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人を喰らう、味方も喰らう。両方やらなくちゃならないのが屍人喰いの辛いところだね  作者: 柿の種
第3章 ステップアップへの一歩編

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Episode8 - VS 『死生骸 ソウマ』1


 迫ってくるがしゃどくろの様なボスを目の前に、私は少しだけ……そう、少しだけ冷静になっている自分が居る事に気が付いた。

 少し前までならば、このまま立っているだけでは轢き潰されてデスペナルティになる事だろう。

 しかしながら、今は違う。そう断言出来る。


「クナトの時にデカブツとの戦い方はある程度学んだ訳なんだけど」


 何も考えていないであろう配下がソウマへと向かっていくのを目にしながら、その場で重心を低く。

 何が来ても耐えられるように、と踏ん張れるようにして。

 右半身を前に、ソウマに向かって右腕を突き出すように構えた。


「あの時はフレデリカちゃんっていう、動きを無理矢理に止められる子が居たからこそ出来た戦い方なんだよね」


 特別な事は何もしない。

 突き出した右腕の掌……見えず、ヒットボックスが拡張された先に口を1つ……そして2つ(・・)と生成し……やがて、その時がやってきた。


『生者ァあ!』

「そんなに生きてる奴が大好きなら外に出なよッ!」


 がしゃどくろの額と私の手が激突する。当然、私1人で勢いを抑えきる事なんて出来ない。幾ら踏ん張ろうと体勢を整えていたとしても何事にも限界はあるのだ。衝突の勢いは私の身体に強い衝撃を与え、右半身から全身に、後方へと向かって流れていく。

 その衝撃によって肩が外れそうになりながら、2つの口を動かし始めた。

 この遺跡に侵入する前、【ヒットボックス拡張】を得ると共に私は幾つかのスキルのレベルを上げていた。

 レベルを上げたのは3つ。その中の1つが……【口腔生成】だ。


『【捕食】が発動しました。バフ『全ステータス強化』が付与されました』


 私の見えない手、そしてその先に生成された口が頭蓋骨の一部へと喰らい付き私に力を与えていく。

 無茶な受け止めによって大幅に減り、今も継続的に減っていくHPが【大食漢】によって補充され。

 強化されたステータスと、こちらが喰い進める勢いと。そして……2つ目のレベルを上げたスキル【筋力増加】によって、がしゃどくろの勢いを無理矢理に抑え込んで、止める。

……やっぱりレベル1と2じゃ大きく変わるね、効果量。死体相手の時にも思ったけど……前までじゃ絶対、人間大のモンスターを叩き潰すとか出来ないし。

 スキルのレベルによる補正がどの程度なのかは後で確かめるとして。

 今集中すべきは目の前のボスだろう。

 突進を止められたソウマは、先程から同じ文言を繰り返しながらも両の手を私に向かって振り下ろし始めた。


「ッ、とっとと!」


 真正面からの突進はまだ良い。今やった通りに喰らいながら受け止める事で【捕食】の強化を受けつつ止められるからだ。

 しかしながら真上から複数の攻撃をしてくるのはまずい。

 私の右腕は1本しかないし、なんなら私自身の耐久度は別段変わっていないのだから。


「ぁあ!」

「配下ちゃん!?何やってんの!?」


 ソウマを少しでも喰らった事によって強化されたステータスで無理をして、その場で手の振り下ろしを何度も避けていくと共に、視界の中に映ったのは……一応、まだ生きていたらしい配下の姿。

 人喰いであり、私の敵対者を喰らいに行く指示を受けているソレは、いつの間にかソウマの、肉がほぼ落ちている腕を駆け上がっていき……頭頂部、私が喰らい欠けている頭蓋骨まで辿り着くと。


「ぁーむ」


 喰らう。

 レベルを上げた最後のスキル【主従共有】によって【捕食】だけではなく【噛みつき】をも共有されている今の配下ならば……ボスであろうと、口を付けた先が頭蓋骨という硬いモノであろうと、食欲のままに喰らう事が出来るようになっていた。

 私という大型のボスを一瞬でも止められる存在と、配下という硬いモノすら喰らえるようになった替えの効く存在。

 私へと意識を向ければ向けるほど、配下がその身を喰らい。

 配下へと意識を向ければ向けるほど、私がフリーで動けるようになっていく。

……フレデリカちゃんが居る時と比べると、ボスが自由な時間が多いけれど……これはこれで伸ばしていく価値があるスタイルだよね!

 ソウマも対処に困ったのか、片手で私を引き続き狙いつつ。

 もう片手で自身の頭に登っている配下を捕らえようとして動きがぎこちなくなってしまう。

 だが、現状で言うならば……それが最も悪手であると言えるだろう。


「片手になったね?片手だね?それはそれは……ありがとう!イタダキマス!」


 避ける為に動かし続けていた足を止め、その場で真上から振り下ろされた手へと向かって右腕を突き出せば。

 今度は私の身体に上からの衝撃が加わって、


『デバフ『骨折』が付与されました』


 ログが流れると共に、私の体勢が一瞬崩れる。

 だが、それを気にせずに。手の先の2つの口でソウマの手に喰らい付く事で無理矢理に体勢を立て直す。

……うん、イケる。

 ここまでの行動で、ソウマ自体がボスにしてはシンプルであるのは理解した。

 マーテルの様な、スキルによるギミック要素も特に無く。

 クナトの様な、生態的な絡め手も無い。

 ソウマにはそれらが無い。無い代わりに単純に出力が強いのだ。骨の身体にしては強い力。そして巨大な身体。フレデリカの様な拘束能力があればまた違うのだろうが……それがない相手には、単純な力を叩きつけるだけで倒せてしまう。


「……良いね良いね」


 どんなにダメージを受けても【大食漢】によってHPは増え。

 初めはあったステータスの差も【捕食】によって均等、もしくは覆り。

 何より一番良いのは、


「蛆が湧いてないから、食欲が湧く……ッ!」


 これに尽きる。

 色々と考えを巡らせてきたが、結局の所。それが私にとっては一番重要なのだから。

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― 新着の感想 ―
ある程度ボスで修羅場を潜り抜けてきたイヴにとっては地面へと潜伏は厄介だがそれ以外はただの突進や単純な物理攻撃してくるソウマはそりゃ今までのボスと比べると容易でしかないわな.......今のところはだけ…
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