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人を喰らう、味方も喰らう。両方やらなくちゃならないのが屍人喰いの辛いところだね  作者: 柿の種
第2章 出会いと始まり編

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Episode13 - VS『貪食蜘 クナト』2


「出来ました出来ました!再拘束完了です!……ってイヴさん腕!?」

「あは、これくらい本当に問題ないよ。たかが片腕、利き腕が溶けただけ。まだHPも3割残ってる」

「で、でも……」

「イケるさ。まだ私は食事にありつけていないんだ」


 そう、これは私の調理工程(たたかい)だ。

 フレデリカにはその御膳立てを、下処理を頑張ってもらったのだ。ならば、ここから先は私の領分。

 身動きの取れないはずのクナトが、私の雰囲気が変わったのを感じたのか、僅かに身じろぎした……様な気がした。


「……蜘蛛ってさぁ……クリーミーらしいじゃん?味」


 口の中に涎が溢れ出す。

 生憎と、リアルでも蜘蛛はまだ食べたことはない。味の想像がつかないというのもあるが、ここまでの事を考えると……更に喉が鳴る。

 これまでクナトは、私達を食べる為に自身の棲家を破壊してまで追ってきた。紛れもなく、絶対的強者。捕食者の振る舞いをしてきたのだ。

 だが、今は違う。

 溶けて無くなった腕なんて、今はどうでも良い。継続的にHPが減っているのも……これから先の御馳走に比べたら些細な事だ。

 ゆっくりと、クナトの真正面から側面へ。そしてそのまま、フレデリカが最初に蓋をした腹部のある方へと移動して。


「ここからは私達が捕食者なんだよ、被捕食者(クナト)。――イタダキマス」

「えっ、ちょ、な」


 何かを言い掛けたフレデリカを置いて。

 私はクナトの腹部へと口を付け……噛み千切る。

 一瞬で口の中に広がる、クリーミーな濃い卵の黄身の味。それと共に、微かに香る土の匂い。

……あ、やっべ。

 その匂いに驚き、しっかりと前を見てみれば。

 クナトの腹部以外にも、フレデリカの身体をほんの少しだけ喰らってしまっていることに気がついた。


『【捕食】が発動しました。バフ『全ステータス強化』が付与されました』

『【捕食】が発動しました。バフ『土属性強化』が付与されました』

『行動経験値が一定量貯まりました。スキル【大食漢】Lv1を獲得しました』


 瞬時に流れる大量のログと、


「にゃ、ぁああ!?ちょっと!イヴさん!?食べてます!私の事も一緒に食べてます!」

「ごめんごめん、ちょっと巻き込んじゃった。……まぁ、ごめんね?」

「あれあれ?!止めるつもりはない感じですか!?」


 完全に悪いのは私だが、抗議するフレデリカを相手にする暇はない。

 彼女の意識が私の方に向いたからだろう。クナトが少しずつ、微かにではあるがこちらへと身体を向き直そうと動き出しているのだ。

 故に、


「ごめん、せめて美味しく食べるよ。イタダキマス」


 女の子の悲鳴をバックミュージックに、私は喰らう。

 一心不乱にクリーミーな腹部を、粘ついたミルクの様な液体を、エビの様な味のする足を、少しばかり舌の先が痺れる液体を、調味料兼口休めの土風味のゼリーの様なものと一緒に飲み込んで。

 気が付けば、クナトの身体の大半は私の腹の中へと収められていた。フレデリカの体積もいつの間にか半分程度だ。


「ふぅ……結構食べたなぁ。美味しかった美味しかった」

「狂ってる狂ってる……しっかり狂人ロールプレイじゃないですかぁ……」

「?」

「うわうわ、何ですかその分からなそうな表情!え、もしかしてこれが素です!?」

「よく分からないけれど、一応まだボス戦は終わってないぜ、フレデリカちゃん」


 騒ぐフレデリカに残ったソレを指差してやる。

 そこにあったのは、クナトの頭部のみ。何か出来るかと言われれば、ほぼ何も出来ないと言う状態ではあるものの。

 しかしながら、毒を吐くなどはまだ出来る。

 何より、こんな状態になって尚HPが1割程度残っているのがクナト……というよりは、虫系昆虫系モンスターのしぶとさなのだろう。


「えっとえっと……そのままイヴさんが倒してしまっても良いのですが……」

「いやいや。ここまでほぼ完封出来たのもフレデリカちゃんのおかげだから。大半は食べちゃったのは申し訳ないけれど……どうぞ、召し上がれ」


 私1人だけでは確実にもっと苦戦していたし、何度かデスペナをくらっていた可能性も高い。

 だからこそ、と私はフレデリカの前にクナトの頭部を持ってきた。勿論、毒を吐いても良い様に、口を地面に向けた状態でだ。


「……え?」

「ほらほら、ぐいっと。一番良いところだから」

「いやいやいやいや!?そんな飲み物一気飲みするみたいなノリで食べる様なものじゃないですよ!?蜘蛛ですこれ!」

「そうだよ?蜘蛛だね」

「何を、何を当然みたいな表情で言ってるんです!?あっ、やめ、近づけな、むぐぅ?!」


 ごちゃごちゃと煩い、大きく開いた口の中に小さく毟った頭部の肉を投げ込んでみれば。

 最初は吐きそうになっていたものの……目を一度大きく見開いた後に、ゆっくりと咀嚼して、


「……美味しい」

「だろう?ほら、残りもいっちゃいなよ」

「う、うぅ……なんだろう、美味しいのは美味しいんですが、ここで食べ進めたら致命的に間違ってしまう気が……あぁ!大丈夫です!食べます!自分で食べれますからぁ!」


 暫くして。


『『貪食蜘 クナト』が討伐されました』

『MVP選定中……参加プレイヤー数2人。MVPを選出しました』

『MVP:プレイヤー名『フレデリカ』』

『MVP特典として、スキル取得用の特殊アイテムが付与されました』


 最後の一片までフレデリカが食べ終わると同時、ログが流れた。

 長かった様で一瞬だったボス戦の終わりだ。

 フレデリカは緊張の糸が切れたのか、そのログが流れると同時に人型から丸っこいスライムの様な状態になってしまった。

……やっぱり2人、それも片方がしっかり足止めや相手の動きを止められるとボス相手でも楽だねぇ。

 今回はかなりの収穫があった。それも、良い方向で。

 それらを今すぐ確認したい気持ちを抑えながら、


「お疲れ様、フレデリカちゃん」

「お疲れ様ですお疲れ様ですぅ……」


 とりあえず、お互いの健闘を称える事にしたのだった。



――――――――――

プレイヤー:イヴ

合計スキルレベル:17

保有スキル:【噛みつき】Lv1、【筋力増加】Lv1、【聞き耳】Lv2、【隠密】Lv1、【恐怖耐性】Lv1、【捕食】Lv2、【口腔生成】Lv1、【カニバリズム】Lv1、【多産】Lv1、【配下指示】Lv1、【主従共有】Lv2、【バフチェイン】Lv1、【部位破壊】Lv1、【大食漢】Lv1

――――――――――

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― 新着の感想 ―
ゴキブリだって頭が無くても1週間ぐらい生きられると言うし虫系の生命力の凄まじさといったら半端ねぇよ
こう言うのが読みたかった!
 フレデリカさんすごい、そこで毒を喰らわばできるの本当にすごい。  被害者の会モンスタープレイヤー部門で一位を名乗っても許されると思う(※該当候補者一名)
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