は私の行動自体を阻害するものでは無い。

 鼻が使い物にならなくなり、時折くしゃみが出て。尚且つ、視界が涙によって滲んで見えなくなる程度の物だ。十分邪魔なモノではあるのだが。

 しかし、私の探索の大部分を担っているのは【聞き耳】による音での探査及び索敵だ。最悪、耳さえ聞こえていれば……敵との戦いも行う事ができる。


「さぁ、行こう……っぇくし!」


 くしゃみについてはもう諦めよう。



―――――



 暫く歩き、探索してこのダンジョンについてある程度理解する事が出来た。

 このダンジョンには、基本的に植物系のモンスターと動物系モンスターの2種類が居るらしい。

 植物系のモンスターは基本的には何もしない。

 私が近付いた所で攻撃もしてこない。では何をするかと言えば……『花粉症』を付与する花粉を周囲に撒き続けているのだ。

 そして、動物系モンスターはといえば、


「あぁもう!っくし!やっぱりじゃんか!」

「……ァガ!」


 種類は様々、規則性はなく。

 犬、狼、豚、牛、鶏や、外に居たネズミ、動物に含めて良いか疑問になるモノならば、ゴブリン、コボルト、ムカデに人間の死体など、その全てが出現した。

 対処が難しい?そんな事はない。そのどれもが、身体を、腕を、足をがむしゃらに振り回すだけで変わった攻撃は一切してきていないからだ。

 しかしながら、


「寄生されてるッ!」


 そのどれもが、頭の上に1つの……巨大な赤い華を咲かせていた。

 警告が出ていないと言う事は、私自身が寄生されアバターの操作権を失う事は……すぐにはないのだろう。

 しかしながら、この遺跡を放置するという選択肢はなくなった。

 マーテルの時と同じ様に、ここを放置していれば……やがて、同じ湿地に棲んでいる身としては不利益しか被らないのが確定してしまっているからだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
 体表付近に種や根を植え付けるのか、体内から発芽して食い破ってくるのか。最悪の場合、体内に吸引された花粉同士で受粉という防御手段が限られるパターンまで想定されるし。  どういう形態で寄生してるのかを詳…
うわ〜こりゃ今までで一番厄介なダンジョンと面倒なボスモンスになる予感するぜ〜〜〜 植物だから火の魔法や能力を持ってる奴なら燃やし尽くして進めば楽勝かもしれんけど
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ